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某社の新型カメラの企画会議で、次にカメラに搭載する新たな機能について意見を募ったところ、「電話機能を付ければ撮ったその場からすぐに写真を送れます!」と真顔で意見具申をした若手がいて、それって写メじゃね?という突っ込みの笑い話は業界アルアルだ。

さて、大陸の方にEFレンズやFマウントレンズのパクリっぽい製品を作っているYongnuoという交換レンズメーカーがあるが、先日そのYongnuoから背面に交換レンズマウントを装備したスマートフォンが発表された。

韓国のサムスンが以前Galaxyのシリーズで似たような製品を出していたことがあるが、Yongnuoは交換レンズがEFマウントで、センサーはマイクロフォーサーズの1600万画素..恐らくソニーパナソニック製だろう..でしかもRAW対応、動画も4K/30Pで撮れるようだ。

個人的に、そのうちこのような仕様のスマホが作られるだろう、そしてそれは間違いなくカメラ王国の日本ではなく大陸、つまり中華製だろうとは常々思っていた。カメラメーカーに限った話ではないが、今や日本のメーカー各社にこのような発想..というより企画と実行の迅速な判断..は不可能と言って良いだろう。

ところで、Yongnuoの製品で注目すべきは、カメラ本体がいわゆるAndroidスマホである点である。OSがNougat(Android 7.1)なので、JavaでEFレンズ..できればマイクロフォーサーズマウントを希望したい..を操作するカメラアプリを自前で開発できるということになる。そしてこの場合、写真より動画、つまりEFマウントのビデオカメラが自作できる点が何より面白そうだ。

もちろん曰く付き中華製なので、キヤノンとライセンス契約をしているとは到底思えずw、どこまでEFレンズを操れるのかは不明であるが、万が一にでも同社からフレームワークが公開されれば、面白いことになるなぁと妄想している次第。

以前は安かろう悪かろうだった中華製も今や完全に上と下に二極化し、ドローンの雄であるDJIを見ていれば判る通り、振興ベンチャーでフットワークの軽い分、特定分野なら上は技術立国日本を追い抜いているのは間違いない事実である。あ、Yongnuoの製品がどっちなのか知らんけどねw

この秋のフルサイズミラーレスカメラの発表ラッシュを見ていれば、カメラのミラーレス化はもはや止めようのない必然的な流れで、そうなると工業製品としては純然たるメカよりエレキ、そしてソフトウエアの重要性が増すことになる。

先日、キヤノンのEOS RやナイコンZの記事で、日本のメーカーはブランドの上にあぐらをかいた製品しか出せないと書いたが、両社がミラーを高速でバタバタ動かすことで競ってきた技術など、もはやレガシーまっしぐらということだ。

FUJIFILM X-H1 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS / Velvia

日の出直後、三峰に虹がかかった。冬型が強まりだす晩秋によく見られる光景だが、気温の方は相変わらず低くない。

カテゴリ:写真・カメラ, 季節感|タグ:

先日林道で冬羽のカシラダカを見掛けた。少し前にマヒワの小群にも遭遇しているが、今年はまだツグミがやってこない。

まあ日本が暖かいからとかそんな事を言うつもりもないが、冬鳥としてツグミが最終ランナー的なところがあるので、ちょっと気にしている次第。

それと今日は朝から家の周辺をハイタカの雌がうろついていた。正確には朝方に家の前の電柱に留まっていたのが最初の目撃で、昼にこちらがたまたま立ち上がって窓の外に目をやったタイミングで仕事場の北側の窓の外を低空で通過、バッチリ背中を拝ませてもらった。

最後は夕方長電話しながら部屋の中をウロウロ歩き回っているw際、これまた何気に西側の窓から外を眺めていたら、敷地内道路上を地面スレスレにスズメか何かを追いかけながら飛び去っていくところを目撃。

ということで、ハイタカが姿を見せるようだと、これもまた冬の到来を感じさせるものだ。

FUJIFILM X-H1 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / Velvia

こういうシーンをチャッチャと手持ち撮影で済ませてしまえるのって、何とも凄いぜ最近の手ぶれ補正。

今日は立冬だが、早くからこの冬は暖冬と言われてきているので、こう暖かい日が続くとさもありなんである。

出来れば冬は寒さが厳しいほうがありがたい。なまじっか暖かいと、関東は雪が多いのでね。

FUJIFILM X-H1 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / CLASSIC CHROME

FUJIFILM X-H1 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / CLASSIC CHROME

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

近づく冬らしさを求めて少し標高の高いところへ上がれば、朝なら水たまりに薄氷が見られる。

カテゴリ:季節感

先日の記事で、こんにゃく芋には野生動物も手を出さないと書いたが、中には味見を試みるチャレンジャーがいるのも事実。

若い個体は経験値が少ないので仕方ないが、これが毒のある植物だったりするとそこで命を落とすことになるので、食わないのも身を削ることだが、食うこともまた命に関わる問題に直結する可能性もあるのだ。

それもまた野に生きるものの掟であろう。

iPhone 6

少しかじった跡が残っているが、歯型からシカの仕業と判る。いくら腹が減っていても、さすがにエグくて最後まで食べる気は起きなかったろうねw

ブナの森の中に水たまりを見つけた。この秋の台風の影響で近くの沢の流れが変わり、そのまま取り残されたようだ。

地形的に周囲より一段低くなっているので、大水が出るといつもこうして水が溜まると思われる。

覗き込むと水は澄んでいて底が見えているが、季節が春ならヤマアカガエルやアズマヒキガエルが喜んで泳いでいることだろう。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / Velvia

写真自体は先月撮影したものだが、もう朝はこういう止水域には氷が張る頃だ。

カテゴリ:季節感

密怪生命

2018/11/4

この秋の自然界をテーマにした写真展で最大の目玉だったのは、間違いなく今をときめく佐藤岳彦氏だろう。

某自然写真の大御所をして、次は佐藤岳彦の時代だろうと言わしめる若手の有望株..という言い方を今どきするのかw..の佐藤氏は、個人的にも以前からその独特の視点による切り口には大いに興味を惹かれていた。

一億総カメラマン時代の現在、美しいものを当たり前のように美しく撮れる写真家、カメラマンの類は掃いて捨てるほどいると言って良い。

人と同じものを撮っていてはオリジナリティを主張することもままならないが、さりとて自分だけのテーマを見つけることもそう容易い話でもないのは、悲しいかな凡人でも少し考えればすぐ判る。佐藤氏はそんな中で明らかに他の同業者とは異なる視点を持つ稀有な表現者である。

動物が駆ける、鳥が飛ぶ、蝶が舞う、魚が泳ぐ、そんな生きものの生の躍動に焦点を当てるのは誰でも思いつくことであり、言わば当然の成り行きなのだが、密怪生命では生の次、いや生の前にある死に焦点を当てて、死から生への連綿とした命のつながり、やり取りを見事に表現している。

生きものの死を表現する写真家と言えば、自然界の報道写真家を標榜する宮崎学氏と、アラスカに生きる人と生きものの生命の地図をテーマにしていた星野道夫氏が挙げられる。

宮崎氏は死をつぶさにそしてありのままに写し撮って、観る側に問題提起をする手法を用いているが、星野氏は写真だけでなく自分の気持ちを紡いだ言葉による表現を好み、観る者と同時に読み手にその思い、命のつながりを伝える方法を取っている。

密怪生命では、死体やその成れの果てを記録している時点で宮崎氏と似ているが、一瞬これは何を撮ったもの?と観る側に考えさせはするものの、意図するしないは別にして、深く思考しなければそれは一枚一枚が完成された美しいカットにもなり、一歩踏み出して、例えば冬虫夏草だと判れば、死が次の命の糧になることを暗示させるカットにもなる。

写真を見る側の姿勢や思いによって、どちらにも受け取れるような構成になっているのは、佐藤氏の考えなのか、はたまたデザイナーの仕事なのかは判らないが、密怪生命はなかなかアグレッシブに攻めたチャレンジャーな作品集と言えよう。

それと密怪のイメージとして何となくダーク感があるが、一連のカットが影や陰、それに闇などシャドウを強調した作風にまとめてあるが、各主題にはしっかりスポットが当たっているなど、暗い林内における撮影技術も巧みで感心させられる。

この写真集がこの値付けで商業的に成功するようであれば、とかく出版不況で写真集は暗い未来しか見えてこない状況において、写真集制作にもまだまだチャンスがあると思わせてくれる、そんな気がしてならない。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / PROVIA / 1/2にトリミング

森で密怪な生命を探してみたが、凡人にはヤマトシジミぐらいしか目につかず。気温が低いので近づいてもまったく逃げない。

ところで、密怪生命は先月オリンパスギャリーへ写真展を観に行くつもりでいたのだが、上京する仕事が先送りになってしまって、結局観に行けずじまいだった。

そんなことで、密怪ならぬ密林から写真集を手に入れて、チビチビとスコッチ飲みながら夜ごとページを捲っている、という状況を先週飲み会の席で話題にしたところ、取引先の若い子たちが是非見たいというので先日の打ち合わせの時に見せてきたが、皆興味津々で顔寄せ合って眺めていた。

何人かはその場で早速密林に注文を入れていたが、意外にインスタばえだけに興味があるというわけでもないのだなと、ちょっと今どきの若い子らを見直した次第である。

カテゴリ:写真家, 小動物|タグ:

谷川初冠雪

2018/11/3

冷え込んだ夜明け前の東の空が白み始める、そのほんの一時だけ美しく映える季節がやって来た。

シカのラッティングコールとフクロウの鳴き交わしも相変わらずで、野生の生きものたちの営みも依然として活発だ。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / Velvia

FUJIFILM X-H1 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS / Velvia

今朝ようやく谷川の冠雪を確認。上越国境全体が白くなるのはまだもう少し先のことだが、いよいよシーズンの始まりである。

カテゴリ:季節感|タグ:,

谷川初冠雪?

2018/11/2

上越国境が初冠雪だったらしいのだが、うかつにも終日部屋にこもっていたため、その事実を確認できず。

FUJIFILM X-H1 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS / Velvia

結局自由の身になったのは夕方遅く、もう日が沈んだ後であった..

カテゴリ:季節感

初霜

2018/11/1

若干放射冷却の影響があって、今朝は2℃まで冷え込み、今シーズンの初霜となった。例年より少し遅いが、もっと遅い年もあるのでまあこんなもんかな。

ただ、風が少し吹いていたので冷え込みほどは白くはならなかった。やはり快晴無風状態で冷え込まないと、辺りが白くなるほど霜が降りることはない。

霜が降りると色々冬支度を始めるきっかけとなる。先月、車内装備は一部防寒着等を入れ替えたが、車中泊用のシュラフはもちろん、スタッドレスタイヤへの換装も視野に入れなくてはね。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / PROVIA

ホトケノザがまだ咲いているのはご愛嬌。背景のうっすら白いのが霜だ。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / Velvia

2枚目は西の空を写したものだが、実は夕景ではなく朝焼け。雲の関係で時々こういう妙な眺めになることがあるから面白い。

真ん中は浅間山、左奥は八ヶ岳で、今朝は冠雪した甲斐駒ヶ岳もよく見えていた。

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先日所要で上京した際、オリンパスギャラリーで菅原貴徳氏・中野耕志氏・中村利和氏・水中伸浩氏の4人展「WILD BIRD」を観てきた。当日は海外取材で不在だった中野氏を除いてお三方は在廊中で、開廊してすぐだったこともあって色々話を聞くことが出来た。

四者四様のいずれ劣らぬ作品で、ややもすればセンサーサイズで見下されがちなマイクロフォーサーズ機の面目躍如といった、大伸ばしにも問題なく耐えうる美しい作品群であった。

オリンパスの主催するギャラリーということもあって、四者ともカメラボディに関してはE-M1Mk2、レンズも望遠はほぼサンヨンのPROレンズを使用とのこと。画質はもとより、強力な手ぶれ補正を備えた防塵防滴仕様の同社のサンヨンの評価はずば抜けて高く、海外取材も多いと話していた菅原氏も、その携行性の高さに太鼓判を押していた。

4氏共に現在活躍中のプロの写真家であるが、野鳥写真というジャンルは実はアマチュアカメラマンのほうが勢いがある分野で、プロとてそれだけで飯を食っていくのは相当に大変である。

狙った鳥が目の間にいるというそのシチュエーションに身を置く、つまりその場にいないと観ることすら叶わないという現実があるため、プロとアマの垣根がほぼほぼ無い。

作品の発表の場も、写真集が容易に売れない今の時代、専門誌では文一のバーダー誌のみで、あとはカメラ雑誌の限られた特集ページを他のジャンルと取り合うことになる。

デジタルになって機材の敷居が下がって以降、前述のオリンパスのサンヨンのような機材がアマチュアでも普通に買える時代ということもあり、技術的な部分もプロだからアマよりも優秀ということでもないのは、TwitterでもInstagramでも、昨今の写真が公開できるSNSを眺めていればすぐに判る話だ。

そもそも写真趣味として裾野が広がってしまった..恐らくバードウォッチング人口より野鳥カメラマン人口のほうが多い..おかげで、写真を眺めるよりも写真を撮ることのほうが主流になってしまった現実が、野鳥写真を飯のタネにするプロに追い打ちをかけている。

これは写真撮影全体に言えることだが、その時そこにいること、現場第一主義がいかに大事であるかということに他ならない。逆に言えば、言葉は悪いが目の前にいる普通種を、いかに非日常の視点で捉えるかというような、写真家自身の持つユニーク性、オリジナリティが必要になるわけだ。

そういう意味では、水中氏のゴイサギを捉えた作品群は、シチュエーションとタイミングを十分に見計らった、言わば計算づくでの結果であり、まさにプロの仕事と言えよう。

鳥がいるその空気感を匂わせるような光と空間の使い方が上手い中村氏、鳥と航空機という空を飛ぶ者同士の飛翔をブレなくクリアに写し止める卓越した技術を持つ中野氏、空を飛ぶ鳥に国境はないとばかりに海外取材にも果敢に飛び出す若い菅原氏。

今回の写真展では、そんな四者四様の仕事に挑む姿勢を、少し垣間見させてもらったような気がした。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S. / カルガモ

かくいう拙者も、元々鳥に興味を持ってこの世界に入った経緯がある。池中玄太の影響と言えば、我々の世代の野鳥カメラマンあるあるであろうw

程なくして嶋田忠氏や友人の影響で撮影も始め、一時は視野狭く鳥しか撮ってなかったこともあるが、星野道夫氏の作品とエッセイに出会って以降、生態系とその多様性という命のつながりを意識するようになった。

そして自然を一歩引いて観る視点を持つようになった結果、鳥も生きものの一種という考えに変わり、自然と生きものという大局的な視点で撮影をするようになり、現在に至る次第。

ちなみに嶋田氏に関して、ちょうど十年前に昔のブログでそんな記事を書いていて、ちょっと懐かしいw
野生の瞬間

こちらは星野道夫氏について。いやホント惜しい人を亡くした..
星野道夫という写真家

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