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サクラヒガラ

2018/4/17

先々週、某所での撮影の立ち会いの間、近くに巣でも構えているのかソメイヨシノに頻繁にヒガラがやって来ていた。ただ待っているのはヒマだったので、車からG9 PROを降ろしてきてサクッと撮影してみた。

カラ類なので例のごとくひと所にジッとすることなくトリッキーな動きだったが、連写番長たるG9 PROの面目躍如で、ひたすら先読みして連写で挑んだ。

もちろん、横では撮影業務が進行中だったので、電子シャッターによる音無しの構えだったのは言うまでもない。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

パナライカの100-400は換算800mmという長焦点にも関わらず非常にコンパクトで、こういう人目のある場所で使用するには都合が良い。

よく都市公園で三脚に載せた巨大な白レンズ..黒レンズもいるが..の使用者を見かけるが、よくもまあこんなところでご苦労さんとしか言えないね。

ちなみに4枚目はメジロ、5枚目はシジュウカラ。都市公園の桜の季節はメジロ写真が多く出回るが、この日のメジロは時間内には低いところに下りてきてくれなかった。

オートフォーカス(以下AF)の黎明期はフィルムカメラの時代まで遡る。ミノルタのαショックはある年代の人から上の層なら記憶にあるだろう。

当時のAFは文字通り人の手から機械へピント合わせという行為を移譲することだったので、シャッターボタンの押下と連動していたのは自然の成り行きだった。

ただ、今のようにAF測距点が多点でなく中央1点、多くても横並びに5点程度だったので、中央で主題にピントを合わせてからフォーカスをロック(以下AF-L)し、フレーミングし直すという一つ余計な作業が必要であった。

そこで、記憶では最初はC社EOS-1..1989年発売の当時世界最速AFのフィルムカメラ..だったと思うが、カスタムセッティングでシャッターボタン押下とAF動作を切り離し、背面にあったAEロックボタンにAF動作を割り当てられるようにしたのである。

この件は某風景写真の大家が関係しているとかいないとか聞き及んでいるが、何れにせよ該当ボタンがカメラを握った右手親指で押す位置にあったことから、以降この動作を親指AFと呼ぶようになったのである。

FUJIFILM X-T2 / XF35mm F1.4 R

うちに現存するC社最後のフィルムカメラであるEOS-1Vの背面。1や1nの時代はAEロックボタンが兼用であったが、1Vから専用ボタン(左側のボタン)に変わった。

親指AFは静物写真である風景の分野で喜ばれたのは言うまでもないが、生きものを撮るカメラマンにもこの動作はすんなり受け入れられた。そしてその後は現在に至るまで、ほぼすべてのメーカーのカメラに独立したAFボタンが装備されている。

ただ、近年その右手親指は色々忙しいのである。最たるものはAF測距点の多点化に伴い用意されたフォーカスレバー的なUIであるが、それ以外にも露出補正やAEロック、フジならばフィルムシミュレーションの選択など、撮影前または撮影時に様々な役割が増えてきているのだ。

それら一連の行為をファインダーを覗きながら一気に行えるのは便利この上ないのだが、それにも増して親指は忙しい。しかもメーカーが異なるとボタンやレバーの位置も違えば役割自体逆のこともあり、ピントを合わせようとして別の機能が呼び出されたりしてしまうことも自ずから増えてきているので厄介だ。

FUJIFILM X-T2 / XF35mm F1.4 R

フジのX-Tシリーズにはカメラを握る右手中指の当たる位置に、ファンクションボタンが用意されている。写真はX-H1だがこれはX-T1の時代から引き継がれてきているものだ。

他メーカーにも同じ位置にボタンがあるカメラはあるが、フジの場合ここにカスタムセッティングでAF作動を割り当てることができる。つまり、AF作動を中指の専任担当とし、親指は露出周りの別の仕事に専念させることで、撮影に至る一連のシーケンスを分業化で一気呵成に行えるのである。

EOS時代、AFボタンとサブ電子ダイヤルを行ったり来たりして過労死寸前だった右手親指だったが、フジのXシリーズを使うようになってからはほぼ露出補正担当、時々AF測距点選択他という役割に落ち着いている。

と、こうなるとうちの場合はパナのGH系が異端児化してしまうことになる。GH4以降はほぼ動画専用機と捉えているので問題ないと言えばそうなのだが、正直なところGH5でも中指AFが欲しいのが本音ではあった..

FUJIFILM X-T2 / XF35mm F1.4 R

それがどうだろう、ユーザーの声が届いたのかどうかは別にして、G9 PROには右手中指の当たる位置にFnボタンが装備されたのである。しかもカスタムセッティングには相当のこだわりがあるパナなので、当然ここにAF作動を割り当てることができる。

FUJIFILM X-T2 / XF10-24mmF4 R OIS

直前まで望遠ズーム付きX-H1で撮影していて、目の前に来たところで首から下げていたX-T2にスイッチしてスローシャッターで流し撮り。右手親指で露出補正しつつ、中指AFでワイドトラッキングAFを使って撮影。露出補正もAF作動も親指だけでは同時にできない例。

とは言え、フジもパナも親指AFはそのまま使えるようにしているので、状況に応じて中指AFと使い分けるようにしている。過去の習慣もあるので今のところ使用率は半々だと思うが、中指AFができるかできないかは、その便利さを知ってしまった今では結構重要な要素になった。

FUJIFILM X-H1

2018/3/7

これまでX-Pro2やX-T2など、これぞカメラ然とした風情のクラシカルなデザインが特徴だったフジのミラーレス一眼だが、ここに来てマーケットをいわゆるニッチなフジファンより外へと広げようとしているようだ。

先日発売されたX-H1は、昨年発売の中判ミラーレス機GFX50Sと路線を同じくしており、趣味性の高いものからより実用性重視に振ったモデルに仕上がっている。

FUJIFILM X-T2 / XF35mm F1.4 R

噂では早くもX-T2の後継機か?などと言われていたが、蓋を開けてみればまったく別のニューカマーである。ファインダー部の形状とフジのカメラとしては異様に大きく目立つグリップが、パッと見はGFX50Sを思わせる意匠だ。

フジはX-Pro2とX-T2でダブルフラッグシップと言われていて、X-H1の登場でトリプルフラッグシップになるのかという話もあるが、そもそもフジのカメラはベイヤーを除くX-Transセンサーを使うモデルには画質面でのヒエラルキーが存在しない、稀有なメーカーである。画質面に性能差を付けず、それぞれに特徴的な意匠やそれに見合うメカやギミックを搭載することで、様々なユーザーニーズに応えているのである。

そういう意味でX-H1は今までのフジのユーザー層よりは、どちらかと言えばこれまでフジのカメラに興味を示してこなかった他のメーカーのユーザーや、ハードな業務で使うプロユーザーの取り込みを狙っていると思われる。

APC-C機としては大柄と言われるX-T2だが、フルサイズ機に比べれば容積も重量も小さく軽い。が、デザインを重視しているせいで、XF50-140やXF100-400など大柄な望遠系レンズを装着した際に、どうしてもバランスが悪くなってしまうのが難点であった。特に長年C社のEOSを使ってきた身からすると、グリップ部が無いのがいただけない。特にXF100-400との組合せでは、ボディ側のマウント部の剛性が低いのがよく判るのだ。

X-H1はそういったヘビーユーザーからの要求、つまりはプロユースを意識した造りになっているのが特徴である。もともとX-T2は防塵防滴耐低温で定評があったが、シーリングの数を増やしてさらに耐候性を高め、塗装も引っかき硬度は従来比の二倍のコーティングとのこと。握りやすさを目的として突出した大型のグリップを設けたり、ボディの厚さをX-T2に比べて最大25%アップして、特にマウント周りの剛性を高めている。

そういったヘビーデューティさを追求した結果、X-T2より大きく重くなったため、ミニマムな高性能ミラーレス機を求めていたコアなフジユーザーにはどうもコレジャナイ感が漂っているようだが、グリップ部を含めない比較では実は思ったほどサイズアップしているわけではない。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S

X-T2との比較。もちろん全体的に大きくなっているのは確かだが、グリップ部を見なければさほどでもないのである。それより保持した時の剛性感が半端なくイイ感じである。

FUJIFILM X-T2 / XF16-55mm F2.8 R LM WR

ついでにG9 PROとも比較してみたが、これがまたサイズ感がまったく同じなのである。どうも性能を追求していくとこの程度の大きさは必要になるかもしれない。

GH5も同様だが、両機に共通していることとして、ボディ内手ブレ補正と4K撮影の放熱用にヒートシンクを内部に実装しているので、従来機に比べれば厚みが増すのは致し方ないことだろう。

啓蟄のその日、未だ盛況な賑わいを見せるヒマワリレストランを横目に、せっせと虫やその卵を探して歩くエナガ達。

毎日ではないが、数日おきくらいに我家の庭にも十数羽で巡回してくるので、そのタイミングに居合わせるとフレンドリーな性格もあって、お互いストレスフリーで撮影できる。

日本産鳥類の中では最小クラスのエナガだが、その軽量級は枝移りの際にいかんなく発揮され、まるでそこに重力がないかの如き動きを見せる。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

ただ、1秒とジッとしていることがないので、AFで追いかけるのは大変だ。ピントが合ったと思ったらシャッター切る前にファインダーからは姿を消している。

そんな重量級且つ俊敏さのかけらもないおっさんカメラマンにとって、G9 PROのプリ連写機能は何とも筆舌につくし難いものがある。良い時代になったもんだとしみじみ思うねぇ..

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正面顔

2018/2/20

地上に限った話だが、食肉目や猛禽類など食う側の生きものは、獲物との距離感を正確に割り出すのに立体視を必要とするので、目が顔の正面寄りに配置されている。

それに対し食われる側の生きものは、捕食者の接近を察知するのにより広範囲の視界を得る必要があるため、顔の側面に目が配置されている。

例えるなら、前者が望遠寄りのズームレンズを装備しているのに対し、後者は広角レンズといった感じだろうか。実際どのように見えるのかは知る由もないが、明らかに顔は向こうを向いているのに、すぐにこちらに気付いて飛んでいってしまうというのは、人生もう何度も遭遇している場面である。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

オナガガモに限らず、食われる側の水鳥の仲間を正面から見ると、少なからずこんなふうな顔をしている。

こちらがレンズを向けているのでこの個体は明らかに拙者を見ていると思われるが、くちばしをこちらに向けているから必ず手前を見ているとは限らないのがこの連中の常だ。この場面でも背後から近づけば間違いなく逃げていくだろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

人間的に考えればこのケースでは左方向を見ていると思うだろうが、いやいやそれは大いなる勘違いで、ここでも間違いなく撮影者である拙者のことを気にしているのである。

G9 PROとVARIO-ELMAR100-400の解像力テストというかテクスチャ表現テストというか、何かそんな感じになっているが、最近のローパスフィルターレスのデジカメの解像感は凄いね。こういう被写体では旧態然としたローパスフィルター装備のデジカメ、うちで言えばGH4とかEOS 5Dとか以前の画像はちょっと使う気にならない。

小鳥の撮影でG9 PROの連写性能と画質については実証できたが、AF性能はどんなものかも検証しておく必要がある。

とは言えさすがに至近距離を飛び交うカラ類をAF-Cで追いかけるのは困難極まる..例え一眼レフの位相差式であっても..ので、ここは少し離れて狙える水鳥系が良いだろうと、館林に仕事で出かけたついでに多々良沼で試してきた。

データはすべてメカシャッターでプリ連写はなし、AFはAF-Cでゾーンはマルチカスタム、焦点距離は35mm換算で800mm相当である。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

まずは旋回しながら着水のために降下体制に入った状態。空抜け高コントラストのこの程度のシーンであれば、今どきの普通のAF一眼ならどんな機種でもピンを外すことはない。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

ちょっと露出不足で絵としてはアレだがw、コントラストAFにとっては鬼門のシーン。

密生したヨシを背景..しかも背景のほうが被写体に近い..にしてもなお、歩留まり良くAF-Cが連続してピンを合わせ続けてくれる辺り、G9 PROのDFDのAF性能は向上しているといってよい。GH4辺りでは間違いなく背景に引っ張られる。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

前の連写の続き。さらにさざ波だつ水面が加わっているが、それでもコハクチョウを追い続ける。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

同じく前の連写の続き。追っていたコハクチョウの成鳥の手前にいきなり幼鳥が被ってきたが、さすがにこれはより至近の幼鳥にピンが切り替わった。まあこればかりはDFDとは言えコントラストAFの宿命であろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

高速で飛翔してきたオナガガモの降下直前の1シーン。このちょっと手前からEVFで狙っていたが、中央に捉えてからAFをオンでシャッターを切っている。

ガンやカモの仲間は着水の直前に減速のために左右に体を振ってトリッキーな動きをする場合があるが、AFゾーンをマルチカスタムでやや広めに設定しておくと、被写体が左右に逃げても無難にAFが追い続ける。

さらに言うと、800mm相当の画角を手持ちで撮影できるのはマイクロフォーサーズ機ならでは。大型三脚に載せたEOS-1DXとEF800mm、それにD5とAF-S600mm..両機の組合せのカメラマンが何人か居合わせた..では、瞬間は狙えても至近での着水まで連続して捕捉し続けることなど困難だろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

手前に向かって移動してくる被写体のスケール速度は相当な速さである。至近になれば見かけ上の速度はなおさら早くなるので、これを手持ちのAFで追い続けるには、それなりのAF性能とそれを捕捉し続ける相応なフレーミング技術が必要だ。

また、一昔前のEVFでは遅延問題が常に足かせとしてあったが、ここまで撮れればスポーツ報道でも問題ないだろう。この時はG9のEVFは0.7倍でアイポイントを長く取って、スポーツファインダー的に使用している。

GH5の手ブレ補正も結構使いでがあって、仕事でもジンバルに頼ること無くお世話になることがあるが、G9 PROはそれをも上回る6.5段分の補正能力があるという。ならばそれを試してみたくなるのが心情というもので、しかも800mm(35mmmフルサイズ換算)という超望遠レンズで動画を手持ちで撮ったらどうなるか。

ちなみにG9 PROの動画性能だが、連続無制限というモンスター気味なGH5のスペックには及ばないものの、10分連続して4K/60Pを記録できる(30Pなら約30分)点では他社製品の比ではない。FHDなら180fpsのハイスピード撮影が可能な点もGH5譲りで、4Kでも60Pで撮って30Pに編集すれば1/2スローが可能である。

メーカーはG9 PROを写真のフラッグシップモデルと喧伝しているが、動画でも他社機を上回る性能があるということだ。

まずはヤマガラ。この時はG9 PROの手ブレ補正の揺り戻しのクセを掴んでなかったので、ちょっとフラつくこともあるが、ヤマガラがヒマワリの種を突く仕草は十分見て取れるだろう。

次はアトリでチャレンジ。撮影状況としては、両足で真っ直ぐ立ってカメラを構え、ファインダーを直接覗きながら撮影しているが、普通に呼吸するとさすがにカメラが揺れてしまうので、記録中はほぼ息を止めている状況で、4K/60Pの10分制限以前にそんなに長くは撮っていられないw

どちらの動画も比較用にAdobe Premiere Pro CCのワープスタビライザーを適用した尺を追加してある。そのままでも短い尺なら何ら問題ないが、ワープスタビライザーの適用後は逆に風で揺れている程度にしか見えないだろう。

三脚無しでの動画撮影というのはフッテージ屋としてはほぼないのだが、生きものの撮影で車の中から窓枠に固定してちょっと撮るようなシチュエーションではなかなか使いでがある。実際GH5ではそのように撮った映像も結構あるので、G9 PROの動画撮影ではなおのこと機会が増えると思われる。

それに噂ではGH5の春の新ファームで、G9 PRO相当まで手ブレ補正の性能が上がるという話なのは朗報。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

サンプルとして上記動画から1フレームを静止画として切り出した画像(6K/4Kフォトではない)も掲載。4Kからの切り出しで800万画素あるので、ブレがなければ雑誌やWebでは特に問題もない。この辺りもGH5と同様なのはやはり60Pであることが大きい。

6K/4Kフォトで起きる論争に、動画から切り出した静止画を写真と呼ぶのか?というのがあるのは知っているが、写真家として原理主義を貫くのか、表現者として結果を重視するのか、その辺りの立ち位置の問題なのでこの論争に円満な着地点はないだろう。

ただこれだけは言える。プロの仕事は結果として成果物に対し対価を支払ってもらうことであり、その過程に対する評価ではないということだ。どう撮ったか、何で撮ったかという部分にこだわるのは本人の勝手であり、そこを主張する時点でそれはアマチュアリズムの自己満足なのである。

IBIS(ボディ内手ブレ補正)に関して、これまではオリのE-M1 MarkIIと同300mm F4.0 ISの組合せで機能する6.5段分という補正が最も強力だった。が、G9は何とボディ単体でその6.5段分を補正できるほどの強力なIBISを実装してきたのである。

手ブレ補正の分野ではある意味老舗とも言うべきはパナである。バブル全盛期にブレンビーという家庭用ビデオカメラを販売していたのを覚えている人もいるだろう。そのパナもしばらくはC社のようにレンズ内手ブレ補正に拘っていたが、ここに来てGH5以降IBISにかじを切ってきたようである。

センサー自体で補正すればレンズを選ばないという利点はあるものの、レンズ内に置いた補正レンズのほうがレンズ毎に最適化できるので、手ブレ補正自体は有利と言われてきたが、レンズとボディ双方の補正をシンクロさせて作用させるほうが、より強力になることをオリンパスが証明してしまった。

こうなるともうIBISへの流れは止まること無く、手ブレ補正の本流はシンクロ補正ということになるだろう。そしてこの場合、ラインナップするレンズシステムにどれだけ手ブレ補正が付いているかが鍵になり、そいう意味でパナは有利な状況になっている。

手ブレ補正機能自体、常に三脚に載せて撮影する人..風景とか天体とかはまさにその分野..には無用な長物であろう。しかし、今の世の中、逆に三脚を使用しない人のほうが圧倒的に多いはずで、しかもその層がまた最も手ブレし易いという現実がある。そういう意味でマーケティング的には絶対手ブレ補正は必要な機能と言えるだろう。

ちなみに、某C社やナイコンがレンズ内補正に拘っていることについて、両社ともレンズ毎に最適化できて画質的に有利、という主旨のこと言っているが、実際のところは未だに一眼レフ機が主流だからに他ならない。一眼レフ機では構造的にセンサーで補正できないからね。

特にC社の場合はフィルムカメラ時代から手ブレ補正を備えたレンズ群を多数用意していて、個人的にもかなりその恩恵に与ってはきたが、今になって同社にとってはそれが逆に足枷となっている感が無きにしもあらずだ。もっともそれも、同社が本気でミラーレスに軸足を移してくれば状況は一変するだろうけどね。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S

2枚は何れもISO3200の手持ち撮影で、上が1秒、下が2秒の長時間露光だ。まさか2秒などというシャッター速度を手持ち撮影できる時代が来ようとは、フィルムカメラ全盛期を考えると夢のようである。

そして次のこのストリームに乗るのはフジ。そう、フジのXマウントレンズは単焦点を除けばほぼ手ブレ補正が付いており、噂では近々IBIS内蔵の新ボディ(しかもシンクロ補正らしい?)の噂もチラホラ。次から次へと今年は面白い話が続くよねぇw

G9 PRO最大のセールスポイントは、電子シャッターによる秒間60コマ、またはAF追随で20コマという連写性能だろう。これまでマイクロフォーサーズ最速だったオリE-M1 MarkIIの18コマを抜き去り、現時点で一眼デジの連写番長となった。

生きものを撮影するのだからさぞ連写するのだろうと思われがちだが、実は個人的には世の中が思うほど連写することはない。まあ、そもそも鳥など好んで撮っていたのはもう15年以上前の話であるし、その頃でも秒間5コマも撮れれば御の字だった。なので例え倍の10コマに上がったからと言ってそのありがたみを感じることもなかったのだが、それが秒間60コマともなるとさすがにこれは事情が変わってくるというものだ。

AF追随であれば有効画素数が近いソニーのα9がすでに秒間20コマで同等のスペックではあるのだが、α9の場合は使用レンズがかなり制限されていて、お高いG Masterレンズが必要というコスト面でのオチがあるのと、AF固定ながらも秒間60コマという韋駄天性能はない。

さらにG9 PROにはシャッターを全押しする前の24コマ..AF追随の場合は8コマ..を記録する「プリ連写」があり、これはオリのE-M1 Mark IIのプロキャプチャーと同等の機能である。そしてプリ連写による高速連写は、同時にファインダーをブラックアウトから開放してくれた。連写中も途切れること無く被写体をファインダーで捉え続けることができ、例えるなら「動画を撮るように連続写真を撮る」という感覚が味わえる。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

まずは普通に餌台からの飛び出し方向を予測、ISO3200でシャッター速度は1/16000秒で飛び出しと同時を狙ってシャッターを切る。秒間60コマ切れるとは言え、拙者程度の反応速度では連写してもこの位が限界。

そして次の3枚がプリ連写機能で全押し前のコマから合成した結果。注目ポイントは止まっている背景にあり、撮影時に流し撮りなどしていなことがお判りだろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

飛び出し直後からフレームアウトまで、1コマ0.01666667秒の刹那が見事に捉えらている。これが仮に秒間10コマなら1コマ写っていればマシな方だろう。しかもこの例では数mという至近距離での撮影なので、鳥などの飛翔シーンを狙った人ならば、この合成カットの意味する難しさは容易に想像つくはずだ。

使ってみて気になる点としては、RAWと同時記録の場合、電子シャッターによる高速連写時の撮影コマ数は最大で50コマ..JPEGのみだと600コマ..までなので、プリ連写との合わせ技でシャッター半押し状態のタイミングによっては、全押し後の撮影コマ数が半分になってしまうので、この辺りは慣れが必要と思われる。が、ここぞのタイミングでシャッターを切って、その少し前から記録できるというのは、時間の流れを操作しているようでなかなか面白い機能だ。

ちなみにパナには6K/4Kフォトがあって、そっちも秒間60コマだという向きもあろうが、6K/4KフォトはあくまでMP4動画として記録し、その中のコマを複数合成して静止画を切り出すという動画ギミックである。何よりチョコチョコ繰り返し連続して撮影するのはまったくの不得手で、書き込み動作中のダンマリも使い方によっては困る場合がある。その点で、普通に写真を撮るのとそう変わらず、秒間60コマでRAWまで同時記録できるG9 PROの連写性能は凄い。

目下の問題は、無駄カットの膨大なる山..6K/4Kフォトの場合は無駄な動画..が出来上がることだろうか。プリ連写したからと言ってすべてのカットが有効になるわけではない。見越し撮影では総じて半分以上は目的の被写体が写ってないことが多く、撮影後にひたすら有効なカットの選別を強いられることになる。

そしてもう一つ、このプリ連写機能をさらに有効とするためであろうか、シャッターフィーリングがかなりフェザータッチとなっており、GH5など従来機の感覚だとかなり無駄打ちをすることになり、これにはさすがに未だ慣れていない。

とは言え、人の技を遥かに超越した連写性能とブラックアウトフリーは、動体撮影では大いなる武器となろう。パナとしては2020年東京五輪に向け、プロ機として大きなシェアを持つC社とナイコン、さらにα9で猛追しようと目論むソニーに対し、マイクロフォーサーズで一矢報いたいと考えているのかもしれない。

G9 PROに搭載された目玉機能の一つに、連続して撮影した写真を合成して1枚の高解像度の写真に仕上げるハイレゾモードがある。

ハイレゾモードはIBIS(ボディ内手ブレ補正)の機能を利用してセンサーを1/2ずつシフトさせて8枚の写真を撮影しこれを合成するというギミックで、2000万画素が都合4倍となって実質的に8000万画素(4:3の場合)という高解像度な出力が得られることになる。パナは本機が初だが、ペンタやオリの一部の機種にはすでに同様な機能が備わっている。

ただ、8枚は同時でなく連続して撮影..と言っても処理としては1シーケンスなので連写するわけではない..するので、動体など被写体に動きがあるとそれなりにブレた状態で合成されてしまう。三脚必須なのは言うまでもなく、さらに屋外では使う場面を選ぶことになるが、意図して流動感を出すなどするのでなければ、風などの影響を受ける点ではどのみち1枚でも条件は一緒だろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

無風の状態から上越国境の仙ノ倉山を撮影。無風と書いたが仕事場の中なので当たり前だが、撮影対象は遥か彼方なので、ハイレゾモードの検証として正しいかはやや疑問w


その一部を2000万画素から切り出したものがこちら。


そしてハイレゾモードの7000万画素(3:2の場合)からほぼ同じところを切り出したものがこちら。Web上の話なので解像度は正確ではないが、比較する限り差は歴然だ。

フルサイズの1/4しかないマイクロフォーサーズのセンサーに、3000万画素とか5000万画素などという高解像度は現在の技術では望むべくもない。そういう意味では高解像度が必要な向きにはフルサイズしか選択肢はないのだが、常に絶対的な高解像度が必要でないケースへの答えが、パナの場合はこのハイレゾモードということになる。

IBISと電子シャッターによる高速連写無くしてハイレゾモードは実用的に成立しないのだが、最初にこの技術に目を付けた技術者は賞賛に値すると言っていい。一つのブレークスルーがさらに二次的な作用を生むという、まさに好循環の結果の産物である。

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