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一富士三鳶

2016/1/3
20160103

暖冬の影響で暖かい正月を迎えているが、その分日中はヘイズも多い。冬晴れで全体的に視界は良いのだが、遠景はやはり辛い。富士山も肉眼ではうっすらしていて、言われなければ判らないだろう。

今年も一富士二鷹を狙ったが、残念ながら飛んでいたのはトビばかり。いつかはタカ..トビも猛禽類の仲間だがここはやはりハイタカ属が望ましい..を一緒のフレームに収めたいものである。

え?ワシ?いやいやそれはさすがにねぇ(笑)。

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先日の船津伝次平の記事で、昔の山は禿山状態と書いたが、実はその話は天狗様、つまりイヌワシの生息環境とも密接な関係にある。

イヌワシは晩秋から冬の落葉期と木々の葉が転用する前の春は、比較的谷筋の見通しの良い斜面などで狩りを行う。この時期の主な獲物は、林縁部周辺で採餌活動を行うノウサギやヤマドリを中心に、テンなど中型の生きものであることが多い。

そして季節が進み葉が転用すると、繁殖中であれば主な餌動物がヘビ類に変わってくる。イヌワシは翼開長が2m近くあり、森や林に入ることを得意としないため、谷筋や岩場などの開けた空間を見つけて狩りを行う。この辺りは餌動物の傾向が被るクマタカとはかなり事情が異なる。グライダーのような翼型のイヌワシに対し、クマタカは翼開長が短く翼面も幅広な形状であるため、狭い空間を苦にせず移動することができるのだ。

イヌワシの話に戻るが、繁殖をしていない個体の場合は営巣地に執着しないため、開けた草地の多い標高の高い森林限界付近などで狩りを行う。その昔、それがイヌワシは高山の鳥と言われていた所以だが、そもそもイヌワシは旧北区出身であり、大陸系亜種がステップや亜高山帯を生息地としていることからもそのことは見て取れる。

以上のことから、イヌワシが生息し易い環境というのは、たとえうっぺいした森や林であっても、雪崩草地や倒木によるギャップ、茅場環境など開けた空間が適度に点在する必要性があるということになる。

その点、人為的ではあっても、高標高地の牧場などは草地環境であるため、イヌワシにとっては非繁殖期の狩場としての利用価値が高いことを意味し、恐らくは現状でも狩場として活用するのに適していると思われる。

通常、日本の湿潤な環境下では開けた空間は数年で低木性の植物に覆われてしまい、イヌワシの狩場としてしては使いづらくなってしまうが、先の牧場のような場所は人の手によって手入れが行われるので、継続性の高い狩場が整備されていることになる。その一例として見れば、岩手など東北の高地にワシが多いのにはそんな理由もある。

イヌワシは現状では生息数が減少の一途をたどっているが、これは人が山や森を生活の場として使わなくなったことにも原因の一端があり、実は薪炭林や茅場利用が多く見られた江戸時代から戦前戦後の人為的環境下のほうが、彼らにとっては住みやすかったのではないかと考えられている。

自然を守る=森の木々を伐らない、という図式は実はワシにとってはあまり都合が良くなく、木々を伐採して森を人為的に再生させることのほうがむしろ好ましい..奥山の自然林を伐るという意味ではなく、あくまで人工林の手入れのことを指す..のである。

という理由から、我々がイヌワシの生息地を保全していくために必要な施策は、人が適度に山や森を利用していくことだと考えている。

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今の時期は新たな情報を求めて伐採地ハンターと化す。

先週まで比較的暖かったのだが、今週に入って寒風吹きすさぶ冬らしい雰囲気になってきた。写真の伐採地は林道を上り詰めないとアプローチできないが、上越国境の山々を見ている限り、ここもすでに雪景色になっているだろう。

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青い羽

2015/4/21

近所で繁殖中のオオタカの様子を見に行ってきた。

月初にはやる気満々の様子だったので、あまり露骨には近づけず、林縁からそっと双眼鏡でのぞき込むと、雌が巣内に座っている様子が判った。何となくこちらを見ているような気がした..距離もあって枝越しなのでハッキリとは判らない..ので、念のためすぐに退散してきた。

20150421

農道伝いにアカマツの営巣林から戻る途中、杉林の林縁に近い林床でカケスの羽を見つけた。周囲に羽毛が散乱していたので、何者かに捕食されたようだ。オオタカの巣からは150mほど離れているが、まあ十中八九、犯人はオオタカで間違いないだろう。

それにしても、カケスのこの部位の羽はいつ見ても美しい。初列の雨覆のようでもあるが、形状からして小翼羽だろうか。

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鷹の目

2015/3/20

何事も見落としなく探す様や鋭い目つきのことを鷹の目..実際の用法では鵜の目鷹の目が正しい..と表現するが、当のタカの目はイメージするほどは鋭いこともなく、眼球というくらいなので当たり前だが他の生きもの同様に目は丸い。

一般にイメージする鷹の目は、眼球そのものよりも眼窩や過眼線などその周辺を含めた形状を指す。そいう意味では、小鳥などに比べ同じ鳥類でもタカの仲間は頭部に対する同部位の占める割合が多いため、大きな嘴の形状や獲物を凝視する際の動きも相まって、それは言葉通りの鷹の目のイメージに適合する。

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虹彩の色が暗色の黒目がちで、遠目にはどんぐり眼に見えるノスリも、このくらい近いとさすがに瞳孔がわかるため、まさに鷹の目だ。よく見れば、その鋭く獲物を映す目には、呑気な撮影者の姿が写り込んでいるのが判る。

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鷲瞰図

2014/10/6

GoPro HERO4はとうとう4K30Pまで到達してしまった。4Kで30Pはいわゆるナンチャッテ4Kに他ならないが、あの大きさであっさり実現されると、肩を並べられたm4/3一族最大サイズのGH4の立場は何処へ(笑)。

アクションカムの名の通り、1080/60PがGoProの本来の立ち位置だろう。さらに720ながら120Pがイケるので、地上波ならハイスピード撮影もバッチリOKだ。というか業界的には待ちに待ったスペックだろうね。やはり激しく動く状態..GoProは動くものを撮るカメラではない..で撮影するなら最低でも60Pは必要だから。

しかもSilver Editionには背面にタッチ操作可能な液晶モニターまで搭載。スマホがあればWi-Fiで飛ばせるとはいえ、この辺りはバッテリーの持続時間との兼ね合いもだろうが、ある無いでは雲泥の差がある撮影分野もあるので、その恩恵はいかばかりか。

そして、いつも楽しませてくれるGoPro映像だが、とうとう天狗様にも背負わせたくれた。

小型のハヤブサなどでは激しく羽ばたくせいもあってバタバタする映像も、大型のワシになるとさすがにビタっと安定して映るのはさすが。流行りのドローン映像もさることながら、やはり鳥自身に背負わせて撮ってもらうのには敵わないね。これこそまさに鳥瞰ならぬ鷲瞰図だ。

さらに天狗様ではないがオマケを2つ。

風切り音がイイね!

 

20141006

今日は午前中は雨模様であったが、台風18号はあっという間に通り過ぎて行ってしまって、お昼には晴れて暑さがぶり返してきた。明日からは秋晴れに戻るようだが、すぐまた19号がやって来るようで外ロケは頭が痛い。

先日の雨で家の周辺の融雪が一気に進み、2月の大雪の名残もようやく無くなった。畑脇の除雪の痕が長らく頑張っていたが、やはり春の日射しには勝てなかったようだ。窓際から眺める近景に雪があると、それだけでまだ春遠いイメージを持ってしまうが、これで赤城高原でも何となく春を近くに感じられるようになった。

とは言っても地元ではヒバリもウグイスもまだ鳴かず、先日庭でフキノトウを採って天ぷらにしたぐらいなので、ニュースのような桜開花などまだしばらく先のことだ。

庭の餌台は相変わらずカラ類が賑やかだが、今月からはもう餌を出さないので、現金な連中はすぐに姿を見せなくなるだろう。ちなみに、野生動物の餌付け問題など高尚に慮っているわけでなく、単に自家製ヒマワリの在庫が底をついただけの話しである。

そんな小鳥を狙ってハイタカが姿を見せる時があるが、時にはオオタカが来ることもある。今年も近所の森で営巣行動に入っているのを確認しているが、恐らくそのペアの連れ合いだろう。最近は特に仕事場の前をよく横切って行くのを見かけることが多い。

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キーボードを叩きながらふと気づくと、裏の家の屋根の上に止まっているの確認。デスクに転がしてある400mmで窓越しにまずは一枚とシャッターを切るが、すぐに飛び立って行ってしまった。

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20140107

赤城高原のこの冬一番の冷え込みは今朝であった。日の出前に氷点下12℃まで下がって、犬の水バケツは完全氷結である。昨日のような風もなく、雲ひとつ無い放射冷却によって、上越国境の山々が見事なモルゲンロートに映えた。1月に入り厳冬のシーズンを迎えるが、それは凛とした美しい季節でもある。

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そして北部フィールドも雲ひとつ無く晴れ上がり、絶好のワシ日和に。風がなく上着も必要ないほど陽射しがあったが、風がないということは天狗様の行動にも影響が出そうなもので、午前中は例のごとくクマタカ相手に暇つぶし。が、昼頃より突然の天狗フィーバーに沸いて、久しぶりに昼飯のカップラーメンが倍返し状態であった。

雄がゆっくり先行し、やや遅れて雌が後追い。突然雄がジグザグに反転と降下を繰り返しつつ獲物を牽制、緩斜面の疎林に突っ込むと見せて急上昇すると、すかさず雌がフォローに入って同様の動きを繰り返す。ペアで連携してハンティング行動を行うのは、猛禽類の中でも天狗様独特のものだ。ペアのどちらかが入れ替わってすぐにはなかなか難しい動きだが、シーズンを幾つか過ごせば息もぴったりである。

厳冬期と聞けば生きものにとって厳しい世界を想像するが、捕食者として食物連鎖の頂点に立つ天狗様が狩りを行うということは、その姿は見えずとも、狙われ食われる側の餌動物たちも必死に生きている証となる。厳冬に息づく生きものたちの気配を感じたいものだ。

伐採地巡り

2014/1/5

冬季の県北は積雪があるため、伐採作業は遅くても年末がギリである。そんな新たに刈られた狩場として有望な伐採地をカシミールに記録しておき、冬季に作業が入らなくなってから定期的に張り込みを行っている。大抵はクマタカやノスリに当たることが多いのだが、天狗様の領地内であればその飛来の可能性は無きにしもあらず、だ。

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とあるペアの外郭ギリギリの尾根。標高の高いところはカラマツばかりで芸がないが、それでもバッサリ刈ってもらうとしばらくは楽しめる。尾根筋に残ったミズナラにクマ棚が見られるので、春先から初夏が頃合いだろうか。

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北部フィールドでは普通種のクマタカ。場所によってはハイタカ属よりもよく見かける。こちらは別にこれと言って用はないのだが、向こうから近づいてくる分には遠慮なく撮らせてもらう。午前中、ペアで目の前を飛び回り、仲睦まじく爪合わせなどしていたが、1羽がこちらの頭上まで来てジロジロ眺めて去っていった。

午後に再び近くまでやって来たが、向かいの稜線上に天狗様が姿を見せると、アッという間に背後の尾根を超えて姿を消し、天狗様がいなくなってもその後はまったく姿を見せなかった。名前も見た目も勇壮なイメージがある猛禽だが、同属同士では争っても、大抵は他種に追い回されて林内に逃げ込む事が多く、案外小心者だ。

写真家の宮崎学氏が、著書「鷲と鷹」で「野武士のようだ..」と表現されていたが、私的にはまったくそんなイメージはない。

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こんにゃく

2013/10/2

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山の神様を慮ることなく無遠慮にバラバラと飛来するのは新◯本ヘリ◯プター。ここんちは東電系なんで、まあいつもの送電線巡視だろう。

天狗様は航空機の場合は絶対的な飛行高度が異なるためほとんど気にしないが、同じ飛行物体でもヘリやパラグライダー系は気になるとみえて、こちらが気付くはるか前に現状離脱して山向に消えてしまうのだ。

以前パラに関しては飛行禁止を申し入れたことがあったが、繁殖期に低空で飛ばれた日にはたまったもんではない。

それにしてもこの手のものを撮ると気になるのはコンニャク現象だ。専門的にはJello Effectなんて言うんだけど、特にDSLR系動画によるローリングシャッターの歪みはどうしようもない。

CCDに採用されるグローバルシャッターが望ましいが、高画素のCMOSセンサーだとコスト面で難しいようだ。

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