カテゴリ : 猛禽

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天高く

2013/9/30

20130930

額の汗を拭い、最後の急登を前に一休み。明日から天候は思わしくないらしいが、どうしてどうして本日は空が高い。しかも月末携帯不通だ(笑)。

目を凝らせば県境付近の二千m前後はすでに紅葉が始まっている。

ふと気が付けば、早々と天狗様の姿を確認。ただ、機材はバックパックの中だし、準備には一手間掛かる。ここは双眼鏡でのんびり行方を追う。

20分ほどで残りの急登を登り切り、撮影機材をセットして、待つこと更に1時間。今日は天気同様にワシ運もよく、頻繁に狩場とする伐採地に親子3羽で姿を見せた。

そう、1日いてたった5秒の目視で終わることもあれば、こんなフィーバーなこともある。

日本で最も広い行動圏を持つ生きものを相手にするということは、この現実を避けては通れない。

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時を超えて

2013/5/26

所属する研究会の大御所よりお声かけいただき、

隣県のワシのおヒナ様の様子を見に行ってきた。

それまでおとなしく伏せていた70日齢少々の三ツ星が、

風が吹くと思い出したように白斑を5月の陽光に輝かせる。

実はこの場所、その昔何度か訪れたことがあり、実に28年ぶりの再訪なのだ。

もちろん、ペアはとうに入れ替わっているとは思うが、

地図片手に初めて訪れた時も、確かこんな日射し眩しい季節だったと記憶している。

20130526

少しずつ全国の生息地から姿を消しつつある昨今、

四半世紀過ぎても、いやそれ以前はるか昔から、

連綿と子育てを続けているペアがいることの嬉しさよ。

山の神に感謝、天狗様に乾杯。

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青空に浮かぶ

2013/1/30

20130130

とても冬とは思えない暖かさに感謝。

朝のうちの日陰こそダウンの世話になってはいるが、日なたで膨らんでいる小鳥たち同様、コーヒーすすりつつ背中一杯陽を浴びれば、ポカポカと実に幸せな気分である。

ふと見上げる空には白く軌跡を残す機影一つ。さんさんと降り注ぐ太陽光の輻射熱で暖かい地表とは異なり、遙か成層圏は氷点下の世界。

そしてその下には奴凧の如く浮かぶ鳥陰一つ。空の高みは寒いのか寒くないのか、聞いてみないと判りはしないが、青空に吸い込まれそうにホヴァリングする姿は、やはりどことなく気分が良さそうだ。

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忘れた頃に

2012/12/4

久々に新規にカメラサポートを手に入れた。

現在、動画はDSLRでの撮影がほとんどなのだが、カメラサポート周りはヘッドと脚がデカイか小さいかの両極端の状況が永らく続いていた。今回はそれにようやく終止符を打った形だ。

EOS xDでもGHxでも、従来のカムコーダーに比べると大きさも重さも小さく軽いため、どうにもバランスが悪かったのだが、DSLRムービーは何れもここ2・3年で登場してきたカテゴリーのため、なかなか適当なカメラサポートが無かったのである。

カメラ単体にレンズ1本なら、マンフロットの701HDVがまあまあ良い仕事をしてくれていたが、トップハンドル付きのリグに載せ、外部モニターに外部マイク、フォローフォーカスを組み合わせると、途端に役立たずになってしまう。手持ちの中ではサクラーのDV6がバランス的には良いのだが、脚をジッツォのカーボンに換装しても、歩いて動き回るにはやや重すぎるのである。

調べると、今はDSLRムービーにフィックスした製品が色々出ているのが判った。DSLR撮影では用途に応じてアクセサリーを組み合わせるため、ポイントはドラッグスピードとカウンターバランスの調整が何段階かでできる点と、DV6とジッツォ3型カーボンの組み合わせより軽いこと、などが挙げられる。実際は直接触ってみたいのだが、田舎故に目星を付けた製品を現物として見るのは至難の業。ところが便利なもので、世界にはVimeoやYouTubeにインプレを動画でアップしてくれている奇特な方々がおり、今回は色々参考にさせてもらった。

実は注文したのは8月のことである。人気があるのかどこも在庫不足になっていて、いつもOut of stockだったのだが、クリスマス商戦たけなわのこの時期になって、ようやく出荷されてきた次第である。国内には在庫しているショップもあったが、何せこの円高、海外通販のほうが圧倒的に安いのだから仕方が無い。ただ、本来は秋の紅葉撮影から導入したかったのだが、注文したことすらほとんど忘れていたのを、先日の夕方ヤマト便のいつもの兄ちゃんが、UPS伝票持って思い出させてくれた(笑)。

さて、今日は天気も悪く外出できなかったので、室内で色々載せて試してみたところ、概ね予想通りでまあまあと言ったところ。何よりコストパフォーマンスが抜群で、来週にもすぐに元が取れるだろう。え?どこの製品を買ったのかって?まあ、それはまた追々(笑)。

そう言えば某所のクマタカは今年繁殖していたらしい。うかつだったが、先日、目の前で幼鳥が鳴いているのを見て初めて気が付いた。フラフラ飛んでいるKなど普段は眼中にないので、気にすることもないのだが、このペアの巣の位置は判っているので、いやホントにうかつ、灯台下暗しだった..

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お株を奪う

2012/12/3

久しぶりに面白いシーンを見た。イヌワシがクマタカのお株を奪うような行動を見せたのだ。

ひとしきり巣材を運んだ後、休憩していたのかと思いきや、突然下流側の林内にいたクマタカに対し排斥行動に出た。

最初は林縁部で攻撃を仕掛けたのだが、クマタカはすぐにブナ林に逃げ込むいつもの行動。それが面白くなかったのか、イヌワシ(雄)はしばらく間合いを計るように停空飛翔状態でブナ林の上空で静止、タイミングを見て一気に林内に降下、ブナの枝伝いにクマタカを追い回し始めたのだ。

これには見ていた私も驚いたが、一番驚いたのは狙われたクマタカのほうだろう。よほど泡を食ったのか、イヌワシの攻撃を避けようとバランスを崩してクルクルと林床近くまで落ちて、一度は視界から姿を消した。

すぐにバタバタと上がってきたが、低い枝に止まり直したところを再びイヌワシに突っかけられると、一旦は諦めて反撃しようとしたのかお互い向き合うように翼を広げて対峙。しかし、クマタカが堪えきれずに林内を遁走し始めると、イヌワシも同じようにヒラリヒラリと木々をかわしつつ後を追いかけ、そのまま両種とも視界から姿を消したのだった。

30分ほど消失地点付近を凝視していたが、谷の上流側上空を旋回するイヌワシ(雄)を発見する。もしかして、と思い拡大望遠でそのうを確認するが、さきほどのクマタカが食われた痕跡は認められなかった..

大型猛禽類の中では比較的翼が幅広で短いクマタカは、林内をすり抜けるように移動するのが得意である。それに対しイヌワシはグライダーのごとく翼が長いため、開けた空間での行動を得意とする。と、杓子定規に語ればまあそんな感じなのだが、実際はイヌワシもヘビなど小動物を狩ることがあるため、一般に考えられている以上に林内を利用するようである。

ただやはり、狭小空間は本来好む主戦場ではないため、形勢は危うかった可能性もあったが、今回のケースでは明らかにクマタカが不利のように見えてしまったのもまた事実。襲うものと襲われるもの、その立場の違いも大きく影響していたのかもしれない。

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晩秋の北の森

2012/10/27

この時期はフィールド巡回の季節。普段は単独行動を基本としているので、終日特定の場所に陣取る定点調査ではなく、午前午後で複数箇所をグルグル回る方式をとっている。

天狗様はこれから繁殖シーズンを迎えるわけだが、テリトリー維持のため、今の時期が最も広大な範囲を飛び回ることになる。絶対的な縄張りを主張する防衛ラインを越え、その外側に広がる行動圏を拡張し、隣接する別個体に対し誇示行動を行うのだ。

なので思いがけない場所で、且つ同時に複数個体や、侵入個体などを見掛けることもあるし、うっかりすると一度も目視せずに終わってしまうこともある。ま、それもすべて想定の範囲内ではあるのだが。

北部の森でも特に標高の高いエリアでは、いよいよ晩秋の趣が強くなってきた。シカのラッティングコールにかき消されそうになりながら、近くでベニマシコの鳴き声が聞こえてきた。

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