カテゴリ : 猛禽

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風を感じる

2017/3/20

バサッという音とともに風を感じる、そんな距離感が程よい緊張を生む。野生の命と向き合うとはいうのは、いつもそんな感覚だ。

X-T2のAF-Cはこんな不意の出会いにも歩留まりよく対応する。そのクラシカルな見かけとは裏腹に、どんなミラーレス機より実にスパルタンな性能を秘めている。

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大鷲

2017/3/18

オジロワシが捕まえた(または拾った)餌を運んでいると、どこかともなく現れてその上前を跳ねていくのがオオワシだ。我らがイヌワシより一回り大きいオジロワシの、さらにその上をいく世界最大級のワシである。

翼開長2.5mにもなるその巨大さに物を言わせてなんでもブイブイ出来そうなもんだが、意外にその生態はセコイ猛禽である。でもそれをとやかく言ってはいけない。強いものが生き残る、それが自然界の摂理なのである。

ちなみに科学忍者隊ガッチャマンのリーダーに大鷲の健というのがいたが、あの大鷲がこのオオワシなのかは不明だ。

知床の豊饒の海のみなもとが流氷だ。その流氷原をバックに滑空する姿は実に絵になる。オオワシもオジロワシと並んで、冬の北海道を代表する生きものだ。

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尾白鷲

2017/3/17

根室海峡は豊饒の海だ。荒涼とした景色の中にあっても、そこには沢山の生きものが命をつなぐ姿が見られる。

とりわけこの季節、彼の地を代表するのは越冬のために集まってくる海ワシたちである。ユーラシア大陸の沿岸部を中心に見られるオジロワシも、少数ながら北海道で繁殖する個体もいる。

成鳥は3月には北帰行で大陸へ移動し始める個体が多いため、この時期に見られる成鳥は地元で繁殖する個体かもしれない。

そんな目で彼らを眺めていると、時々空中で餌の受け渡しをするシーンを目にするが、そんなペアはまず間違いなく地元の繁殖個体だろう。

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タイトルに深い意味なし。前日に続いて何となくw

でもこのオジロワシのカップル、求愛も済んでとうの昔に夫婦である。降りしきる雪を意にも介さず、ひたすら2羽で仲睦まじく餌を探していた。

日本で繁殖するオジロワシ..大半は大陸から渡ってくる冬鳥である..にとっても、今は求愛期であり、来月になれば造巣行動も頻繁に見られる。

近くの古巣には雪が積もっていたが、これから巣材が運び込まれるようになると、春の雪が巣を覆う日も少なくなる。

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犯人は誰だ?

2017/2/17

雪上にキジの死体を発見した。最初に見つけたのは番犬としてあまり役に立っていない我が家のワトソン君である。

現場を荒らそうとする駄犬の鼻先を押さえ込み、鑑識の如く現場検証を行うが、様子を眺めていて程なく現場に不自然さを感じた。死体の周囲に犯人の痕跡が一切無いのである。

頭部が持ち去られているので、何者かに襲われたのは明白なのだが、例えばキツネなどのけもの類であれば足跡が、オオタカなど猛禽類であれば翼の跡が残るはずだが、そういった類の痕跡がまったく付いていないのである。

こりゃ謎の密室トリック殺人、いや殺鳥かなどと考えを巡らしていて、思い当たるのはやはりオオタカ辺りの仕業と考えるのが妥当だろうかと見当をつける。

オオタカ犯行説の根拠は、まず雪上に残されたキジの胴体がすっぽり収まる程度の穴と、ちかくの電線に止まってこちらを警戒しているカラスのペアである。

恐らくは、オオタカが獲物を捕獲して運搬中に、カラスに見つかって横取りされそうになり、慌てて落としてしまったというのが想定された筋書きである。

現場写真。実は現場近くのアカマツ林にはノスリの営巣木があり、近所でもよく見かける

ノスリも猛禽類の端くれ?なので、キジを襲うことも十分考えられるが、連中の主食はノネズミであるため、ここはやはりオオタカの仕業というのが妥当だろう。

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岩手北上高地のイヌワシ(英名:Golden Eagle)が、今まさに存亡の危機にある。

本来エコを目指すべき自然再生エネルギー開発の名のもとに、ニホンイヌワシという絶滅危惧種の生息地そのものが脅かされそうとしている。

北上高地は、国指定の天然記念物でもあるイヌワシの国内でも有数の生息地である。その生息地内に数十基もの巨大な風車タワーが建設されれば、2008年に国内初のイヌワシ衝突死を起こした釜石風発の二の舞いが懸念され、バードストライク問題の再発を予見せざるを得ない。

ニホンイヌワシの岩手個体群の消失を止めることは、無機質な風車が回り続ける異様な光景から、イーハトーブの故郷を守ることにほかならない。

Save the Golden Eagles, Save the Ihatov.

天気が下り坂で、今日の東京はどんより曇り空。そんなこんなで、関係省庁に意見書を提出すべく、終日霞が関巡りであった。

この年末の忙しい時期、我々の切実なる思いに、イヌワシの未来に、真摯に耳を傾けてくれた関係者にまずは感謝したい。

日本イヌワシ研究会:(仮称)宮古岩泉風力発電事業」に対する意見書

換羽

2016/7/20

列島の半分が梅雨明けらしい。赤城高原もここ数日は天気が良く、仕事場からも上越国境の雄姿が良く見えるようになった。

晴れの日が続くからどうだということではないようで、関東以北はまだ梅雨明けではないのだが、概ねこの20日を過ぎると気分は盛夏へと向かう。

キーボードを叩く手を休め、その高原の青空をモニター越しにぼんやりと眺めていると、大きめの鳥影が2つ、クルクルと雲間をソアリングしているのが目に入る。

近所のオオタカもノスリもすでに巣立っているが、連日のように我が家の頭上に姿を見せては、何羽かでピィェー、ピィェーと鳴き交わしているのはノスリの親子である。

若鳥が餌をねだる時もあれば、親がネズミらしきものを掴んで飛んできて子供らを呼ぶ時もあり、寄ると触ると賑やかな連中である。同じ猛禽類とは言っても、その点ではステルスなオオタカ親子とはだいぶ印象は異なる。

とは言え、そんなノスリ親子の巣立ちの賑やかさが、気分的に梅雨明けを連想させるのも事実ではある。

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近所の演習林で真新しい大きな羽を拾った。巣からは少し離れているが、鷹斑からみてノスリの風切羽のようだ。

猛禽類にとって夏場は換羽の季節である。水鳥のように一気に換羽する種もいるが、飛ぶことがイコール食べることに直結する猛禽類の場合、年をまたいで少しずつ部分的に換羽するのである。

一時的とは言え大量に羽が抜けるとそもそも飛べないということもあるが、子育てをしている忙しい時期に、換羽にエネルギーを割いている余裕はないのかもしれない。

育児に追われる親にとって、自分の身なりに構っていられない事情は、人もタカも同じであるということだ。

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関東にも米所

2016/6/24

南関東のライスフィールドに滞在中。米所と言えば新潟や東北を思い浮かべるが、関東にも旨い米を生産する地域がいくつかある。

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独特の谷戸に広がる水田地帯には、オオタカと並んで里山の猛禽を代表するサシバが多く見られ、今は育雛期のまっただ中である。

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ご近所ノスリ

2016/4/21

不意に仕事場の窓の外を大きな影が横切った。

慌てて窓辺に常備してある双眼鏡で追いかけると、カラスに追われながら逃げるノスリであった。おそらく近所の雑木林で繁殖中のペアのどちらかだろう。

時々家の前の電柱に留まっていることもあり、馴染みといえば馴染みの個体である。先日もオオタカの営巣確認に行った帰りに近くに寄ってみたが、結構な勢いで鳴いて威嚇されてしまったので、こちらも繁殖は順調のようである。

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100mほど離れた畑を挟んだ枯れ杉に留まって、しばらくハシボソガラスにまとわりつかれていたが、カラスが飽きて?去った後、窓辺に望遠レンズを付き出してしばらく様子を見ていると、クルッと首を横に向けた。

一見すると左の方を見ているように見えるが、鳥が横を向いている時は、案外こちらを気にしていることが多い。

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イノシシやシカなど野生動物は人の匂いには敏感で、猟師の仕掛けたワナに露骨に人の匂い付いていたりするとすぐに見破るという。

しかし人工物などは抵抗なくむしろ積極的に利用しているフシがある。タヌキは廃屋を、ハクビシンやムササビは山小屋や神社仏閣などを、ツバメやスズメなら人が住んでいる家に巣を造るといった具合に。

ハヤブサの仲間が都市部の高層建築物に営巣する例は世界的にも以前から知られているが、同じワシタカなど猛禽類には人工物を積極的に利用して生活している種が多い。

トビなどは休息のために鉄塔..高圧線の支柱や橋の欄干、携帯アンテナなど..によく留まるが、オオタカやハヤブサそれにノスリなどは、ハンティング行為の一部として探餌を行う際に頻繁に鉄塔に留まる。営巣地が近ければ誇示行動の一部でも同様だ。

ワシタカの仲間は、飛びながら餌を探すタイプと待ち伏せして餌を探すタイプに分けられる。例として挙げた鉄塔の類を利用するのはどちらかと言うと後者に多く見られ、チュウヒなど草原性のタカはほとんど鉄塔などに留まることはない。

もちろん何事にも例外はあり、ハイタカ属のハイタカやツミはオオタカほどは人工物に留まることは少ない。同じ待ち伏せ猟をするにしても、目立つ場所に留まるのではなく、どちらかと言うと雑木林の林縁部など枝先でひっそりと探餌することが多いようだ。

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山間部を通る高圧線の鉄塔に留まって探餌するクマタカ。

クマタカは日本産のタカの仲間では最大で、その昔は深山幽谷にすむ希少な生きものと考えられていたが、実際は意外に人里周辺でも生活していることが知られている。

さらに鉄塔大好き猛禽と言っても言い過ぎではないほど、鉄塔に留まる姿を季節を問わずよく見かける。餌を探すのも鉄塔、巣を見張るのも鉄塔、交尾をするのも鉄塔、休息するのも鉄塔だったりして、まったく人工物に頓着しない..ただしダムやスキー場などの構造物にはほとんど近づかない..性格なのである。

これに対して徹底的に人工物を嫌うのが天狗様ことイヌワシだ。テリトリー内の見晴らしの良い場所に探餌に都合の良い鉄塔が立っていても、わざわざ近くの尾根上の枯松に留まっていることが多い。

北米のイヌワシには風発の風車に留まる強者がいるらしいので、イヌワシといえど絶対という話ではないのだが、そこら辺は土地柄お国柄の違いなのか、よく判っていない。

と言うことで、一部の種を除けば、野生動物といえど人工物を積極的に利用するのである。天敵ともいうべき人の手による人工物とどこまで認識して、背に腹は代えられないとばかりに割り切っているのか、そもそも我々が思うほどは無機物、有機物の別け隔てがないのか、その辺りは定かで無い。

で、我々は今日もまた、視界に入る鉄塔を端から順に眺めることになる..

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