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朝一に仕事で川場まで出た後、昼前に沼田で人と会う予定があったのだが、撮影仕事はすぐに完了して時間を持て余してしまったので、しばし近くの里山をうろついて時間を潰すことに。

春を待ちわびる田んぼ脇の小道をカメラ片手に歩いていると、近くの雑木林から声高々にガビチョウの鳴き声が響いてきた。今年は雪が少なかったとは言え、県北の川場までガビチョウが進出してきているのには少々驚いた。記憶にある限り、ここ2〜3年の話ではないかと思う。

赤城の南麓には昔からガビチョウが多く、我が赤城高原でも冬越してそうな個体を時々見かけるが、基本的に積雪地で通年は例が少ないと聞いていたので、春まだ浅いこの時期に武尊の麓で騒々しい声を聞くとはいやはやな話である。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

声を聞いた以上その姿も記録したかったが、何しろ声はすれども姿は見えず、こちらを警戒したのかついぞ藪から出てくることはなかった。

その代わりというわけではないが、車を停めてある空地脇の梢でヒバリの鳴きマネをするモズを撮ったところで時間切れとなった。

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森に帰る

2018/2/25

林縁部や休耕地で一晩中餌を探していたノウサギも、明け方、日の出前には再びねぐらにしている森へ帰っていく。

無雪期にこういった痕跡を探すの困難だが、では足跡があるからとそれを辿っていってもまず本人に出会うことはない。足跡が残っていることを当人たちもよく判っているので、途中で止め足をやって追跡者を撹乱するのである。

止め足とは途中で自分の足跡を逆に辿って一旦戻り、大きく左右の何れかに逸れる行動である。追跡者に気付いてやることもあれば、追われる者の本能として無意識の中で行動することもある。

ノウサギの場合は逃走のためだが、クマがやる場合は追跡者に逆襲するのにも使われ、古来から数多の狩人が命を落としたことだろう。

FUJIFILM X-T2 / XF16mm F1.4 R WR

追うのがダメならと何度かトラップカメラを仕掛けたことがあるが、ノウサギは一度も写ったことがない。

もちろん仕掛けた場所が悪かったというのもあるだろうが、それだけ周囲の違和感を察知することに長けていて、危険を回避するように遺伝子に組み込まれているのだろう。

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「猫はコタツで丸くなる」というフレーズがあるが、あれは当地では当てはまらない。冬はそれなりに積雪もあり、厳冬期には氷点下15℃ぐらいまで下がる赤城高原にも、屋外にしっかり野良猫が生息しているのである。

寒い朝、凍った路上や畑の雪の上に点々と足跡が続いているのを見かけるが、今は野良猫たちも恋の季節なので、居候?している農家の納屋から各々飛び出して、寒さ冷たさを物ともせずに熱い戦いを繰り広げている。ネコは寒さを嫌うといのも、あれは疑いたくなる話だね。

とは言え、アムールトラやリンクスと呼ばれるオオヤマネコなどはシベリアや北極圏に近いタイガ地帯に生息しているので、ネコ科の動物が寒さに弱いという見立ては、ライオンやヒョウなどアフリカのサバンナにいる連中のビジュアルと、何より家猫の影響が大きいのだろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

このオスはこいつでうちの近所ではボス的な存在。ネズミの多い農家の納屋に住み着いているので、半野生化状態のくせに妙に恰幅が良く大柄である。

餌台の鳥を狙っているのかと思いきや、この時期は食い気より色気のようで、お目当てはオ・ン・ナだw

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

で、言い寄られているのはこの彼女。この日はまるで相手にしてなかったが、さて今年は恋は成就するのかどうか.

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老犬が寒いとあまり遠出をしなくなったので、散歩も家の周辺で済ませていたのだが、調子が良いと思い出したように以前のコースに向かうこともある。

久しぶりに上の集落まで出張ったところ、Hさんの畑で真新しいノウサギの足跡を見つけた。どちらも恐らくは同一の個体のもので、左は昨夜の早い時間帯に森から出てきた(手前から奥へ)ところ、右が今朝森へ帰っていった(奥から手前)ところだ。右のほうが足跡のエッジが立っているのが判るだろうか。

FUJIFILM X-T2 / XF16mm F1.4 R WR

もう少し補足すると、左はピョーンピョーンと跳躍するように小走りに走っていった痕跡で、右はピョコンピョコンと小さくゆっくりと跳ねた様子なのが判る。言い換えれば、左は「さあ飯食うぞ!」と元気に走り出し、右は腹も膨れたんで「帰って寝っか」といったところかな。

ちなみに右と左で色温度が異なるのは、どちらも日の出前で撮影時間に15分ほど間が開いているせいだ。撮影自体は右が先で左が後という順になる。

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昨年までは春先にちょこっと姿を見せる程度だったアトリだが、今シーズンはレストランオープンしてしばらくしたら2〜3羽が居つくようになり、年明けに一気に20羽程度まで増え、その後も順調に数を増やし続け今や30羽を越える最大勢力となっている。

しかも、最初は餌台の下でスズメたちが落とした余り物を拾い食いしていたのに、今は直接餌台に入ってヒマワリの種を食べるようになったので、朝昼と一日2回補充しなければならくなったのはちと面倒。まあ、普段は落ち葉の溜まった雪解けの地面に降りているときのほうが多いので、必ずしもヒマワリに執着があるようでもない感じではあるが。

ただ、カラスが上空を飛んだり、家の前を車が通っただけでもすぐにバババッと飛び立って動くので、その度に気が散って仕方がないと家人がこぼしているw

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.
LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

アトリは大陸から越冬のために日本列島にやって来るが、時々半端ない数で集まることがあって、過去には何十万羽みたいな話も聞くことがある。

拙者もかなり昔に長野で観たことがあって、それこそ蚊柱のごとく空を埋め尽くして飛び回っていたのを撮った憶えがあるのだが、何しろフィルムカメラ時代..C社New F-1かT90か、EOS-1かなぁ..その肝心のポジを探し出せないでいる。

デジタルになって目的のカットを選び出すのは容易になっていて、デジタルカメラの黎明期にせっせとポジをフィルムスキャンしてデジタル化を図っていたのが、どうもその作業から意図せず漏れてしまったようである。

今さら膨大なポジのゴミ山、もといレガシー保管庫からサルベージする気力は湧かないので、こうなるともはや如何ともしがたい。さりとて風景とかと違って簡単に撮り直すというのもできないので、「昔撮ったことがある」というお茶請け話にしかならない。

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夜明け

2018/2/21

瞬く星々が息を潜め、漆黒の闇に碧き帳が降りるが如く空にグラデーションが滲み始める。

やがて宇宙(そら)と地平の境に橙の光の帯が姿を魅せると、急速に世界は白み始め、そしていつもと変わりない喧騒の時が刻まれ始める頃、赤城山の夜が明ける。

何も見えないということがあらゆる雑多な日常から思考を遠ざける。夜が明けるということは、そのすべてが再び白日の下にさらされることであり、しかしそれは人が生きていく上で必然的な現実という常に当たり前の繰り返しでもある。

ダークからブルーへ、そしてブルーからアンバーへ。BLUE MOMENTの世界へようこそ。

FUJIFILM X-T2 / XF16-55mm F2.8 R LM WR

ダークアンバーやオレンジと言えばソニーαシリーズのブランドカラー。公式には橙色ではないようだが、カメラやレンズにオレンジ系のワンポイントが入っていると、遠目にもαシリーズだなと思わせる辺りはソニーのイメージ戦略が成功している証拠だ。

先日ネットニュースを眺めていたら、マンフロットから「ソニーαシリーズ専用」と銘打った三脚が出るというのがあった。本来ユニバーサル仕様であるはずの三脚に、特定メーカーのブランド専用..と言っても三脚なの当然汎用的ではある..が出てくるのは驚きだが、それだけαシリーズが売れていることの証でもある。

実際、以前ならカメラ、特に一眼カメラはC社とナイコンでシェアを分け合っていたのが、すっかり2大メーカーと言えばC社とソニーに変わってしまった。ナイコンはD850で勢いを取り戻しているとは聞くものの、それとて一過性に過ぎないので、危うい状況にあることには変わらない。

現在C社がトップを走って業績も好調だが、仕事柄様々な場所でカメラマンを見るにつけ、先のαカラーのカメラを目にすることが多くなってきたのは現実的な話として実感している。実際、仕事仲間にもC社から乗り換えた人..でもレンズはそのままEFマウントを使用..を何人か知っているしね。

以前からC社も動画では強みを見せているので、2020年の東京五輪に向けて、両者のガチコン勝負がますます激しくなっていくのは当然の流れである。果たしてC社の白夜が続くのか、ソニーの新たな夜明けとなるか、もうどっちも関係ないw身としては傍観者として別の意味で楽しみである。

正面顔

2018/2/20

地上に限った話だが、食肉目や猛禽類など食う側の生きものは、獲物との距離感を正確に割り出すのに立体視を必要とするので、目が顔の正面寄りに配置されている。

それに対し食われる側の生きものは、捕食者の接近を察知するのにより広範囲の視界を得る必要があるため、顔の側面に目が配置されている。

例えるなら、前者が望遠寄りのズームレンズを装備しているのに対し、後者は広角レンズといった感じだろうか。実際どのように見えるのかは知る由もないが、明らかに顔は向こうを向いているのに、すぐにこちらに気付いて飛んでいってしまうというのは、人生もう何度も遭遇している場面である。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

オナガガモに限らず、食われる側の水鳥の仲間を正面から見ると、少なからずこんなふうな顔をしている。

こちらがレンズを向けているのでこの個体は明らかに拙者を見ていると思われるが、くちばしをこちらに向けているから必ず手前を見ているとは限らないのがこの連中の常だ。この場面でも背後から近づけば間違いなく逃げていくだろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

人間的に考えればこのケースでは左方向を見ていると思うだろうが、いやいやそれは大いなる勘違いで、ここでも間違いなく撮影者である拙者のことを気にしているのである。

G9 PROとVARIO-ELMAR100-400の解像力テストというかテクスチャ表現テストというか、何かそんな感じになっているが、最近のローパスフィルターレスのデジカメの解像感は凄いね。こういう被写体では旧態然としたローパスフィルター装備のデジカメ、うちで言えばGH4とかEOS 5Dとか以前の画像はちょっと使う気にならない。

雨水

2018/2/19

雪から雨に変わる頃という意味で雨水だが、赤城高原ではまだ雪の季節である。とは言え、先日15cmほどの降雪も、雪質は水分の多い春のそれであり、午後には半分も残っていなかった。

FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR
FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR (左) / XF10-24mmF4 R OIS (右)

下界に用事で下りたついでにクマタカの様子を見に近所の山に上がってみたが、標高が上がるに連れて雲が出て、視界不良であえなく撤退となった。

カテゴリ:季節感

氷上の舞い

2018/2/18

先日も書いた通りスポーツを観戦する高尚な趣味はないのだが、五輪とかワールド何とかの国際大会ともなれば、さすがにその結果は気になる。

ということで、先日の羽生結弦選手の2大会連続金メダルにはちょっと感動。前日のSPと合わせてフリーの演技を観ていたが、直前の怪我からの復帰戦でスポ根マンガばりの復活劇に目を見張ると同時に、同じ年頃の子供がいる親としては、かくもメンタルが強いのかと驚きだ。

それとこれは飲み屋の親父的話題になるが、銀メダルだった宇野昌磨選手にはちょっと同情。過去のフィギュアスケートから考えると銀メダルで十分過ぎる結果だが、金の羽生選手が同時代にいなければ宇野選手が金だったわけで。

たらればの話なので詮無きことなれど、同じく昨日競技があったラージヒルの日本勢のジャンプを観ていて、競技は公正であろうと理解するものの、運不運に結構左右されるもんだなぁと思った次第。そもそも五輪は4年おきという世代の問題もあるしね。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

優雅な氷上の舞いではないが、コハクチョウたちが凍った沼地の上で何やら揉め事の様子。この後、胸合わせの小競り合いの後、2羽は別々の方向に去っていった。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

そして仲裁者のみ1羽寂しく残ったとさ。

カテゴリ:独り言, |タグ:

BLUE ICE PILLAR

2018/2/17

天狗様を探しに某所へ出掛けた帰り道、Project AKG/From AKGの一環で梨木の氷壁を眺めてきた。ここは地形的な関係で日中でも日が射し込むことがないため、年明けぐらいから見事な氷壁が見られる。

赤城山の東側は自身の噴石が堆積した地層であるため、その火山砕屑物である軽石の層を通り抜けてきた地下水が染み出しているところがいくつか見られ、梨木もそのうちの一つである。

その湧き水が凍りついて幾重にも重なる氷柱が見られるのだが、氷柱群が所狭しと並び立つことで、さながら碧き氷の壁のごとき造形を見せてくれる。

FUJIFILM X-T2 / XF10-24mmF4 R OIS
FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR

季節は確実に春へ向けて動いているが、寒さはまだまだ厳しい日が続く。

気の早い人は春を探し始めるが、向こうから近づいてこない限りまだ春を探すことはしない。もう少しだけ、厳しい冬の景色を狙って押さえておきたい。

カテゴリ:季節感, 景勝地|タグ:,