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ミラーレスカメラの台頭で、ファインダーと言えばEVF(電子ビューファインダー)というのはすでに市場的には認知されているが、報道の分野で未だにOVF(光学ファインダー)が求められているという。

スポーツ報道では表示映像の遅延によるタイムラグは困るというのは昔からあって、それへの一つの答えが、ソニーα9のようなブラックアウトフリー..露光中でも常にファインダーに像が表示されている..のミラーレスカメラとなって具現化されている。

ただ、先日どこかの記事で読んだ話として、EVFは長時間覗いていると目が疲れるが、その点OVFはそんなことはないというものがあった。報道で終日張り込みのような現場だと、特に夜間の場合はその影響は大きいとのことだった。

ファインダーを覗きっぱなしというのが通常あまりないのだが、言われてみれば以前に天狗様の繁殖行動に張り付いてブラインドに籠もっていた時、当時はビデオカメラのEVFを長時間覗いていたなぁというのを思い出した。

天狗様撮影時のブラインド内での様子(ビデオカメラはCanon XL-H1)

スチルはEOSだったので当然OVFだが、ビデオは同社のXLシリーズで、特にXL-2以降のモデルでは、EVFを跳ね上げてLCDとしても使えたので、その辺りの差はあったかもしれない。直接目を近づけて覗くよりは、離れて見ている方が遥かに楽だしね。

件の記事では、便利さや機能面ではすでにミラーレスカメラのほうが報道分野でも勝っているというものだったが、唯一OVFだけが手放せないという主旨であった。もはやEOS-1DとかD5とかそんな大げさなものでなく、必要に応じてEVFとOVFが切り替えられるようなハイブリッド式が求められていると感じる。

実はフジにはX-ProというまさにEVFとOVFのハイブリッド式カメラがあるのだが、報道分野で活躍できるほどの耐久性があるのかは怪しい限りだ。こと「絶対に故障しない(と思いたいw)」的な信頼性に限って言えば、やはりCとNのフラッグシップ機の存在意義を認めざるを得ないだろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

ホトトギスは朝に夕に、例え雨が降ろうとも依然として叫び続けている..トッキョキョカキョクは鳴くというより叫ぶ感じだよね..が、カッコウはもう一通り用事が済んだようで、めっきり鳴かなくなった。

写真はちょっと前に家の前の電線にやって来たカッコウ。この日は最後の追い込み?だったのか、仕事場から見える全方位で精力的に動き回っていた。

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210mmのF1.4

2018/5/30

近年非常に元気の良いシグマから、F1.4シリーズのDGレンズとして105mmが発売される。件のレンズ、EFマウント版であればアダプター経由でマイクロフォーサーズにもフジにも使えるので、ちょっと気になっている。

今年のCP+を見てきた友人にも聞いていたが、見た目もさることながら重さも1.6kg超えというから中望遠としては尋常ではないサイズ感だが、特にマイクロフォーサーズで利用すると換算で210mm F1.4となって、ISO感度の低さを補う明るさを得られるのは興味深い。

その昔、キヤノンのFDとEFの双方にF1.8の200mmがあったが、まさにそれの再来感がある。あまり寄れないようだが、マイクロフォーサーズなら最大撮影倍率も倍になって、暗い森の中の生きものを狙うにはちょうど良いのではないだろうか。何よりキヤノンのやつより価格が安いしね。

FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / Velvia

最初にムシカリで教えてもらったので今でも名前はムシカリと出てくるが、オオカメノキのほうが正式のようだ。漢字では「大亀の木」と書き、葉が亀の甲羅に似ているのでこの名前がある。

ではムシカリはとは言えば、こちらは「虫狩」と書くらしく、上の写真でも判る通りハムシの類が好んで葉を食べ、虫食い状態になることからそう呼ばれているらしい。

虫が植物の葉を食べるのはこの木に限ったわけではないのに、なぜにムシカリなのかは謎である。

αの快進撃

2018/5/29

商売柄、カメラ機材の相談を受けることがあるが、まあ正直、高画素フルサイズ一眼と高級レンズを買える財力、それにそれらを運ぶ体力..これが結構重要だけどね..があるなら、間違いなくその選択のほうが後悔しないだろうね。特に現状ならα7R3かD850がベストだろう。

ソニーはデジタル一眼カメラでは後発であることから、恐らく戦略的な意味合いでレンズマウントに縛りを入れていない。C社やナイコンはユーザーに自社製レンズを使ってもらうことにかなり執着している..交換レンズビジネスは結構儲かるのだ..が、ソニーはEマウントの仕様をオープンにしており、ライセンス契約することでサードパーティが自由に交換レンズで商売できる。

そう、つまりマウントによる囲い込みをせず、とにかく早く市場にαシリーズが浸透するように仕向けることで、CNの市場に割り込みを掛けている。そして実際に一定のプロを除いては、両者のシェアをかなり侵食してきているのが現状だ。

ちなみに拙者の仕事周りで増殖中なのが、レンズはC社のEFレンズで、ボディがソニーαというパターン。ソニーは最新技術を出し惜しみすることなく詰め込めるだけ詰め込んでいるのに対し、C社など未だ出し惜しみ番長という社風?が災いしており、まあ言ってみれば身から出た錆というところだろう。

動体撮影で強みのあったCNの2大ガリバーも、α9の登場でその立場を危うくしている。例えば鳥屋の分野なら、カメラ爺たちは未だ大砲レンズに固執しているが、若い世代ではα9+FE100-400にサブで同RX10の4というのが昨年からのトレンドになっていて、SNS系でも秀作をよく目にすることができる。

とにかくソニーの躍進はまだまだ続くだろう。ロシアワールドカップと東京五輪を控えて、プロの分野ではCNも巻き返しを図ってくるだろうが、果たして勢いのあるαの快進撃を止められるのか。

異端のフジパナ愛用者wとして、ふとそんなことを思ってみたりするのである。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / Velvia

季節の進みが暦より早いので、そろそろ関東でも梅雨入りの声が聞こえ始めている。ここ数日も降りそうでいて降らない日が続いており、庭の畑も乾き気味である。

近頃どうもそんな感漂う写真趣味の世界である。兎にも角にもα7IIIが売れているらしい。

先だって、老若男女のアマチュアカメラマンが集まる某所において、15人中、4人が某C社、3人がナイコン、オリが2人、何と残り6人がα7系というから驚いた。しかもそこにはフジとパナの影も形もないという、何とも明快でわかりやすい疎外感に浸った拙者であったw

EOSをメインから外した時点ですでに自分が王道から外れているwのは承知しているのだが、田舎ではまあそんなシェア割合なんだと一人合点がいく次第。

しかし田舎では本当に見かけないよね、XもLUMIXも。大丈夫か、フジパナw

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

思考をめぐらしている時は仕事場の窓の外に目を向けていることが多い。ただ、この季節は雨上がりでもないとヘイズの影響で遠望が効かないので、植え込みや庭木に視線が行くことになる。

ピリピリとつぶやくようにメジロが玄関脇のシラカンバにやって来た。いつもならすぐに通り過ぎていくのだが、今日は餌を探して同じ場所を行ったり来たりしていたので、窓を10cmほどそっと空け、電子シャッターの音無しで撮影。

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X-H1のセールスポイントの一つは、Xシリーズ初のボディ内手ブレ補正(IBIS)であろう。すでにオリやペンタやソニー、最近ではパナもIBISを搭載したモデルを用意しているため、それ自体に目新しさはなく、むしろ自由度の高いはずのミラーレス機では周回遅れの感漂うフジであった。

ミラーレス一眼のメーカーとしてやや後発であること、当初は画質優先を謳って手ブレ補正に懐疑的な発言をしていること、コンシューマではなくプロシューマを目指すモデルで初めて実装してきた..営業的には写真のビギナーにこそ訴求力が高い..辺りに、フジの自信の程が伺えるというものだ。

撮影時の手ブレの原因はシャッター速度が遅いというのが最も大きい要因だが、それを逆手に取って意図的に撮影結果に織り込む手法もある。で、実際のフィールドでスローシャッターを使う場面と言えば、星景写真のような長時間露光を除けば、水の流れや滝などの流動感を表現するケースだろう。

今までならそんな時はさすがに三脚のお世話にならざるを得なかったのだが、先日来、いくつかの場面でX-H1のIBISの威力を試したところ、広角レンズ使用時にシャッター速度が1秒以下であれば、かなり歩留まりよくIBISだけで対応できることが判った。

FUJIFILM X-H1 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR

FUJIFILM X-H1 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR

まずは1/15秒の例。日中でNDフィルタなしだと、どんなに絞り込んでも1/15秒辺りが下限であるが、この程度だと望遠レンズでもレンズ内手ブレ補正であればさほど問題ではないだろう。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR

これらは木漏れ日の差すやや明るい感じの林内で、雪解け水の流れをスローシャッターで狙ったもの。ND8を装着してF22まで絞り込み、1枚目が0.3秒、5枚目が0.5秒、それ以外は1秒で撮影した。

過度な絞り込みによる回折の影響はさておき、さすがに1秒では歩留まりが5割まで下がった..ここは個人差があろう..が、それでも1秒というスローシャッターを手持ち撮影できるというのは強力な武器であろう。

今回のケースで言えば何れも三脚が使えないシチュエーションではないので、普通に考えれば三脚に固定するのが望ましいのだが、フィールドの状況や撮影アングルによってはそう上手くいかないこともあり得るので、やはりIBISの恩恵は計り知れない。

ちなみに小中大滝..表記がややこしいのだが、小中という場所にある大滝のことねw..の写真も手持ちスローシャッターによるもので、この時もND8で0.3〜1/8で撮影している。当日は時折風が吹く状況だったので、手ブレよりは被写体ブレでアウトになるケースが多かった。

それこそ長玉..いわゆる超望遠レンズのこと..を使っていた頃は三脚の使用が大前提であったが、ミラーレス一眼と高性能な手ブレ補正の登場でそれももはや過去の話だ。

動画や物撮り、それに待機を余儀なくされるようなケース..ワイルドライフ撮影でのブラインド利用とか..を除けば、デイライトでは三脚は使う機会は少ない。

風景写真を撮るなら三脚は必須ではないか?ということになるのだろうが、拙者の撮影ジャンルは風景スナップ..勝手にカテゴライズしているだけだけど..なので、三脚にカメラを載せじっくり構えてレリーズでパシャ、なんてことは基本的にやらない。あくまで速写性重視なのである。

同時に動画を撮ることがあるのも理由の一つではあるが、そもそも三脚を使う必要がない場面でいちいち脚を広げてセッティングをすること自体をナンセンスと考えているのが大きい。そのためにもレンズ内であれIBISであれ、手ブレ補正は必須なのである。

でも上ばかり見上げて歩いていると、木々の根や石につまづいたり、張り出した木の枝に引っかかりする事があるので、時々は足元にも注意を払ったほうが良い。

そんな時、見下ろすだけでなくちょっと視線を下げて見るだけで、それまで見えてなかったものが見え出すこともある。木々は光を求めて上へ上へと幹を伸ばすが、その始まりも終わりもすべて林床あってこそだ。

人の目線で見上げる森もあれば、光わずかに届く世界から見上げる森もある。林床の世界は自然の小宇宙である。

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mmF4 R OIS
FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR(2枚目・6枚目)
PROVIA / Velvia(3枚目・4枚目)/ Dレンジ優先(4枚目)

但し、他の人に見えないものが見え始めたり、本来そこになかったものが写りだした場合、もしかしたらそれは心の病か、人智を超えた力の発動かもしれないので、しばし経過観察が必要かもしれない。

場合によっては然るべきところに相談するのが吉だろう。人によっては、森の中とはそんな霊験あらたかな場所なのである。もちろん、世俗の垢にまみれた欲の塊のような拙者には、今も昔もそんなありがたそうな事例はないけどねw

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初夏は一年で最も日差しが強い時期だが、新緑の森の中は新しい息吹となった葉を透過して降り注ぐ光が気持ちいい。

葉や幹の重なりを探してアングルを変えてみつつ、シャドウを落として葉脈を強調したり、ハイライトを飛ばして太陽光による自然のライティングを活かしたりと、この季節に森の中を歩く時はついつい樹上に目が行ってしまう。

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mmF4 R OIS / Velvia

FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / PROVIA

FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / PROVIA

FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / PROVIA
FUJIFILM X-H1 / XF10-24mmF4 R OIS / Velvia / Dレンジ優先

森の中は暗い。カビの生えたような古い考えの撮影テクニックの教本なら、ガッチリした三脚にカメラを固定して息を殺し、レリーズでシャッターを切れとか何とか書いてあるが、こんな気持の良い季節にいちいち立ち止まって機材をセッティングして撮影など、実に非効率でもったいない。

小型軽量で手ブレ補正の付いたミラーレスカメラ..または手ブレ補正の付いたレンズ..なら、そんな面倒なことで時間を潰すことなく、次から次へと被写体を探して歩を進めることができる。

でも鳥や虫の息吹の音や、初夏の風が樹冠を駆け抜ける衣擦れの葉音に耳を澄ます時はそっと立ち止まろう。何事もリズムが大事だ。テンポを変調するきっかけはそんな自然の奏でる音が良い。

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先日デジタルカメラのファームアップの話を書いたが、ペンタことペンタックス(現リコー)が興味深いサービスを始めた。

それは「K-1アップグレードサービス」というもので、どうやらカメラ内の基盤を交換するという話である。PC的に言い換えればマザーボード交換とでも言うべきもので、ソフトウエアのファームアップではなくハードウェアの換装という荒業である。

作業的に当然ユーザー自身の手によるものでなく、ペンタのSC送りになるようだが、メーカーの手間暇は相当のものだろうと推察する。果たしてユーザー有料負担分だけでペイできるものなのか、何とも判断つかないサービスである。

面白いのは型番はIIと付く新モデル..K-1がK-1 MarkIIになるわけだ..なのに、製造番号は元のままという点。新モデルに中身は入れ替わるのに、修理扱い的なサービスであることは、SC対応であることからも判る。

もちろんこれがすべてのモデルで有効なのではなく、K-1に限ったものというマーケティングの側面を匂わせる部分があるが、それでも理由はともあれメーカーにしてみれば営業的には大英断だったろう。

そしてペンタついでではあるが、話の本題はこっち。現役プログラマーとして興味深かったのは、カメラを外部..USBまたはWi-Fiで..から制御するAPIをSDKとして公開するというサービスだ。

APIはアプリケーションプログラミングインタフェースのことで、ソフトウエアどうしが通信する手段を取り決めて公開するものだ。このAPIの仕様に基づき動作するソフトウエアを開発することで、外部からペンタのカメラを制御できるということを意味する。

スマートフォン用にはリコー謹製の純正アプリとして「Image Sync」というのが用意されているので、一般的にはそれで用は足りるはずだが、独自にカメラを制御できるアプリ開発が可能となれば、商業的に色々展開を考えられるのではないだろうか。

例えばInstagramにTwitter、Facebookなど複数のSNSと連携する場合、今なら個々のサービス毎にシェアするような作業が必要になるが、画像にクレジットを挿入しつつそれぞれに適切なフォーマットに変換してアップするというようなことが、一回の作業で完結できる..一旦自前のWebサービスを経由する必要はあるが..ようになる、などなど。

SDKはスマホ用にiOSとAndroidの他、PC向けに.NETとC++も用意するとのこと。このAPI公開は是非他のメーカーにも波及して欲しいね。ガラパゴス仕様はレンズマウントだけで結構だ。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

ご近所コゲラはまだ抱卵中らしい。今日は餌を探しているオス..見えたら幸せの赤パッチが見える..を近くの雑木林で見かけた。

朝なので林内は陽も差さずに暗いのだが、G9 PROのAFはそこそこ食いついてくれている。ただ、少しでも測距点を外すとすぐに背景に持っていかれるのはパナのDFDの悪癖なので、このケースでは測距点のサイズをあまり小さくしないほうが良い。

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時々HDR

2018/5/23

キビタキとクロジのさえずりがブナの森に響く。時々ガサガサとササを揺らして何かが走って逃げていく。林床には新緑を通過した柔らかな初夏の光が差し込んで、ゆく道を照らしてくれる。

エゾハルゼミもまだ控えめにジージー鳴いているが、この暑さが続けばすぐに降るような大合唱となって、鳥たちからその声の主役の座を奪うことだろう。

平日の玉原は行き交う人の喧騒もなく静かなものだ。20年くらい前なら鳥たちの春コーラスも盛大に楽しめたが、ご多分に漏れず玉原も昔の面影はない。環境が変わったのか鳥が減ったのか、はたかまその両方なのか。こればかりは鳥に聞いてみるしかないかな。

それにしてもだ。Google日本語入力の相変わらずの語彙の狭さに辟易する。未だに「たんばら」と入力して玉原が変換されないのだから。玉原の知名度がその程度ということがあるのは一理あるが、関東でも人気の玉原高原スキー場が隣りにあるのだから、いい加減何とかしろよって思う。

辞書に単語登録すれば良いのは今も昔も変わらないが、時々クリーンインストールを実行してMacをリセットする習慣がある..都合でmacOSのTime Machineは使ってない..ので、その度に細かい設定を元に戻すのが面倒なんでね。

FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR
FUJIFILM X-H1 / XF10-24mmF4 R OIS(4枚目・5枚目)
ETERNA(1枚目) / Velvia

X-H1にはDレンジ優先という設定がある。これはX-T2以前には実装されていない機能で、フィルムシミュレーションのETERNAと一緒にX-H1から追加されたものだ。

Dレンジ優先は、文字通りダイナミナックレンジをカメラ側で適切にコントロールするという仕様からして、従来からあるダイナミナックレンジを倍々で広げていくDR100〜400よりも、場面に合わせてそれなりに写るようである。

ETERNAは動画用のフィルムシミュレーションであるが、デフォルトでダイナミナックレンジを広くとる設定なので、ETERNAとDレンジ優先が合わせ技..X-T2にはどちらもないので..なのは何となく理解できる。

以前、ファームアップでX-T2にもETERNAが追加されるような噂もあったが、もしかしたらX-H1にはオンボードで何かそれ用のハードが積まれているのかもしれない。

写真の世界では白は白く黒は黒く、特に暗部を黒く潰すことでメリハリをつける、いわゆるコントラストを高くするという表現方法がよく使われる..モノクロの世界がまさにそれ..が、昨今はネットの時流に乗じてどこもHDR流行りなので、白を飛ばすことなく、黒を潰すことなくが好まれているようだ。

上の例では、4枚目が通常..新緑を表現しているので幹を黒く潰している..に撮影したもので、5枚目の写真がDレンジ優先で撮影したものだ。4枚目と同様に新緑に露出を合わせれば林床は黒く潰れ、逆に林床に露出を合わせれば新緑は飛んでしまうことになる。

初夏の森の中は、樹相により林冠が空けている場所もあれば、倒木による空間、それに新緑の透過光など複雑に光が射し込むため、適正露出をどこに合わせるかは表現次第で千差万別となる。ならばいっそすべての光をと欲張るなら、こういうHDR表現も一つの手と言えるだろう。

ただ、何でもかんでもHDR表現というのはちょっといただけない。何事もほどほどが良いのである。

体に似合わず

2018/5/22

林道からそれ、額に汗しながら渓流沿いに車では入れない支線を伝い歩き、途中木陰で休んでいると、林縁との境付近をミソサザイが出たり入ったりしているのが見えた。

春まだ浅い時期から沢沿いでよくそのさえずりを耳にするが、標高の高いところではまだまだ春進行中なので、ミソサザイの繁殖活動もこれからという感じである。

忙しそうに苔の類を運んでいたかと思うと、思い出したようにソングポストで歌を歌う。小さな体に似合わず声量豊かに朗々とした歌声は、不意に近くで聞くとまさに「けたたましい」という風情のさえずりであるが、春の森には欠かせないBGMであろう。

FUJIFILM X-T2 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR / PROVIA

手ブレ補正の付いてないXF16-55を常時X-H1に装着しているため、望遠ズーム系のレンズは自動的にX-T2の担当になる。

が、X-T2はX-H1に対して小型軽量を優先とし、バッテリーグリップの類は付けてないため、大柄なXF100-400を装着するとバランスが取れずに保持しづらくて仕方ない。ましてや縦位置に構えると手がつりそうであるw

本来なら同レンズにはX-H1だが、XF16-55を考えるとボディ2台持ちの時は前述のようになってしまう。X-T2は携行性..出っ張りが少ないのでバックパック内で収まりが良い..の点で予備機として必要なので、ここはやはりX-H1がもう1台あると便利だね。