カテゴリ : 鳥獣・環境問題

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台風一過の農道上に、何やらゴロゴロと丸いものが転がっている。ジャガイモ?いやいや、これらはすべてコンニャクの原料となる、こんにゃく芋である。

なかなか一般の人がコンニャクの原料を見る機会はないと思うが、おでんの具や、すき焼きに入れるしらたき、マン○ンライフなどに代表されるコンニャクゼリーも皆、このこんにゃく芋から作られているのだ。

そのこんにゃく芋がなぜ道端に転がっているかと言えば、台風24号の叩きつけるような滝の如き雨によって畑の表土が流されてしまい、浅いところに植わっていたこんにゃく芋が掘り出され、農道上を川のように流れ下る雨水に運ばれてきた、その結果である。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / CLASSIC CROME

写真では分かりづらいが、この道は奥に向かって傾斜しており、どん詰まりはガードレールで行き止まりだが、そのまま谷底へと落ちているのである。

大半の芋はそんな赤城の谷へ転がり落ちていったはずだが、恐らく写真の芋は、台風が過ぎ去った後の勢いの無くなった雨水が残していった置き土産と言ったところだろう。

ところで、森へと消えたこんにゃく芋だが、さぞ野生動物が喜ぶだろうと思うかもしれないが、こんにゃく芋には劇物にも指定されているシュウ酸カルシウムが多量に含まれているため、人が生で食べると下痢などを引き起こし、野に生きるものでもエグくて食べることはまずない。

赤城高原はこんにゃく芋の生産量は日本で一二を争うが、イノシシやシカによるこんにゃく芋への直接の鳥獣被害がほとんどないのには、そんな理由があるのだ。

個人的にシダと聞いて想像するイメージは原始的なものだ。そう、ジュラシックパークの森のなかの1シーンのようなあんな感じ。

一般的な種子植物は種から発芽し花を咲かせて実をなすという成長過程を経るが、シダ植物は胞子によって繁殖する点で、より原始的なコケ類に近い。

ただ、根から水分を吸い上げて葉に送るという構造..総称して維管束植物という..を持つ点で種子植物に近いとも言えるため、コケ類と種子植物の中間に位置する植物となる。

光合成をするので日光は必要だが、基本的に日陰で高温多湿を好む。よく見かける場所として、林床にあまり手入れの行き届いていない山間のスギやヒノキの植林地が挙げらる。

例外的に日当たりの良い乾燥した裸地を好む仲間もいて、ゼンマイ・ワラビ・コゴミなどは山菜として馴染みが深いだろう。

シダの仲間は国内では約600種ほど見られるそうだが、正直なところパッと見ではよく見分けがつかない。葉の形などまったく異なるが、スギナ..いわゆるツクシの地下茎..もシダ類同様に維管束植物である。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / PROVIA / シダの仲間(左)、スギナの蒸散作用(右)

そんなシダの仲間にシムライノデという種類があるそうで、環境省のレッドデータリストで我らが天狗様と同じ「近い将来、野生での絶滅の危険性が高い」とされる絶滅危惧IB類に分類されている。

東京都内のスギの植林地にそのシムライノデの自生地がわずかに残されていたが、その森を都の公益法人が3年ほど前に伐採してしまったため、乾燥化が進みほとんどが枯れてしまったということだ。

植林地としての手入れを行い、管理する森を守るという仕事は林業を行う上で重要であるが、そこに自生する貴重な植物の存在にまで注意が回らなかったことが今回の原因だろう。

件の公益法人はシムライノデのことを知らなかったと言っているようだが、事前に環境調査などを実施してはいない。ただ、そもそもそこに貴重な動植物が生息している事実を知らなければ、植林地という状況からして環境調査を行うのはなかなか難しいというのは理解できなくもない。

盗掘や不法採集、それに密猟を考えると軽々に情報を共有するのは難しいのだが、こういった希少な生きものの生息情報を安全に共有できる仕組みづくりが必要な時期に来ているのは間違いない。

それは我らが天狗様にも当てはまる喫緊の課題の1つと言えよう。

サルが出たらしい。盆休みのさなか、しかもうちのすぐ近所で。目撃者の話では1頭ということで、恐らく雄のはぐれザルと思われる。

もちろん赤城山麓にサルは生息しており、北から東にかけての根利や黒保根では農業被害もある。が、南から西にかけては大きな群れの報告はなく、特にここ赤城高原での農業被害はまだない。

とは言え以前から村内でもサルの目撃は時々あり、群れでの侵入許すまじの声も耳にするが、シカやイノシシ同様に実際の被害が出てみないとなかなか意見も広まらないものだ。

その辺りが人的被害も予想しなければならないクマとの違いと言えよう。

北海道渡島の森町にて / Canon IXY DIGITAL 200

クマと言えば、北海道の島牧村のヒグマ出没騒動がニュースになっている。

島牧村のある渡島半島は知床半島と並んでヒグマの生息密度が高い地域だ。なので何をいまさら感が強く、「こんなところにクマが」という地元の人の声を聞いてちょっと意外に思っている。

3m・300kgのヒグマの比較映像でミスリードするマスゴミのくだらなさには相変わらず辟易させられるが、映像を見る限りまだ若いクマと思われ、連日のように周辺を賑わせるハンターやマスゴミに慣れてしまった感がありありしている。

食べ物を求めてという理由付けは生きものである以上当たり前のことなのだが、問題はそこが人の生活圏に入ってしまっている点である。出現はほぼ毎日ということで、すでに人家周辺の餌..生ゴミか漁港が近いので産廃か..に誘引されているのは間違いない。

この手のクマ..保護政策の影響下で人と人の生産活動を怖がらない新世代クマ..にお仕置き放獣がどの程度効力があるか未知数であるし、そもそも状況的に行政として悠長なことは言ってられないので、残念な話だが駆除されるるのは時間の問題だろう。

うちの村でも先月まで連日クマの目撃情報が有線放送で流れて賑やかだったが、有害駆除されたという話は聞かないので、うろついていた個体がそれぞれ山へ戻ったのか、ここ一週間ほどはパッタリと静かになっている。

サルにせよクマにせよ、今の時代は共存の道を探ることが望まれているわけで、商業的な切り口でも良いのでどうにかそこに人手を割ける仕組みができないものだろう。お金が動けば人も技術も投入できるので、必ず道は開けよう。

野生動物も人も、食うためには皆貪欲なのだから。

縦揺れ

2018/6/18

昨日は久しぶりにスマホの緊急地震速報が鳴ったのだが、揺れが先行していたもののその時点ではほぼ収まっていたので、警報としての意味はなかったけどねw

まあそれもそのはずで、震源が県内..と言ってもやや東寄りだったようだが..だったせいでP波の到達が早く、群馬にしては珍しく縦揺れだったのもそのせいだ。

隣の渋川辺りでは震度5弱だったので、最近の地震の中では強いほうだが、揺れていた時間そのものは短かったので、うちではまったく被害はなかった。

それにしてもだ。千葉、群馬、それに今朝の大阪と、このところ地震が立て続けに起きている感は否めない。気象庁は関連性を否定しているが、さすがにここまで続くとちょっと気になる。

FUJIFILM X-H1 / XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WR

どうしても電柵の無い畑はシカの通り道になってしまう。何もわざわざマルチの上を歩かなくても..とNさんの嘆きが聞こえてきそうだ。

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野生動物は環境破壊で生息地を追いやられ、徐々に絶滅に向かうというのが一般的なイメージであるが、減るどころか逆に数を増やしている種もいるという代表格がカワウだろう。

漁協がわざわざ河川に美味そうなアユなどを放流しているわけで、理由はどうあれそこに魚がいて、食っても食ってもどんどん補充されるのだから、カワウにしてみればこんなにありがたいことはない。

それはまさに人為的な餌付けに他ならなず、カワウは明らかに人の生産活動でその繁栄を謳歌しているのである。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

赤城高原から平野部に下る道すがらの某貯水池では、カワウのコロニーが子育ての喧騒で賑やかである。カワウは全国どこに行っても漁業被害の被疑者であるため、関係者からは嫌われ者の烙印を押されている。

増えすぎたシカ同様、それに伴う第一次産業への被害も放置しておけない状況にあるため、野生動物管理の名の下に適正な数になるよう駆除の対象となっているわけだが、増えた原因がそもそも人の生産活動にあるわけで、そのツケをまた人が払わされているというのが実情だろう。

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先週、片品に仕事で出掛ける用事があったので、久しぶりに大清水まで足を延ばしてみたが、近年の噂通り休憩所脇のミズバショウ群落は全滅で見る影もなかった。

犯人は尾瀬ヶ原を荒らしている同一犯のシカたち。まあ本人たちも生き延びるために必死で、ひたすら目の前の餌を食っているだけで、こちらが思っているほど悪気はないのだが、連中が増えた原因が間接的に人の生産活動にある限り、野生動物管理の観点からも適切に対処すべき。

いくら柵で囲っても増えるものは増え、広大な空間すべての侵入を阻むのには無理がある。増えるシカとは反対に捕食者たるハンターは減っているので、ここはやはり北海道で実績のある誘き出して一網打尽に捕まえて食う、キャッチアンドストマックがベターな策ではなかろうか。

そんなことを考えつつ、帰りがけに越本の水芭蕉の森に立ち寄ったが、こちらはまだシカの食害の被害はないとのこと。ただ、さすがにまだ一分咲き程度の状況で、それらしい株を探して歩く必要があった。

ちなみに前述の大清水の惨状だが、地元の尾瀬高校がミズバショウ復活を目指して植栽していると先日のニュースで流れていた。そういった子供らの努力が徒労に終わらないようまずは肝心のシカを減らさないと、尾瀬全体が養鹿場になりかねないぞ。

FUJIFILM X-T2 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR
FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR(5枚目)
PROVIA

一連の写真は木道上からの撮影だが、水芭蕉がまだ小さいこともあってすべてローポジションを強いられている。

ただ、X-H1もX-T2同様のフレキシブルな背面液晶モニタを装備しているため、木道よりさらに低い位置へカメラを構えても、容易に上から覗き込んで撮影ができるのはありがたい。

ピクリとも背面液晶モニタが動かない某C社のEOSでは、どう逆立ちしてもできない芸当だw

FUJIFILM X-T2 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR / PROVIA

水芭蕉の森からは日光白根山を望める。上越国境と同様、やはりこの時期としては残雪が少ない。

先日来の予報通り、今日は今シーズンの最高気温を記録した。日の出前後はまだフリースの世話になる赤城高原でも、さすがに午後には夏日となったので、仕事場の窓を開け放って初夏の風を呼び込んでデスクワーク。

近所の雑木林にキビタキがやって来て、朝からサンショウクイやクロツグミに混ざってピッコロピッコロ鳴いている。まだ明日も引き続き暖かいらしいので、このまま一気に初夏へと季節が進むのではないだろか。

水鳥曼荼羅

2018/2/28

以前は観光目的で盛大に餌付けしていた水鳥越冬地が各地に見られたが、近年は鳥インフル問題への懸念もあってか、給餌行為自体を自粛または中止している場所が増えてきている。

鳥インフルエンザウイルスの人への感染はほぼ無いと言われてきたが、過去に感染例がまったくないというものでもなく、人口密集地ではやはり反対意見も根強い。そもそも事が起きてからでは手遅れになるので、管轄がお役所であればなおさら給餌再開には慎重にならざるをえないだろう。

人への感染問題もさることながら、ひとたび事態が起きれば当の鳥たち自身にも一気に広まる確率が高くなり、それがさらに周辺にも広がりを見せれば、希少種をも巻き込むパンデミックになりかねないので、何事もほどほどにという話である。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

埃を舞い上げながら次々に餌に群がり曼荼羅模様のようにうごめくオナガガモたち。

多々良沼に隣接するガバ沼では有志の手によって給餌が行われているが、ここも色々意見が出ているのは確かのようだ。

神奈川の平塚に端を発した都内のサル出没騒動。その後に厚木・鎌倉・鶴見と移動し、多摩川を越えて大田区・港区、そして最後(の目撃情報)は何と豊島区まで到達した模様。

さすがに最初は同じ個体ではないのではないか?と勘ぐっていたが、同時多発的に目撃情報が出ないこと、ニュース報道で見る限り確かに同じ個体っぽい雰囲気であった。

目撃者の話に大きなサルだったというのがあったが、映像を見る限りまだ若い雄のようで、不用意に人に近づくこともないようなので野生個体なのは間違いない。まあ大方の予想通り、群れから離れて渡り歩くはぐれ個体だろうね。

サルは興奮すると人を襲うこともあるので警察も放置できず、関係部署と連携して捕獲を試みたようだが、こう管轄を超えて移動されると縦割りの問題もあって、結局取り逃がしたようである。

ま、師走の大都会もなかなか野性味溢れて大変なこってw

FUJIFILM X-T2 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR

沢筋の森の中を歩いていてサルの群れに遭遇。20頭もいなかったのでそんなに大きな群れではなかったが、こちらを見るなり一目散に森の中を逃げていった。

場所的に山間の集落も近くそれなりに追い払いにあっているのだろう、まあ野生動物としては至極まっとうな行動ではある。

中でも写真の個体は一際体躯が大きく、群れの先頭を歩いていたが、木に登って警戒するように周囲を睥睨し、尚且つカメラを持って近づくこちらを歯をむいて威嚇してきた。さながら「しんがり」を務めるごときリーダーであった。

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いくらシカが増えたと言っても、夜間ならいざしらず、この季節の昼の日中にシカを見ることは稀だ。出産したての子連れなら尚更で、昼間は森の奥でじっとしているはずである。

シカの子供を襲う天敵、つまり肉食獣が存在しないので、基本的には身に危険が及ぶ可能性は低いのだが、常に食料として付け狙われてきたその立場では、本能的に身を隠すという性からは逃れられないようである。

森にはクマがいて、実際シカの子供を捕食する可能性もあるが、シカの子供は生まれてすぐに立って走ることができるので、不意を襲われない限りクマが餌にありつくのは難しい。

明治以前なら日本にもオオカミが居て、群れでシカを狩りてていたことは想像に難くないが、ニホンオオカミはすでに絶滅している。同族として場所によっては野犬の群れがシカを襲うこともあるようだが、それは今のところ限定的だ。

米イエローストーンでの成功例を元に、日本でもオオカミを導入してシカ対策を宣う連中もいるが、国土の狭い日本でオオカミの群れがシカ以外の生きものを襲わない保証などどこにもないので、どう考えてもそんな都合のいい話に落ち着くわけがない。

件のイエローストーンでは家畜を襲う個体が増えたので駆除対象にしてるしね。

FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR x1.4

森の中を歩いていて不意に視線を感じる。

ゆるゆると周囲を探すと、反対側の林縁にシカのシルエットが浮かんだ。尻の白い毛を開いて完全に警戒モードで、こちらがカメラを構えると途端にキョン鳴いて走って逃げていった。

千年の単位で手厚く保護されてきた奈良公園のシカとは大違いだ。

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氷をアイス

2017/2/24

南風の影響受けると離岸するが、東風が吹けば再び寄せては返すのが流氷(=海氷)の定め。

遠く北極海の海氷は今年は観測史上最も少ないと報じられているが、それは昨日今日始まった話ではなく、少なからず目の前のオホーツクでも同様の傾向である。

海の命の源である海氷が減るということは、それを糧とする北方の生きものたちにもそう遠くない将来に影響出るのは必定だ。

海氷など極地の氷の減少に多大な影響を与える地球温暖化は、誰かが何かをすればすぐに解決するような性質のものではないが、皆で何かをしなければ大いなる問題を引き起こすのは明らかな話だ。

自国の目先の利益を優先すると宣言する某花札大統領など論外だが、とにかく小さい些細なことでもいいので、皆でせ~ので何かしなくてはね。

DJIのMavicが飛んでいるけど低い高度に下がったのでちょっと判らないかな。

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