カテゴリ : 写真・カメラ

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メーカーの受け売り的な言い回しになるが、GH6は歴代のGHを正統に進化させた、写真と動画を高次元で両立させたカメラということになろうか。

今どきのデジタルカメラの静止画としての写真も映像としての動画も技術的な面では垣根などなく、その根幹部分は同じものである。瞬間を切り取るか、長時間に渡って効率よく収録するかというデータの保存形式の違いでしかない。

GH6はその形からしても既存のデジタル一眼カメラ然としているので、基本的には写真機であることに異論はないが、GHシリーズはその系譜を辿ればわかる通り、どちらかと言えば動画撮影を得意とするハイブリッドカメラということになる。

それでは写真撮影機能がオマケかと言えばそんなことはなく、スピードを求めた撮影機能であるプリ連写と4K/6Kフォトこそ搭載されていないが、歴代LUMIX同様のニュートラルで自然な仕上がりは風景などネイチャー分野に合っており、何より老舗のビデオカメラメーカーらしくオートホワイトバランスはかなり優秀だ。

それにマイクロフォーサーズ機でもっとも高画素となる2500万画素センサーは、本来の目的は5.7K動画のためであるのは疑いようはないが、そのおかげで1億画素のハイレゾショットを手持ちで撮れるようになったわけで、オマケどころか一気に高画素機の仲間入りを果たしている。

LUMIX GH6 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 手持ちハイレゾ

LUMIX GH6 / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO

LUMIX GH6 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

LUMIX GH6 / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX GH6 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

写真は写真、動画は動画という几帳面?でこだわりのある人はともかく、拙者のようなどうせ撮るなら一度に済ませたい派にとって、GHシリーズやS1Hのようなハイブリッド機はありがたい存在である。

余談だが、フジのXもX-H1以降はハイブリッドカメラと言っても良いだろう。来月のイベントでそのX-H1の後継機が発表されるらしいので、合わせて楽しみにしている。

OM-1の被写体検出能力..この場合は鳥の発見だ..の速さには舌を巻く時がある。

朝早くに雨で薄暗い林内であるものを待ち構えていた際、カサカサと何者かが落ち葉をかき分けている音を聞いたので、そっち方向の林床にレンズを向けると、こちらが鳥らしきものを見つけるのと同時にファインダー上に被写体検出枠が表示されてびっくり。

OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS / ISO6400

らしきものはシロハラで、カサカサ音は地上棲の大型ツグミ類がよくやる落ち葉をひっくり返しての餌探しの音。

名前の由来でもあるその特徴的な白いお腹さえ見せなければ、枯葉で埋まる林床ではほとんど保護色と言って良いシロハラを認識できるのだから大したものだ。

AFモードでTRを使うとナイコンのように色情報を用いたトラッキング機能が働くが、TRは自然造形物のような不規則なシーンでは落ち着きがなくなる傾向が強い..先日のヒバリでTRを試している..印象があるので、普段は使用していない。

被写体検出は物体の形状だけでAIが「何かを認識」しているらしいので、2000万画素の膨大な情報の中から例えば鳥であれば頭部と嘴で鳥と判断しているといった感じなのだろう。そして一度体全体までを検出して捕捉できれば、その後は嘴が隠れても関係なく検出が続く。

被写体検出の速さは確かに早く、EOS R3を使っている知り合いも明らかにOM-1のほうが早いと言っている。

OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS / ISO6400 / 1/4程度にトリミング

ただ、検出の速さとその後のAF合焦までの挙動についてはまた別の話で、ケースによってどっちつかず的な動作が見られ場合がある。

上の写真だと前ボケにあるように手前に枝が被っているが、このケースではその後ろにいるシロハラにしっかりピンが行っており、従来のマイクロフォーサーズのISO6400とは思えない解像感がある。

OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS / ISO6400 / 1/4程度にトリミング

でこっちのケースでは微妙にピンボケ。ファインダー上ではシロハラの目にAF枠が合っていたので試しにシャッターを切っておいたが、実際のピンの位置は手前の枝に合っているという状態である。

そもそもOM-1の優秀なEVFでは、ファインダーで見ていても枝にピンが来ているというのは分かっていたけどね。

結局のところ、被写体を検出しているからと言って必ずしもそこにピンが来るとは限らないというのが現在のOM-1の挙動で、「何かを認識」できてもそれが複数あった場合にどうするかという判断と決定のプロセスが甘いということになろうか。

「認識した何か」が今回のように一つであれば、迷うことなくそっちにピンが行ってくれれば済む話で、数に関係なく複数の時と同じ挙動をしていたのでは、AFが合わないと言うクレームが付くのは目に見えている。

システム屋の目線で言えばこの辺りはファームでどうにでもなる話だとわかるので、挙動を状況に合わせて変化させるか、設定または操作する側に決定権を委ねるのが早晩求められるところだろうね。

その場合はもちろん後者が望ましいし、システム屋としてもそのほうが楽であるはずだ。

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先週末、高崎の桜が満開と聞いて、用事で出掛けたついでに朝一番で高崎観音山で桜をGH6のV-Logで撮影してきた。

山頂にある慈眼院を訪れたのは久しぶりで、当然白衣観音を間近に拝むのもいつ以来って感じであるが、備忘録を兼ねるブログ記事によれば9年ぶりのようである。

高崎の街を見下ろすように巨大な観音様が建っていると話すと、県外の人は大抵怪訝そうに思うが、特に怪しい宗教絡みではなく、昭和の初めに戦没者記念のために建立されたもので、高崎市民には街のシンボルと言っても良い。

かく言う拙者は生まれも育ちも高崎なので、高崎観音山には子供の頃から馴染みがあって、中でも観音様に隣接していた水の国カッパピア..バブル崩壊後だったかに廃業..は、我々の世代には今のディズニーランド的な存在だった。

LUMIX GH6 / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX GH6 / M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO

LUMIX GH6 / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX GH6 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
LUMIX GH6 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

今まで映像編集はAdobe Premiere Proを使ってきたが、GH6を機に本格的にDaVinci Resolveに移行することにした。

DaVinci ResolveはBlackmagic Designが日本に上陸した頃に一度試したことがあったが、当時のバージョンでは仕事に使うには辛いものがあって放置したままだったが、今やバージョンも17となって名実ともに立派なノンリニア編集ソフトにのし上がってきた。

かたや最初に使ったPremiereのバージョンは6だっと記憶しており、映像編集で稼いでいた頃からの付き合いだが、さすがに建て増しにつぐ建て増しで最近は重い遅い高い..Creative Cloudなので料金は込みだけど..ときて、メイン業務でないここらが移行の潮時と考えた次第だ。

近年、映像クリエーターの間ではLogやRAWで収録した映像をカット編集し、LUTやLOOKを当ててカラーグレーディングして仕上げるのが主流だが、そういう編集フローでは旧態然としたPremiereのUIよりDaVinciのほうがしっくりくるものがある。

何より最後の足枷だったPremiereの呪縛から逃れられると、毎年納めているAdobe税を大幅に減額できるメリットがあったりするのだなw

今回もGH6の強力な手ぶれ補正頼みで基本的に手持ち撮影としており、パナライカ100-400の望遠側であっても三脚は使用していない。

V-Logで収録しているのでLUTもV-709を当て、H.265で書き出してYouTubeにアップロードしている。

ちなみに一部120pのHFRを使用して20%スローとしているが、DaVinciで120pを使う場合は有償版のStudioにする必要がある。

OM-1はスピードと被写体検出ばかりが話題だが、従来から定評のあるJPEG撮って出しもさらに磨きがかかってなかなか優秀である。

オリンパスと言えば多彩なアートフィルターが知られており、正直使い所に悩むような効果もあるのだが、ツボにハマると面白い表現が可能だ。

世はレタッチ文化の百花繚乱だが、仕事でない限り普段はやってもJPEG撮って出しにコントラストの調整程度で済ませることがほとんどなので、JPEGの出力で手間要らずなのはありがたい。

OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO
OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO

OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

とは言え、この辺りは富士フイルムのフィルムシミュレーションがもっとも手間要らずで優秀だと思っているけどね。

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GH6は当初は見送る算段だったと以前書いた。その懸念理由は主に2点。

一つはマイクロフォーサーズらしからぬその大きさと重さで、同様に大きいG9PROと比較しても若干サイズが大きくなっており、35mmフルサイズのα1よりも大きい。重さに至ってはG9よりも160g以上重く、35mmフルサイズのEOS R5よりも重い。

この手の話は数値だけだと文字通り大きく重くなっているのは事実だが、実際はグリップを握った際の感触とバランスでかなり変わってくるので、GH6の実物を握った限りでは思っていたほどではないかな。と言いつつ、それはあくまでGFX100Sに比べれば相当には軽く小さいというだけであって、ED12-100あたりを付けて片手で保持するには重いとは思う。

Sシリーズを見ていればわかるが、パナはソニーとは設計思想が明確に異なるので、何でもかんでも小さくすれば良いというふうには考えおらず、使い勝手や放熱効果などを犠牲にしてまでマイクロフォーサーズという理由で小さく設計する気はさらさらないと言ったところだろう。

GH6が大きく..正確には分厚くなった..重くなった理由は、5.7K動画を無制限ノンストップで収録し続けるために、その放熱効果を狙った冷却用のファンの搭載なのは間違いない。

OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

S1Hではお馴染みの放熱用のスリット。内部の温度上昇時に回るファンはその奥に配置されている。

個人的に長時間収録することは稀なので、真夏でもない限りファンのお世話にはならないと思っているが、こればかりはその状態にならないと何とも言えないので、保険の意味でもあるとないの差は大きい。

こういったある種古典的な手法..暑ければ扇風機を回す的なw..であっても確実性の高い仕様を実装できるのがパナであり、たとえ民生機であっても手を抜くことがない。残念だがこの手の質実剛健な発想がソニーやキヤノンにはない。

この冷却用ファンに関係して、パナは動画撮影を想定して以前から背面モニターはバリアングル型を採用している。バリアングル型は自撮り用途でも使えるので、ユーチューバーな人たちにも好まれるのは周知の通りだ。

ただ、横に展開した時点でHDMIなどケーブル類と干渉するのが問題だったので、そのためにわざわざ外付けモニターを使う向きもあったのだが、冷却用ファンの厚み分だけ背面モニターが後ろにずれた上に、S1H同様にチルト機構まで組み込んできたため、横方向に展開してもケーブル類との干渉がなくなったのは地味にありがたい。

OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro

二つ目は動画のEXテレコンが無くなったこと。で、これは結論から言うと拙者の勘違い..と言うか情報不足だな..だったので懸念でもなんでもなかったのだけどね。

GH2以来、望遠野郎がパナのマイクロフォーサーズ機を使う最大の理由がこのEXテレコンの存在である。いわゆるテレコンバーターの類ではあるが、光学的に焦点距離を伸ばすのではなく、センサーの中央部分をクロップする仕様のため、ノイズ処理など除けば理論上は画質劣化がないという利点がある。

他社ではクロップした上で画素補完して解像度を疑似的に上げる仕様が散見されるが、そのやり方は少なからず画質劣化を伴うことになるので、クロップして画素数が減ってもそのままにしてもらったほうが後処理で何とでもなるので都合が良く、それが動画なら尚更である。

画素数の関係で4K撮影時にEXテレコンが使えないのでGH5sを見送ったのと同様、GH6どころから以降のGHシリーズでEXテレコンが無くなる可能性があるのかと残念に考えていたのだが、実はEXテレコンという名称がなくなっただけで、相当の機能が別の名前で用意されていたことに、事前にPDFマニュアルをダウンロードして読んでみて気がついたのである。

それが「動画撮影範囲」で選択できる「FULL」と「PIXEL/PIXEL」で、後者の「PIXEL/PIXEL」がその相当機能である。

PIXEL/PIXELはセンサーの1ピクセルを動画の1ピクセルとして記録するため、GH6の5.7Kセンサーだと4Kの場合は理論上は1.4〜1.5倍相当にクロップされる..公式にどこにも明示されていないのは不思議..ことになる。これは実機で確認してもそんな感じで間違いなかったので一安心。

と言うことで、GH6は重さの問題を除けば当方の使いかたでは懸念は払拭されているという話である。

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OM-1の鳥認識(被写体検出)の性能は概ね好評のようで、個人的にもこれくらいで必要十分だと思っているが、目の肥えたユーザーの中には厳しい意見も飛び交っていて、期待はずれとしている向きもある。

SNSにアップされているそういった残念な意見に添付されている写真を見る限り、そりゃいくら何でも難しいんじゃね?と思われるような構図や状況と感じられるケースが見受けられる。

中にはα1やZ9、R3に比べて劣っているという意見もあって、そりゃ70万もするカメラと20万で手に入れられるカメラを比べて、一体何に期待しているのかって話だぞ。

それでもOMDSによればOM-1のプロセッサにはまだ余裕があるということなので、市場に出てユーザーに揉まれ、何れフィードバックを受けて性能が向上していくことが十分に予想されると見ている。

OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

先日の霜が降りた畑に佇むヒバリ。これはさすがにOM-1でもピクリとも反応せず。でもAFターゲットをsmallにしたらバチピンだったけどね。

被写体認識ばかりが話題になるが、1053点と大幅に増えたAF測距点がすべてクロスセンサーということで、明らかにフォーカス精度が上がっているのを感じられるのは地味に良い。

画素数を無駄に多くせずとも画質が良くなることをOM-1は証明していると思う。

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GH6で収録できる動画フォーマットの数は、ざっと数えただけでもVFRの細かい設定を含め優に100を超える。しかも本機からProResでも収録できるのだから驚きだ。

そのおかげで、先週末から毎日のように誰かしらから記録形式はどれを選べば良いのか?という問い合わせが入っていて、パナにはいい迷惑だと文句の一つも言いたいw

ただ今回は拙者の周囲でもそれだけGH6に手を出した関係者やアマがいるということでもあるので、巷の噂通り売れているのは間違いないようだ。

実際それを裏付けるように、市場から予備バッテリーが手に入らない状態で、後から追加で注文した分が納期未定のままである。型番はDMW-BLK22でS5と同じなので、手持ちに2つばかりあるのと、三脚運用時はモバイルバッテリからPDで給電することになるので当面困ることはないが、予備は多いことに越したことはない。

と言うのも、GH6は最近のデジカメにしてはなかなかの大食らいで、尺にもよるが手ぶれ補正効かせつつああでもないこうでもないと動画収録メインで回していると半日どころか2・3時間しかもたない。

そしてその原因の一つであると思われる手ぶれ補正は、噂に違わぬ強力なもので期待以上に感じる。フィックスであれば手ぶれ補正ブーストが使える..パナ純正レンズという縛りがあるが..し、通常モードのままでも動画向けに抑制の効いた補正によって不自然さを感じさせない。

平野部から桜満開の便りが届いているが、県北の里山はまだ寒々とした景色で、苗代桜の別名もある樹齢500年とも言われる発地のヒガンザクラは冬の装いのままだ。

この映像は望遠時に一部三脚も使っているが、基本的に手持ちで撮影している。本格的に映像制作に関わるなら3軸補正可能なジンバルがあった方が良いが、GH6ならジンバルなくてもなんとかなるところまできているかな。

この手の映像作品が手間要らずでサクッと撮影も編集もできてしまうのは、まったくもって良い時代になったもんだとしみじみ..

LUMIX GH6 / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S. / 手持ちハイレゾ

LUMIX GH6 / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S. / 手持ちハイレゾ

LUMIX GH6 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 手持ちハイレゾ

LUMIX GH6 / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S. / 手持ちハイレゾ

LUMIX GH6 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

そしてGH6は文字通り動画も写真も撮れるカメラなので、まったく同じ機材で4K 4:2:2 10bitの映像と1億画素の写真を撮ることができる。

ちなみにOM-1の手持ちハイレゾは5000万画素だが、GH6は2500万画素センサーから1億画素!の手持ちハイレゾショットが可能。ただその分GH6のハイレゾ合成はOM-1の倍以上かかるので、常用できるのはOM-1のほうだろう。

先日はOM-1の2000万画素を「少ない」と書いたが、それはあくまでマーケットでの一般的な反応であって、個人的には2000万画素でも必要十分だと思っている。

カメクラ界隈で画素数を気にする人が多いのは承知しているが、現実的に2000万を超える画素数などまったく必要としていないというのは、GFX100Sで1億画素の画像を得られる立場にあっても変わらない意見である。

納品の成果物としてみれば1億画素で撮ったと言えば喜ぶクライアントがいるのは確かだが、実際に印刷物となるレベルなら1000万画素でも問題ないし、それがWebならば尚更である。

まあこの手の話は現実を知らない大きなセンサー&多画素絶対主義的な輩には通じないのであるが、そういう連中に限ってインスタなどSNSにアップして喜んでいたりするので、結構根が深い話ではあるわけだが..

OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 手持ちハイレゾ

マイクロフォーサーズはセンサーサイズが小さいが故に、画素数を増やすと高感度でノイズが増えると言う問題を孕んでいるのは現在でもそう変わらずである。

それにそもそもセンサーはソニーなどの外販頼りなので、多画素仕様のセンサーが出てこない限りはどうにもしようがないと言う問題もあるしね。

そこで複数の画像を同時に撮影、それらを少しずつずらしてコンポジットして画素数を増やすハイレゾショットなる機能を用意しており、さらにOM-Dの場合は手持ちハイレゾ(5000万画素相当)なる飛び道具まで搭載している。

この手持ちハイレゾは強力な手ぶれ補正を持つOM-Dならではと言え、前モデルのE-M1Mk3やE-M1Xにも搭載されており、マイクロフォーサーズで5000万画素のデータが得られるのは便利だったので多用していたが、カメラ内で撮影後に合成する都合上処理に15秒以上掛かっていたのがネックだった。

それがOM-1では5秒程度まで大幅に短縮され、ありがたいことこの上ないのである。

OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 深度合成

ハイレゾと似たような技術を使っている機能に、手前から奥までピンをずらしながら撮影して被写界深度内に収まっているかのようにコンポジットする深度合成がある。

ハイレゾと違ってレンズの収差が影響する関係上純正レンズしか対応していないが、一連の処理がカメラ内で完結するためこちらもよく利用しており、この深度合成にかかる時間も半分程度に短縮されている。

この他、スローシャッター効果のライブND、比較明合成のライブコンポジット、HDRなど本来PC上でPhotoshopなど使って実現するような画像処理をカメラ内で完結できる機能を、OM-1からコンピュテーショナル フォトグラフィと名付けてメニュー上で一箇所に集めており、今後はこれらを前面に押し出していく算段のようである。

実は初めてE-M1Xを使った時、こんな便利な機能をなんでもっと宣伝しないのか不思議でならなかったが、OM-1からそこを訴求していくマーケに変わったのは良いことである。

写真の世界でいう合成という言葉にはあまり良いイメージがないのも事実だが、まったく異なる状況の絵面を張り合わせたいわゆるインチキとは異なる性質の合成なので、スマホがすでにそういう方向性であるように、最初からデジタルデータなのだからカメラ内できることは全部やってしまって構わないし、個人的にはデジタルカメラとはそうあるべきだと考えている。

ということで話を画素数に戻すが、2000万画素程度に抑えているからこそのコンピュテーショナルフォトグラフィとも言え、恐らくこれ以上の多画素ではまたカメラ内での処理に時間を取られてしまうので、そういう意味でもこのくらいで十分という考え方になろうか。

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GH6

2022/3/27

LUMIX GHのニューカマーはもはや完全なシネマカメラの領域に踏み込んできた、GH6はまさにそう思わせるカメラだ。

すでに先代のGH5から本格的にそっち方向へ振ってきていたが、よりその位置付けは鮮明となり、35mm版のSシリーズとの棲み分けをする意味でも、またマイクロフォーサーズから撤退しないという意思表明..まあ今のところはと考えた方が無難だが..とも受け取れる。

ミラーレス機が主戦場になって以降、各社が挙って動画性能を喧伝してきているが、最大解像度で撮れば周辺がクロップされたり、フレームレートを上げると途端に熱停止したりと、何々をしなければ出来るが何々をしたら出来ないとったエクスキューズ付きのケースが多い。

その点、外部ストレージに頼ることなく4K60Pをノンストップ無制限に記録でき、5.7Kからオーバーサンプリングして出力される4K120Pなど、クロップなし4Kの解像感と広大なダイナミックレンジのヤバさは、映像制作者ならすぐにわかるはず。

センサーサイズが小さいマイクロフォーサーズの優位性を逆手にとって条件付き何々を排した結果、GH6は現在市場にある動画が撮れるミラーレス一眼カメラの中で、間違いなくトップクラスのモンスターと言える。

iPhone 13 mini

1ヶ月前までは6は見送る算段でいたが、いつもの保険をかけておいてそれをキャンセルしていなかったが為に発売日に手元に届く事態になったw

G9PROとS5の嫁ぎ先がすぐに見つかったのも大きいが、久しぶりに映像制作のジョブが入ってくることになったので、まあ大人の事情というのが実際のところだ。

ニューカマーをすぐに実戦に投入するのか?という疑問もあるかもだが、撮影自体はまだ少し先のことだし、何よりLUMIXの操作性は従来機とまったく同じなので、10年以上GHシリーズを使ってきた身には新型でも何も問題ない。

LUMIX GH6 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 4K映像から切り出し

ジンバル要らずと評判の強力な手ぶれ補正のテストを兼ねて、手馴しに軽く近所で撮影。

4K60P 4:2:2 10bit Long GOPをV-Logで収録し、PremiereでV-LogのLUTでカラー調整してみたが、想像以上に情報量が多いヤバい感じの絵面に久々感動。

と言うことで本日雪解けの庭先でフキノトウを収穫したのと、ウグイスの今シーズン初鳴きを観測したことも併せて報告しておこう。

さえずり飛翔

2022/3/26

高速で飛ぶツバメの仲間を除けば、空抜けでゆっくり飛んでいる鳥は近頃の動物認識や被写体検出といったAI判定を頼らずとも、そう撮影自体は難しいものではない。

もちろん、それ以前に超望遠レンズでフレーミングできるかという問題はあるが..

AF駆動も位相差式であれコントラスト式であれ、画面内に他に目立つオブジェクトでもない限りはすぐに捕捉して追随してくれる。

OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

OM SYSTEM OM-1 / M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS

春なので畑のあちこちでヒバリたちが終日賑やかである。ヒバリのさえずり飛翔は一見するとのんびり飛んでいるように見えるが、これが側から見ているより意外に難易度が高い。

似たような行動にカワセミの仲間や一部の猛禽類が行うホバリングがあるが、あれは空中一点にほぼ静止するため、シャッタースピードさえ早くすればそれなりに動きを止めることができる。

その点、ヒバリのさえずり飛翔は一見止まっているように見えても、高度が少しずつ変化する上に常時微妙に前後左右に動くため、AF-Cのようなモードであってもタイミングによっては微細な被写体ぶれが発生して、きっちり解像しないケースがある。

先日積層型センサーの高速読み出し云々を書いたが、データを素早く読み出した後、諸々演算後にバッファリングし書き出すという一連のシーケンスが素早く行われることになるので、それがローリングシャッター現象の軽減となって、結果的に解像寒の向上に起因していると思われる。

どんなに高速シャッターを切っても、データ処理の間..人の感覚など無縁の刹那だが..に被写体が動いてしまえばそれはそのまま被写体ぶれということになるので、いかに高速にデータを処理できるか否かが重要なのである。

と言うことでそのヒバリのさえずり飛翔を狙ってみたが、朝方のまだシャッタースピードを稼げずISO感度を上げるようなシーンで、例えばG9PRO辺りだとピンはくるが解像せずに輪郭が溶けてしまうような状況でも、OM-1はそれなりに解像している。

今回OM-1は従来機と同じ2000万画素に画素数を抑えてきたが、裏面照射積層型センサーを採用することで、その画素数の少ない点を逆手にとったスピードスター的なミラーレス機に仕上がっている感がある。

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