一筆啓上
鳥は鳴くことで何らかの意思表示を行っており、鳴く理由としては求愛、誇示、警戒が挙げられる。
中でも、鳥の特徴の一つであるのがさえずりであるが、朗々と歌い上げるタイプや、短い調子を繰り返すタイプなどがいて、歌い手として美声がよく知られた種も多い。特にウグイス、オオルリ、コマドリの3種は、日本三鳴鳥として古くから日本人に親しまれてきている。
鳴くことで意思表示を行うとは言うものの、時々何故今頃、または何故このタイミングで鳴くのか、という疑問になるケースも散見される。
繁殖の前期に鳴けば求愛であることが多く、繁殖中であれば警戒と言った判断もあるが、繁殖も一段落したあとでも縄張りと思しきソングポストで朝から延々とさえずっている種もいる。
繁殖に失敗したか、ペアリング出来ずに独り身を嘆くのか定かではないが、聞いている側からすると求愛期のそれと変わらないので、何とも心情がうかがい知れずだ。
子育てが一段落したホオジロが、朝から林縁で「イッピツケイジョーツカマツリソーロー(一筆啓上仕り候)」と鳴いている。
ホオジロは夏の盛りのうちでもよく鳴いているので、求愛とか警戒とかそんな理屈とは別の理由があるように思えてならない。