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水鳥曼荼羅

2018/2/28

以前は観光目的で盛大に餌付けしていた水鳥越冬地が各地に見られたが、近年は鳥インフル問題への懸念もあってか、給餌行為自体を自粛または中止している場所が増えてきている。

鳥インフルエンザウイルスの人への感染はほぼ無いと言われてきたが、過去に感染例がまったくないというものでもなく、人口密集地ではやはり反対意見も根強い。そもそも事が起きてからでは手遅れになるので、管轄がお役所であればなおさら給餌再開には慎重にならざるをえないだろう。

人への感染問題もさることながら、ひとたび事態が起きれば当の鳥たち自身にも一気に広まる確率が高くなり、それがさらに周辺にも広がりを見せれば、希少種をも巻き込むパンデミックになりかねないので、何事もほどほどにという話である。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

埃を舞い上げながら次々に餌に群がり曼荼羅模様のようにうごめくオナガガモたち。

多々良沼に隣接するガバ沼では有志の手によって給餌が行われているが、ここも色々意見が出ているのは確かのようだ。

北帰行始まる

2018/2/27

3月の声を聞くのを待つこと無く、東毛の湖沼で冬を越していたコハクチョウたちの北帰行が始まった。

もう少し冬を粘ろうと思っていたが、生きものたちの季節移動を目の当たりにすると、そろそろ春を見つけ始めても良いかもしれないな、などと気もそぞろになる。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

賑やかで騒々しい連中だが、大型の水鳥が飛ぶシーンというのはいつ見ても迫力があって良い。

飛ぶ側の都合もあるので、フレーム内に一つの編隊を写し込むのはなかなかに難しい。それもできれば個々の飛翔型は美しくあって欲しいので、おっつけ連写に頼ることになるのは仕方ない。

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朝一に仕事で川場まで出た後、昼前に沼田で人と会う予定があったのだが、撮影仕事はすぐに完了して時間を持て余してしまったので、しばし近くの里山をうろついて時間を潰すことに。

春を待ちわびる田んぼ脇の小道をカメラ片手に歩いていると、近くの雑木林から声高々にガビチョウの鳴き声が響いてきた。今年は雪が少なかったとは言え、県北の川場までガビチョウが進出してきているのには少々驚いた。記憶にある限り、ここ2〜3年の話ではないかと思う。

赤城の南麓には昔からガビチョウが多く、我が赤城高原でも冬越してそうな個体を時々見かけるが、基本的に積雪地で通年は例が少ないと聞いていたので、春まだ浅いこの時期に武尊の麓で騒々しい声を聞くとはいやはやな話である。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

声を聞いた以上その姿も記録したかったが、何しろ声はすれども姿は見えず、こちらを警戒したのかついぞ藪から出てくることはなかった。

その代わりというわけではないが、車を停めてある空地脇の梢でヒバリの鳴きマネをするモズを撮ったところで時間切れとなった。

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昨年までは春先にちょこっと姿を見せる程度だったアトリだが、今シーズンはレストランオープンしてしばらくしたら2〜3羽が居つくようになり、年明けに一気に20羽程度まで増え、その後も順調に数を増やし続け今や30羽を越える最大勢力となっている。

しかも、最初は餌台の下でスズメたちが落とした余り物を拾い食いしていたのに、今は直接餌台に入ってヒマワリの種を食べるようになったので、朝昼と一日2回補充しなければならくなったのはちと面倒。まあ、普段は落ち葉の溜まった雪解けの地面に降りているときのほうが多いので、必ずしもヒマワリに執着があるようでもない感じではあるが。

ただ、カラスが上空を飛んだり、家の前を車が通っただけでもすぐにバババッと飛び立って動くので、その度に気が散って仕方がないと家人がこぼしているw

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.
LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

アトリは大陸から越冬のために日本列島にやって来るが、時々半端ない数で集まることがあって、過去には何十万羽みたいな話も聞くことがある。

拙者もかなり昔に長野で観たことがあって、それこそ蚊柱のごとく空を埋め尽くして飛び回っていたのを撮った憶えがあるのだが、何しろフィルムカメラ時代..C社New F-1かT90か、EOS-1かなぁ..その肝心のポジを探し出せないでいる。

デジタルになって目的のカットを選び出すのは容易になっていて、デジタルカメラの黎明期にせっせとポジをフィルムスキャンしてデジタル化を図っていたのが、どうもその作業から意図せず漏れてしまったようである。

今さら膨大なポジのゴミ山、もといレガシー保管庫からサルベージする気力は湧かないので、こうなるともはや如何ともしがたい。さりとて風景とかと違って簡単に撮り直すというのもできないので、「昔撮ったことがある」というお茶請け話にしかならない。

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正面顔

2018/2/20

地上に限った話だが、食肉目や猛禽類など食う側の生きものは、獲物との距離感を正確に割り出すのに立体視を必要とするので、目が顔の正面寄りに配置されている。

それに対し食われる側の生きものは、捕食者の接近を察知するのにより広範囲の視界を得る必要があるため、顔の側面に目が配置されている。

例えるなら、前者が望遠寄りのズームレンズを装備しているのに対し、後者は広角レンズといった感じだろうか。実際どのように見えるのかは知る由もないが、明らかに顔は向こうを向いているのに、すぐにこちらに気付いて飛んでいってしまうというのは、人生もう何度も遭遇している場面である。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

オナガガモに限らず、食われる側の水鳥の仲間を正面から見ると、少なからずこんなふうな顔をしている。

こちらがレンズを向けているのでこの個体は明らかに拙者を見ていると思われるが、くちばしをこちらに向けているから必ず手前を見ているとは限らないのがこの連中の常だ。この場面でも背後から近づけば間違いなく逃げていくだろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

人間的に考えればこのケースでは左方向を見ていると思うだろうが、いやいやそれは大いなる勘違いで、ここでも間違いなく撮影者である拙者のことを気にしているのである。

G9 PROとVARIO-ELMAR100-400の解像力テストというかテクスチャ表現テストというか、何かそんな感じになっているが、最近のローパスフィルターレスのデジカメの解像感は凄いね。こういう被写体では旧態然としたローパスフィルター装備のデジカメ、うちで言えばGH4とかEOS 5Dとか以前の画像はちょっと使う気にならない。

氷上の舞い

2018/2/18

先日も書いた通りスポーツを観戦する高尚な趣味はないのだが、五輪とかワールド何とかの国際大会ともなれば、さすがにその結果は気になる。

ということで、先日の羽生結弦選手の2大会連続金メダルにはちょっと感動。前日のSPと合わせてフリーの演技を観ていたが、直前の怪我からの復帰戦でスポ根マンガばりの復活劇に目を見張ると同時に、同じ年頃の子供がいる親としては、かくもメンタルが強いのかと驚きだ。

それとこれは飲み屋の親父的話題になるが、銀メダルだった宇野昌磨選手にはちょっと同情。過去のフィギュアスケートから考えると銀メダルで十分過ぎる結果だが、金の羽生選手が同時代にいなければ宇野選手が金だったわけで。

たらればの話なので詮無きことなれど、同じく昨日競技があったラージヒルの日本勢のジャンプを観ていて、競技は公正であろうと理解するものの、運不運に結構左右されるもんだなぁと思った次第。そもそも五輪は4年おきという世代の問題もあるしね。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

優雅な氷上の舞いではないが、コハクチョウたちが凍った沼地の上で何やら揉め事の様子。この後、胸合わせの小競り合いの後、2羽は別々の方向に去っていった。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

そして仲裁者のみ1羽寂しく残ったとさ。

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上州で雁行?

2018/2/16

日本最大の流域面積を誇る利根川水系の源であり、首都圏の水がめとして機能する群馬は水には事欠くことはないのだが、自然湖沼が少ないためか、大きな水鳥の越冬地は少ない。

赤城の大沼や榛名湖などは比較的大きな湖だが、山上のカルデラ湖であるため冬季は凍結してしまうし、何より餌場となる水辺や休耕田が近くにないので、水鳥達が好んで立ち寄る場所ではない。

それでもカモの仲間は平野部の人工池やため池に休息の場を求めて集まってくるが、大型のガン類の姿を見ることは殆どなかった。そんな中で、東毛の多々良沼界隈はコハクチョウが越冬する..それも人口給餌が理由であることは否定しない..ことで知られていて、時々ではあるが迷鳥的にマガンが入ることもあった。

とは言え、やはり群馬でガン類を観るというのは稀なことであり、雁行目当てにはるばるみちのくの伊豆沼まで出掛けていくのが常道で、拙者もフィルムカメラの時代に足繁く通ったこともあった。

そんなマガンたちではあるが、日本の越冬地が改善してきたのか、そもそも数が増えて飽和状態なのか、関東近隣でも小群が越冬する姿を見かけるようになり、館林の城沼含め多々良沼周辺でも、数に変動あれど毎年のように越冬個体が入るようになったようである。

先日も着いてすぐに東の方から「カハン、カハン」とよく通る鳴き声が響いてきたと思ったら、50羽程度の群れがパラパラと凍った沼に落雁さながら降り立った。以前に2〜3羽程度なら観たことがあったが、さすがにこの数には驚く。

先に日本の越冬地が改善かとは書いたが、越冬ガン類の胃袋を満たせるだけの落ち穂を拾える環境が整ってきているものなのか、ちょっと興味のあるところである。東毛の湖沼でも朝夕の雁行が観られるようになれば、それはそれで面白いからね。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.
LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

ガンの仲間は水鳥の中でも大柄なので飛翔姿が絵になる。それにカモやハクチョウの仲間と違って人に媚びて人口給餌に群がることもないので、野生動物然としていてそれが良い。

そう言えば、今年越冬している群れの中にはカリガネが混ざっているとのことで、先日もそれ目当てらしき喧しいカメラマンが何人か来ていた。時折こちらの機材を眺めてはあーでもないこーでもないと話しかけ始めたので、こちらはその後に予定があったのであまり時間も取れなかったし、何より動画も撮っていたのでしゃべくりが煩いカメラ爺(と婆さまもいた)は勘弁である。

申し訳ないが業務上の営業行為でもない限り、知的でない低レベルの会話を強いられるのは人生において無駄以外の何ものでもないwので、このケースでは逃げるように機材を片付け引き上げたのは言うまでもない。

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小鳥の撮影でG9 PROの連写性能と画質については実証できたが、AF性能はどんなものかも検証しておく必要がある。

とは言えさすがに至近距離を飛び交うカラ類をAF-Cで追いかけるのは困難極まる..例え一眼レフの位相差式であっても..ので、ここは少し離れて狙える水鳥系が良いだろうと、館林に仕事で出かけたついでに多々良沼で試してきた。

データはすべてメカシャッターでプリ連写はなし、AFはAF-Cでゾーンはマルチカスタム、焦点距離は35mm換算で800mm相当である。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

まずは旋回しながら着水のために降下体制に入った状態。空抜け高コントラストのこの程度のシーンであれば、今どきの普通のAF一眼ならどんな機種でもピンを外すことはない。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

ちょっと露出不足で絵としてはアレだがw、コントラストAFにとっては鬼門のシーン。

密生したヨシを背景..しかも背景のほうが被写体に近い..にしてもなお、歩留まり良くAF-Cが連続してピンを合わせ続けてくれる辺り、G9 PROのDFDのAF性能は向上しているといってよい。GH4辺りでは間違いなく背景に引っ張られる。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

前の連写の続き。さらにさざ波だつ水面が加わっているが、それでもコハクチョウを追い続ける。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

同じく前の連写の続き。追っていたコハクチョウの成鳥の手前にいきなり幼鳥が被ってきたが、さすがにこれはより至近の幼鳥にピンが切り替わった。まあこればかりはDFDとは言えコントラストAFの宿命であろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

高速で飛翔してきたオナガガモの降下直前の1シーン。このちょっと手前からEVFで狙っていたが、中央に捉えてからAFをオンでシャッターを切っている。

ガンやカモの仲間は着水の直前に減速のために左右に体を振ってトリッキーな動きをする場合があるが、AFゾーンをマルチカスタムでやや広めに設定しておくと、被写体が左右に逃げても無難にAFが追い続ける。

さらに言うと、800mm相当の画角を手持ちで撮影できるのはマイクロフォーサーズ機ならでは。大型三脚に載せたEOS-1DXとEF800mm、それにD5とAF-S600mm..両機の組合せのカメラマンが何人か居合わせた..では、瞬間は狙えても至近での着水まで連続して捕捉し続けることなど困難だろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

手前に向かって移動してくる被写体のスケール速度は相当な速さである。至近になれば見かけ上の速度はなおさら早くなるので、これを手持ちのAFで追い続けるには、それなりのAF性能とそれを捕捉し続ける相応なフレーミング技術が必要だ。

また、一昔前のEVFでは遅延問題が常に足かせとしてあったが、ここまで撮れればスポーツ報道でも問題ないだろう。この時はG9のEVFは0.7倍でアイポイントを長く取って、スポーツファインダー的に使用している。

GH5の手ブレ補正も結構使いでがあって、仕事でもジンバルに頼ること無くお世話になることがあるが、G9 PROはそれをも上回る6.5段分の補正能力があるという。ならばそれを試してみたくなるのが心情というもので、しかも800mm(35mmmフルサイズ換算)という超望遠レンズで動画を手持ちで撮ったらどうなるか。

ちなみにG9 PROの動画性能だが、連続無制限というモンスター気味なGH5のスペックには及ばないものの、10分連続して4K/60Pを記録できる(30Pなら約30分)点では他社製品の比ではない。FHDなら180fpsのハイスピード撮影が可能な点もGH5譲りで、4Kでも60Pで撮って30Pに編集すれば1/2スローが可能である。

メーカーはG9 PROを写真のフラッグシップモデルと喧伝しているが、動画でも他社機を上回る性能があるということだ。

まずはヤマガラ。この時はG9 PROの手ブレ補正の揺り戻しのクセを掴んでなかったので、ちょっとフラつくこともあるが、ヤマガラがヒマワリの種を突く仕草は十分見て取れるだろう。

次はアトリでチャレンジ。撮影状況としては、両足で真っ直ぐ立ってカメラを構え、ファインダーを直接覗きながら撮影しているが、普通に呼吸するとさすがにカメラが揺れてしまうので、記録中はほぼ息を止めている状況で、4K/60Pの10分制限以前にそんなに長くは撮っていられないw

どちらの動画も比較用にAdobe Premiere Pro CCのワープスタビライザーを適用した尺を追加してある。そのままでも短い尺なら何ら問題ないが、ワープスタビライザーの適用後は逆に風で揺れている程度にしか見えないだろう。

三脚無しでの動画撮影というのはフッテージ屋としてはほぼないのだが、生きものの撮影で車の中から窓枠に固定してちょっと撮るようなシチュエーションではなかなか使いでがある。実際GH5ではそのように撮った映像も結構あるので、G9 PROの動画撮影ではなおのこと機会が増えると思われる。

それに噂ではGH5の春の新ファームで、G9 PRO相当まで手ブレ補正の性能が上がるという話なのは朗報。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

サンプルとして上記動画から1フレームを静止画として切り出した画像(6K/4Kフォトではない)も掲載。4Kからの切り出しで800万画素あるので、ブレがなければ雑誌やWebでは特に問題もない。この辺りもGH5と同様なのはやはり60Pであることが大きい。

6K/4Kフォトで起きる論争に、動画から切り出した静止画を写真と呼ぶのか?というのがあるのは知っているが、写真家として原理主義を貫くのか、表現者として結果を重視するのか、その辺りの立ち位置の問題なのでこの論争に円満な着地点はないだろう。

ただこれだけは言える。プロの仕事は結果として成果物に対し対価を支払ってもらうことであり、その過程に対する評価ではないということだ。どう撮ったか、何で撮ったかという部分にこだわるのは本人の勝手であり、そこを主張する時点でそれはアマチュアリズムの自己満足なのである。

G9 PRO最大のセールスポイントは、電子シャッターによる秒間60コマ、またはAF追随で20コマという連写性能だろう。これまでマイクロフォーサーズ最速だったオリE-M1 MarkIIの18コマを抜き去り、現時点で一眼デジの連写番長となった。

生きものを撮影するのだからさぞ連写するのだろうと思われがちだが、実は個人的には世の中が思うほど連写することはない。まあ、そもそも鳥など好んで撮っていたのはもう15年以上前の話であるし、その頃でも秒間5コマも撮れれば御の字だった。なので例え倍の10コマに上がったからと言ってそのありがたみを感じることもなかったのだが、それが秒間60コマともなるとさすがにこれは事情が変わってくるというものだ。

AF追随であれば有効画素数が近いソニーのα9がすでに秒間20コマで同等のスペックではあるのだが、α9の場合は使用レンズがかなり制限されていて、お高いG Masterレンズが必要というコスト面でのオチがあるのと、AF固定ながらも秒間60コマという韋駄天性能はない。

さらにG9 PROにはシャッターを全押しする前の24コマ..AF追随の場合は8コマ..を記録する「プリ連写」があり、これはオリのE-M1 Mark IIのプロキャプチャーと同等の機能である。そしてプリ連写による高速連写は、同時にファインダーをブラックアウトから開放してくれた。連写中も途切れること無く被写体をファインダーで捉え続けることができ、例えるなら「動画を撮るように連続写真を撮る」という感覚が味わえる。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

まずは普通に餌台からの飛び出し方向を予測、ISO3200でシャッター速度は1/16000秒で飛び出しと同時を狙ってシャッターを切る。秒間60コマ切れるとは言え、拙者程度の反応速度では連写してもこの位が限界。

そして次の3枚がプリ連写機能で全押し前のコマから合成した結果。注目ポイントは止まっている背景にあり、撮影時に流し撮りなどしていなことがお判りだろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

飛び出し直後からフレームアウトまで、1コマ0.01666667秒の刹那が見事に捉えらている。これが仮に秒間10コマなら1コマ写っていればマシな方だろう。しかもこの例では数mという至近距離での撮影なので、鳥などの飛翔シーンを狙った人ならば、この合成カットの意味する難しさは容易に想像つくはずだ。

使ってみて気になる点としては、RAWと同時記録の場合、電子シャッターによる高速連写時の撮影コマ数は最大で50コマ..JPEGのみだと600コマ..までなので、プリ連写との合わせ技でシャッター半押し状態のタイミングによっては、全押し後の撮影コマ数が半分になってしまうので、この辺りは慣れが必要と思われる。が、ここぞのタイミングでシャッターを切って、その少し前から記録できるというのは、時間の流れを操作しているようでなかなか面白い機能だ。

ちなみにパナには6K/4Kフォトがあって、そっちも秒間60コマだという向きもあろうが、6K/4KフォトはあくまでMP4動画として記録し、その中のコマを複数合成して静止画を切り出すという動画ギミックである。何よりチョコチョコ繰り返し連続して撮影するのはまったくの不得手で、書き込み動作中のダンマリも使い方によっては困る場合がある。その点で、普通に写真を撮るのとそう変わらず、秒間60コマでRAWまで同時記録できるG9 PROの連写性能は凄い。

目下の問題は、無駄カットの膨大なる山..6K/4Kフォトの場合は無駄な動画..が出来上がることだろうか。プリ連写したからと言ってすべてのカットが有効になるわけではない。見越し撮影では総じて半分以上は目的の被写体が写ってないことが多く、撮影後にひたすら有効なカットの選別を強いられることになる。

そしてもう一つ、このプリ連写機能をさらに有効とするためであろうか、シャッターフィーリングがかなりフェザータッチとなっており、GH5など従来機の感覚だとかなり無駄打ちをすることになり、これにはさすがに未だ慣れていない。

とは言え、人の技を遥かに超越した連写性能とブラックアウトフリーは、動体撮影では大いなる武器となろう。パナとしては2020年東京五輪に向け、プロ機として大きなシェアを持つC社とナイコン、さらにα9で猛追しようと目論むソニーに対し、マイクロフォーサーズで一矢報いたいと考えているのかもしれない。