冷え込めば山焼け
先週の大寒波ですっかり大気が冷え込んでしまったようで、連日日の出前は氷点下10℃が続いている。
こうなると晴れさえすれば周囲の山々でモルゲンロートの大安売りとなる。
それでもぐるり上信越国境すべての山々が山焼けするのは一冬にそう何回もない。
先週の大寒波ですっかり大気が冷え込んでしまったようで、連日日の出前は氷点下10℃が続いている。
こうなると晴れさえすれば周囲の山々でモルゲンロートの大安売りとなる。
それでもぐるり上信越国境すべての山々が山焼けするのは一冬にそう何回もない。
午後に仕事で平野部まで降りる用事があったので、朝から昼までクライアント近くの水場へ。
iPad片手に岸辺に腰掛け、カメラを脇に置きテルモスのコーヒーをすすりながら久しぶりに水鳥など観ながら過ごす。
普段は遠く空高く飛ぶ天狗様や藪の中のシャイな鳥しか観ていないので、目の前でのんびりしている水鳥たちを眺めるのは新鮮である。
何せ地元県北の少ない湖沼群はこの時期どこも凍りついて鳥がいないのでね。
今年はかなり多いと言われているスギ花粉。南関東の標高の低い山際の杉林はすでに準備万端の様子。
小生は花粉症と言えるほど辛い症状が出るわけではないが、この時期に屋外に終日立っているとやはり目が痒くなったりくしゃみが出るので、これ以上は影響が出ないに越したことはない。
どこぞの無能政府がコロナ明けの手始めにまずはマスクを外せと言い出し始めているが、そんなこと関係なく日本人はこの時期マスクを手放せない人が多いはずで、花粉の飛散量が多いと聞けばそれはなおのこと。
桜が散る頃までマスクを外す人は実質的には少ないだろうね。
ほのかに漂う甘い香りに視線を移せば、民家の庭先ではロウバイが咲き始めていた。
赤城・榛名・妙義の上毛三山など県南と県北を隔てる山々からは関東平野を望める。
特にこの季節は空気が澄んでいるので良い視界が得られ、100km以上離れた東京スカイツリーや新宿副都心、富士山、筑波山、八ヶ岳などの遠いランドマークを観ることができる。
登山であれ調査であれ高い山の尾根筋や山頂からの眺めは、登坂の苦労の跡だけにひとしおである。
大寒波襲来という話だったが、昨日は期待した?ほどは気温は下がらず、朝の時点で氷点下12℃。一応今シーズン最低ではあるが、過去にはもっと下がった年もあった。
大寒波とは言っても地勢で状況は異なるので、今回は西日本といつもの日本海側に影響が大きかったようだ。
ただ風は一昨日からかなりの強風が吹き続け、外仕事などする気もおきない体感気温は推して知るべしで、お昼前の時点でもマイナス11℃だったな。
え?東京も寒かったって?いやいや、氷点下4℃なんてこちらの日常なので、そこは鼻で笑わせてもらおうw
とは言っても寒さに慣れてない人には辛いだろうねこの極寒は。さながら牙をむく寒さって感じで。
天狗様フィールドへは調査とは別に観察用の地点探しに出向くことがある。
国土地理院の地図とGoogle先生謹製の衛星写真から、この辺からなら視界がありそうと目星をつけるのであるが、衛星写真がそもそも期待した季節のものでなかったり、撮影時期によっては植林や崩落で地勢が変わっている可能性もあるので、事前に下見に行くのである。
その時クソ重い観察機材一式を担いで汗かいて登るほど若くはないので、必然的にフィールドスコープだけの軽装備になる。
そんなフィールドスコープを載せるのに使っているのがPeak DesignのTravel Tripodである。
手元にあるのはカーボン製で、4年位前に同社がクラウドファンディングで製品化の募集をかけた時に乗っかったものなので、現在の市場価格の半分程度で手に入れたもの。
製品自体の評価は世のレビュー記事を読んだほうが参考になると思うが、剛性が低いとか評価している人はそもそもこの三脚のターゲットではないので、その辺は話半分に聞いておいたほうが良い。
名前の通りトラベル三脚としてなら必要十分だし、若い人にはスタイリッシュな仕上がりだろう。
ただ、同三脚は写真用を想定しているので、標準のギミック満載のコンパクトな自由雲台はフィールドスコープの操作には適さない。
そこで同じ用に軽量コンパクトなビデオ雲台(Leofoto製)と合わせることで、スコープを載せて観察行為ができるように独自にカスタムしている。
と言っても大したことではなく、ビデオ雲台側にクイックプレートを装着して、標準雲台にカメラのように載せているだけである。この辺りはPeak Designが自社製品をアルカスタイルで統一していることの恩恵と言って良いだろう。
実はこのセットはフィールドスコープだけでなく、一般の動画撮影用途としても使用している。
動画の撮影で必要になるのは水平出しなので、標準装備の自由雲台のギミックを利用して、三脚から雲台を浮かせる..単純にセンターポールを伸ばすだけ..ことで、雲台の可動部分をレベラー代わりとして使っている。
今や手ブレ補正が実用的なので、写真を撮る時に三脚を使うことはめったに無いが、ビデオ雲台自体はクイックリリースに載っているだけなので、必要とあればワンタッチをこれを外すことで、通常の写真撮影にも使える。
さらにこれは傾斜地でフィールドスコープで使う際にも有効となる一石二鳥の仕掛けでもある。
ちなみに使用しているフィールドスコープはスワロの初代65mmストレートで、ズームアイピースは後継に換装。国内販売と同時に手に入れているので早20年を越える代物である。
一度林道脇の法面に不注意で倒した際、アイピースが外れなくなってメーカー送りになり、3ヶ月ほどオーストリアの旅をしてきたことがあった。
もちろん30年保証のスワロ品質で外装含めピカピカになって返ってきて、それ以来光学製品はすべてスワロフスキーで統一している。
小生にとってタンチョウは特別に思い入れのある鳥である。
そもそも鳥に興味を持ったきっかけが池中玄太80kgという、西田敏行が主人公の通信社のカメラマンを演じるテレビのホームドラマであった。
その劇中で主人公が北海道にツルを撮影に出かけるシーンがあり、そこで登場するタンチョウに心惹かれたからに他ならない。
そこから鳥に興味を持ち、色々調べるうちに近所に巨大なワシが生息していることを知ってツルから天狗様へと至って現在に至る。
話をドラマに戻すが、劇中で主人公の死に別れた妻が鶴子といって、それ故にタンチョウを特別視している設定だったのだが、位牌と一緒に飾られていた雪原で求愛ダンスをするタンチョウの写真が、その道では先駆者として知られていた林田恒夫氏撮影のものであったのは知る人ぞ知るである。
旧千円札の裏面のデザインに使用された写真も氏の撮影したものである。
その林田先生が先日亡くなられたということで、感傷的に昔のことをちょっと思い出していた次第。林田先生は阿寒で何度かお見かけしたことがあるが、何よりご冥福をお祈りしたい。
これは使用機材からしておそらく1990年代始めの頃。憧れのタンチョウを撮影するために阿寒に足を運んだときのものだ。当然時代はフィルムカメラである。
デジタルカメラしか知らない、一日で何百枚何千枚と撮る今の時代の若い人には想像もできないだろうが、秒間5コマ程度しか連写できないカメラで、良いタイミングで36枚撮りきらないように大事に慎重にシャッターを切っていた古き良き?時代だ。
今となっては自分でも信じられないがラックピニオン式のMFでピンを合わせていたのだから、自分で言うのも何だが神業だなw
ただノスタルジーとしては良い思い出の範疇であるが、この時代に戻りたいかと言われると機材的にはまあ微妙ではある。