年別アーカイブ : 2018

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高原を吹き抜ける新緑をまとう初夏の風に、林道脇の山桜が枝を揺らし花を散らす。

山際から萌黄の光が差し込むと、散り行く花びらに命が灯るかのように輝いては消え、やがて地を覆ってゆく。

風が吹くたび、川辺を舞う蛍が放つ明滅のようなその刹那の輝きは、繰り返される季節の営みを約束するものだ。

さあまた来春に逢おう。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / Velvia

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / Velvia
カテゴリ:花・植物|タグ:

緑でも青

2018/5/4

初夏の頃、芽吹き前の目立つ枝先で歌っている姿を見かけるためか、夏鳥だと思っている人がいるが、本州以南ではアオジは留鳥(高地では漂鳥)である。

冬は越冬のために低地のヤブの中で過ごし、チチッという同属のホオジロによく似た地鳴きをしつつ、繁殖期とは打って変わって実にステルスな鳥である。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

歌声と違って色味は案外地味なものである。写真のように芽吹き前だと声の大きさと合わせてそれなりに目立つのだが、季節が進んで新緑が増してくると、声はすれども姿は見えずを地で行く感じ。この辺りは近縁のノジコも同様である。

ちなみにアオジは漢字で青鵐と書く。緑色なのに青とは不思議なものだが、古来の日本では緑を青に含めて表記していた..平安時代くらいまでは色は黒、白、赤、青の4色だった..ことによると思われる。そういう意味でアオジはその頃の慣習に倣っているのだろう。

なのでアオジを見かけると、高校時代に後輩がミドリジとよく言っていたことを思い出す。

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北部フィールドの標高1200m以上のブナ林でもボチボチ芽吹きを迎え始める頃だが、北向きの林床にはまだ残雪が見られる。

もっとも例年ならまだ一面雪に覆われているわけで、今年は早くからそこここで根開けが始まっていた様子が見て取れる。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / PROVIA

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / ETERNA

この時期にしては気温が高く、けもの道ともつかぬ山道を歩きどうしで額に汗するが、林内に入って残雪上で小休止していると、時折吹く風もひんやりとして心地よい。

すぐ近くでコルリが高らかに鳴き、樹上ではクロジが恋の歌を歌っている。不意に笹を揺らしながら何者かが遠ざかっていくが、それがヤマドリと判った時にはすでに遅きに失たりである。

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例年ならGW中に咲き始める近所のヤエザクラが、他に倣って先週のうちに満開になった。

この木は去年台風で一部折れた上に、道路側に被り気味だった枝も何本か伐られていたので、勢いが削がれるかと思いきや、意外に今年も元気に花を付けた。

ソメイヨシノと違って花期が長いので、まだもうしばらくは楽しめるだろう。

FUJIFILM X-H1 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS / Velvia
FUJIFILM X-H1 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS / Velvia

学校周辺では、卒業式や入学式に合わせて桜が花を咲かせるように計算されて植えられているが、一番好まれるソメイヨシノはあっと言う間に満開になってあっと言う間に散ってしまうので、花期の長いヤエザクラとセットであることが多い。

白くて一重のソメイヨシノと違って、ヤエザクラは名前の通り花びらが八重..実際の数は品種によって異なる..であるため、透過光で撮影した時に、その色の変化に深みがあって美しい。

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おとなしい

2018/5/1

標高1100m少々の谷筋を歩いていて、その左岸側の斜面をトラバースしようとしてばったり遭遇。

大体このくらいの距離感だと威嚇されることが多いのだが、この個体は意外におとなしく、こちらを気にする様子はあるものの、写真撮影の後に三脚を立てて動画まで撮らせてくれた。

虫の居所が良かったのかもね。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

換算600mmぐらいでの撮影。早朝で林内にはまだ陽も差し込まず薄暗い状況だったが、G9 PROの強力な手ブレ補正で、ISOを無駄に上げることなく1/200秒程度でも難なく手持ち撮影。

ま、そもそもカモシカも反芻中で動きがないので、そういう意味では相乗効果だけどねw

GWはGolden Weakの略の通り(大嘘)、社会の枠組みに囚われない自由人..と言うほど実は自由ではないがw..にとっては迷惑千万な国民的大休暇である。

どこに行っても人・ひと・ヒトの長蛇の列に、たとえそれが田舎の山の中であっても他県からの山菜採りや釣り師で溢れ、とても行楽に出掛けようなどとは努々思わないようにしている。

もうこの時ばかりはひたすらGWが走馬灯のように過ぎ去ることをひたすら祈りつつ、たとえお天道さまがニッコリ微笑みを見せようとも、業務やらデータ整理やらデスクワークに励むのである。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR
FUJIFILM X-T2 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS(3枚目)
Velvia

例年ならGW明けに見頃となる鳥居峠のアカヤシオがイイ感じである。写真はちょっと前のものなので、駒ケ岳の南斜面含め今日辺り満開ではないだろうか。

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新築案件

2018/4/29

春先にドラミングが響いていた近所の雑木林で、せっせとコゲラが巣穴を掘り始めていた。キツツキの仲間は毎年新たに巣穴を掘るが、それはコゲラも同様だ。

昨年もこの同じ朽ちかけたニセアカシアに掘っていた(写真右上の穴)が、結局ここはシジュウカラが使っていた。キツツキの仲間は森のホームビルダーとなって他の生きものに住宅を提供しているが、果たして今年は自分で住むことが叶うかどうか。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

左が先週末で右が昨日の状況。一週間ほどかけて自身がすっぽり収まるほどにまでなった。コゲラはパッと見で雌雄の区別がつかないのだが、巣穴掘りは共同で交互に行うはずである。

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迸る雪解け水

2018/4/28

この冬いかに雪が少なかったと言っても、さすがにこの時期の片品川の流れには勢いがある。それはこの吹割の滝の下流にある園原ダムが満水であることからも判る。

雪解け水は春の農繁期には無くてはならない大切な水資源だ。本格的な梅雨まで保たせるために、首都圏の水瓶たる県内各地のダム湖の蛇口は、綿密に計算されて開け締めされる。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / ETERNA(1枚目・2枚目・4枚目)
FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / PROVIA

滝の轟音に紛れて、上流からビビッビビッと鳴きながらカワガラスが飛んできた。それまでスローシャッターで流していたのを急遽高速シャッターに切り替えて、水の流れ共々写し止めた(写真5枚目)。

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温故知新

2018/4/27

近年、時々鉄道写真をアップしているものだから、鉄ちゃんになったのかとか、主旨変えでもしたのかと人によっては言われる機会が増えている。

だが、そもそも拙者はネイチャー分野の写真しか撮らないわけではない。テーマのある個人的な作品作りではそういう方向性であることを否定はしないが、素材として販売する写真や動画フッテージは当然としても、請負なら人でも建造物でも商品でも何でも撮るのである。

ただ、生来の生きもの好きと同時に歴史好きという側面もあってか、あえて言うなら古い造形物なら興味が湧くというのはある。城郭や神社仏閣のような歴史的な建造物や古い構造物、それに蒸気機関車をはじめとするレトロな乗り物などなど。

次から次へと生み出される新しいものではなく、もう今以上何かが新しくなることなく、現状維持を目指しているモノについては、記録するという意味合いも大きいからね。

それにこれはあくまで個人的な感覚だが、古いモノは以外に自然との相性も悪くなく、結構調和していると思っている。歴史的な寺院などはまさにその代表例で、存在する空間に溶け込もうとデザインされたとしか思えないケースも多々ある。

もちろん最新であることを否定はしない。が、古いものを知りその存在価値を認めるからこそ、新しきものが活きてくることを忘れてはならないのだ。

FUJIFILM X-H1 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR / PROVIA

走行中のSLをなるべく正面から撮ろうとすると、言葉通りなら線路に立つしかないのだが、それはどう考えても危険だし、そもそも法的に問題大ありである。

だが、真っ直ぐな線路も何れはどこかで必ず曲がるものである。その位置を見定め、望遠レンズで圧縮して撮れば、それはまさに狙い通りだ。

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まだまだ桜

2018/4/26

何度も書いているが、この春はとにかく花の動きが早い。しかも色々が皆一緒にやって来るので、タイミング良く撮れたり、また撮り逃したりとバタバタしている。

そんな中、今週は県北のあちこちでヤマザクラなどつまみ撮りしていたので、GWを前に在庫一掃しておこう。

FUJIFILM X-T2 / XF10-24mmF4 R OIS(1枚目)
FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR(2枚目)
FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR
Velvia

1枚目は花咲のオキノ桜だが、ギリギリ何とか間に合ったかなという感じ。肝心の天王桜のほうは完璧に撮り逃してしまった。例年ならGWの後半くらいに満開になるので、一週間以上早く行動したのにねぇ..

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