カテゴリ : 鳥獣・環境問題

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欧州北部のワッデル海にあるアジサシのコロニーで鳥インフルが発生し、コロニー全体で壊滅的な被害となっているとのこと。

日本で鳥インフルと言えばその多くは冬季で、カモなど水鳥が多く集まる湖沼では同様の集団感染が心配されているが、今のところそこまで大きな被害は報告されていない。

新コロナと違って鳥インフルはてっきり季節性のものだと思っていたが、繁殖期にも発生するとなるとコロニーを形成して集団で営巣する種にとってはかなり危ういということになる。

Nikon F5 / AF-S Zoom-Nikkor 17-35mm f/2.8D / ウトウのコロニー / 北海道

Nikon F5 / AF-S Nikkor ED 600mm F4D + TC-14E / ウミウのコロニー / 北海道

FUJIFILM X-T4 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS / カワウのコロニー / 群馬県

コロニーを形成する理由は大きく2つあって、立地の問題で繁殖適地が限られていたり、集団的自衛権ではないが数の力で外敵から身を守るため。

そういったコロニーを形成する多くは水鳥の仲間で、各巣はほどほどの至近距離となるため、個体同士のいざこざも多く、こういった場所で鳥インフル入ってたら一発でパンデミックとなるのは想像に難くない。

新コロナは人の社会生活が引き起こしている点でその活動を抑制すれば抑え込むことも可能..それが機能していないのでパンデミックになっている..だが、自然界の種ではそれを知ることも図ることもできないので、これに関してはなるようにしかならないのが頭の痛いところだ。

新緑とともに虫が出始め、それを待ち構えていた鳥たちが一斉に営巣を始めている。まさに季節が一気に動き出した感がある。

そんな中で毎年の恒例行事となっているのが、巣から落ちた雛を拾って保護した、いやそれ拾わないで放置しておいて騒動である。

結論から言えば後者の放置が正しい行いなのだが、「見て見て私良いことしたのよいいね頂戴」写真がSNSに流れ出すことを止められないのが現実である。

止められない理由は、そもそも雛を拾った側は人としての善行をやっていると考えているので、野生では誰かの命が次の誰かの生命を支えているという自然の摂理など意識することがないからである。強いて言えば自己満足による衝動でしかないのだ。

ヘビやカラスに食べられちゃうからかわいそう、という感覚は一見すると優しい人を演出するのには最適だが、ではそれを食べて育つはずだったヘビやカラスの子はかわいそうではないのか?

その落ちた雛が親からもらっていたのは間違いなく虫やその幼虫だが、ではその口に押し込められていた虫たちはかわいそうではないのか?という話になるのである。

ヘビや虫と違って雛はカワイイという弁明が聞こえてきそうだが、それこそカワイイ生きものだけが絶対正義と信じ、そのカワイイ命を守るといういかにもSNS映えしそうで安っぽい自己満足に支配される筋書きに陥っているのである。

一昔前ならアザラシの幼獣..赤ちゃんと書かないと文句言われそうw..に、近頃ならモモンガやリス、街なかのノラネコ、シマエナガなど見た目受けする生きもの写真だけがもてはやされているが、一連の安っぽい正義感を量産している原因であることは否定できないだろう。

OM SYSTEM OM-1 / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

とかく忌み嫌われるカラスだが、カラスも自然界で生きる鳥である。巣から落ちた雛はカラスにとっては自然からの贈り物。落ちたことも含め人は手を出さずに放置するのが肝要である。

道東のオホーツク海沿岸に流氷がやって来て、新コロナ禍とは言えど観光シーズン真っ盛りの中、先月小清水町で回収されたオオワシの死骸からH5型の鳥インフルが検出された。

オオワシから検出されたのは国内では初めてのことだが、すでにクマタカやオジロワシでは例があるので、取り立てて驚くには値しない。

オオワシは国内での繁殖例はなく、冬季に越冬のためにサハリンやカムチャッカから渡ってくる。今の季節に道東を訪れれば数はそれなりに見かけるのでありがたみが薄れる感はあるが、生息地は極東だけに限られており、生息数も少ない世界的に希少種の扱いである。

そんなオオワシやオジロワシを餌で流氷上に集め、観光船で撮影させるツアーが人気だが、鳥インフルが出ているとなると催行自体が危ういものとなるだろう。すでに阿寒のタンチョウでは数年前から警戒が続いており、一部の施設では給餌行為をやめているところもある。

餌資源が不足する時期に給餌で鳥を集めるのはハクチョウ類などで昔から行われきており、度々問題視されているが、希少種の場合は特に注意が必要になろう。

国内では他には九州出水のナベヅル・マナヅルや、意図的な餌付けではないが宮城の伊豆沼周辺に集まるマガンなどの一極集中は、一歩間違えば全滅という事態も十分にありうる。

多くの生きものは繁殖期は単独またはつがい単位で行動するが、特に鳥類が冬は群れる傾向があり、餌があればそれは尚更強まる。そろそろこういった観光目的で生き物を集めるやり方は、見直す時期に来ているのではなかろうか。

Canon EOS-1D MarkIII / EF28-300mm F3.5-5.6L IS USM

流氷の中を進む観光船。露出補正で明るく仕上げているが、この時はまだ夜明け前。乗船しているのはほとんど海ワシ目当てのカメラマンたち。

この後、適当な沖合で流氷上にスケソウダラの切り身を投げ置いて、オオワシ・オジロワシが集まるのを待つと言う流れで、SNS界隈でよく見かける流氷バックの写真は十中八九この観光船からの撮影だ。

拙者も当時何度か乗船しているが、撮りたかったのは餌に群がる海ワシの姿ではなく、スケソウ漁船団..出漁の時間帯が同じなので並走するシーンを狙えるのだ..とその網からこぼれ落ちる魚のおこぼれを狙う海ワシだった。

もちろん目の前にオオワシやオジロワシが飛んで来れば撮りはするが、あくまで狙っていたのは豊饒の海である根室海峡に集まる海ワシたちであり、羅臼沖の海では漁船の絵は外せなかったからに他ならない。

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総裁選で永田町がゴタゴタしているさなか、狩猟で使われる鉛弾を使用禁止にすると小泉環境大臣が発表した。

「意外に知られてないかも知れませんが、鉛弾って鉛で出来ているんですよ」って言ったかどうか定かではないがw、あの我らがセクシー担当大臣にしてはなかなかの英断ではないだろうか。

狩猟に鉛弾が使われることで、山野に放置された残渣を糧とする生きもの、とりわけ大型猛禽類の鉛中毒問題が以前から取り沙汰されてきた。

特に北海道ではオジロワシやオオワシの越冬時期が猟期と重なって被害が多く出ていたので、道では鉛弾の使用は独自に禁止にしてきたものの、道外からやって来るハンターの中には依然として鉛弾を使用し続けている不届き者が多くいるのである。

水鳥猟が盛んなオランダや北欧のスウェーデンではすでに先行して禁止となっているが、鳥類の鉛中毒問題を理由に全国一律に規制が適用されるのは珍しい。

惜しむらくは、施行は2025年から段階的に行い、2030年中に鉛中毒ゼロを目指すという何とも悠長な話なので、ここさらに前倒しで進めほしいところである。

環境省には風発や太陽光発電の乱立に伴う自然破壊への対処などもっと率先して取り組んでほしい事案はあるが、経産省と業界団体との調整が簡単に進むとは思えないので、まずは省独自に判断できて周囲に影響がない..利害関係が少ないとも言える..鉛中毒問題からと言ったところだろうか。

ただ、ようやくセクシー担当大臣が仕事で目に見える成果を上げようかというタイミングではあるものの、前述の通り永田町界隈はそれどころではなく、総理大臣が代わることそれイコール新たな組閣となり、まあおそらくは環境大臣も代わるだろうなということで、後任がまたいつものごとく「誰がやっても同じ」大臣職に成り下がることが心配である。

Canon EOS-1D MarkII N / EF500mm F4L IS USM

道東の原野でエゾシカの死体にありつくオジロワシ。この時のシカの死因は不明。

オジロワシやオオワシも普通に狩りをして餌を確保するが、目の前に動物の死体があれば何の躊躇もなく食べる。それが餌が乏しくなる厳冬期ともなればなおさらで、交通事故による轢死体であろうがハンターの狩りの残渣であろうが関係ないのである。

こういったスカベンジャー的な行動は年齢に関係なく見られるが、経験値の低い幼鳥にはより強くその傾向があるようだ。

個人的な観察でも、最初に警戒心なく幼鳥がついばんでいるところへ、遠目に様子を見ていた成鳥があとからやって来て幼鳥を追い払い、ゆっくりと食事をするという光景を何度も観ている。

房総半島でシカの仲間のキョンが増えすぎて、農作物被害が出ているとニュースで観た。

そう言えば以前によく調査の仕事で房総へ出向いていた時、この辺りはイノシシも多いがキョンも結構いるんだよと現地の人に言われたのを覚えている。

房総のキョンは勝浦の観光施設の飼育個体が逃げ出して自然繁殖を繰り返すいわゆるカゴ抜けらしく、当時踏査で里山周辺の山に何度も分け入ったことはあったが、残念ながらついぞキョンを見たことは無かった。

こちらで言うところのシカの食害と同類なので、行政も有害駆除で対応しているもののまったく追いついておらず、減るどころか数は増える一方のようだ。

先の観光施設とは行川アイランドのことで、すでに閉園して久しいが、動物園としての志なく興行だけが目的の観光施設の末路とはまさにこのことであり、映画「ジュラシック・パーク」のストーリーそのものである。

恐竜に比べればキョンなどかわいいものだと言われそうだが、農業被害が出ている以上、人為的に減らす以外に良策はなかろう。

まずはシカ同様に良質な赤身のジビエだろうか。セーム革としても上質なものらしいので、そっちも利用価値はありそうだ。

カゴ抜け系も増えても影響ない生きものはともかく、人や他種に影響が及ぶ種類については、人の手で増えたのだから人の手で責任持って積極的に減らす努力をしなければならないぞ。

LUMIX GH4 / LUMIX G VARIO 14-140mm/F3.5-5.6 ASPH./POWER O.I.S.

房総半島は低山しかないが、それでも南部はそれなりに森や林が広がっている印象がある。それでいて写真のようにそこかしこに谷地が入り組んでおり、その利用内容を問わず付近はそれなりに民家も多く点在している。

何れもうちの村から見れば立派な集落と言えるが、東京周辺からすればれっきとした田舎ということになろう。

写真のように水田のすぐ脇まで人工林や二次林が迫っているので、それなりの大きさの野生動物でも容易に移動することができる感じだ。

余談だが、キョンと聞いて「八丈島のきょん!」というギャグを思い出した人は同世代だぞw

当時少年チャンピオンで連載されていた「がきデカ」は、あの頃の少年たちの間で一斉を風靡、こまわり君のギャグのマネは8時だよ全員集合の志村けんのマネと双璧だったw

ちなみに八丈島にもキョンは生息していて、房総の個体同様にやはり施設から逃げ出したカゴ抜けである。

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ここ2日ほどは夏らしい快晴となって、放置されていた草刈りに従事して庭先がようやくスッキリとした。

が、今日は再びどんよりな空模様に逆戻り。昨日も書いたがひとえに前線が本州付近に停滞しているためではあるが、こう大気が湿気湿気していると気持ちまで湿ってきそうだ。

そんな雨が降る理由が短期的に説明できる時点でローカルな気象の域を出ていないわけだが、この14日にはとうとう北極圏のグリーンランドにある3000m峰の山頂にまで雨が降ったというから驚きだ。これは観測史上初めてということである。

そもそも極地であるグリーンランド自体の降雨量が少ないのに、今年は1950年に統計を取り始めて以来で最も雨が多いとのことだ。

関連して北極海の氷の消失が急速に進んでいるという話は周知のとおりで、専門家をして「前代未聞」と言わしめるこの極地のハイランドでの降雨含め、昨日今日起きている一国周辺の気象の枠には収まらず、地球温暖化というグローバルな領域の問題にほかならない。

「毎日よく雨が降るね」などと呑気に言っていられうちが華だと、誰しも心得たほうが良い。

OM-D E-M1 MarkIII / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

龍が這うように雲がたなびく子持山。さながら地球を貪る人類に警告を与えるために、ガイアが龍の姿になって現れたか。

子持山は古い死火山なのでどこかにマントルとつながっていた痕跡があるはずだが、仮にそれがあったとしても陰陽道でいうところの龍穴かどうかは定かではないw

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国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の作業部会が、「気温上昇や豪雨などは人の活動の影響によるものという証拠がより強固になっている」と報告した。

2013年の前回の同じ報告書では「可能性が極めて高い」という表現だったので、より踏み込んだ判断を下してきたと言える。

今後20年程度の間に100年前と比べて平均気温が1.5℃上昇し、さらなる異常気象や海面上昇を引き起こす可能性が高まっているという警告も同時に鳴らしている。

今更ながらあらためて「人の影響」と示唆されても、前世紀からすでにこの未来の状況を憂いてきた人にしてみれば何を今更ということになるだろう。

問題となっている温室効果ガスを、各国がその決められた責任の枠に囚われることなく、それ以上に削減すること以外に問題解決の道はない。

だが、この新コロナ渦で経済にダメージを負っている各国が、このパンデミック明けに経済回復のために生産活動を再開することで、温室効果ガスの削減どころか上積みされてしまうことが懸念されよう。

人間に対し猛威を振るう新コロナウィルスだが、風が吹けば桶屋が儲かるではないが、直接的ではないにせよ地球環境に対して大きな影響を与える要因の一つになりそうだ。

OM-D E-M1 MarkIII / M.ZUIKO DIGITAL ED 8-25mm F4.0 PRO

ちょっと前まで初の熱中症警戒アラートが出ていた北海道だが、道北では一気に気温が下がって軒並み一桁台になっている。

ここ数日本州に強い雨を降らせている前線の北側は寒気なので、その影響がもろに出ているようだ。

道北や道東はどちらか言えば気温が低いほうが平常運転だろうとは思うが、この気温差は流石にきついだろうね。

我が家も春秋用の掛け布団でないと涼しすぎて夜中に目が覚めるほどだが、果たしてこのまま秋へと突入することになるのだろうか。

天狗谷へ行くはずだったが、先週の尾瀬に味をしめた家人から原の次は沼へとリクエストされ、急遽尾瀬沼周遊へと予定変更とあいなったw

iPhone SE

尾瀬沼に来たのはいつ以来かというほど久しぶり。前回はたぶん知人のカメラマンのガイドで来たのが最後だったかな。尾瀬と言えば普通は原のほうを指すので、仕事絡みでも足を運ぶのは尾瀬ヶ原ばかり。

大清水〜一ノ瀬間の往復6km超の林道歩きがかったるくてこっちのコースは敬遠しがちというのがあるが、低公害車による乗り合いタクシーの運行が始まっているので、今後は季節を変えて足を運ぶのもありかな。

ということで、東日本第二の高峰の燧ヶ岳をバックに今日も中の人登場w

OM-D E-M1 MarkIII / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

先週の原と同様、ミズバショウは終わってニッコウキスゲはこれからの時期なので、大江湿原は花も人も喧騒からは隔絶された静かさであった。

湿原と沼を渡る風が素晴らしく心地よい。

Google Pixel 5

大江湿原で見たかったのは原の時と同じで獣害状況。長蔵小屋を過ぎてすぐにシカのヌタ場が目に入ったが、前回訪れたときほどの酷さはない感じである。

花の端境期ということもあるが、商売柄と言うか思考がどうしてもこっち系なのでこればかりは仕方ないなw

Google Pixel 5

大江湿原もぐるりと防鹿柵で覆われており、地道だがこういう方法しか獣害を防ぐ手立てがないのが現実。動物園では生きものが檻の中だが、広大な自然環境では逆に人が柵の中ということだ。

OM-D E-M1 MarkIII / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

カワウは昔は見かけなかったが、近年は沼に常駐する個体が少なからずいるようだ。

尾瀬沼はその昔に長蔵小屋の主人が養殖を試みて勝手に放流した経緯があって、そのほとんどは失敗したが、一部命をつないでいる種類がいると聞いている。イワナなどはその代表だが、結構大物がいるらしいとは釣屋に聞いた話。流れ込みとか池塘にはアブラハヤがよく見られる。

沼は周囲約8km、水深は深いところ10m近くあるので、沼と言うよりは湖と言ったほうが適切だろう。カワウが餌を探すのは水深が浅い場所と思われる。

Google Pixel 5

混交林の樹間に水面が見え隠れする尾瀬沼の北ルートは、行ったことがある人には判る南東アラスカ感に溢れるエリア。但し、チシマザサには目をつぶるべしw

Google Pixel 5

先週は食っちまったあとで気がついたの写真がなかったが、尾瀬に来た際は名物の花豆アイスがオススメだ。鳩待峠ではソフトクリームが、大清水側ではジェラート(写真)でその濃厚な甘さが味わえる。

もちろん、尾瀬でなくても片品村の道の駅とかでも買えるけどね。

端境期の尾瀬

2021/6/21

梅雨の晴れ間に久しぶりに尾瀬を歩いてきた。目的は主に開発中のアプリのフィールドテストを兼ねてだが、まあそっちの話は追々。

ミズバショウが終わってニッコウキスゲにはまだ早い、そんな閑散期を狙っての行動で、その狙い通りに人出もまばらでヤマツツジが見頃を迎えた静かな尾瀬を歩くことが出来た。今回はレアな?当ブログの中の人の姿をw

iPhone SE / 尾瀬ヶ原を征く

話は逸れるが、尾瀬ヶ原の特異な景観と自然環境は置いておいて、その尾瀬の何が嫌かって、とにかくあの木道を列をなしてハイカーが賑々しく歩いている眺めである。過去、最盛期に足を運んで何度ゲンナリして帰ってきたことかw

まあそれはさておき、ついでに見たかったのはシカの食害対策の現状である。

OM-D E-M1 MarkIII / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / ミツガシワ

尾瀬はこの20年余りのシカの食害被害が尋常でなく、ニッコウキスゲやミツガシワがだいぶやられてしまっている。

氷河期の生き残りと言われるミツガシワなど、昔は池塘や堀..尾瀬では川を指す言葉..の周辺に多数の群落が見られたが、15年ほど前に撮影仕事で入り浸っていた頃でもすでに数を減らしていた。

Google Pixel 5 / 下ノ大堀川

今回見たかったのはその対策現場。ミズバショウ群落と至仏山の撮影スポットである下ノ大堀川周辺を、ぐるりと防鹿柵..正確にはネット..で囲んだという話を聞いていたから。

高さ自体はこちらの背丈より低いので、この程度の柵はシカが本気を出せば飛び越えるのは簡単だが、ポイントは堀に沿って設置してある点だろう。この状況だと多くのシカは飛び越えるのは躊躇するはずである。

OM-D E-M1 MarkIII / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / ミツガシワ

その下ノ大堀川で見られたミツガシワの群落。この10年のスパンだと、例えそこが木道沿いで人の往来があるところでもこのような群落は壊滅状態だったので、明らかに柵の効果が出ていると考えられる。

竜宮周辺にも同様の柵が掘りに沿って施してあったので、またキスゲの季節に確認に足を運んで確認したい。

OM-D E-M1 MarkIII / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / コバイケイソウ

シカの食べ物という視点だと、コバイケイソウはシカが好まない毒があるので食害自体はない。ただ、年によって当たり外れがあるが、その点は今年は当たり年なのかな。

OM-D E-M1 MarkIII / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

狭間の閑散期だったが、奇跡的に前幕の主役であるミズバショウ(写真左)と、次幕の主役であるニッコウキスゲ(写真右)を確認できた。

特にニッコウキスゲは木道沿いではこの1本だけだった。もちろんシーズンはまだちょっと先であるが。

Google Pixel 5 / 富士見田代から燧ヶ岳を望む

閑散期とは言えすれ違う度に受ける挨拶攻撃..時期が時期なんだから少しは考えろよって感じ..には閉口していたので、帰路は竜宮十字路から富士見峠を経てアヤメ平を周ってきた。

しかし、この尾瀬ヶ原(約1400m)からアヤメ平(中原山で約1970m)は富士見峠を経由するとその標高差は600m近くあって、平らなトレッキングコースと思われがちな尾瀬にあって、実はなかなか気合の入るコースである。

鳩待峠から至仏山が標高差で約630mなんで数字的にはそう大差ない。まあ実際の直登は300m程度ではあるが。

iPhone SE / 至仏山を正面に横田代を征く

尾瀬も全体的に設備が色々整備され、竜宮と富士見峠間にも昔はなかった木道があって驚いた。その分、鳩待峠・富士見峠間の整備が放置されているようで気になる。

アヤメ平は尾瀬ヶ原ほど人気がないのでシーズン中でも人はまばらだが、こういうご時世なんでいつ人出が溢れるかわからない。昔のように踏み荒らされる前に木道の整備は急務だろうね。

餌付けで罰金

2021/3/18

今月2日の自然公園法の改正で、一部の国立公園内でクマやサルなど野生動物に餌を与えると最高で30万円以下の罰金が課せられるようになった。

人の手で餌を与えられた動物が味をしめることで常態化し、それが前述のクマやサルであれば人的被害に繋がる可能性があるため、かなり以前から問題視されてきた歴史的経緯がある。

マナーを呼びかけるだけで済めば罰則の規定は必要ないだが、この問題は昨日今日に始まったわけではないので、未だ解決に至る道筋が見えてこないのが実情といったところだ。

古くは日光のニホンザル然り、北海道内あちこちで見かける観光ギツネ、最たるは世界自然遺産の知床におけるヒグマなど、一歩間違えば怪我では済まないケースも起こりえるわけだ。

直接の人的被害に繋がらなくても、常態化してしまうと結局そのしわ寄せは駆除という形で動物自身に向いてしまうため、良かれと思って餌を与える行為が逆に命を奪うことにつながることは、もっと周知徹底するべきであろう。

OM-D E-M1 MarkIII / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

県内某所で餌付けされているヤマガラ。餌を持っていなくても手をかざすだけですぐにやって来る。ここではヤマガラだけでなく、シジュウカラやコガラもやって来ていた。

鳥の餌付けのケースで有名なのは、新潟の瓢湖のような越冬で集まるハクチョウへの給餌だろう。鳥インフルエンザの集団感染の可能性が高まるので、一時は給餌行為を中止する風潮があったが、観光産業とも関係してくるのでなかなかすべてのケースで中止とはなっていない。

冬季は餌が不足するのでそこを人為的な給餌で補うのはそう悪いことではないと思っているが、問題は餌の量とその内容だ。公園などでパンの切れ端やパンくずを与えているのを見かけるが、パンは油分が多くて摂取し過ぎるとかえって寿命を短くしかねない。

やはり自然界にそのまま存在するものが望ましいだろうね。

ちなみに餌付けは意図的に行われるものだけではない。当地のような田舎では、家の敷地の端っこや農地の隅に残飯や収穫物の余りを捨てるケースが普通にあって、そんなところはタヌキやイノシシたちの格好の餌場となっている。

何も直接的でなくても、産業廃棄物含め間接的に行われるている餌付け行為もあるということである。

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