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あまり一般の人が休日の時に動きたくないのだが、久しぶりに晴れたのでちょっとフィールドに出撃。

夏場は草木が茂って見辛くなっていた林道脇のいつもの定点も、眼の前の草は枯れて周囲の木々も落葉したので、天狗様の観察には良い季節になってきた。

今年はこの分だと年内の積雪も遅くなるかも、とちょっと期待している。少しでも谷奥へ車でアプローチできれば、それに越したことはないのでね。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / Velvia

FUJIFILM X-H1 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / CLASSIC CHROME

FUJIFILM X-H1 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / Velvia

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / CLASSIC CHROME

写真は先月何回か通った覚満淵から。

この日の撮影時、年配のおばさん..歳を聞いたわけではないが恐らくお婆さんが正しいかも..が、ジッツオのカーボン5型の三脚にナイコンD850と70-200の2.8FLを載せて担ぎ、首には同じくD850クラスのボディに24-70の2.8を下げて歩いていたのを見掛け、ちょっとビックリ。

周囲に連れが居なかったのでソロだったようだが、バナリパのカメラマンベストにテンバのカメラバッグという出で立ちで、集中して黙々とシャッターを切っていた姿に思わずカッケーってつぶやいてしまったw

手ぶれ補正にかまけて手持ちでフラフラ撮影していた中年カメラマンにはちょっと近寄り難い雰囲気バリバリで、今思えばもしやどこぞの高名な写真家だったのかもと思い直している。

人は見掛けではないとは良く言うが、いやいやどうしてどうして、人生を永く歩んできた人は見掛けからして違うもんだね。

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大沼雲海

2018/10/22

今朝の赤城高原の日の出前の気温は3℃と、昨日に続いて今シーズンの最低気温を更新。もちろん日中はその寒さを引きずることはないが、この寒暖の差は秋特有のものだ。

寒暖差が激しい水辺では、露点温度に達した水分が蒸発せずに付近に停滞し、霧が発生する。風がなく空気が滞留しやすい低地や窪地など、地表付近に雲海のごとく霧が溜まる現象がこれに当たる。

そんなことでこの時期、放射冷却が見込める朝は赤城の大沼に小一時間ほど出かけることが多くなる。

FUJIFILM X-H1 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / PROVIA

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / Velvia

予想通りの雲海となった赤城大沼湖畔。

鳥居峠付近は氷点下1℃で、覚満淵にはビッシリと霜が降りて、日が差し込むとフォトジェニックな光景が広がる。サンデー毎日なカメラ親父とカメラおばさん達が、押し合いへし合い木道に押しかけてシャッターを切っていた。

パッと見、親父たちのナイコン率が高いのはいつものことだが、オバさんにはEOSに混じってフジのX-T2が多いのは意外だった。さすがにZとRが見掛けなかったけどねw

そんな中、覚満淵ではジョウビタキの雄を今シーズン初認。XF100-400片手に証拠写真でもと思ったが、渡来したての個体は異常に警戒心強くて近づけさせてくれない..

先月、新宿へ仕事で出た際、ペンタックスフォーラムのギャラリーで尾瀬の写真展をやっているのを横目で見つつ、時間が取れなかったので立ち寄ることは出来なかったが、その写真展のサブタイトルに「太古からの..」という表現があったのが少々気になっていた。

太古という表現には諸説あって、単純に有史以前を指す場合や、恐竜が闊歩していたような古生代を指す場合がある。約45億年という途方もなく長い地球の歴史を考えた時、縄文時代などつい最近の話であるため、個人的に太古というのは後者のイメージが強いのである。

で当の尾瀬の話だが、東から尾瀬沼〜燧ヶ岳〜尾瀬ヶ原〜至仏山という現在の景観で考えた場合、例えば、蛇紋岩で形成された至仏山は約2億年前にできたかなり古い山であるのに対し、燧ヶ岳が現在の形になった噴火は約2万年前のことである。

尾瀬沼はその燧ヶ岳の噴火でせき止められた沼尻川によって生まれており、いわゆる尾瀬ヶ原が現在の高層湿原となったのはさらにその後の話で、約8千年前と以外と最近の話なのである。

なので私見ではあるが、言葉の上で尾瀬のすべてを太古と表現するのにはやや違和感があるのである。

尾瀬ヶ原

Canon EOS 5D MarkII / EF24-105mm F4L IS USM / 晩秋の尾瀬ヶ原

これは余談だが、何年か前に友人を案内して尾瀬を歩いた時のこと。

尾瀬の木道をハイカー..賑やかな大阪のオバちゃんの一群だった..を引き連れ歩いていた若いガイドが、湿原を指差して「湿原はとても脆弱です。何万年もかけてこの状態になったので決して足を踏み入れてはいけない。回復するのにまた何万年も掛かってしまいます。」といった内容のことを訳知り顔で説明していたのを横で聞いてしまって..

尾瀬の貴重な自然を大切にしようというメッセージとしては良いのだが、ちょっと事実関係に間違いがあるので、いやいやそれはちゃうで!ってどれだけ突っ込みたかったことかw

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水少な!

2018/8/10

天狗様を見に行った帰りに諏訪峡を覗いてみたが、上流部のダムで放流していないので、河の水量が異常に少ない。最上流の矢木沢ダムで貯水率43%というから、ちょっと危機的状況だ。

すべては台風の進路次第だが、先日の13号のように東に逸れて行ってしまうと肝心の水瓶に雨が降らないので、どうにもしようがない。9月以降、下流域の皆様は取水制限を覚悟したほうが良いかも。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / PROVIA

これが流量で日本一を誇る坂東太郎とは思えない眺めである。川底が露岩してしまっているので、自慢のラフティングツアーも空荷で名物の岩場をやり過ごしている。

この後、みなかみから月夜野にかけて強い夕立ちが降ったが、焼け石に水といった感じだ。

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先月末頃より、赤城山の大沼付近でレンゲツツジが見頃を迎えている。日当たりの良い開けたところを中心に、日差しが差し込む南向きの林縁や斜面などが赤く染まっている。例年より10日近く早いのは、この春の動きの中では想定通りだ。

覚満淵や白樺牧場周辺は平日にも関わらず結構な人出が見られたが、それだけサンデー毎日な方々が多いということか。赤城山は全体的に観光地なれど、平日に観光客が押し寄せるのはこの時期特有の現象と言えるかも。

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mmF4 R OIS / XF16-55mm F2.8 R LM WR(写真3枚目・4枚目)/ PROVIA

風景なのでVelviaモードといきたいところだが、新緑を過ぎつつあるこの時期の緑がそれらしく再現され、且つ赤も混じえたそこそこの彩度もとなれば、ここはPROVIAモードのほうが適している。

ケバケバしさを気にしなければVelviaのほうが今風..SNSでは受けが良いだろうという意味..ではあるが、ちょっと盛った感強くて現実離れしてしまうのは否めない。

時々HDR

2018/5/23

キビタキとクロジのさえずりがブナの森に響く。時々ガサガサとササを揺らして何かが走って逃げていく。林床には新緑を通過した柔らかな初夏の光が差し込んで、ゆく道を照らしてくれる。

エゾハルゼミもまだ控えめにジージー鳴いているが、この暑さが続けばすぐに降るような大合唱となって、鳥たちからその声の主役の座を奪うことだろう。

平日の玉原は行き交う人の喧騒もなく静かなものだ。20年くらい前なら鳥たちの春コーラスも盛大に楽しめたが、ご多分に漏れず玉原も昔の面影はない。環境が変わったのか鳥が減ったのか、はたかまその両方なのか。こればかりは鳥に聞いてみるしかないかな。

それにしてもだ。Google日本語入力の相変わらずの語彙の狭さに辟易する。未だに「たんばら」と入力して玉原が変換されないのだから。玉原の知名度がその程度ということがあるのは一理あるが、関東でも人気の玉原高原スキー場が隣りにあるのだから、いい加減何とかしろよって思う。

辞書に単語登録すれば良いのは今も昔も変わらないが、時々クリーンインストールを実行してMacをリセットする習慣がある..都合でmacOSのTime Machineは使ってない..ので、その度に細かい設定を元に戻すのが面倒なんでね。

FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR
FUJIFILM X-H1 / XF10-24mmF4 R OIS(4枚目・5枚目)
ETERNA(1枚目) / Velvia

X-H1にはDレンジ優先という設定がある。これはX-T2以前には実装されていない機能で、フィルムシミュレーションのETERNAと一緒にX-H1から追加されたものだ。

Dレンジ優先は、文字通りダイナミナックレンジをカメラ側で適切にコントロールするという仕様からして、従来からあるダイナミナックレンジを倍々で広げていくDR100〜400よりも、場面に合わせてそれなりに写るようである。

ETERNAは動画用のフィルムシミュレーションであるが、デフォルトでダイナミナックレンジを広くとる設定なので、ETERNAとDレンジ優先が合わせ技..X-T2にはどちらもないので..なのは何となく理解できる。

以前、ファームアップでX-T2にもETERNAが追加されるような噂もあったが、もしかしたらX-H1にはオンボードで何かそれ用のハードが積まれているのかもしれない。

写真の世界では白は白く黒は黒く、特に暗部を黒く潰すことでメリハリをつける、いわゆるコントラストを高くするという表現方法がよく使われる..モノクロの世界がまさにそれ..が、昨今はネットの時流に乗じてどこもHDR流行りなので、白を飛ばすことなく、黒を潰すことなくが好まれているようだ。

上の例では、4枚目が通常..新緑を表現しているので幹を黒く潰している..に撮影したもので、5枚目の写真がDレンジ優先で撮影したものだ。4枚目と同様に新緑に露出を合わせれば林床は黒く潰れ、逆に林床に露出を合わせれば新緑は飛んでしまうことになる。

初夏の森の中は、樹相により林冠が空けている場所もあれば、倒木による空間、それに新緑の透過光など複雑に光が射し込むため、適正露出をどこに合わせるかは表現次第で千差万別となる。ならばいっそすべての光をと欲張るなら、こういうHDR表現も一つの手と言えるだろう。

ただ、何でもかんでもHDR表現というのはちょっといただけない。何事もほどほどが良いのである。

誰が呼んだか四万ブルー。昔はそんな呼び名はなかったが、近年どこぞの旅行会社が宣伝のためにキャッチで使いだしたのが始まりらしい。

上信越国境を源流とし、奥四万湖から四万湖を経由して吾妻川まで流れ下る四万川では、ところどころ川の淀みや深い淵の青味がかった色合いが特徴的である。特に奥四万湖は光の加減で様々な見え方をするので、近頃は観光客に人気がある。

そもそもなぜ独特の青さなのか。難しい話はよくわからないが、火山性の土壌に含まれるアロフェン..鉱物の結晶は確かに青い..という鉱物の微粒子に日光が反射するとか何とか言われているが、ネットでそうまことしやかに言われているだけで、今のところ詳しくはよく判ってないようだ。

四万周辺に火山があるわけではないが、天然温泉としてはなかなか極上の湯が湧き出す地なので、周辺土壌にそんなものが含まれていると言われれば誰も疑うまい。が、今のところは神秘の四万ブルーで押し通したいという本音も、関係者の間には見え隠れしているかも。

ちなみにネットで散見する写真の水の青さは、インスタばえの影響でかなり盛ってあるので要注意。

FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / Velvia
DJI Mavic Pro(6枚目)

グンマーとしては、上毛かるたの読み札中で最凶の呼び声高いババ札、「よ:世のちり洗う四万温泉」のほうがしっくり来るんだけどねw

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棚下不動の滝

2018/5/10

知らなかったが、棚下の不動滝は日本の滝百選の一つらしい。近所にありながら近年までマジマジ見たことがなかった。

見たことがなかったというか、正確に言うと少々見えづらい位置にあるというべきか。利根川が赤城高原の大地を削り取ってできた大岸壁から流れ落ちるのだが、角度的に下から見上げると全容は見えない。

不動滝は雄滝と雌滝の2つあって、雄滝は不動院奥院まで行けば裏見の滝なので見えることになっているが、先の東日本大震災で参道が崩落してしまったため、現在は近くづくことができない。もう一つの雌滝のほうはそもそも近づくすべがないようだ。

ということで、下から見えないなら上から覗いてみよう。

DJI Mavic Pro / 4Kから静止画切り出し

これが棚下の大岸壁。綾戸渓谷から津久田まで約2kmちょっと続く。わが赤城高原はこの岸壁の上に広がる。

DJI Mavic Pro / 4Kから静止画切り出し

上流側が落差約40mの雌滝(写真1枚目の左奥)。こちらは下の道からもちょっと見えている。

DJI Mavic Pro

雌滝の滝口。下から見上げていて時は気が付かなったが、時節柄良い感じでヤマツツジが咲いていた。

DJI Mavic Pro

雌滝の滝壺。水量はさほど多くなく、聞いた話では通年こんな感じらしい。

DJI Mavic Pro / 4Kから静止画切り出し

岸壁に向かって下流側が雄滝(写真1枚目の右奥)。一般的には雄滝のことを棚下不動滝と呼ぶらしい。

DJI Mavic Pro

雄滝は雌滝より水量は多いが、落差はやや低くて約37mほど。左奥に見えているのが不動明王が祀られた不動院奥院だ。

迸る雪解け水

2018/4/28

この冬いかに雪が少なかったと言っても、さすがにこの時期の片品川の流れには勢いがある。それはこの吹割の滝の下流にある園原ダムが満水であることからも判る。

雪解け水は春の農繁期には無くてはならない大切な水資源だ。本格的な梅雨まで保たせるために、首都圏の水瓶たる県内各地のダム湖の蛇口は、綿密に計算されて開け締めされる。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / ETERNA(1枚目・2枚目・4枚目)
FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR / PROVIA

滝の轟音に紛れて、上流からビビッビビッと鳴きながらカワガラスが飛んできた。それまでスローシャッターで流していたのを急遽高速シャッターに切り替えて、水の流れ共々写し止めた(写真5枚目)。

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小中大滝

2018/4/13

春の赤城山麓を代表する花木と言えばアカヤシオだ。アカヤシオは木々が芽吹く少し前にピンクの花をつけるため、ヤマザクラと同様、お、こんなところに生えていたかと気が付かされるのもこの時期だ。

とにかくこの春は花の足が早いため、すべての撮影スケジュールを例年より10日前後前倒ししているわけだが、標高で300〜500m前後だと小中渓谷の大滝周辺が見頃だろうと当たりをつけて訪れてみた。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR
FUJIFILM X-T2 / XF50-140mm F2.8 R LM OIS WR(1枚目)
FUJIFILM X-H1 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS(6枚目)
Velvia / PROVIA(6枚目)

帰りは先年より張り込んでいる某谷で天狗様の様子を観察する。アプローチ林道は例年なら落石などを避けつつ行けるところまでといった感じなのだが、この春はすでに森林組合が入って作業しているので、難なく奥まで入ることができた。

午後にはデスクワークが待っていたので、谷を見通せるカーブ脇で3時間ほど観察してから引き上げたが、谷が本流と出会う標高800mほどの向かいの斜面からは、クマタカの鳴き声が聞こえてきた。

そう言えば営巣木があったなと斜面を見上げると、緑の縞々に区切られた早春と春の境目が見えた気がした(写真6枚目)。