尾瀬は意外に新しい
先月、新宿へ仕事で出た際、ペンタックスフォーラムのギャラリーで尾瀬の写真展をやっているのを横目で見つつ、時間が取れなかったので立ち寄ることは出来なかったが、その写真展のサブタイトルに「太古からの..」という表現があったのが少々気になっていた。
太古という表現には諸説あって、単純に有史以前を指す場合や、恐竜が闊歩していたような古生代を指す場合がある。約45億年という途方もなく長い地球の歴史を考えた時、縄文時代などつい最近の話であるため、個人的に太古というのは後者のイメージが強いのである。
で当の尾瀬の話だが、東から尾瀬沼〜燧ヶ岳〜尾瀬ヶ原〜至仏山という現在の景観で考えた場合、例えば、蛇紋岩で形成された至仏山は約2億年前にできたかなり古い山であるのに対し、燧ヶ岳が現在の形になった噴火は約2万年前のことである。
尾瀬沼はその燧ヶ岳の噴火でせき止められた沼尻川によって生まれており、いわゆる尾瀬ヶ原が現在の高層湿原となったのはさらにその後の話で、約8千年前と以外と最近の話なのである。
なので私見ではあるが、言葉の上で尾瀬のすべてを太古と表現するのにはやや違和感があるのである。
これは余談だが、何年か前に友人を案内して尾瀬を歩いた時のこと。
尾瀬の木道をハイカー..賑やかな大阪のオバちゃんの一群だった..を引き連れ歩いていた若いガイドが、湿原を指差して「湿原はとても脆弱です。何万年もかけてこの状態になったので決して足を踏み入れてはいけない。回復するのにまた何万年も掛かってしまいます。」といった内容のことを訳知り顔で説明していたのを横で聞いてしまって..
尾瀬の貴重な自然を大切にしようというメッセージとしては良いのだが、ちょっと事実関係に間違いがあるので、いやいやそれはちゃうで!ってどれだけ突っ込みたかったことかw