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冬季、降雪後に道路に塩化カルシウム(カルシウムの塩化物)が撒かれることがあるが、塩カルの場合は融雪が目的であり、凍結防止用に撒かれるのは塩化ナトリウム(いわゆる塩)である。両者ともほぼ似たような効き目ではあるが、塩化ナトリウムのほうが効果の持続性が高く、コスト面で有利なので、高速道路などで事前に散布されるのは塩化ナトリウムのほうである。

さすがに今の季節に融雪剤を撒くことはないのだが、雨中に高速道路を走行すると、冬の間に散布された塩化ナトリウムが流されずにまだ残っていることがあり、それが車体周りに付着するのである。

そんな理屈を知ってか知らずか、ヒョウモンの仲間..ウラギンヒョウモンかな?..が塩分を目当てに入れ替わり立ち代りやって来ては、盛んに車体の下部に近いところを舐めていた。

生きものにとって水分と同時に塩分補給は重要なので、この手の行為はヒョウモンに限らず、ほ乳類でも普通に見られる。以下の映像は廃屋の漬物桶に集まるニホンジカを捉えたもので、資料としてなかなか興味深い。

塩化ナトリウムより強力な塩カル..水に溶けると発熱して低温でも融雪効果が高い..が車体に付着すると腐食の元になるので、雪道を走行した後には必ず洗車、それも下回りを入念に洗浄するのがベターだ。

その昔、頻繁に北海道へ渡道を繰り返していた頃、洗車を怠りタイヤが外れなくなって苦労したことがあった。ホイールを止めていたボルトが錆びて回らくなってしまい、修理に結構高く付いたことがあったのだ。

と言うことで、今の季節であってもまだ車体に融雪剤の類が付着することをヒョウモンに教えてもらったので、早々に洗車場で下回りを洗浄しようと考えているところだ。

このニホンザルの映像も、撮影状況は先日のカモシカ動画にほぼ類似する。基本的に動体撮影となっているが、ゆっくりした動きであるため、手ブレ補正の恩恵を十分に受けている。さらに撮影距離が近いことと、木陰で陽炎の影響を受けていないので、この手の高倍率ズーム機にしてはなかなかの解像感である。

P900は望遠端2000mmの83倍ズームであるが、被写体との距離が遠いと大気のゆらぎの影響を受けるため、センサーサイズが1/2.3型であるということもあるが、期待した結果を得るのは難しい。超望遠レンズのご多分に漏れず、遠くのものを手前に引き寄せて撮すという使い方よりも、近距離の被写体を大きく撮すという使い方が理にかなっている。

これは林道脇で不意に遭遇したカモシカを撮影した映像サンプルだが、個人的なP900の使用用途はまさにこういったシチュエーションである。機材を準備している間もない状況では、とっさに撮影体制に入れるコンパクトでハンドヘルドな機材は非常に有効だ。

さらに言えば、撮影対象は大型の野生動物であり、相手がその気になればすぐに向かって来られる距離にあるため、次の動きを常に警戒して撮影する必要がある。こんなシチュエーションで大砲のようなレンズを三脚に据えて撮影していては、不意の状況変化に対応できない可能性がある。

もちろん、状況を見極め、大砲レンズを準備する余裕があればそちらを使うのは言うまでもないが、まあこんな局面でスチルも動画も手持ちで取り敢えず狙えるというのは、良い時代になったものである。

P900は個人的には生きものをメモ代わりに記録する使い方がメインだが、一般的には旅行などにこれ1台といった使われ方が多いと想像できるため、風景のようなフィックスも試してみた。

風景では広角から標準域の利用が多いが、P900の手ブレ補正は結構効きが良いので、このくらい手ブレが補正されればファミリー用途では十分なものと思える。

例えスチル撮影であっても、P900で翔んでいるトンボや蝶の撮影など望むべくもないが、サンプルのようにゆっくり徘徊する昆虫であれば、それなりに撮ることは可能である。もちろん、AFしか使えないため、常に主題を中央に配置する必要があるのは、歩く鳥編と同様である。

サンプル映像は、焦点距離135mm付近にてレンズ前30cmで撮影している。P900としては精一杯のマクロ撮影となって至近距離であるため、画角を変えるべくズームで引いた途端に焦点移動?が発生してしまっている。一旦このような込み入った背景にピンを持っていかれると、再びズームで寄ってもピンが戻ることはほぼ絶望的である。

動画というくらいなので、そこはやはり動くものを撮りたい。ただ、手持ち撮影で動体を追うことが許されるのは、一般的には運動会などファミリー用途に限られると思うが、そこは手軽さと天秤にかける必要があるようだ。

P900は事実上AFでしか撮影できないため、動体撮影はそもそも期待もしていなかったが、中央のAFフレームで主対象を捕捉し続けられる限り、比較的AFの追随性は悪くない。もちろんAFフレームから外れている時間が長いと、その時点で背景や手前の障害物に引っ張られるのは想定の範囲内か。

一応、画面の揺れと手ブレ補正の揺り戻しは起きているのだが、動体であるためそこは無視できるレベルに収まっている。

先日のヒバリに続いて鳥を2000mmで撮影。

ホトトギスのシーンは、鳴き声を頼りに樹間からその姿を探し出したが、立ち位置が斜面であることと、爪先立ちというスチル撮影でも悪条件であったため、正視するには厳しい結果になった。

カッコウのシーンは、農作業中に庭先の電線に留まっているところを撮影。先日のヒバリよりは安定して撮れているが、時々手ブレ補正の揺り戻しが起きるため、小刻みに左右に振れることがある。これはP900の手ブレ補正の挙動が原因のようである。

2000mmなどという超の付く焦点距離で安定して動画を撮影するのは、やはり相当無理があるというものだ。

ちなみに撮影者自身が動き回るケースでは、比較的な緩やかなカメラブレに対応するACTIVEモードというのがあるようだが、今のところその機能を使うシチュエーションはない。

コンデジの動画撮影機能は、割りと黎明期の頃から標準装備であったが、それこそオマケ機能の粋を出ておらず、お世辞にも積極的に使おうというレベルのものではなかった。それが何時頃からか、フルHDの解像度(1920×1080)を記録できるようになって、WebやYouTube的にはまったく気にならないレベルになってきているカメラもある。

コンシューマ向けのハイビジョンカメラの歴史は2004年にHDVから始まったが、その頃のビデオカメラに比べれば、今どきのコンデジ動画もそんなに悪いものではない。専用機でないため、音声収録やスチルカメラ然とした操作性による問題はあるものの、メモ代わりに記録すると考えれば必要十分だったりする。

で、ご多分に漏れずP900でも動画の撮影は可能である。センサーはスチルカメラであるため3板ではないが、サイズは1/2.3型なので少し前のコンシューマ向け専用機と同じである。フレームレートも今どきフルHDは当然としても、生意気にも1080/60pで記録できる辺りは、運動会やアクティブな撮影領域もターゲットにしているのだろう。特に本機の特徴である24-2000mmという83倍ズームは、趣味性の高い分野では強力なセールスポイントになっている。

そんなとんがった異端児P900で、フッテージ屋としてはあるまじき行為..意図的に狙わない限り映像素材は三脚が必須..である手持ち撮影を試してみた。特に2000mmを手持ちで撮影するという禁断の行為が、どの程度視聴に耐えるうるか、という点がサンプル映像の主旨である。

まずは畑でさえずるヒバリを2000mmで撮影。犬連れで歩行途中という条件であったが、やはり2000mmの画角を安定的に保持するのは難しい。中央に位置するAFフレームで捉え続けないと、すぐに背景にAFが引っ張られてしまうので、撮影中の意識はどうしてもそこに集中してしまい、かえって画面が小刻みに動くという結果である。

なんてタイトル付けると、流行遅れの話題に乗ったのかと思われそうだが、これはれっきとした映画のタイトルである。あ、いやそっちの米の国の雪女の話ではなく(汗)、昆虫写真の大家、栗林慧氏が撮影と総監督を務める3Dネイチャードキュメントのことである。

栗林氏は、私のようなアニマ世代にとっては言わずと知れたNPS..ネイチャーフォトスタジオのことでナイコンのプロサービスではない..創設メンバーであり、押しも押されぬ昆虫写真分野では世界的名声の高い写真家として知られている。

大光量ストロボによるハイスピード撮影技術の開発に始まり、超被写界深度接写レンズ、通称「アリの目レンズ」を備えた特殊カメラの開発など、今現在、自然科学の分野で当たり前のように使われている技術を確立したのも同氏である。

そして40年以上も自然科学分野で活躍してきた実績が認められ、科学写真のノーベル賞と言われるレナート・ニルソン賞を受賞(2006年)されたのは日本人では初であり、生物写真の分野で紫綬褒章を受賞(2008年)された写真家も栗林慧氏が初めてである。

映画「アリのままでいたい」は、そんな同氏のお膝元である長崎県平戸を舞台に、ドイツの最新型内視鏡カメラを改造して撮影された、アリの目線から見た昆虫の世界を3D映像でまとめた作品である。最近は虫に興味を持つお母さん方もにわかに増えていると聞き及んでいるので、昆虫少年の夢を掻き立てるような本作を、是非とも親子ともども夏休みにご覧になっていただきたい。勿論、お父さんにとっても昔取った杵柄で、父親復権の役に立つことうけあいだ。

■映画『アリのままでいたい』
■監督:鴨下 潔/撮影監督:栗林 慧/音楽:菅野祐悟
http://www.ari-no-mama.com/introduction/index.html

20150510

先日、これまた動物写真のその世界では有名な飯島マサさん..もNPSメンバーのお一人..の紹介で、栗林先生にお会いする機会を得られた。前述したとおり、私にとってはアニマ時代からの憧れの写真家で、それはまさに雲上の方なのである。御年75歳!とは思えないその颯爽とした佇まいと、経験からくる言葉の重みに、すっかり酔うことも忘れて少年に成り下がった私であった。

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ハリウッドゴッジーラのフィーバーに沸く夏休みということもあって、以前のオリジナルシリーズに続いて、平成ガメラ3部作をBSで流している。

円谷プロ時代の昔から続く怪獣ものやウルトラマンシリーズに共通して言える点は、その目線の高さ、つまり撮影アングルである。もともと怪獣映画にリアルさも何も無いもんだが、我々が体長数十メートルにもなる怪獣たちと同レベルの目線になることなどないわけで、そこを人の目線に揃えてあると嘘っぽさが幾分か軽減するのである。ガメラを見るときはやや見上げで、アングルを上げる際はやや引いて撮るわけだ。

特にCGとちがって特撮ものは編集で合成となるので、撮影時の光源の違いからなかなかリアル感は出せないのだが、目線の高さというのは鑑賞者には結構効きてくるものであり、平成ガメラシリーズはそこに少し気を遣っているようである。

何より自衛隊の全面協力のおかげで、登場する戦車も飛行機も自衛艦もすべて本物であり、実際の攻撃で使われる装備も実在のものなので、従来のゴジラシリーズよりは設定がより現実っぽく感じるのだ。そういう意味では先日観たハリウッド版ゴジラの世界観は、平成ガメラのそれに近い感じを受けた。

世界観と言えば、平成ガメラシリーズの一作目は1995年であり、作品内も同年代を設定してあったのだが、その中の視点が20年近く経った現在とそう変わらないのが興味深い。

■科学で栄えた古代文明が怪獣を生み出し、そのせいで自分たちも滅んだ。
→現代社会も核を生み出しその利用方法で論争になっている。
→プルトニウムの半減期は約2万4000年とほぼ手に負えない数値。

■自衛隊の先制攻撃のためには新たな法案を必要とする。
→怪獣相手の自衛権と言えど先制攻撃は許されていない。
→市街地上空でミサイル攻撃はできない。

■希少生物である怪獣の保護を目的として捕獲を試みる。
→レッドデータ的な生きものを殺すのはいかがなものか的な発想。
→米ゴジラ映画でもムートーとかいうヤツを研究してたっけ。

■でも結局は人に害を為す生きものは力で排除しようとする。
→人里に出て人を傷つけるクマは即捕殺する。

■急激な環境の変化が怪獣の生息に適した環境を生んだ。
→地球温暖化など人為的な環境改変が生きものの生息分布を変えている。

などなど。ま、驕る平家は久しからず、ってところですかね。

20140827

しかしまあよく雨の降ること。それもバケツの水をひっくり返したようなという形容がピッタリするドシャドシャした振り方で、熱帯のスコールよりも激しいのではないかと思う。

今日も夕方には一旦止んだと思ったが、西の方からみるみる雨のカーテンが近づいてくるのが見えた。

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