秋コサメ
2012/10/3
ご存じコサメビタキ。ちょっと前まで、隣家の藪から出て電線に止まったりしていた姿を、仕事場から双眼鏡で眺めていたのだが、ここ数日は見掛けていない。
名前はその色合いが鮫の肌に似ていることに由来し、同属のサメビタキより小さいので、漢字で「小鮫鶲」と書く。サメビタキが割と高標高地を好むのに対し、こちらは低山域の落広林が主な生活の場である。
夏鳥なので秋には南へ渡っていく。赤城高原でも普通に繁殖しているとは思うが、まだ巣を見つけたことはない。なので一週間ほど家の周囲にうろついていた個体が、地元産なのか南への移動途上の個体だったのかは定かではない。
コサメビタキは割と人を恐れない。特に巣作りをしている時期など、平気で人の足下にやって来ては、苔などの巣材を集めていくことがある。巣は苔などを固めたお椀状のものを木の横枝に作るので、葉っぱが展葉する前ならば簡単に見つけることができる。
鳥の写真を撮り始めた高校生の頃、200mmレンズに2倍のテレコンを付け足して、とにかくアップで大きく写そうと腐心していたわけだが、鳥は基本的に警戒心が強くて、なかなか思うようには叶わなかった。そういう時に山中で出会うコサメビタキの人懐っこさには、随分と助けられたものである。
もちろん、巣がどこにあるかなどとは気にも掛けない若気の至りで、当のコサメビタキにしてみれば、迷惑千万だったに違いないだろうけど..
ちなみに写真は春に撮った個体。