意外だった日本アカデミー賞
日本アカデミー賞の最優秀作品賞、最優秀主演男優賞、最優秀主演女優賞の3冠を「新聞記者」が獲ったようであるが、これに正直驚いた。
真正面から現政権批判を描いている上に、原案は政権批判の急先鋒的な現役の女性記者で、しかも主演の女優は韓国人なのである。多くの日本人が好まないであろう条件が揃っている上に、数字の上でまったく振るわなかったと評されている興行成績からして、そもそもノミネート自体が奇跡なのであるから。
ビートたけしこと北野武監督が以前から批判している通り、日本アカデミー賞自体が大手配給会社..東宝、東映、松竹、大映(角川映画)..の持ち回り的な受賞と批判されてきているので、個人的にも出来レース選考と興味が薄かったこともあって、より今回の同作品(配給はイオン系列)の3冠は驚きなのである。
結果的に映画は興行成績がすべてのところがあるが、米ハリウッドなど映画関係者には時の政権に批判的な勢力が多いのは世の常で、そういった力学が日本の映画界にも働いたと見る向きもある。
その点で、近年テレビ離れが進んでいるとは言っても放送の場合は報道という側面も持っているので、電波と放送免許の許認可権を持つお上には逆らいづらい。実際テレビ局がかなり現政権に忖度しているのは明らかなので、映画界隈とテレビ界隈では向いている方向がかなり違うということがあらためて明らかになったわけだ。
ちなみに同映画について、個人的には以前書いた通り「盛り上がりもオチもない」というのが正直な感想なので、特に作品として過大に評するところはないが、外聞を気にすることなく出演した松坂桃李にはエールを送りたい。
戦隊レンジャーもので出てきたチャラチャラしたイケメン俳優だと以前は思っていたが、本作然り、日本のいちばん長い日での青年将校役、濡れ場を堂々と演じた娼年、映画版のMOZUでは狂気のテロリスト役なども演じていて、なかなか気骨のある若手俳優だなと思っている次第だ。
大荒れに荒れた二日間が過ぎ、赤城の沢の水も午後には気持ち温んだかな?という感じ。