右見て左見て
噂の映画「新聞記者」を観てきた。リアリティを追求している内容なんだろうと思いつつも、若干飛躍し過ぎではないかという気がしないでもない、いやいやさもありなんかな、そんな感想だ。
物語として盛り上がりもオチもなく、淡々とシーンが送られる、あくまで観た人の判断と価値観に委ねるような脚本なので、主役の松坂桃李のトム・クルーズばりの八面六臂の活躍を期待して観ると、大外れとなること請け合いである。
それにしても、この時期に公開をぶつけてきたのはやはり参議院選挙を念頭に置いたことと思われる。映画のような内容を許せないと思うなら、投票に行って国の在り様を変えようではないか、というのが制作側の意図にあると思われる。投票率が上がると現政権に不利になるというのは昔から言われていることだしね。
芸能人や著名人が政治的な話をするとすぐに叩かれる風潮が今の日本にはあって、それ自体実に妙な話だが、国民である以上皆、税金を収めているのだから、等しく平等に政権批判や政治活動に参加する自由はあるはずだ。それが民主主義だからね。
劇中で内調の責任者のセリフに「この国の民主主義は形だけでいいんだ」というのがあるが、実際に現政権のやり方はそんな言葉を裏付けるような印象が強いのも事実なので、今回の選挙で悩んでいる人は観てみるのが良いだろう。
個人的に固定的な思想信条があるわけではない。時に右寄り、時に左寄りと考え方はその都度その時々次第である。今回もまた右見て左見て、よーく考えようではないか。
雨上がりの日曜日ではあったが、噂の映画と言ってもややきな臭い左向きの内容だし、公開初日から一週間経過しているのでそんなに観る人もいないだろうと思っていたが、どうしてどうして客席の半分くらいは埋まっていたろうか。
戦後、総理大臣を4人も輩出する圧倒的保守王国を喧伝する群馬にあって、これはなかなか関心が高いものだと驚く半面、我々より若い世代がまったくいなかったのはやや気掛かり..