タグ : パナソニック

portfolio

小鳥の撮影でG9 PROの連写性能と画質については実証できたが、AF性能はどんなものかも検証しておく必要がある。

とは言えさすがに至近距離を飛び交うカラ類をAF-Cで追いかけるのは困難極まる..例え一眼レフの位相差式であっても..ので、ここは少し離れて狙える水鳥系が良いだろうと、館林に仕事で出かけたついでに多々良沼で試してきた。

データはすべてメカシャッターでプリ連写はなし、AFはAF-Cでゾーンはマルチカスタム、焦点距離は35mm換算で800mm相当である。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

まずは旋回しながら着水のために降下体制に入った状態。空抜け高コントラストのこの程度のシーンであれば、今どきの普通のAF一眼ならどんな機種でもピンを外すことはない。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

ちょっと露出不足で絵としてはアレだがw、コントラストAFにとっては鬼門のシーン。

密生したヨシを背景..しかも背景のほうが被写体に近い..にしてもなお、歩留まり良くAF-Cが連続してピンを合わせ続けてくれる辺り、G9 PROのDFDのAF性能は向上しているといってよい。GH4辺りでは間違いなく背景に引っ張られる。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

前の連写の続き。さらにさざ波だつ水面が加わっているが、それでもコハクチョウを追い続ける。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

同じく前の連写の続き。追っていたコハクチョウの成鳥の手前にいきなり幼鳥が被ってきたが、さすがにこれはより至近の幼鳥にピンが切り替わった。まあこればかりはDFDとは言えコントラストAFの宿命であろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

高速で飛翔してきたオナガガモの降下直前の1シーン。このちょっと手前からEVFで狙っていたが、中央に捉えてからAFをオンでシャッターを切っている。

ガンやカモの仲間は着水の直前に減速のために左右に体を振ってトリッキーな動きをする場合があるが、AFゾーンをマルチカスタムでやや広めに設定しておくと、被写体が左右に逃げても無難にAFが追い続ける。

さらに言うと、800mm相当の画角を手持ちで撮影できるのはマイクロフォーサーズ機ならでは。大型三脚に載せたEOS-1DXとEF800mm、それにD5とAF-S600mm..両機の組合せのカメラマンが何人か居合わせた..では、瞬間は狙えても至近での着水まで連続して捕捉し続けることなど困難だろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

手前に向かって移動してくる被写体のスケール速度は相当な速さである。至近になれば見かけ上の速度はなおさら早くなるので、これを手持ちのAFで追い続けるには、それなりのAF性能とそれを捕捉し続ける相応なフレーミング技術が必要だ。

また、一昔前のEVFでは遅延問題が常に足かせとしてあったが、ここまで撮れればスポーツ報道でも問題ないだろう。この時はG9のEVFは0.7倍でアイポイントを長く取って、スポーツファインダー的に使用している。

GH5の手ブレ補正も結構使いでがあって、仕事でもジンバルに頼ること無くお世話になることがあるが、G9 PROはそれをも上回る6.5段分の補正能力があるという。ならばそれを試してみたくなるのが心情というもので、しかも800mm(35mmmフルサイズ換算)という超望遠レンズで動画を手持ちで撮ったらどうなるか。

ちなみにG9 PROの動画性能だが、連続無制限というモンスター気味なGH5のスペックには及ばないものの、10分連続して4K/60Pを記録できる(30Pなら約30分)点では他社製品の比ではない。FHDなら180fpsのハイスピード撮影が可能な点もGH5譲りで、4Kでも60Pで撮って30Pに編集すれば1/2スローが可能である。

メーカーはG9 PROを写真のフラッグシップモデルと喧伝しているが、動画でも他社機を上回る性能があるということだ。

まずはヤマガラ。この時はG9 PROの手ブレ補正の揺り戻しのクセを掴んでなかったので、ちょっとフラつくこともあるが、ヤマガラがヒマワリの種を突く仕草は十分見て取れるだろう。

次はアトリでチャレンジ。撮影状況としては、両足で真っ直ぐ立ってカメラを構え、ファインダーを直接覗きながら撮影しているが、普通に呼吸するとさすがにカメラが揺れてしまうので、記録中はほぼ息を止めている状況で、4K/60Pの10分制限以前にそんなに長くは撮っていられないw

どちらの動画も比較用にAdobe Premiere Pro CCのワープスタビライザーを適用した尺を追加してある。そのままでも短い尺なら何ら問題ないが、ワープスタビライザーの適用後は逆に風で揺れている程度にしか見えないだろう。

三脚無しでの動画撮影というのはフッテージ屋としてはほぼないのだが、生きものの撮影で車の中から窓枠に固定してちょっと撮るようなシチュエーションではなかなか使いでがある。実際GH5ではそのように撮った映像も結構あるので、G9 PROの動画撮影ではなおのこと機会が増えると思われる。

それに噂ではGH5の春の新ファームで、G9 PRO相当まで手ブレ補正の性能が上がるという話なのは朗報。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

サンプルとして上記動画から1フレームを静止画として切り出した画像(6K/4Kフォトではない)も掲載。4Kからの切り出しで800万画素あるので、ブレがなければ雑誌やWebでは特に問題もない。この辺りもGH5と同様なのはやはり60Pであることが大きい。

6K/4Kフォトで起きる論争に、動画から切り出した静止画を写真と呼ぶのか?というのがあるのは知っているが、写真家として原理主義を貫くのか、表現者として結果を重視するのか、その辺りの立ち位置の問題なのでこの論争に円満な着地点はないだろう。

ただこれだけは言える。プロの仕事は結果として成果物に対し対価を支払ってもらうことであり、その過程に対する評価ではないということだ。どう撮ったか、何で撮ったかという部分にこだわるのは本人の勝手であり、そこを主張する時点でそれはアマチュアリズムの自己満足なのである。

IBIS(ボディ内手ブレ補正)に関して、これまではオリのE-M1 MarkIIと同300mm F4.0 ISの組合せで機能する6.5段分という補正が最も強力だった。が、G9は何とボディ単体でその6.5段分を補正できるほどの強力なIBISを実装してきたのである。

手ブレ補正の分野ではある意味老舗とも言うべきはパナである。バブル全盛期にブレンビーという家庭用ビデオカメラを販売していたのを覚えている人もいるだろう。そのパナもしばらくはC社のようにレンズ内手ブレ補正に拘っていたが、ここに来てGH5以降IBISにかじを切ってきたようである。

センサー自体で補正すればレンズを選ばないという利点はあるものの、レンズ内に置いた補正レンズのほうがレンズ毎に最適化できるので、手ブレ補正自体は有利と言われてきたが、レンズとボディ双方の補正をシンクロさせて作用させるほうが、より強力になることをオリンパスが証明してしまった。

こうなるともうIBISへの流れは止まること無く、手ブレ補正の本流はシンクロ補正ということになるだろう。そしてこの場合、ラインナップするレンズシステムにどれだけ手ブレ補正が付いているかが鍵になり、そいう意味でパナは有利な状況になっている。

手ブレ補正機能自体、常に三脚に載せて撮影する人..風景とか天体とかはまさにその分野..には無用な長物であろう。しかし、今の世の中、逆に三脚を使用しない人のほうが圧倒的に多いはずで、しかもその層がまた最も手ブレし易いという現実がある。そういう意味でマーケティング的には絶対手ブレ補正は必要な機能と言えるだろう。

ちなみに、某C社やナイコンがレンズ内補正に拘っていることについて、両社ともレンズ毎に最適化できて画質的に有利、という主旨のこと言っているが、実際のところは未だに一眼レフ機が主流だからに他ならない。一眼レフ機では構造的にセンサーで補正できないからね。

特にC社の場合はフィルムカメラ時代から手ブレ補正を備えたレンズ群を多数用意していて、個人的にもかなりその恩恵に与ってはきたが、今になって同社にとってはそれが逆に足枷となっている感が無きにしもあらずだ。もっともそれも、同社が本気でミラーレスに軸足を移してくれば状況は一変するだろうけどね。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0 ASPH. POWER O.I.S

2枚は何れもISO3200の手持ち撮影で、上が1秒、下が2秒の長時間露光だ。まさか2秒などというシャッター速度を手持ち撮影できる時代が来ようとは、フィルムカメラ全盛期を考えると夢のようである。

そして次のこのストリームに乗るのはフジ。そう、フジのXマウントレンズは単焦点を除けばほぼ手ブレ補正が付いており、噂では近々IBIS内蔵の新ボディ(しかもシンクロ補正らしい?)の噂もチラホラ。次から次へと今年は面白い話が続くよねぇw

G9 PRO最大のセールスポイントは、電子シャッターによる秒間60コマ、またはAF追随で20コマという連写性能だろう。これまでマイクロフォーサーズ最速だったオリE-M1 MarkIIの18コマを抜き去り、現時点で一眼デジの連写番長となった。

生きものを撮影するのだからさぞ連写するのだろうと思われがちだが、実は個人的には世の中が思うほど連写することはない。まあ、そもそも鳥など好んで撮っていたのはもう15年以上前の話であるし、その頃でも秒間5コマも撮れれば御の字だった。なので例え倍の10コマに上がったからと言ってそのありがたみを感じることもなかったのだが、それが秒間60コマともなるとさすがにこれは事情が変わってくるというものだ。

AF追随であれば有効画素数が近いソニーのα9がすでに秒間20コマで同等のスペックではあるのだが、α9の場合は使用レンズがかなり制限されていて、お高いG Masterレンズが必要というコスト面でのオチがあるのと、AF固定ながらも秒間60コマという韋駄天性能はない。

さらにG9 PROにはシャッターを全押しする前の24コマ..AF追随の場合は8コマ..を記録する「プリ連写」があり、これはオリのE-M1 Mark IIのプロキャプチャーと同等の機能である。そしてプリ連写による高速連写は、同時にファインダーをブラックアウトから開放してくれた。連写中も途切れること無く被写体をファインダーで捉え続けることができ、例えるなら「動画を撮るように連続写真を撮る」という感覚が味わえる。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

まずは普通に餌台からの飛び出し方向を予測、ISO3200でシャッター速度は1/16000秒で飛び出しと同時を狙ってシャッターを切る。秒間60コマ切れるとは言え、拙者程度の反応速度では連写してもこの位が限界。

そして次の3枚がプリ連写機能で全押し前のコマから合成した結果。注目ポイントは止まっている背景にあり、撮影時に流し撮りなどしていなことがお判りだろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

飛び出し直後からフレームアウトまで、1コマ0.01666667秒の刹那が見事に捉えらている。これが仮に秒間10コマなら1コマ写っていればマシな方だろう。しかもこの例では数mという至近距離での撮影なので、鳥などの飛翔シーンを狙った人ならば、この合成カットの意味する難しさは容易に想像つくはずだ。

使ってみて気になる点としては、RAWと同時記録の場合、電子シャッターによる高速連写時の撮影コマ数は最大で50コマ..JPEGのみだと600コマ..までなので、プリ連写との合わせ技でシャッター半押し状態のタイミングによっては、全押し後の撮影コマ数が半分になってしまうので、この辺りは慣れが必要と思われる。が、ここぞのタイミングでシャッターを切って、その少し前から記録できるというのは、時間の流れを操作しているようでなかなか面白い機能だ。

ちなみにパナには6K/4Kフォトがあって、そっちも秒間60コマだという向きもあろうが、6K/4KフォトはあくまでMP4動画として記録し、その中のコマを複数合成して静止画を切り出すという動画ギミックである。何よりチョコチョコ繰り返し連続して撮影するのはまったくの不得手で、書き込み動作中のダンマリも使い方によっては困る場合がある。その点で、普通に写真を撮るのとそう変わらず、秒間60コマでRAWまで同時記録できるG9 PROの連写性能は凄い。

目下の問題は、無駄カットの膨大なる山..6K/4Kフォトの場合は無駄な動画..が出来上がることだろうか。プリ連写したからと言ってすべてのカットが有効になるわけではない。見越し撮影では総じて半分以上は目的の被写体が写ってないことが多く、撮影後にひたすら有効なカットの選別を強いられることになる。

そしてもう一つ、このプリ連写機能をさらに有効とするためであろうか、シャッターフィーリングがかなりフェザータッチとなっており、GH5など従来機の感覚だとかなり無駄打ちをすることになり、これにはさすがに未だ慣れていない。

とは言え、人の技を遥かに超越した連写性能とブラックアウトフリーは、動体撮影では大いなる武器となろう。パナとしては2020年東京五輪に向け、プロ機として大きなシェアを持つC社とナイコン、さらにα9で猛追しようと目論むソニーに対し、マイクロフォーサーズで一矢報いたいと考えているのかもしれない。

G9 PROに搭載された目玉機能の一つに、連続して撮影した写真を合成して1枚の高解像度の写真に仕上げるハイレゾモードがある。

ハイレゾモードはIBIS(ボディ内手ブレ補正)の機能を利用してセンサーを1/2ずつシフトさせて8枚の写真を撮影しこれを合成するというギミックで、2000万画素が都合4倍となって実質的に8000万画素(4:3の場合)という高解像度な出力が得られることになる。パナは本機が初だが、ペンタやオリの一部の機種にはすでに同様な機能が備わっている。

ただ、8枚は同時でなく連続して撮影..と言っても処理としては1シーケンスなので連写するわけではない..するので、動体など被写体に動きがあるとそれなりにブレた状態で合成されてしまう。三脚必須なのは言うまでもなく、さらに屋外では使う場面を選ぶことになるが、意図して流動感を出すなどするのでなければ、風などの影響を受ける点ではどのみち1枚でも条件は一緒だろう。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

無風の状態から上越国境の仙ノ倉山を撮影。無風と書いたが仕事場の中なので当たり前だが、撮影対象は遥か彼方なので、ハイレゾモードの検証として正しいかはやや疑問w


その一部を2000万画素から切り出したものがこちら。


そしてハイレゾモードの7000万画素(3:2の場合)からほぼ同じところを切り出したものがこちら。Web上の話なので解像度は正確ではないが、比較する限り差は歴然だ。

フルサイズの1/4しかないマイクロフォーサーズのセンサーに、3000万画素とか5000万画素などという高解像度は現在の技術では望むべくもない。そういう意味では高解像度が必要な向きにはフルサイズしか選択肢はないのだが、常に絶対的な高解像度が必要でないケースへの答えが、パナの場合はこのハイレゾモードということになる。

IBISと電子シャッターによる高速連写無くしてハイレゾモードは実用的に成立しないのだが、最初にこの技術に目を付けた技術者は賞賛に値すると言っていい。一つのブレークスルーがさらに二次的な作用を生むという、まさに好循環の結果の産物である。

昨日は日本では3年ぶりに皆既月食が観測できた。週の頭の予報で雪が降るのではないかと言われていたが、運よくも1日後ろにずれてくれたので、赤城高原からも一連のすべての動きを拝むことができた。

しかも月が軌道の関係で地球に接近した状態となるスーパームーンに、その軌道と暦の関係で一定期間に複数回の満月が見られるブルームーンも重なり、NASAではこれを「スーパーブルーブラッドムーン」だと紹介している。回転寿司のマグロの三種盛りみたいなイメージがなくもないがw、とにかくなかなか貴重なものだということは判る。

ちなみに同じ月内に2回満月が見られることをブルームーンだとニュースで報じていたが、正しくは四季の区切りとなる3ヶ月に4回満月がありそのうちの3回目をブルームーンというそうだ。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.
FUJIFILM X-T2 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR x2

先の4枚はG9 PROのISO800・ISO1600・ISO6400・ISO12800の手持ち撮影で、後の1枚は皆既月食後20分経過の時点..肉眼ではうっすらと月の輪郭が見える程度の状態で且つ薄い雲が出ている..をX-T2のベルビアモードをISO51200で撮影(これも手持ち)してレタッチしてハイライトをわざと持ち上げている。

ちょっと驚いたのは、G9 PROの4枚目はAFが迷いだして合焦に至らなかったのだが、X-T2では2倍テレコンで合成F11相当だったにも関わらずAFでピンが来た..これは気のせいだったw..ことだ。パナライカ100-400の望遠端(35mmフルサイズ換算で800mm相当)は画質的にイマイチなのでその影響が大きいと見るが、それでも両機種ともAF測距範囲の下限性能がEV-3と同じなので、X-T2のAFの優秀さが光る結果と言える。

ちなみに両機種とも過去の遺物的存在であるC社FD800mmでも試したが、三脚に載せても寒さで手ブレwが出るのと、やはり固定しているとピンを探しているうちに月が画角から外れていってしまうのでなかなか厳しかった。

G9 PROの登場でパナはGH5とダブルフラッグシップをラインナップすることになった。

GH5は従来通りやや動画寄りではあるが写真もイケるハイブリッド仕様で、G9 PROは動画も撮れるが写真撮影を優先したモデルということになるようだ。ただ、そうは言ってもG9の動画仕様も4K/60Pなので、他社のフラッグシップモデルよりは性能は上である。

まずはEVFを覗いてみて0.83倍..しかも0.77倍と0.7倍にも切替可能..というそのファインダー倍率の高さに驚く。GH5が0.75倍、EOS 5D Mark IVが0.71倍なのだからその広さが想像つくだろう。拙者は眼鏡使用者なので、ラフに構えてEVFを覗く場合はアイポイントを長く取れる0.7倍が適当..昔で言うところのスポーツファインダーが内蔵されているようなもの..だが、じっくり構える余裕があるなら0.83倍は非常に見やすい。

売り物の一つであるAF性能だが、これは体感的に明らかにGH5より合焦スピードが早い。今どき像面位相差式を採用していないのはパナぐらいだが、225点のDFDはフジと較べても小気味良いぐらいビシビシイイ感じでピンが来る。AFエリアを最小にしていて至近距離で迷うと復帰しないのはGH5と同じだが、測距位置を適切にしてからの復帰はさすがに早い。

センサーは約2030万画素のローパスレスでこれはGH5と同じ。ARコートというコーティングを施してフレアの発生を抑えているのと、GH5に比べてダイナミックレンジを広げているので、写真画質という点ではG9のほうが上ということになろうか。

ということで、ヒマワリレストランの常連組にモデルになってもらった。

LUMIX G9 PRO / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

上からヤマガラ、シジュウカラ、スズメ、ヒヨドリで、何れもズームの300mm付近(35mmフルサイズ換算で600mm)でISO1600、メカシャッターを使用。G9の真骨頂は電子シャッターにあるが、またそれは後日レポートしよう。

GH5sを手に入れたであろうという大方の期待を裏切って申し訳ないが、実は手元にやってきたのはパナがGH5sと同時に世に放ったダブルフラッグシップモデル、G9 PROのほうであるw

GH5sの導入宣言的なことを言っては見たものの、よくよく考えてみると今のところどうしても高感度撮影に用があるというわけでもないので、取り敢えずGH5sは様子見とし、それよりパナ渾身のマイクロフォーサーズ機がどんなものか試してみたくなった次第。ま、GH5sは何れ、ねw

FUJIFILM X-T2 / XF35mm F1.4 R

事前に調べてあったので判りきっていたことだが、箱から出しての第一印象はGH5の時と同様でデカイである。GH5の大きさに慣れてしまったのでまあこんなもんかと言った感じだが、純粋にマイクロフォーサーズのカメラとしては大きく且つ重いというのが実際のところだろう。

スペック上のサイズだけ比べれば、フルサイズのソニーα7Rシリーズより大きく重い。センサーサイズで1/4しかないのに妙な現象ではあるが、α系は逆に小さすぎてバッテリーグリップを装着しないと望遠レンズは厳しいと皆口を揃えるし、何よりあの小ささが祟って4Kで熱を逃がす術がない。

逆にG9 PROはその特徴的な大型グリップのお陰で、比較的大柄な100-400など望遠ズーム装着時でもバランスはよく、バッテリーグリップの必要性は感じない。GH系にしてもその大きさを憂う声が多いのは確かだが、一眼システム全体としてみればフルサイズ系のシステムより遥かにコンパクトで済むので、ボディの大きさだけで比較しても詮無きことだろう。

バッテリーはうちに沢山転がっているGH系と同じBLF19なので、他の予備を入れて即電源オン。設定もいつものパナの系譜なので特に説明書を読むまでもなくセッティング完了。と、ここまでは特に違和感ないのだが、とにかく見た目からしてGH5とはかなり異なる印象だ。

背面の操作系はGH3の頃からそう変わってないのは好印象だが、軍艦部のそれはパナ機では見るからにやや異端な感じ。モードダイヤルが左肩に移動したことと、その理由でもある右肩のLCDがどこかで見たような印象を受ける。そう、EOSなど一眼レフ機のアレなのである。

LCDが配置されたとは言っても、右肩のボタン配置も思っているほどは変わっておらず、カメラを構えて右手で操作する分には違和感がなかったりする。で、操作系で一番変わったのは電源スイッチであろう。ここはモードダイヤルが左に移動したことで、ナイコン辺りと同じシャッターボタン周りに変わり、より即応性の高い操作となった。ただ、お陰でGH5と異なるという厄介な副作用が出ているのだが..

ということで、まずはセンサーサイズとは裏腹なその広大なファインダー倍率に戸惑いつつも、何はともあれ、ようこそブラックアウトフリーの世界へ。

米CESで発表されたGH5sが話題だ。見た目はGH5そのものだが、センサーと画像エンジンはまったくの別物で、ISO51200を常用感度域とし、さらに設定でISO204800まで拡張できる。

米サイトでサンプル映像を観たが、フルサイズの低画素で高感度性能を謳うソニーのα7Sと比べ、動画だと同等、静止画ならGH5sの動画から6Kフォト切り出しのほうがノイズがなくクリーンなのだから恐れ入る。

フルサイズに比べてセンサーサイズが面積比で1/4程度のマイクロフォーサーズが、既存のどの市販カメラより高感度性能が高い、まさに高感度番長の時代が来るとはよもや思いもしなかった。

ただ、高感度に特化したこととバーターで、今どきのスチルカメラとしての性能は抑制されている。センサーサイズはマイクロフォーサーズでも画素数は約1000万画素と二世代前の水準に戻り、GH5で搭載されていたIBIS(ボディ内手ブレ補正)も付いていない。見た目はミラーレス一眼のそれだが、中身は動画専用機で割り切れというメーカーの主張がスペックに見え隠れしている。

それでも似通ったスペックで飽和しつつあるデジタルカメラ市場において、そういう尖ったカメラはアリだろう。常に動画ミラーレス一眼の先鞭をつけてきたパナの面目躍如だ。画素競争の果に高価なレンズを買い換えさせようとするのではなく、オンリーワンを目指そうとうするパナの姿勢は評価できる。

FUJIFILM X-T2 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS

GH5sに大口径単焦点レンズの組合せでどんな絵が撮れるのか楽しみだ。が、その前にマイクロフォーサーズの大口径単焦点レンズも手に入れなくてならないという問題もあるw

昨年は新しい機材に手を出すことはなかったが、今年は色々動きがあって面白い。何はともあれ、まずはGH5sは個人的には買いのカメラだ。

6Kフォト

2017/9/6

GH5はほぼ動画専用機として使っているので写真はあまり撮らないのだが、GH4の時から6Kフォト..GH4では4Kフォトのみ..はたまに使っている。

飛び道具的な機能ではあるが、撮影仕事で瞬間を撮るときなどには便利なのである。例えば某社のケースでは、社員の皆さんが社屋の前に立って、せーのでジャンプした瞬間を切り取る、などだ。

高級一眼レフが連写枚数を競うように自慢しているが、動画として記録されてそこから自由に静止画を切り出せる6Kフォトや4Kフォトの前では、連写枚数の多さなど無意味な話である。

LUMIX GH5 / LEICA DG VARIO-ELMAR 100-400mm F4.0-6.3 ASPH. POWER O.I.S.

ブルーベーリーに留まっていたモンシロチョウスジグロチョウ。上か後ろに飛び出すと予測してしばし待って6Kフォトで撮影。

ただ昆虫は動きが素早いので、6Kフォトの秒間30コマでは止まらなかった。ここは4Kフォトの秒間60コマで撮るべきだろう。