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三白眼なクマ

2016/5/13

20160513

クマ看板コレクションにまたひとつ。それにしてもやけに三白眼なクマ。劇画タッチでなんかとってもシュールなんですけど(笑)。

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巨羆

2015/10/11

一昨日、北海道の紋別で体重400kgのヒグマが駆除されたらしい。8月くらいから付近のトウモロコシ畑で食害があって、猟友会が見回っていたようだが、隠れていた畑を刈り込んで周囲を囲み、飛び出してきたところを駆除したとのことだ。

それにしても400kgはデカイ。冬ごもりに備えトウモロコシをたらふく食ったとはいえデカすぎる。有名な三毛別羆事件の個体が340kgだったのだから、その巨大さが判るというものだ。

エゾヒグマの平均体重は120〜250kg程度で、ヒグマの亜種の中では最も小型になるが、それでも本州に生息するツキノワグマに比べればかなり大きい。アラスカでは500kgぐらいありそうなのをゴロゴロ見掛けたが、それは知識として大きいことを知っていたので特に驚くことはなかった。

が、北海道のヒグマでその大きさはちょっと想定外である。知床あたりだとさすがにそこまでの個体は少ないようだが、内陸部だとまだまだ人知れず原野を闊歩している巨羆がいるのだろうか。

20151011

実は動物園で飼育されている個体は結構デカイ。恐らく300kgオーバークラスがザラではないだろうか。ろくに運動もせず野生個体のように餌を探して歩き回ることがない、いわゆるメタボグマなのである。

飼育グマ同様、人も運動せずにPCの前に張り付いている..え、誰のことだって?..ようでは、何れ遠からずメタボ呼ばわりされてしまうのは必定。天高く馬肥ゆる秋を地で行かないよう、精進せねば..

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三重県が同県内で捕獲されたクマを滋賀県の山中に放したとカミングアウトしたその日、放獣現場に近い滋賀県の山村で女性がクマに襲われる事故が発生。同村では普段はクマを見掛けることがないため、三重県が放獣したクマの仕業である可能性が高く、滋賀県が三重県に抗議し、三重県が謝罪する事態となったようだ。

捕まえたクマを処分せずにまた放す奥山放獣という行為自体、もともとは北米を中心に自然保護の機運が高い欧米で始まったことだが、近年の日本でもその筋の関係者の努力によって、何とか定着しつつある。特にクマのような大型で個体数の爆発的な増減を見込めない生きものが、一旦その数を減らしてしまうとなかなか回復するには至らないものなのだ。

と言うことで、殺さずに済めばそれに越したことはなく、何よりそれがヒトの知恵というものだが、その方法があまりに安易だと、結局またぞろ騒ぎを誘発するというのが今回の良い例である。

北海道や東北、信州の中央高地を除いて、日本国内に果たしてどれほどの奥山と呼べる環境があるのか悩ましいところだが、日常目にしているあの山の向こう側は得てして隣県だったりするわけで、そこに野生動物たちの極楽浄土が連綿と広がっているわけではないのだ。我が昭和村など三方は隣接町村であり、残る東は赤城山なれどそこは観光地として季節を問わず賑わっているので、間違ってもそんなところにお仕置きして気が立っているクマを放す..いわゆるお仕置き放獣..などという暴挙は不可能なのである。

今回の一件、三重県が放した個体と同じ個体かという検証は必要なれど、そろそろ奥山放獣を一自治体だけで解決する..自分のところだけ良ければ的な事なかれ主義ではなく..のではなく、近隣の自治体と連係して行動するような仕組みを講じるべきなのだろう。山と言っても地べたで皆つながっているわけだし、広域に考えれば県をまたぐことだった十分ありだと思うしね。

20150528

薄暗い林内で、クマならぬカマのような首を持ち上げているのはマムシグサ。食虫植物のような出で立ちだが、虫を捕獲して食べているわけではない。ただ、虫を媒介して受粉させるという戦略を取る関係上、匂いで筒状の仏炎苞内に誘き出すという手口はよく似ている。

ブナ豊作か

2015/5/15

日本海側の奥山のブナ林を見る限り、この春はいつになくビッシリと雌花が付いている。このまますべて結実するようであれば、この秋は17年以来の豊作となるかもしれない。

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ブナの豊凶は、地域によってバラつきはあるものの、概ね5〜8年程度の間隔で推移している。県内は一昨年25年もわりと実のなりは良かったが、全国的には8年前の17年が豊作だった。翌18年が一転して大凶作であったため、平成の大虐殺とまで言われたクマの大量捕殺が行われたのは記憶にまだ新しい。

当時のツキノワグマの推定生息数が多く見積もっても15000頭と言われていた時代に、一年で5000頭以上も駆除名目で捕殺してしまったのだから驚き以外の何物でもない。駆除数もさることながら、推定生息数がいかに適当でいい加減かは、その後のクマの出没状況をみれば判るというものだ。

という事実を踏まえれば、今年はともかく、来年はまたクマ騒動の年になるのは間違いないということだ。

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こちらは県内の天狗様生息地で撮影したカケス。県北のブナ林なのだが、県内も確かにブナの雌花が多く付いているのが判る。ちなみにこのカケス、クマタカの幼鳥の鳴き真似をしながら森の奥から現れた。以前からこの谷筋でよくクマタカは見掛けるので、近くに営巣地があるのかもしれない。ま、あまり興味はないけどね..

雪渓グマ

2015/5/8

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日本海側の奥山で天狗と小天狗探し。萌黄色に染まるブナ林はいつ見ても美しい眺めだ。

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谷筋にはいくつものスノーブリッジが残っていた。この辺りは有数の豪雪地帯ではあるが、今年は降雪量は意外に少なかったようだ。

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はるか遠い雪渓の上に黒い物体を発見。双眼スコープで観察するとクマであることが判る。それもかなり立派な雄グマだ。のっしのっしという表現が似合うゆっくりとした歩みで残雪の上を移動し、そのまま隣接するブナ林へと姿を消した。

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この後、続けてもう1頭瓜二つの個体がまったく同じコースを辿るという珍事があったが、この季節に奥山で天狗様を探しているとこういった出来事に遭遇するので面白い。

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調査仕事の手伝いで出張続きであったが、そろそろ本業が年度明けでバタバタし始めてきたので帰郷。できれば晴耕雨読といきたいところだが、商売は客あってのことなので、なかなかそうも言ってられない大人の事情である(意味不明)。

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ベース標高は300mほどの東北内陸の山村で、北向きの斜面にはまだ残雪がある。ヤマザクラはまだこれからであったが、ブナの芽吹きが始まっており、オオルリなど夏鳥がボチボチ鳴き始めていた。しかしここ数日は天気がすっきりせず、昨日も午後から雷雨であった。

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一見すると肉眼では見通しが良いように見えているのだが、実際は谷全体に薄く靄がかかったようになっており、望遠にして空間を圧縮するとヘイズ感がアリアリしてしまう。直線にして4.5kmほど離れた尾根を、朝方の条件の良い時間帯にコリメートで撮してみたが、スギ花粉の影響もあってかやはりモヤモヤしているようだ。

ポツっと尾根上のブナに3頭の親子グマの姿が見える。最近冬眠明けしたと思われるが、この3日間ほぼ同じ場所で採餌していた。この時期クマが木に登って新芽を食べている姿は、まさに春山の風景である。

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道端クマ棚

2015/2/20

道脇、それもガードレールのすぐ脇にあったクリのクマ棚。それはちょっと手を伸ばせばすぐ届く距離にあって、今にもバキバキと音が聞こえてきそうな雰囲気であった。知人に教えられて帰りがけに立ち寄ったのだが、さすがに国道脇でクマ棚をこの距離から見たのは初めてである。

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山間部の3桁国道とはいえ、周囲に普通に人家のある場所だ。状態から見て数日間は通っていたようだが、もしかしたら親子のように複数の個体が登っていたのかもしれない。

日中に登っていたとは考えづらく、国道脇なので夜間でも車の往来はあったと思うが、そう思わなければ気付かず通り過ぎてしまうだろう。ヘッドライトの光芒が当たっても、すぐに通り過ぎてしまえば案外クマは気にしないものだ。平気の平左で黙々と里ののクリを食べ続ける姿が目に浮かぶ。

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北海道には本州のツキノワグマとは別にエゾヒグマが生息している。ブラキストン線である津軽海峡を挟んで住み分けしているのだが、本州が大陸とつながっていた時代には、本州にもヒグマは生息していたのだ。その名残というか、その当時の生物相は現在のロシア沿海州の森に見ることができる。

先日「ブナの実を好むツキノワグマ」のイメージをステレオタイプと書いたが、実は北海道のヒグマにも「サケやマスを獲って食べる」という典型的なイメージがある。これは特にカメラマンに多く見られる傾向で、世界自然遺産の知床には今の時期は毎日のように大砲抱えたサンデー毎日なカメラマンで賑わっている河川がある。

この9月にヒグマの食性分析について北大の成果発表があったが、それによれば、知床に生息するヒグマ全体の食性に対するサケの貢献度はわずか5%とのことだ。世界自然遺産として保護されている知床でさえその数値なのだから、本州に比べてサケの遡上が多い北海道といえど全道的にはさらに低いことは容易に想像がつく。つまり、サケを獲っている姿はヒグマのほんの一面、それも限られた場所に住む個体に過ぎず、大半のヒグマはツキノワグマ同様に強い雑食性であるということだ。

20140924
左上:知床の河川でサケを捕まえるヒグマ
右上:アラスカ州ブルックス滝周辺でサーモンを狙うグリズリー
下:サケ・マスを狙うクマを狙うカメラマン(最盛期はこの比ではない)

確かに川に入ってサケを捕食する姿は豪快であり、写真として絵にもなりやすいのだが、それはロシアや北米でのイメージ..それとて河川や海岸、湖沼周辺の個体群に限られる..であり、日本のヒグマの正確なイメージを現すものではないのだ。知床に集まっている連中がそんなことまで考えて撮影しているとはもちろん思ってはいないが、見る側も正確な情報を知っておかないと、往々にして上っ面だけ、イメージだけの価値観に囚われてしまい、クマの本質を見失ってしまうだろう。

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林野庁の調査によれば、ブナの結実予測ではこの秋は不作なんだそうだ。もっとも昨年は数年の一度の豊作年だったので、この春の調査結果を聞かずとも素人にもその辺は予想がつく。

この手の話がある度に書くことだが、そもそもクマはブナの実だけを好物として食べているわけではない。基本的に何でも食べる雑食である。クマはその時、沢山ある食べ物を、集中的に食べる傾向が強いため、苦労して探しまわった果てに見つけた食べ物に強く執着するのだ。

夏の終わりから秋にかけて、人里に「出没」するとか、大量「発生」するとかの表現をよく耳にするが、クマにしてみれば餌探しの過程でたまたま通りがかり、偶然?そこに食べ物があったので食べていますって感じなのが実情だ。地域によって当然その食性は異なるが、人里周りで柿の実が熟れていれば柿の実を、山際にクリがなっていればクリの実を、山中にドングリが結実していればどんぐりを、養魚場にマスが泳いでればマスを、川にサケが遡上していればサケ(これは特殊な例だが)を、あればあったなりに腹一杯になるまで食べるのである。

何が言いたいのかといえば、すべてのクマがブナの実を欲して動き回っているのではないということだ。クマの食性と餌資源となる植生とは必ずしも一致しないのである。それをステレオタイプに、時にセンセーショナルに騒ぎ立てるのは見ていて滑稽でさえある。

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先週末にちょっと風が強く吹いた影響だろう、農道上に青どんぐりが散乱していた。ブナだけでなくドングリも凶作に近いような話を聞くが、赤城高原では例年とそう変わらない。赤城高原は戦前より開拓で人が入っていたため、薪炭林やほだ木として活用された名残でコナラが多く見られる。写真のドングリもコナラのものだ。

クマがドングリを食べると聞いて、林床に落ちた茶色の成熟したドングリをイメージする人が多いが、クマが好んで食べるのは写真のようにまだ青いドングリである。夏から秋にかけて、ミズナラやコナラなどに登って青ドングリを枝から直接食べるのである。もちろん落ちたドングリも食べるが、まだ枝についた青いうちのほうが水分があって柔らかく、クマにとっては美味いはずである。

ちなみにその青ドングリを食べる過程でバキバキと枝を折って手繰り寄せ、食べ終わると尻の下に敷いて、という動作を一箇所で繰り返し行うため、クマがしばらくいた場所には枝が折り重なってまるで鳥の巣のようになることがある。実際そこでそのまま寝てしまうクマもいるため、それをクマ棚と呼んでいる。

まだ緑が濃い時期にクマ棚を探すのは難しいが、晩秋になって森が落葉し始めると簡単に見つけることができる。青葉がついた状態で枝を折られると、落葉期になっても折られた枝の葉は落ちずにそのまま枯れるため、遠目にも目立つのだ。

海のクマ

2014/6/28

日本には生息していないが、シロクマのイメージとして動物園では馴染み深いホッキョクグマ。私がペンギンの仲間と並んで野生種として一度は観てみたいワイルドライフの筆頭である。

ホッキョクグマは20万年ぐらい前にヒグマから分かれた、ほ乳類としては比較的新しい種である。そういった事情からか、ヒグマとは見た目の印象はだいぶ違うものの、互いに交雑してもハイブリットとして生活していけるほどいまだに近縁であり、実際にそういった事例はカナダ北極圏では散見される。

餌資源をアザラシに依存するホッキョクグマが、その生活史ともども海に依存しているの知られた事実である。そんな彼らと陸棲のヒグマの接点が増えているということは、海で餌が獲りづらくなったことの裏返しでもあるわけだ。

地球温暖化の影響と言われるように、北極海で通年を通して氷が減少、または海の開ける時期が早まっている事実はここでは割愛するが、海に閉ざされる期間が短くなることは、北極海に航路を求める人間にとってはありがたいことであっても、その為に進化してきたホッキョクグマには迷惑千万な話であることは明白である。

このまま氷が減り続けると、再びヒグマに戻るか種として絶滅するか、そんな選択が彼らを待ち受けていることになる。訳あって分科した種が、その求めた環境の変化によって絶滅に向かうことは、地球の歴史の中で何度も繰り返されてきた事実ではあるが、我々人類の生活圏の拡大によって引き起こされるとするならば、ワイルドライフを愛するものとしては複雑な気持ちにならざるを得ない。

あくまでGoProのプロモーション映像だが、最近観たショートムービーとしては秀逸な出来だと思う。ホッキョクグマの学名「Ursus maritimus」は海のクマを意味するが、まさにそれが短い映像の中に表現されている。

ただ、この映像を見てホッキョクグマは単にお泳ぎが上手いクマなんだな、で終わってはいけない。どんなに泳ぎが上手かろうとも、海を終の住み処とするアザラシには到底及ばないのだ。ホッキョクグマが泳ぎに優れたクマであるのは、あくまで海氷間を移動するために習得した能力であり、これをもってアザラシを狩るわけではない。

もし、アザラシを狩るためには海が凍るという状況が必要なんだ、そんな深読みがこの映像からできるようになれば、ワイルドライフのその圧倒的な生きざまを映像に残すという作業自体、途方もなく手間のかかることだとしても、意味があることだと思えてくる。

20140628

旭山動物園のホッキョクグマ展示室の廊下に描かれた絵もまた秀逸だ。展示の斬新さに話題が集まる同園だが、そこに至る導線への配慮も忘れてはならないだろう。