タグ : クマ

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先月の話になるが、南アフリカにあるクルーガーNPで、キャンプ場に侵入してきたハイエナに、家族と旅行中の少年が襲われるという事故が起きた。

少年は一人でテントに寝ていたところをハイエナに顔を噛みつかれ、そのままテントから引きずり出されたとのことである。幸い一命を取り止めたようだが、大型獣の骨をも噛み砕くハイエナに噛まれたとあって、顔の骨を骨折する重症を負ったようである。

クルーガーNPはそれなりに管理の行き届いた公園で、海外からの観光客のサファリツアーも盛んである。野生動物たちも昔から十分人の存在は意識しているとは思うが、文字通り一度牙を向けば人などたやすく襲えるという良い例であろう。

人は今でこそ様々な道具・武器・知恵を持って、地球上のあらゆる生きものの頂点に立っている..と勘違いしているのだけどね..が、祖先が二足歩行を始め、火を操るすべをもった時代においても、サーベルタイガーなど大型肉食獣の捕食対象であったことはよく知られている事実である。

折しも、日本でも秋田でツキノワグマによる人の殺傷と食害事故があったばかりで、大型の野生動物が人を餌として認識を持った時点で、我々は実に無力な生きものであることを証明している。

ヒグマやホッキョクグマと異なり、ツキノワグマは基本的に植物食の強い雑食なので、余程のことがない限り人を襲ってまで食べようとは思っていない。ただ、その秘めたるパワーは人の太刀打ちできるところを超えているのも事実なので、万が一の事態は十分考えられる。

余談だが、今回の秋田の事故は襲ったクマと食ったクマは別なのではないだろうか。襲ったクマはビックリそのまま遁走を図り、その後に偶然..と言うよりは匂いだろうけどね..通りがかったクマが死体にありついた、というのが想定される状況である。

人は怖い、でも死体となって転がっている時点でそれは肉塊である、という認識になると思うのである。

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かくいう私もケニヤでサファリ中はキャンプであった。件のクルーガーNPのキャンプ場は一応柵があったようだが、写真のアンボセリNPなど当時は特に柵も何もなかったように記憶している。

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こちらは観光客なので食料を現地調達というわけにはいかない。すべてナイロビで仕入れて持って行った。今考えると、我々がいつ現地でけものの食料になってもおかしくなかったのだとつくづく思う次第(苦笑)。

アフリカの大地に寝転んで、と言えば作文的には絵になるのだが、正直気持ちは落ち着かないものである。アンボセリはアフリカに渡ってから半月以上経っていたので多少慣れまたは気の緩みがあったが、最初のマサイマラではさすがにそんな状況になかった。

何しろ、日本の野外で怖いのはクマぐらいのものだが、アフリカはそれこそ肉食獣の宝庫である。それに山賊やゲリラとかそういう輩も普通に徘徊していて、尚且つそれが日常なのだから何をか言わんやである。

町内で保護?されたタヌキの子どもを、こともあろうにクマの子どもと間違って捕獲檻に入れ、近くにいるであろう母グマも捕獲しようと目論んだ青森県南部町。何かの冗談かと思ったが、一歩間違えばタヌキの子どもを餌にクマを誘引してしまう大失態につながるところであった。

最近のクマ騒動に流され思い込んでしまったと町の担当者が言い訳していたが、どこをどう見間違ったらタヌキがクマに見えるのか。最初の報道で映像を見た時、尻尾が垂れてるやん「そりゃタヌキだ」と思わずツッコミを入れてしまったが(苦笑)、いかにクマの子どもが小さく生まれてこようとも、そもそもこの時期にあの大きさはないぞ。

以前、九州でアナグマをツキノワグマと見間違ったという報道もあったが、一般人の認識がいかに適当かよく判るというものだ。どんなに山奥の田舎に住んでいようとも、一生クマなど見ずに生涯を終える人がいるのは確かだが、その程度の見識と知識でいて、クマが出たら即駆除しろとか言い出すヤツ、その認識の甘さは片腹痛いと言わざるをえない。

我が村でもクマの目撃情報が増えてきて、昼に夕に防災無線通じて注意喚起を行っている。かく言う自分も近所で出会ったばかりだが、そんなこと一々報告する義務はないので放置している。え?誰かがクマに襲われたらどうするって?そりゃ運が悪かったとしか言いようが無いだろうさ。

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クマがすぐ近く暮らしているという事実。それが山間の田舎の日常であり、よくも悪くも昔から隣人として暮らしてきたのだから、それを今さら無かったことにするなど土台無理な話なのである。クマのような大きないきものが棲めるその自然環境を、現代人はもっと有難がったほうが良い。

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ニアミス

2016/6/7

夜、寄り合いの帰り道、牧草地の脇を通りがかった際に、ヘッドライトの光芒に大きな真っ黒い物体が浮かび上がってビックリ。

思わず慌てて急ブレーキを踏んでしまったが、あちらはもっと驚いたようで、路上をその場でクルクルと2回転程度したかと思うと、スタコラ牧草地に飛び込みそのまま草をかき分けて姿を消した。

しばらく周囲の様子をうかがってから車外に出てみると、ガサガサと草をかき分け遠ざかって行く音がしばらく闇夜に響いていた。

やがてその音も、不意に鳴き始めたホトトギスの血を吐くような叫び声にかき消されてしまった..

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翌朝、真っ黒い大きな物体が逃げていった場所を確認。

傍らのうちの駄犬は興味津々といった感じで執拗に匂いを嗅いで、痕跡を辿ろうとアイコンタクトを取ってくるが、ここは年中シカが出るのでダニが多く、さすがに追跡は遠慮しておいた。

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三白眼なクマ

2016/5/13

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クマ看板コレクションにまたひとつ。それにしてもやけに三白眼なクマ。劇画タッチでなんかとってもシュールなんですけど(笑)。

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巨羆

2015/10/11

一昨日、北海道の紋別で体重400kgのヒグマが駆除されたらしい。8月くらいから付近のトウモロコシ畑で食害があって、猟友会が見回っていたようだが、隠れていた畑を刈り込んで周囲を囲み、飛び出してきたところを駆除したとのことだ。

それにしても400kgはデカイ。冬ごもりに備えトウモロコシをたらふく食ったとはいえデカすぎる。有名な三毛別羆事件の個体が340kgだったのだから、その巨大さが判るというものだ。

エゾヒグマの平均体重は120〜250kg程度で、ヒグマの亜種の中では最も小型になるが、それでも本州に生息するツキノワグマに比べればかなり大きい。アラスカでは500kgぐらいありそうなのをゴロゴロ見掛けたが、それは知識として大きいことを知っていたので特に驚くことはなかった。

が、北海道のヒグマでその大きさはちょっと想定外である。知床あたりだとさすがにそこまでの個体は少ないようだが、内陸部だとまだまだ人知れず原野を闊歩している巨羆がいるのだろうか。

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実は動物園で飼育されている個体は結構デカイ。恐らく300kgオーバークラスがザラではないだろうか。ろくに運動もせず野生個体のように餌を探して歩き回ることがない、いわゆるメタボグマなのである。

飼育グマ同様、人も運動せずにPCの前に張り付いている..え、誰のことだって?..ようでは、何れ遠からずメタボ呼ばわりされてしまうのは必定。天高く馬肥ゆる秋を地で行かないよう、精進せねば..

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三重県が同県内で捕獲されたクマを滋賀県の山中に放したとカミングアウトしたその日、放獣現場に近い滋賀県の山村で女性がクマに襲われる事故が発生。同村では普段はクマを見掛けることがないため、三重県が放獣したクマの仕業である可能性が高く、滋賀県が三重県に抗議し、三重県が謝罪する事態となったようだ。

捕まえたクマを処分せずにまた放す奥山放獣という行為自体、もともとは北米を中心に自然保護の機運が高い欧米で始まったことだが、近年の日本でもその筋の関係者の努力によって、何とか定着しつつある。特にクマのような大型で個体数の爆発的な増減を見込めない生きものが、一旦その数を減らしてしまうとなかなか回復するには至らないものなのだ。

と言うことで、殺さずに済めばそれに越したことはなく、何よりそれがヒトの知恵というものだが、その方法があまりに安易だと、結局またぞろ騒ぎを誘発するというのが今回の良い例である。

北海道や東北、信州の中央高地を除いて、日本国内に果たしてどれほどの奥山と呼べる環境があるのか悩ましいところだが、日常目にしているあの山の向こう側は得てして隣県だったりするわけで、そこに野生動物たちの極楽浄土が連綿と広がっているわけではないのだ。我が昭和村など三方は隣接町村であり、残る東は赤城山なれどそこは観光地として季節を問わず賑わっているので、間違ってもそんなところにお仕置きして気が立っているクマを放す..いわゆるお仕置き放獣..などという暴挙は不可能なのである。

今回の一件、三重県が放した個体と同じ個体かという検証は必要なれど、そろそろ奥山放獣を一自治体だけで解決する..自分のところだけ良ければ的な事なかれ主義ではなく..のではなく、近隣の自治体と連係して行動するような仕組みを講じるべきなのだろう。山と言っても地べたで皆つながっているわけだし、広域に考えれば県をまたぐことだった十分ありだと思うしね。

20150528

薄暗い林内で、クマならぬカマのような首を持ち上げているのはマムシグサ。食虫植物のような出で立ちだが、虫を捕獲して食べているわけではない。ただ、虫を媒介して受粉させるという戦略を取る関係上、匂いで筒状の仏炎苞内に誘き出すという手口はよく似ている。

ブナ豊作か

2015/5/15

日本海側の奥山のブナ林を見る限り、この春はいつになくビッシリと雌花が付いている。このまますべて結実するようであれば、この秋は17年以来の豊作となるかもしれない。

20150515

ブナの豊凶は、地域によってバラつきはあるものの、概ね5〜8年程度の間隔で推移している。県内は一昨年25年もわりと実のなりは良かったが、全国的には8年前の17年が豊作だった。翌18年が一転して大凶作であったため、平成の大虐殺とまで言われたクマの大量捕殺が行われたのは記憶にまだ新しい。

当時のツキノワグマの推定生息数が多く見積もっても15000頭と言われていた時代に、一年で5000頭以上も駆除名目で捕殺してしまったのだから驚き以外の何物でもない。駆除数もさることながら、推定生息数がいかに適当でいい加減かは、その後のクマの出没状況をみれば判るというものだ。

という事実を踏まえれば、今年はともかく、来年はまたクマ騒動の年になるのは間違いないということだ。

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こちらは県内の天狗様生息地で撮影したカケス。県北のブナ林なのだが、県内も確かにブナの雌花が多く付いているのが判る。ちなみにこのカケス、クマタカの幼鳥の鳴き真似をしながら森の奥から現れた。以前からこの谷筋でよくクマタカは見掛けるので、近くに営巣地があるのかもしれない。ま、あまり興味はないけどね..

雪渓グマ

2015/5/8

20150508

日本海側の奥山で天狗と小天狗探し。萌黄色に染まるブナ林はいつ見ても美しい眺めだ。

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谷筋にはいくつものスノーブリッジが残っていた。この辺りは有数の豪雪地帯ではあるが、今年は降雪量は意外に少なかったようだ。

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はるか遠い雪渓の上に黒い物体を発見。双眼スコープで観察するとクマであることが判る。それもかなり立派な雄グマだ。のっしのっしという表現が似合うゆっくりとした歩みで残雪の上を移動し、そのまま隣接するブナ林へと姿を消した。

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この後、続けてもう1頭瓜二つの個体がまったく同じコースを辿るという珍事があったが、この季節に奥山で天狗様を探しているとこういった出来事に遭遇するので面白い。

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調査仕事の手伝いで出張続きであったが、そろそろ本業が年度明けでバタバタし始めてきたので帰郷。できれば晴耕雨読といきたいところだが、商売は客あってのことなので、なかなかそうも言ってられない大人の事情である(意味不明)。

20150416

ベース標高は300mほどの東北内陸の山村で、北向きの斜面にはまだ残雪がある。ヤマザクラはまだこれからであったが、ブナの芽吹きが始まっており、オオルリなど夏鳥がボチボチ鳴き始めていた。しかしここ数日は天気がすっきりせず、昨日も午後から雷雨であった。

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一見すると肉眼では見通しが良いように見えているのだが、実際は谷全体に薄く靄がかかったようになっており、望遠にして空間を圧縮するとヘイズ感がアリアリしてしまう。直線にして4.5kmほど離れた尾根を、朝方の条件の良い時間帯にコリメートで撮してみたが、スギ花粉の影響もあってかやはりモヤモヤしているようだ。

ポツっと尾根上のブナに3頭の親子グマの姿が見える。最近冬眠明けしたと思われるが、この3日間ほぼ同じ場所で採餌していた。この時期クマが木に登って新芽を食べている姿は、まさに春山の風景である。

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道端クマ棚

2015/2/20

道脇、それもガードレールのすぐ脇にあったクリのクマ棚。それはちょっと手を伸ばせばすぐ届く距離にあって、今にもバキバキと音が聞こえてきそうな雰囲気であった。知人に教えられて帰りがけに立ち寄ったのだが、さすがに国道脇でクマ棚をこの距離から見たのは初めてである。

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山間部の3桁国道とはいえ、周囲に普通に人家のある場所だ。状態から見て数日間は通っていたようだが、もしかしたら親子のように複数の個体が登っていたのかもしれない。

日中に登っていたとは考えづらく、国道脇なので夜間でも車の往来はあったと思うが、そう思わなければ気付かず通り過ぎてしまうだろう。ヘッドライトの光芒が当たっても、すぐに通り過ぎてしまえば案外クマは気にしないものだ。平気の平左で黙々と里ののクリを食べ続ける姿が目に浮かぶ。

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