今週は週の頭こそ前線通貨の荒天であったが、その後は打って変わっての陽気で上着要らずの暖かさ。風も微風程度にそよそよだったので、クモの子たちが糸を飛ばして分散を図る雪迎え日和であった。
専門的にはバルーニングというこの行為。基本的に風任せなのでどこに到達するかは運次第となるが、気がつくと三脚周りや観察機材、そして自分自身にも絡みつかれてやや迷惑なり。
わらじとんかつ食いに秩父まで出張ったついでに、近くの武甲山に登ってみた。
武甲山は石灰岩質の山で、山の北側半分で石灰岩の切り出しが行われており、ご覧の通りの見てくれの山である。
よく名の知れた山ではあるが、山頂以外どうにも視界のない山で、ひたすらスギとヒノキの木立の中を登ることになる。まあ絶対に春先は登りたくない山だな。
山頂から北方向の視界はご覧の通り。秩父市街地の向こうに遠く我が郷里の赤城・榛名を望める。
登ってから気付いたのだが、山頂の御嶽神社はヤマトタケルの東征伝説が起源とのことで、狛犬がオオカミだった。なかなか由緒正しい古の御神体のようで。
この日は朝の天気予報で夜から雪の予報が出ていたが、日中は風もなく穏やかなだった。
まだススキの残る日当たりの良い草地の原野に立っていたが、周囲を白っぽいものが飛んでいるのに気がつく。
手をかざすと狙ったように落ちてきたのは雪虫。雪が降り出す季節に姿を現すので一般的に雪虫と呼ばれるが、正確にはアブラムシの仲間である。
と言っても詳しくは種名までは知らなかったので調べてみたが、トドノネオオワタムシとケヤキフシアブラムシという種を雪虫呼ぶらしい。
白っぽい蝋物質でできた綿状のものを体に纏うのがトドノネオオワタムシで、時に大量に発生してその飛ぶさまが雪が降るように見えることから、雪虫と呼ばれるらしい。
ただ名前の印象とは異なり、大発生する北海道や東北では害虫の扱いとのことだ。
コリメート装備を出すまでもないちょっとした観察に使用しているスワロの旧STS65。
なるべく軽量コンパクトで運用したいので、脚周りはPeak DesignのTravel Tripodに従来はLeofotoのBV-10を組み合わせて使っていたが、この夏からSmallRigの小型のビデオ雲台で運用している。
BV-10より固定力やカウンターバランスは劣るが、サイズが一回り小さくてさらにコンパクトであり、強風の中でもない限りはまあそれなりに使用可能。
一番気に入っているのはパン棒の長さを調節できること。ビデオ雲台はどれも無駄にパン棒が長く、フィールドスコープを覗く際は右手が体より後ろに回ってしまい、どうにも使い勝手が悪い。人によってはパン棒を前側に回している人もいるぐらいだし。
その点、SmallRigの雲台はパン棒を140〜330mmの範囲に伸縮できるため、体の前面でパン棒を操作できて便利である。
耐荷重は約5kgあるので、ミラーレスカメラに標準ズームレンズ程度なら動画撮影も可能である。スチル撮影で使う際は、例のごとく雲台をそっくり外して使えばOK。
ついにグローバルシャッター搭載の民生用デジタルカメラが登場した。
すでに技術的には実現されていたが、それを量産品として最初に出すのはセンサーを自社で設計・製造できるソニーかキヤノンだろうとは思っていたが、α9IIIとしてソニーが世界初ということになった。
今さら言うまでもないが、グローバルシャッターはセンサーに配置された受光素子からすべて同時に露光可能なため、従来のCMOSに比べてローリングシャッター現象による歪みがほぼ解消される。
高感度に弱いとか消費電力が激しいというデメリットもまだ残されているが、それでも動体撮影には圧倒的に有利となるため、スポーツ競技やモータースポーツ、航空機、動物(特に鳥)などを狙うカメラマンには悲願のカメラとなるだろう。
民生品とは書いたが、予想される実売価格は90万近くするので、さすがにまだ一般人がおいそれと手を出せる価格帯ではないが、仕事で使ういわゆるプロカメラマンには十分設備投資の範疇だろう。
前述のデメリットが解消され、普及価格帯まで下りてくるにはまだ数年は掛かりそうだが、我々のようにそこまでシビアな性能を要求しない向きは、じっくり待てば良い。
そしてこうなると気になるのは先を越された?キヤノンの動きだが、来年はパリ五輪の年であるので、予てから噂の絶えないR1..または1Rか?..がどんな仕上がりが出てくるのは注目される。
ゴォーという音とを立てて、稜線を強い風が吹き抜ける。