我々のようなフィルム世代カメラマンにとって、当時テレコンバーターは緊急時にのみ使用を許可されたいわば飛び道具のようなものだった。
フィルムカメラでは増感しない限りISO100が基本だったので、マスターレンズの開放がF4なら1.4倍テレコンでF5.6、2倍ならF8となり、早朝や夕暮れそれに薄暗い林内での長玉使用では絶望的にシャッター速度が遅くなって、三脚が必須の上にそれこそ手ブレとの闘いだった。
ISO感度はデジタルカメラになって可変となったことで、マイクロフォーサーズ機でもISO1600とかISO3200辺りまでさほど躊躇なく使える..生きもの系の話ね..ようになり、必然的にシャッター速度も稼げるようになったが、テレコン併用は本来設計上は考慮されていない言ってしまえば余計な光学系を挟むことになるので、画質低下は避けられないものであった。
それでも1.4倍は我慢の範疇としても、2倍テレコンなんて以前使っていたキヤノンやニコンの長玉なら、余裕があるから一応2倍テレコンかまして撮っておくか、という程度の代物だったが、オリンパスのMC-20はちょっと次元が違う。
ED300/4 PROと同40-150/2.8にとっては専用設計的なものになっている..どちらもマスターレンズとして優秀だけど..ので、光が回っている状態なら常用していても気にならない、それほどに撮影結果もサイズ感も使用感を感じさせない逸品だ。
iPhone 11 Pro
テレコンの画質の優秀さもさることながら、忘れてならないのが手ブレ補正機能だ。特にオリンパスE-M1Xのそれは今のところ比肩するカメラは存在しないと言ってよいだろう。
E-M1XとED300/4 PROの組み合わせで6段..ED12-100/4なら7.5段分!..の補正能力があり、換算1200mm相当の手持ち撮影など日頃そうそう多用するものでもないが、もしかして付けっぱなしで良いんじゃね?とついぞ思ってしまう。
一応、基本はMC-14常用で840mm、余裕があるならMC-20で1200mm、被写体ブレまで対応したくば素のままで600mmというのがED300/4 PROの使い方としてベストだろう。
OLYMPUS OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + MC-20
早朝、1200mm ISO1600 1/30を手持ちで撮影。ジョウビタキはお辞儀しながらテールを上下に振る習性があるので、低速シャッターだと被写体ブレになることがある。
この時はちょっと警戒していて動きが止まったところを撮影できた。