意外に優秀なオリンパスのUI
工業製品はメーカーの設計思想の塊と言えるが、カメラのように人が手で操作する製品の場合、ユーザーの想定する操作とその結果ともなる振る舞いに乖離があると、途端に使いづらいという烙印を押される事になる。
拙者の場合、長らく某C社のEOSを使っていたため、10年前に最初にパナのGH2を触った時は「何じゃこりゃ」となったものだが、人は容易に慣れる・慣らされる生きものなので、半年も使い込めばEOSと併用しても特に気にならなくなった。
現在はフジのXシリーズをメインで使っているが、X系の操作体系はフイルム時代と同じダイヤルインターフェイスなので、子供の頃に覚えたレンズの絞りを回し、軍艦部のダイヤルでシャッターを速度を固定、レリーズを押すという一連の動作を体が覚えている..自転車の乗り方を体が覚えているのと同じだ..ので、Xを使いだした頃でも何の違和感もなかった。
E-M1Xはオリンパスでは初めて使うカメラで、同社の他の製品がどうかはわからないので判断はこれだけになるが、結論から言うとフィールドで使うカメラとしては素晴らしくよく考えられていると思う。
メニュー体系が分かりづらいという話はよく耳にしていて、実際確かにラビリンスが如き「何でその設定がそこなの?」という項目が散見され、細かいチューニング時には操作説明書..これがまた信じられないくらい分厚い!..は必携である。この辺りはEOSのメニュー体系がわかりやすいね。
ただ、通常の撮影に必要な項目はOKボタン一発で呼び出せるスーパーコンパネですべて網羅されているので、実は言われるほどメニューで迷うことはない。スーパーコンパネに表示されない項目でも、他のメーカーにもあるようなマイメニューが用意されているので、使用時に設定を変えるような機能、例えばハイレゾショットやデジタルシフト撮影などを登録しておける。
ボタン類のカスタマイズ性も高く、パナ並にほぼすべてのボタンをデフォルトとは別の機能に置き換え可能である。まあ言うほど拙者はデフォルトの設定を変えることはせず、なるべくそのメーカーの文化に慣れることを選ぶのだが、当ブログでお馴染みの中指AFについてはE-M1Xでも同様に健在だw
で、E-M1Xで何より秀逸なのは、露出、AF、ドライブのほぼすべての状態をカスタム登録として最大4パターン保持していられる点である。
いやそんな機能はパナのG9 PROにもあるよと言われそうだが、GH5もそうだがパナの場合、AFとドライブ関連はそれぞれ専用のダイヤルもしくはレバー位置に依存するので、個別にカスタム登録しておけないのだ。物理的なダイヤルインターフェイスの利点は目視で状態を確認できる点にあるが、それが逆に作用してしまっている。
そういう意味で、完全にダイヤルインターフェイス主体でそもそもカスタム登録という概念すらない..と言うかどうにもしようがないしw..フジのXシリーズは、まさにE-M1Xとは対局に位置するカメラと言えよう。
G9 PROのカスタム登録にはさらに大きな問題がある。E-M1Xは登録したカスタム設定をダイヤルで呼び出し、一時的に登録内容を変更..例えばISO感度AUTOをISO6400に変更とか..しても、電源を切らない限りその変更状態を保持していてくれるが、G9 PROはスリープ状態から復帰した時点でカスタム登録した内容にきれいサッパリ戻ってしまうのだ。
E-M1Xを使う前はそんなもんか、でもイチイチ面倒だなぐらいに思っていたが、逆にE-M1Xの記憶力の良さ..言葉の使い方間違っているw..に慣れてしまうと、今度はG9 PROのバカさ加減にムカつくのであるw
ということで話が長くなったが、E-M1Xを使うことで今更ながらオリンパスのカメラの操作性の高さに感服している次第である。