琵琶湖の湖北に今年もオオワシが渡ってきたと知らせが届いた。毎年観察している知人によれば今年も同じ個体であることが確認できたということなので、1998年以来かれこれ23年連続の渡来となる。
個人的には1999年に同個体を観察した記録がフィールドノートに記載があって、写真も撮っているはずなのだがちょっと探した限り見つけられず。当時はフィルムなので大箱の中のどこかにあるはず。
ノートにはすでに成鳥とあるので、少なく見積もっても29歳程度はいっている..成鳥になるのに5〜6年はかかる..と思われ、もしかしたら30歳を超えている可能性もあるかな。
先日のアホウドリもそうだが、大型の鳥類は比較的寿命が長い種が多く、オオワシだと飼育下では札幌の円山動物園で2002年に亡くなった個体が52歳という例があるが、それでも野生下で長寿を全うするのはなかなか厳しいので、30歳前後ともなるとやはり長生きの部類と言えるだろう。
それに継続して観察されていることで個体識別もしっかり行えるので、こうした貴重なデータが取れることになる。やはり地道にでも調査は続けていくことに意味があるので、先般話題になった気象庁の生物季節観測中止の件は見直してほしいと思うぞ。
ちなみに我らが天狗様ことイヌワシでも、我々研究会の先輩たちの代から地道に継続して続けられてきている調査によって、野生下の個体で年齢を確認できているケースがいくつかある。それらの例ではいずれも30歳を超えており、中には40年近い個体がいることも分かっている。
長く生きるためには怪我も病気もなくまずは健康であることが条件となるが、と同時に十分な餌資源の確保ができていることの証でもあるので、個体の情報もさることながら生息地や越冬地の環境の変化についてもデータを取り続けることが肝要であろう。
Canon EOS-1D MarkII N / EF28-300mm F3.5-5.6L IS USM
晩秋の知床半島の海岸段丘上を、海風に煽られながら知床岬目指して飛ぶオオワシ。11月も中旬ともなるとオオワシ・オジロワシの秋の渡りの季節である。
オオワシ・オジロワシの秋の渡りのコースは、概ねサハリンから宗谷岬を経て北海道へ入ってくる個体が多い。
多くはオホーツク海沿岸に沿って南下、知床半島を通過して道東を中心とした道内の越冬地に向かうことになるが、湾や不凍河川のサケ・マスなど餌量に依存することになるので、状況によってはさらに分散し、本州方面に降りてくる個体も出てくる。
ただ、件の湖北の個体は、到来時期からして北海道に留まることなく本州の日本海側を琵琶湖を目指して直接やって来ていると思われる。
23年も無事に越冬できている成功体験は、野生動物にとっても相当に大きな魅力と見ることができるということだ。