10月も中旬になろうかというのに、この暑さたるや一体何としたことか。聞けば日本海側では真夏日のところもあったとか。
台風が連れてきた南風の影響とは理解してはいるが、よもや先日秋冬物と入れ替えで仕舞い込んだばかりの、Tシャツ短パンの世話になろうとは。
せっかく秋らしい景色を探して回っても、何だか水を差されたみたいで気分が盛り上がらないぞ。
写真にしろ映像にしろ、これは一体どうやって撮ったのだろうか、そう観る側に思わせたなら、それは一流のエンタテインメントと言っていいだろう。
VFXのような編集上の技術ではなく、アングルも含めたカメラワークでそれが実現できれば、それがドキュメンタリーというカテゴリであっても、そう異論はないだろう。
クレーンで釣ったりヘリで空撮してみたりと、昔から様々な撮影技術が考え出されてきたが、それら特機のような大げさなものでなくても、小型で高性能なカメラが出現したことで、コストをかけずに大胆なアングルでシーン演出することが可能となった。
GoPro HEROシリーズなどはその先鞭をつけた代表的なカメラだが、PVとはいえ率先してメーカー自身そのソリューション的な映像を配信しているあたりは、さすがだといつも感心している。
これは先日発表された新型モデルHERO3+のプロモーション映像で、既視感もあってどう撮っているかなど手の内はすでに判り切ってはいるが、それを差し引いてもエンタテイメントとしては尚秀逸だと思う。
カットのつなぎも素晴らしく、観ていて良い勉強になるしね。
今日は昼頃から風が強くなって予定していた外ロケは中断。
その帰りに村内で道を横切るカモシカに遭遇したが、親子だったせいか珍しく撮影前に足早に逃げられてしまった。
山の神様を慮ることなく無遠慮にバラバラと飛来するのは新◯本ヘリ◯プター。ここんちは東電系なんで、まあいつもの送電線巡視だろう。
天狗様は航空機の場合は絶対的な飛行高度が異なるためほとんど気にしないが、同じ飛行物体でもヘリやパラグライダー系は気になるとみえて、こちらが気付くはるか前に現状離脱して山向に消えてしまうのだ。
以前パラに関しては飛行禁止を申し入れたことがあったが、繁殖期に低空で飛ばれた日にはたまったもんではない。
それにしてもこの手のものを撮ると気になるのはコンニャク現象だ。専門的にはJello Effectなんて言うんだけど、特にDSLR系動画によるローリングシャッターの歪みはどうしようもない。
CCDに採用されるグローバルシャッターが望ましいが、高画素のCMOSセンサーだとコスト面で難しいようだ。
額の汗を拭い、最後の急登を前に一休み。明日から天候は思わしくないらしいが、どうしてどうして本日は空が高い。しかも月末携帯不通だ(笑)。
目を凝らせば県境付近の二千m前後はすでに紅葉が始まっている。
ふと気が付けば、早々と天狗様の姿を確認。ただ、機材はバックパックの中だし、準備には一手間掛かる。ここは双眼鏡でのんびり行方を追う。
20分ほどで残りの急登を登り切り、撮影機材をセットして、待つこと更に1時間。今日は天気同様にワシ運もよく、頻繁に狩場とする伐採地に親子3羽で姿を見せた。
そう、1日いてたった5秒の目視で終わることもあれば、こんなフィーバーなこともある。
日本で最も広い行動圏を持つ生きものを相手にするということは、この現実を避けては通れない。