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黒い巨鳥出現!みたいなニュースがここ数日賑わしていたが、ヘッドラインだけ見て最初はどこかで天狗様の三つ星か?と色めき立った。翼に白い部分があるとか言ってたし。

時期的に営巣谷の中ならありうるし、秋以降であれば生息地以外でも分散過程で可能性は十分あるが、今のこの時期に場所が千葉の房総と聞いてそりゃ無いなと。

まあ映像を観ればもちろん天狗様でないのは一目瞭然だが、体高が1mもある黒い鳥なら三つ星より大きい。

名前をミナミジサイチョウと聞いてサイチョウの仲間だとは分かったが、聞いたことはない名前なものの観た記憶はあるなと思い、アフリカ取材のフィールドノートと写真を漁ったところ、記録があった。

ただ自家製の観察記録データベース..25年もFileMakerで稼働しているw..で検索しても和名ではヒットせず、仕方ないのでポジのスキャン画像..20年以上前なので当然フィルムだ..から画像検索で探しだしたが、当時のフィールドノートも原版のポジも「Southern ground hornbill」と書かれていたのでまあそりゃそうだなとw

撮影場所はケニヤのMasai Mara N.R(マサイマラ国立保護区)で、当時は見かけた生きものは四足でも鳥でも何でも撮っていたので、まあその結果の一つだろうなろうと。

ニュースでは南アフリカの絶滅危惧種的に言っていたが、その情報の出どころは恐らくWikiで、名前に「ミナミ」とあるので最初の記述者が間違えたか適当に書いたかのようだが、実際はアフリカ大陸の南部に分布しているが正しい。確かに数は減らしているようだが。

↑これ書く前に再度Wikiを確認したら生息分布が正しく修正されていた。仕事早いなWikiの編集者w

Canon EOS-1n / EF500mm F4.5L USM / PROVIA / Masai Mara N.R

滞在していた現場を見れば分かるが、食性はサギの仲間とほとんど同じで、同様に湿性環境を好むようなので千葉はまさにうってつけと言った感じ。

正直あまり深い印象はないが、フィールドノートを読み返す限り、ケニヤでもアフリカスイギュウなどと一緒に湿地の近くにいたようである。

千葉の個体は当然ように篭脱けであり、先日無事に捕獲されて飼い主..ペットショップの商品だったようだ..のもとに帰ったそうだが、聞けば逃げ出してから1年半も経つというではないか。

単独個体だったとは言え、あの大きさの鳥が普通に生き延びることが出来ていた千葉の湿性環境..言ってしまえば田んぼだけど..の豊かさが改めてよく分かる一件であったな。

まさに房総のポテンシャル恐るべしだ。

謹賀新年

2021/1/1

あけましておめでとうございます。

本年もティエム・イメージングと当ブログをよろしくお願いします。

Canon EOS-1n / EF70-200mm F2.8L / PROVIA / Nakuru N.P

アフリカスイギュウ(African buffalo)の棲むケニヤの自然を大切にしよう!

名前だけはよく知られているが、実際に日本の野外でその姿を見ることはない、そんな代表的な生きものの一つがカメレオンだ。

周囲の環境に合わせて体色を変化させるその能力は、「あいつはまるでカメレオンのようだ」的な比喩ですでに人の生活に言葉として溶け込んでいるが、実際のカメレオンが生息するのはインドとその周辺、アラビア半島の南部、アフリカ大陸の一部とマダガスカル島だけである。

カメレオンの仲間は100種類近く..亜種まで含めるともう少しいるかも..確認されているが、その半数はマダガスカル島に生息していると言われている。

そのマダガスカルで1913年にドイツの学者が発見して以降未確認だった「Voeltzkow」が、約100年ぶりに発見されたとのことだ。Voeltzkowはその発見者の名前である。

カメレオンの寿命は種によってはまちまちで、長い種で数年、短いと半年程度という種もいる。爬虫類好きにペットとして人気があるようだが、そういう意味では愛玩動物としては不適ではないだろうか。

幻と言われていた件のVoeltzkowが長らく未発見だったのも、短い雨季の期間だけしか生息していないという寿命の短さにその理由があるようだ。

発見された場所は開発が進む熱帯降雨林の伐採地だったというが、我々が訪れた1990年代後半の時点でもすでにマダガスカル全島で無秩序に開発が行われていたので、貴重な固有種が今でも人知れず失われている可能性は否定できない。

大雑把に言うとマダガスカルはアフリカ大陸に面した西側、特に南西部は乾燥地帯で、インド洋に面した東側はモンスーンの影響を強く受けるため降雨量が多い。

それ故に温帯湿潤な森は東側に多く集まり、必然的に伐採を伴う森林開発が進むのも東側ということになる。開発理由は東南アジアの島国と同様、農耕地を求めてということになるが、空路アンタナナリボへの降下中に目にする広大な赤茶けた裸地は、なかなか考えさせられる眺めであった。

Canon EOS-1n / EF70-200mm F2.8L / PROVIA / ストロボ使用 / カメレオンsp.

初めて野生のカメレオンを観たのは首都アンタナナリボの東に位置するペリネ特別保護区であった。

マダガスカルには私有地内にあるプライベートな保護区もあるが、ペリネの森はアンダシベ国立公園の一角にあるその名の通り国の管理により保護区である。

インドリなど森林性の原猿を観察するのに地元のガイドに案内を頼んのだが、その合間のちょっとした休息中にも関わらず、林縁で数種のカメレオンを見掛けた。

原猿にしろカメレオンにしろ、あれだけ開発の進む荒んだ状況にあっても、未だ新種の発見や絶滅危惧種の再発見が続くマダガスカルの生きもののポテンシャルはかなり高いとも受け取れるが、それがあと半世紀も持たないのではないか?と感じてから早20数年。

まだ彼の地に地力のあるうちに、時間が許せば再訪したいと思うことがある。

アフリカ南部にあるボツワナのオカバンゴ・デルタで、4月ごろからこれまでにアフリカゾウ350頭以上の大量の不審死が見つかっているそうである。

アフリカゾウは常に象牙目当ての密猟者に狙われているので、当然のように最初は人為的な殺戮が疑われたが、死体にはどれも象牙が残ったままだったので、その辺りの事件性は薄いとのことだ。

オカバンゴ・デルタはその名通り、雨季にオカバンゴ川がカラハリ砂漠に作り出す内陸デルタ地帯のことである。死体はその湿地帯によって形成される彼らの水飲み場周辺に70%が集中しており、その水を飲むことで今回の事件が起きている可能性が示唆されている。

直接的な原因は未だ特定されていないようだが、その場ですぐ急死した例の他に、しばらく周辺をうろついて..ゾウが円を描いて歩き回る行動は神経障害の兆候..から死んだような痕跡も残されているのことで、何らかの未知の毒素の可能性があるようだ。

その原因究明が進まない理由は今まさに進行中の新コロナが理由とのこと。ボツワナ国内で検体サンプルの輸送もままならず、そもそも検査機関自体が満足に機能していないので、検査結果が出るにはまだ時間がかかる見通しのことだ。

アフリカや南米アマゾンの自然界には、まだまだ未知の菌やウィルスがあるというのはよく聞く話だ。シベリアなど北極圏の永久凍土や南極大陸の太古の地層や氷もまた然りで、地球温暖化の影響含めそういった未知の脅威が表沙汰になるという事実が、まさに物語の世界だけでは留まらない現実を見せつけられていることになる。

Canon EOS-1n / EF300mm F2.8L USM / アンボセリN.P

アフリカゾウは地上に生息する生きもの中では最大の種である。動物園で眺めていてもその存在感は圧倒的だ。

そしてマサイの戦士ですら「シンバ(ライオン)は怖くない」「怖いのはゾウとカバだ」と言うくらい、実はゾウは恐ろしく怒ると凶暴な生きものなのである。

我々もマサイのガイドのアドバイスに従いケニヤのサバンナでは一定の距離を保って撮影していたが、意図せず不意に出くわした..ブッシュの陰から突然ブラフチャージを受けた..時はもう人生終わったと思ったくらいビビったw

自分たちの乗っている車よりデカイ生きものに、突然目の前まで迫られた恐怖感たらそりゃ推して知るべし、まさにジュラシック・パークでティラノサウルスに襲われたあんな感じだ。

日本の商習慣で何が気に入らないかって、それはハンコである。大量生産されたその捺印をもって本人の意思確認とするという行為にまったく意味がわからない。

本人による直筆サイン以上に間違いないものはないのに、田舎のホームセンターにも売っているハンコで認証してしまうのはどう考えても腑に落ちない。

サインは模写できるとかいうが、ハンコだった複製できるし前述の通りどこででも手に入る。実印の登録制度がある言うが、それとてハンコがなければ厄介な制度すら要らないという本末転倒論なのだ。

いつ頃からかハンコをありがたくなるようになり、そこに業界が出来上がってしまっている現在において、お上が業界に気を使う逆忖度に陥る羽目になっているのは滑稽以外何者でもない。

Canon EOS-1n / EF300mm F2.8L USM / アフリカゾウ in マサイマラN.R

そしてハンコと言えば象牙である。象牙をありがたがる国は日本以外にも中国があるが、中国市場が原因でゾウの密猟が横行し世界的に批判を受けたため、中国では2017年に象牙の商取引を禁止している。

では日本はどうか。それが明らかに国内業界..あえて市場とは言わないぞ..に気を使うあまり、未だに象牙の商取引に制限はないのだ。

国内での取引では以前の在庫分でそれも減少傾向にあるので、近年の密猟とは関係ないというのがお上の言い分だが、市場がある限り裏ではそれを必要とする輩も減ることもない。

WWFジャパンの報告によれば、国内在庫の違法輸出も横行しているとのことで、その密輸の先は中国という悪循環の起点にすらなっている可能性あるのだ。

そんな中、先頃ヤフーが自社サービス内での象牙取引禁止を打ち出した。同じようなeコマースを展開する楽天は2017年に象牙取引禁止を禁止しているので、国内のネット通販大手がお上の意向とは別に軒並み禁止の方向にかじを切っているのは良い傾向..でもまだしらばっくれて通販しているショップもあるが..である。

供給源を断てば何れ市場も欲望も消滅する..まあ事はそう単純ではないが..わけで、日本にも即刻象牙取引の国内禁止を断行してほしい。それで件のつまらんハンコ文化も廃れることを期待したい。

キリンはアフリカ大陸のサハラ砂漠以南に分布する奇蹄類..馬やバクと同じ蹄が奇数ある..の仲間だ。

従来、キリンは地域によって亜種に分化しているが、基本的に種としては一種として扱われてきた。色味と模様に若干の違いあれど、見た目も形態的には違いが見られないからだ。

それが遺伝子解析の技術が進歩したことで、実はミナミ、キタ、アミメ、マサイの異なる4種に分かれるという新説がこのほどドイツの研究チームより発表された。

どうやら遺伝子レベルではヒグマとホッキョクグマの同程度の違いがあるらしく、全体の総数では数が多く見えても、種ごとになれば一気に数が少ないという判断になるため、従来とは異なるアプローチで保護政策を考える必要に迫られるとのことだ。

20160911

ケニヤのマサイマラNPで撮影したマサイキリン。夕景にその特徴的なシルエットが美しい。

アフリカのサバンナを旅していると、平らであるがゆえに広く遠くまで見通すことができる。平原にはたくさんの草食獣を絶えず見ることができるが、とりわけキリンはその首の長い体軀で、どこにいてもよく目立つ。

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先月の話になるが、南アフリカにあるクルーガーNPで、キャンプ場に侵入してきたハイエナに、家族と旅行中の少年が襲われるという事故が起きた。

少年は一人でテントに寝ていたところをハイエナに顔を噛みつかれ、そのままテントから引きずり出されたとのことである。幸い一命を取り止めたようだが、大型獣の骨をも噛み砕くハイエナに噛まれたとあって、顔の骨を骨折する重症を負ったようである。

クルーガーNPはそれなりに管理の行き届いた公園で、海外からの観光客のサファリツアーも盛んである。野生動物たちも昔から十分人の存在は意識しているとは思うが、文字通り一度牙を向けば人などたやすく襲えるという良い例であろう。

人は今でこそ様々な道具・武器・知恵を持って、地球上のあらゆる生きものの頂点に立っている..と勘違いしているのだけどね..が、祖先が二足歩行を始め、火を操るすべをもった時代においても、サーベルタイガーなど大型肉食獣の捕食対象であったことはよく知られている事実である。

折しも、日本でも秋田でツキノワグマによる人の殺傷と食害事故があったばかりで、大型の野生動物が人を餌として認識を持った時点で、我々は実に無力な生きものであることを証明している。

ヒグマやホッキョクグマと異なり、ツキノワグマは基本的に植物食の強い雑食なので、余程のことがない限り人を襲ってまで食べようとは思っていない。ただ、その秘めたるパワーは人の太刀打ちできるところを超えているのも事実なので、万が一の事態は十分考えられる。

余談だが、今回の秋田の事故は襲ったクマと食ったクマは別なのではないだろうか。襲ったクマはビックリそのまま遁走を図り、その後に偶然..と言うよりは匂いだろうけどね..通りがかったクマが死体にありついた、というのが想定される状況である。

人は怖い、でも死体となって転がっている時点でそれは肉塊である、という認識になると思うのである。

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かくいう私もケニヤでサファリ中はキャンプであった。件のクルーガーNPのキャンプ場は一応柵があったようだが、写真のアンボセリNPなど当時は特に柵も何もなかったように記憶している。

20160704

こちらは観光客なので食料を現地調達というわけにはいかない。すべてナイロビで仕入れて持って行った。今考えると、我々がいつ現地でけものの食料になってもおかしくなかったのだとつくづく思う次第(苦笑)。

アフリカの大地に寝転んで、と言えば作文的には絵になるのだが、正直気持ちは落ち着かないものである。アンボセリはアフリカに渡ってから半月以上経っていたので多少慣れまたは気の緩みがあったが、最初のマサイマラではさすがにそんな状況になかった。

何しろ、日本の野外で怖いのはクマぐらいのものだが、アフリカはそれこそ肉食獣の宝庫である。それに山賊やゲリラとかそういう輩も普通に徘徊していて、尚且つそれが日常なのだから何をか言わんやである。

先月、ケニアのオルペジェタ自然保護区で1頭のシロサイが死んだ。シロサイはキタシロサイとミナミシロサイに分類されているが、確認されているキタシロサイはもう6頭だけになってしまったようで、ほぼ絶滅状態と言っていいだろう。ミナミシロサイもIUCNのレッドブックでは準絶滅危惧種(しかも近絶滅種)として扱われている。

サイの仲間は、アフリカ大陸にはシロサイの他にクロサイが、東南アジアにはスマトラサイとジャワサイ、インドにインドサイが生息しているが、その何れもが絶滅の危機にひんしている。生息地そのものの環境変化も一因だが、角を薬..漢方薬の原料として珍重されるが効能はない..として重宝する文化が根強く存在して高値で取引されるため、組織的な密猟の憂き目にあっているのが最大の原因である。

保護区内では角をわざと切り落として密猟から防ぐなどの対策も取られているが、シカや牛の角と違って骨ではない..組成成分は毛髪や爪と同じ角質である..ため、時間が経てば再生されるので、後手に回ると密猟されてしまう。ちなみにシカの角も生え変わるではないかと言われそうだが、シカの場合も角が途中で折れてもそこから再生することはない。

アフリカではビッグゲームの対象としてハンティングされていた時代もあるが、今はどの国でも保護の対象となっており、世界的にもその取引には高度な制限がかかっているので、一時期は生息数も回復に向かったこともあったが、主な生息国での内乱等で目が行き届かず、再び現在の危篤な状況になっている。

人の飽くなき欲望や生活圏の侵出によって、その住処や命を狙われる生きものは世にたくさんいるが、とりわけアフリカの大型獣の未来は暗い。やたら漢方を崇めたてまつり、象牙のハンコをありがたがる日本人がその絶滅の片棒を担いでいると言っても過言ではないのだ。それこそ判で押したように野生動物保護を宣う前に、実際に目に見えていない遠い海の向こうの事実を、よくよく考えてみる必要があるのではないだろうか。

20141101

サイはヒョウと並んでアフリカに言ったら絶対に見てみたい動物の一つだった。何しろその恐竜的な見た目からして他の動物とは違う。湖岸の草地をゆっくりと歩くその巨大な体軀を実際に見た時は感動したものだ。それまで動物園で何度か目にしてはいたが、やはり野生種の持つ圧倒的な存在感は違う。

写真はナクルNPで夕方撮影したシロサイだが、当時聞いた話では、絶滅対策としてミナミシロサイを南アフリカから連れてきたものだったらしい。それこそ最初はおっかなびっくり遠くから500mmで狙っていたが、少しずつ距離を詰めても逃げることなく近づけたため、最終的には70-200mmで十分であった。シロサイの仲間は他のサイに比べて性格がおっとりしているため、密猟するにも好都合だったのだろう。

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こちらはナイロビNPで撮影したクロサイ。クロサイははっきり言って怖かった。サイの仲間は目が悪く50mも離れると何も識別できないらしいが、とにかく音には敏感で、車で近づくと常にその方向を向いてくるので、いつそのまま走ってこちらに向かってくるかとビビっていたのを記憶している。何しろ体重はシロサイで最大3t、クロサイでも2t以上あるので、突っ込まれたらこちらは大破である。この時は万が一走って向かってきたら、即バックギアで速攻で逃げる体制だった(苦笑)。

余談だが、こうして写真を並べてみると、白っぽいからシロサイで、黒っぽいからクロサイと言われて、ああそうなんだと納得してしまうかもしれないが、実はシロサイという和名は聞き誤りが伝播して命名されたものである。サイの仲間は皆草食であるが、特にシロサイは草原で草を食むのに適した幅広の形状をしているため、ワイド(Wide)と言われたのを白い意味のホワイト(White)と聞き違えたのである。実際、英名もWhite rhinocerosであり、それをそのまま和訳したためにシロサイになったのである。

そしてもっとはた迷惑?なのはクロサイである。こちらも色が黒いからクロサイなのではなく、シロサイと区別するためにクロサイと命名されたのだから。漢方として重宝するなどありがたがるのであれば、もっと命名には気を使って然るべきだろうに。ああ哀れサイの仲間たちよ..

おこり病

2014/9/3

デング熱?と聞いて天狗熱かと思ったが、それは私のようなワシ屋がかかる重い病気のことだ(笑)。

という戯言はさておき、当のデング熱は昨今ニュースを賑わしている時事ネタであるが、折しも西アフリカでエボラ出血熱が猛威を振るっているため、マスゴミがこぞってネタに飛びつきお大騒ぎするいつものフィーバーである。

デング熱は何も昨日今日に日本に発生したものでなく、大きく人が動く動乱期に海外、特に東南アジアなどから持ち込まれ、それが拡散し流行る傾向にある流行り病のたぐいだ。近年ではアジアや大陸からの引揚者が大量に移動した太平洋戦争直後などに流行している。マスゴミが地球温暖化などを引き合いに、さも大騒動になるかのように連日煽っているが、報道されなくとも毎年200人前後の発症例はあるのだ。

同様な流行り病にマラリアがあり、これもハマダラカという蚊が媒介して広まるが、その熱帯を起源とするようなマラリアも、昔から動乱期に流行るもので、デング熱同様に終戦直後などに流行してる。古くは、病死とされる平清盛もその症状はマラリアそのものと言われており、衛生上問題のあった明治初期頃までは土着のおこり病と言われていたのである。

地球温暖化が影響ないのかという観点では、媒介者の蚊が通年生息できるようになれば話は違うが、夏の高温が続く日本といえど、季節による寒暖の差が激しい気候では、ウィルスを持った蚊が生き残る..正確には感染者の血を吸った蚊が発生し続ける..可能性は今のところかなり低いのではないかと思う。

ただ問題は、先の動乱期以上に感染者が簡単に移動する点であり、今回のデング熱騒動も代々木で行われたイベントに全国から参加者があって、その結果あたかも地方にまで広まってしまったように見える点だろうか。流行り病を防ぐのは水際でとはよく言われることだが、気付かず勝手に拡散してしまうのが一番厄介である。

マラリアと言えば、その昔、ケニヤのアンボセリ国立公園を車で走っていた時、後ろから走って追いかけてくるマサイの男がいた。事情を聞くと緊急でセレナ・ロッジまで乗せて行って欲しいというのである。肌が黒いので顔色を推し量ることもできないのだが、いつ通りがかりか判らないサファリを走っている車を待ち構えてまで急を要する用事とは何かと聞いてみれば、マラリアで高熱が出ているのでロッジの医者に診てもらうのだという。ええ!高熱ってアンタ今全速力で走って来なかった?みたいに驚いたことを思い出した(苦笑)。

20140903

ケニヤでのサファリは毎日テントで野天のキャンプをしていたので、マラリアを恐れて持参した蚊取り線香..向こうではモスキートコイルって呼んでた..をバンバン焚いていたが、雨季の終わりで季節的には若干涼しかったこともあって、一度も蚊には刺されずに済んだ。マラリアには決定的な予防薬がなく、それを謳っていた薬も一応現地で買ったものの、副作用が怖かったので使わなかったのである。

結局とどのつまりは媒介者である蚊に刺されないようにするのが最善の対策であるのだが、我々のように野外で活動する者にとってそれはなかなか難く、ましてや流行地の意識がなければそれは尚のことだろう。

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謹賀新年

2014/1/1

20140101

砂伴霖を駆ける縞馬の如く、

荒ぶる時代を駆け抜けて行きましょう。

今年もよろしくお願いします。

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