photrest banner

先月、ケニアのオルペジェタ自然保護区で1頭のシロサイが死んだ。シロサイはキタシロサイとミナミシロサイに分類されているが、確認されているキタシロサイはもう6頭だけになってしまったようで、ほぼ絶滅状態と言っていいだろう。ミナミシロサイもIUCNのレッドブックでは準絶滅危惧種(しかも近絶滅種)として扱われている。

サイの仲間は、アフリカ大陸にはシロサイの他にクロサイが、東南アジアにはスマトラサイとジャワサイ、インドにインドサイが生息しているが、その何れもが絶滅の危機にひんしている。生息地そのものの環境変化も一因だが、角を薬..漢方薬の原料として珍重されるが効能はない..として重宝する文化が根強く存在して高値で取引されるため、組織的な密猟の憂き目にあっているのが最大の原因である。

保護区内では角をわざと切り落として密猟から防ぐなどの対策も取られているが、シカや牛の角と違って骨ではない..組成成分は毛髪や爪と同じ角質である..ため、時間が経てば再生されるので、後手に回ると密猟されてしまう。ちなみにシカの角も生え変わるではないかと言われそうだが、シカの場合も角が途中で折れてもそこから再生することはない。

アフリカではビッグゲームの対象としてハンティングされていた時代もあるが、今はどの国でも保護の対象となっており、世界的にもその取引には高度な制限がかかっているので、一時期は生息数も回復に向かったこともあったが、主な生息国での内乱等で目が行き届かず、再び現在の危篤な状況になっている。

人の飽くなき欲望や生活圏の侵出によって、その住処や命を狙われる生きものは世にたくさんいるが、とりわけアフリカの大型獣の未来は暗い。やたら漢方を崇めたてまつり、象牙のハンコをありがたがる日本人がその絶滅の片棒を担いでいると言っても過言ではないのだ。それこそ判で押したように野生動物保護を宣う前に、実際に目に見えていない遠い海の向こうの事実を、よくよく考えてみる必要があるのではないだろうか。

20141101

サイはヒョウと並んでアフリカに言ったら絶対に見てみたい動物の一つだった。何しろその恐竜的な見た目からして他の動物とは違う。湖岸の草地をゆっくりと歩くその巨大な体軀を実際に見た時は感動したものだ。それまで動物園で何度か目にしてはいたが、やはり野生種の持つ圧倒的な存在感は違う。

写真はナクルNPで夕方撮影したシロサイだが、当時聞いた話では、絶滅対策としてミナミシロサイを南アフリカから連れてきたものだったらしい。それこそ最初はおっかなびっくり遠くから500mmで狙っていたが、少しずつ距離を詰めても逃げることなく近づけたため、最終的には70-200mmで十分であった。シロサイの仲間は他のサイに比べて性格がおっとりしているため、密猟するにも好都合だったのだろう。

20141101b

こちらはナイロビNPで撮影したクロサイ。クロサイははっきり言って怖かった。サイの仲間は目が悪く50mも離れると何も識別できないらしいが、とにかく音には敏感で、車で近づくと常にその方向を向いてくるので、いつそのまま走ってこちらに向かってくるかとビビっていたのを記憶している。何しろ体重はシロサイで最大3t、クロサイでも2t以上あるので、突っ込まれたらこちらは大破である。この時は万が一走って向かってきたら、即バックギアで速攻で逃げる体制だった(苦笑)。

余談だが、こうして写真を並べてみると、白っぽいからシロサイで、黒っぽいからクロサイと言われて、ああそうなんだと納得してしまうかもしれないが、実はシロサイという和名は聞き誤りが伝播して命名されたものである。サイの仲間は皆草食であるが、特にシロサイは草原で草を食むのに適した幅広の形状をしているため、ワイド(Wide)と言われたのを白い意味のホワイト(White)と聞き違えたのである。実際、英名もWhite rhinocerosであり、それをそのまま和訳したためにシロサイになったのである。

そしてもっとはた迷惑?なのはクロサイである。こちらも色が黒いからクロサイなのではなく、シロサイと区別するためにクロサイと命名されたのだから。漢方として重宝するなどありがたがるのであれば、もっと命名には気を使って然るべきだろうに。ああ哀れサイの仲間たちよ..

ポートフォリオ
portfolio
ネイチャーフォトサービス
photrest site banner
最近の記事
2019/8/23
対岸の火事では済まない
日本ではほとんど報道されていないが、アマゾンの森林火災がかなり深刻なようである。 その状態は衛星画像 ...
2019/8/22
二匹目のドジョウか?
商人の国の花札野郎がまたトンチンカンなこと言っているぞ。今度はグリーンランドをデンマークに売れとか抜 ...
2019/8/21
万事ぬこ専用
しばらく続いた蒸し暑さが鳴りを潜め、朝晩は例年通りに涼しい赤城高原である。もう夜に窓を開けて寝ること ...
2019/8/20
なんだデンプンじゃん
先日某所でタピオカデビューをタピオカティーで果たした。 なぜ世の中がそんなに騒ぐのかリサーチを感じた ...
2019/8/19
盆明け多忙
世間が盆休み明けの今日は、さながら正月明けのようにバタバタと忙しい一日で、ほぼメールと電話、それにチ ...
2019/8/18
お盆明けても蒸し暑い
お盆も過ぎ、朝夕の秋の虫の声が賑やかになってきたが、ねっとりとした蒸し暑さは相変わらずだ。 台風10 ...
2019/8/17
続・クマは隣人
先日の札幌のヒグマ駆除は否定的な意見が多く寄せられたらしい。恐らくはそのほとんどが内地、つまりヒグマ ...
2019/8/16
赤い三連星
ガンダム世代かと問われれば、知ってはいるがまあどちらかと言えば宇宙戦艦ヤマト世代だろうか。それでも自 ...
2019/8/15
商人の国の種の保存法
先頃、米国花札政権が「絶滅の危機に瀕ひんする種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づく主要な規制を ...
2019/8/14
ヒグマは隣人
札幌で人家周辺にヒグマが出没して騒動になっていたが、今朝方、猟友会のハンターによって駆除されたようだ ...
アーカイブ
以前のブログ記事はこちら 
  • 当サイトはプライバシー保護のためSSL暗号化通信によって保護されています。