「マルチダさ〜ん!」じゃなくて、「マチルダさ〜ん!」とアムロ少年が戦場で叫んでから早40年が過ぎたわけだが、マチルダさんとは地球連邦軍ミデア補給部隊のマチルダ・アジャン中尉のことである。
今でこそアニメ史上に金字塔を打ち立てる機動戦士ガンダムであるが、初回放送時(1979年)はそれまで活況を見せていた子供向けロボットアニメの延長にあった。
それでもガンダムの世界観はすでに玄人志向の作り込みがなされており、主人公が搭乗する機体の武器の残弾が無くなるとか、援軍が来なくなるとか、食料が不足する..塩が不足して困るシーンがある..とかなど、それまでのロボットアニメの概念をひっくり返す設定には子供ながらに感心したものだ。
ガンダムはロボットアニメと言ってしまえばそれまでだが、実は人類同士の争い、つまり戦争をテーマに描かれていたことでも知られている。
今も昔もその戦争に絶対的に付きものなのが「兵站」である。前線で戦う部隊に後方から物資を補給して支援するいわゆるロジスティクスのことであるが、マチルダ中尉の所属するミデア補給部隊はその兵站を担う役割で描かれていた。
物資の補給無くして戦いに勝ち目がないのは、無策無謀で知られている旧日本軍のインパール作戦が有名であるが、補償なき自粛だけ求め続ける我が国の政府は、まさにいつか来た道とばかりにインパール作戦を指揮していると言っても過言ではない。
「先手先手で」「過去に類を見ない」「一気呵成に」「スピード感持って」などなど、アレが呑気に言葉だけ威勢のよい演説打っていたのはこの2月の話であるが、2ヶ月経った今に至っても未だに真水の支援..現金給付のことね..どころか鳴り物入りのアレノマスク2枚すら届いていないというのは、兵站なく死への行軍を強要させられている旧日本軍とまったく同じ状況にあると言えるだろう。
昨日になって与党内から突き上げ食らってようやく国民一人あたりに一律現金10万円が給付される方向性が示されるに至ったが、補正予算の組み換えが発生するため、給付がいつ実行されるかまったく不透明の状況で、下手すれば夏まで掛かる見通しすら出ている始末だ。
2月の時点でこの策が迅速に打てていれば、3月末には少ないながらも真水の支援が実行されていたはずである。ロジスティクスを何も考えず、無策無謀で緊急事態宣言を出さざるを得ないこの状況に陥った政府のこの始末は、何もかも遅きに失っしていると自覚すべし。
今のままではアムロをかばって戦死したマチルダさんも浮かばれないぞ。
OM-D E-M1 MarkIII / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO
高原野菜の産地も冬眠から目覚め、畑にはマルチシート(通称マルチ)が張られ始めている。
新コロナウィルスに世間がまみれようとも、野菜の供給が止まることはない。兵站の一翼を担う食糧生産とはそういうものである。