月別アーカイブ : 2020/01

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魚の眼を正せ

2020/1/31

オリンパスのED8mm Fisheyeには、E-M1系との組み合わせで魚眼レンズならではの便利な機能が用意されている。

それはフィッシュアイ補正と呼ばれる当該レンズのみに有効な機能で、これをONにすることで魚眼特有の効果を抑制し、通常の超広角レンズのように使用できるのである。

周辺部の歪みを直線に補正する機能なので、言ってしまえばデジタルシフト撮影と同じ原理である。

強制的に補正..画素補間して引き伸ばすことになる..することもあって周辺の画質は専用の広角レンズ並とはいかないが、補正できる画角は11mm・14mm・18mm相当から選ぶことができるので、状況に応じて使い分けることも可能だ。

それでも11mmともなるとiPhone 11 Proの超広角(13mm相当)よりさらに広い範囲を写し込めるので、狭い室内で後ろに下がれない状況では地味に便利な機能である。

通常撮影

フィッシュアイ補正ON(11mm相当)

通常撮影

フィッシュアイ補正ON(11mm相当)

通常撮影

フィッシュアイ補正ON(11mm相当)
OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO

補正しない場合は対角180度とさらに広い範囲..11mm相当の画角は123度..を収めることができるが、純粋なネイチャー分野でもない限り、商業写真ではそのデフォルメ効果が良しとされる場面は少ないものだ。

それを理解した上で、これ1本で魚眼レンズと超広角レンズの一粒で二度美味しい状態に使えるED8mm Fisheyeは、明るく且つ近接能力にも長けた非常に優れたキラーレンズと言えると思う。

実際、専用の超広角ズームも持っているが、ED8mm Fisheyeのほうが稼働率が高いのは事実である。

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春待ちきれず

2020/1/30

南東北のリンゴ畑で足元にタンポポを発見。

つい最近まで花を咲かせていたやつと、春を待ちきれずに今にも咲きそうなやつ。どちらのケースも暖冬の影響かな。

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO

オリンパスのED8mm Fisheyeは開放がF1.8という大口径で、世界で最も明るい魚眼レンズである。

対角180度魚眼としてのデフォルメ表現もさることながら、同時にレンズ前2.5cmまで寄れる近接能力を備え、本格的な広角マクロとしても使える。

こういう個性的なレンズの存在も、マイクロフォーサーズならではと言ったところだ。

この冬は暖冬ということで、北部山域を除けば県内各所で積雪が少ないため、スノーシューの世話にならずに林道をアプローチできるのはありがたい。

ただ、この少雪が春以降にどんな影響を及ぼすのか何とも不安ではある。水不足はある程度想定..でも下流域の人たちの話だけどね..したとしても、天狗様含め野生の生きもの界隈には未知数だな。

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + MC-14 / ルリビタキ

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + MC-20 / ミソサザイ

何となくそれぞれの色合いにマッチしたガードレールが微笑ましいw

ミソサザイが散発的にさえずっていたが、これは春の歌になるのだろうか。

舞い降りる

2020/1/28

AF性能に関して、EOS-1やF5を使っていたフィルム時代はそれなりに拘っていたが、現在は基本的にシビアな精度を求めるような被写体を撮ることは稀なので、まあ並に合焦してくれればそれで良しとしている。

その点でE-M1Xは並以上で、パナのG9 PROとそう大差ない感じではある。むしろAFスピードよりも暗所での合焦精度が気なるところだが、低照度下ではセンサーサイズがそのまま影響するので、どうあがいても35mmフルサイズには敵わないとこの点は割り切りだ。暗い局面ではフジのX-T3のAFのほうが歩留まりが高い。

そんなE-M1Xの飛び道具の一つに、AIの一種であるディープラーニング技術を応用したインテリジェント被写体認識AFというのがある。

モータースポーツ、鉄道、飛行機の分野にまだ限られているが、これらをファインダー内で自動認識して、モータースポーツならドライバー、飛行機や鉄道ならコクピットや運転席にピントを合わせ続けてくれるというものだ。

ただ、残念ながら何れの分野も仕事でもない限りは個人的に撮る対象ではないので、あると便利そうなのがソニーとパナ(S1系のみ)が実現している動物認識AFだろうか。

オリンパスのE-M1系は生きもの系のカメラマンに人気があるようなので、鳥とか昆虫とか他社がやらなそうな生きもの認識をやってくれると面白と思う。今後のファームアップに期待したいね。

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + MC-14

頭上を通過すると思っていたオオハクチョウの一群が回りながら目の前に下りてきたので、動体追尾用のカスタムモード(AFターゲットグループ&C-AF+TR)に切り替えてバースト的に連写した。

テレコン付き840mm相当だったが、特に背景に引っ張られることもなく、ほぼ全コマでピンは来ていた。AFがウリのカメラでさすがにこの大きさの鳥を外すことはないだろう。

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + MC-20

午前中は2家族だけだったのが午後には10家族ほどに増え、総数は40羽程度までになっていた。さすがに目の前にこれだけいると賑やかなものである。

夕方近くになって風雪が強まるとソワソワしだしたので、じきに飛び立つだろうとは思っていたが、残念ながら帰路はこちらが風下だったので、撮影チャンスは無かった。

ハイオク

2020/1/27

広角レンズのパース誇張は雄大な風景を表現するのに有効な手段だが、建築物など人工的な構造物を撮影する際は逆にパースによる歪みは弊害となりがち。

人物に比べて大きな構造物の場合、近づいて撮影するとどうしても見上げるアングルでの撮影となるため、壁や柱などが上すぼまりに写し込まれてしまう。

記念写真の背景や観光写真なら気になるものではないが、被写体がその構造物そのものの場合はそういうわけにいかないのが商業写真の常である。

フィルム時代はピント位置が可変となる蛇腹機構を思った大判・中判カメラや、35mmなら専用のシフト・ティルトレンズを使って歪みを補正していた。後者の専用レンズはキヤノンとニコンがまだ販売しているので、デジタル主流の現在においても、建築物の撮影が多いカメラマンは両メーカーが選択肢となっているようである。

拙者もEOS時代にはTS-Eレンズを使っていたが、今や画像データはPCに取り込んでいかようにもレタッチでパース補正できてしまうので、専用レンズの必要性はまったく感じていない。

で、そんなパース補正をカメラ内で完結できてしまう機能(デジタルシフト撮影)をE-M1Xは搭載..オリンパス含め他の一部のカメラにもある..していて、先日の深度合成同様に現場で地味に使わせてもらっている。

オリンパスのデジタルシフト撮影は撮影結果に補正するのではなく、撮影前にEVFまたは背面モニターで確認しながらその場でシフト・ティルト行為ができるので、専用レンズを使って補正するのと同じ感覚で操作できるのが特徴だ。

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

何れも左が補正前で、右が撮影時にデジタルシフト撮影をした結果である。補正結果は周辺がトリミングされる..もちろんリアルで確認可能だ..ので、それを見越して撮影ポジション決めするのが肝要。

とにかく帰ってからの仕事場での作業量を減らしたい..諸々別業務が並行してあるので..のと、現場で結果を即確認できクライアントと意識を共有できる点が大きいかな。

スマホにシェアを食われ続けるデジタルカメラであるが、この手の実用的な補正は今どきスマホのカメラアプリでも簡単にできてしまうので、ミラーレスカメラにも普通に搭載してほしいのだが、日本のカメラメーカーはこういう点に及び腰なのは残念だ。

今どき、レンズでは歪むのに任せてデジタル処理で周辺の歪みを補正しているメーカーが多いのだから、理論上できないはずはないのである。

ちなみに暮れの撮影業務では、ポラ代わりにiPhone 11 Proで撮影した画像をその場で歪み補正してクライアントに確認、Webではあるがそれがそのまま採用された実績もあるので、地方の田舎の現場であってももはやそういう時代であるという認識だ。

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ようやく時間が取れたので、スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明けの字幕版を観に行ってきた。

封切りしてから一ヶ月が経過し、年末年始を挟んでいたのでもうさすがに観る人もまばらだろうと思っていたが、意外に人が多くて驚いた。今作で一旦物語が完結となるので、うちのように吹替版と字幕版の両方を観る人も多いのかもね。

取り敢えず、終盤でレイに歴代のジェダイの騎士が声をかけるシーン..実際の各役者の声は字幕版ならでは..と、キャリー・フィッシャーの実の娘(ビリー・ロード)の登場シーン、それに最後にタトゥーインでレイが持っていた新しいライトセーバーが、それまで自身が持っていた棒状の武器?の柄であるのが確認できて良かった。

FUJIFILM X-H1 / XF60mm F2.4 R Macro / Velvia

FUJIFILM X-H1 / XF14mm F2.8 R/ Velvia

写真はスカイウォーカーならぬ赤城高原の夜明け。

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商品の物撮りなどで地味に世話になっている機能が深度合成である。深度合成とは何ぞや?という向きにはこちら

フォーカスブラケット機能を使ってピント位置をずらした複数枚の画像をコンポジットして、全体にピントが合ったようにみせる機能が深度合成で、手持ちのカメラではG9 PROからになるが、最初にそれを実現したのはオリンパスである。

フォーカスブラケットだけならフジのX-H1以降にも用意されているが、オリンパスとパナの場合は画像のコンポジットをカメラ内で完結してくれるので、実用性の点ではフジのそれは比較にならない。

いくらPhotoshopで合成できるとは言っても、商品点数が多い場合は後工程が大変なので、現場で済ませてしまえるならこんな楽なことはないのだ。

パナに比べてオリンパスの深度合成が便利なのは、撮影後に即コンポジットしてくれる点である。パナの場合は合成を指示する手間が必要なので、この点でオリンパスのほうが格段に便利と言える。

さらにE-M1Xでは合成枚数を指定できるようになっているので、特定の範囲だけピントを深くするというような芸当もできるようになった。

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

F4開放でブラケット撮影した8枚のうちの最初と最後の画像。左が一番手前にピントが来ていて、右は一番奥にピントが合っている。

で、下がそこから深度合成された結果。

業務用の物撮りの他、ネイチャー系の写真で最も深度合成の恩恵を受けるのは、昆虫など小さな生きものと花などマクロ撮影の分野だろう。

それと上の例のように風景で被写界深度を深くしたい場合にも有効だ。明るさが足らずシャッター速度を遅くすると絞りを開けることになってピントの合う範囲が浅くなるが、深度合成することで絞りを絞るのと同じ結果が得られる。

マイクロフォーサーズは35mmフルサイズに比べて絞りが2段分深くなるが、あまり絞りすぎると早くに回折の影響を受けてしまうので、そこを補う意味でも深度合成機能は有効である。

とにかくE-M1系の深度合成が便利なのはカメラ内でワンアクションで完結する点で、パナもフジもそこはぜひ見習ってほしいね。

出会い狐

2020/1/24

早朝、林道をこちらに向かって何やらけものの類が歩いてくるのが見えた。一応双眼鏡で確認するが、覗くまでもなく歩き方と色味からしてキツネであることはすぐに分かった。

お互いこのまま進めばすれ違うことになるのだが、実際にそんなことになるわけはないので、歩を止めて静かにしゃがみ可能な限り姿勢を低くして、文字通り息を殺して待つ。

この時点で100m以上離れていたが、遮蔽物のないオープンな場所なので、キツネもすぐにこちらに気づいて訝しげにこちらの様子を伺う。

キツネは犬の仲間なので視力は良くない。なので基本的に嗅覚に頼っているわけで、この時はほぼ無風だったように感じたが、それこそ人と野生動物では感覚的な部分が相当に乖離しているので、視覚以外の部分では人がキツネに適うものはない。

にらめっこは3分ほど続いたが、しゃがみ込む怪しい物体を人と認識したようで、踵を返してもと来た方向へ少し戻り、左側の林内へと姿を消した。その直後に林内からツグミたちが逃げ惑う声が響いてきた。

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + MC-20 / 手持ちハイレゾショット

しばしキツネが身じろぎしなかったので、通常撮影の後に手持ちハイレゾショットでも抑えることができた。

で、それぞれの写真を1/5程度トリミングしたのが下の画像。

日の出前で暗く、ISO1600まで上げて撮影したので、距離が離れていることもあって2000万画素(右側)では細部が潰れているが、5000万画素では立体感が維持されているのが分かる。

最初の写真からキツネの部分だけ切り抜くといったことは状況的に現実的ではないが、ハイレゾショットはこういった使い方もできるという一つの例である。

では最初から35mmフルサイズの高画素機を使えばいいではないかという意見もあろうが、1200mm相当に換算される超望遠レンズ、例えば600mmF4に2倍テレコンか800mmF5.6に1.4倍テレコンの組み合わせを三脚に載せて担ぎ、終日フィールドを歩き回る苦行を想像できれば、機動性の面から見てE-M1XとED300PROの組み合わせに軍配が上がるのは自明の理であろう。

もちろん、35mmフルサイズの高画素機が画質面で有利なのは疑う余地はないが、それはあくまで同じ土俵上での話なので、機動性が優先される場面では話は違ってくるということだ。

駆けるほど急いではいない。でも歩くほどのんびりしているわけでもない。

なんかそんな感じの足跡が山上の雪原に残されていた。

FUJIFILM X-H1 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS / CLASSIC CHROME

付いてから日が経っているけど、たぶんキツネの足跡かな。

カテゴリ:ほ乳類, 季節感|タグ:,

オシドリの鳴き声が響く山間の静かな湖沼に立っていると、下流方向からバシャバシャと水をたたく羽音がしたので振り返ると、カワウが飛び立とうとして水面を走ってくるのが見えた。

手にしていたのはE-M1XとED300PRO+TC-20だったが、テレコンを外している時間はないので、カスタムモードをあらかじめ登録してある動体追尾用(AFターゲットグループ&C-AF+TR)に切り替え、LVスーパーコンパネで手ブレ補正モードをS-IS2(縦ブレのみ補正する流し撮りモード)に変更して、そのまま1200mmで流し撮りを試みた。

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + MC-20

まだ日が昇りきっておらず尾根陰で暗かったので、F8では必然的にスローシャッターになるだろうという読みはあったが、S-IS2モードが十分機能しているのが分かる。

E-M1XとED300PRO+TC-20の組み合わせなら、1200mmという超望遠でこんなこともできちゃう、かもw