絞りを開けて被写界深度を深くする
商品の物撮りなどで地味に世話になっている機能が深度合成である。深度合成とは何ぞや?という向きにはこちら。
フォーカスブラケット機能を使ってピント位置をずらした複数枚の画像をコンポジットして、全体にピントが合ったようにみせる機能が深度合成で、手持ちのカメラではG9 PROからになるが、最初にそれを実現したのはオリンパスである。
フォーカスブラケットだけならフジのX-H1以降にも用意されているが、オリンパスとパナの場合は画像のコンポジットをカメラ内で完結してくれるので、実用性の点ではフジのそれは比較にならない。
いくらPhotoshopで合成できるとは言っても、商品点数が多い場合は後工程が大変なので、現場で済ませてしまえるならこんな楽なことはないのだ。
パナに比べてオリンパスの深度合成が便利なのは、撮影後に即コンポジットしてくれる点である。パナの場合は合成を指示する手間が必要なので、この点でオリンパスのほうが格段に便利と言える。
さらにE-M1Xでは合成枚数を指定できるようになっているので、特定の範囲だけピントを深くするというような芸当もできるようになった。
F4開放でブラケット撮影した8枚のうちの最初と最後の画像。左が一番手前にピントが来ていて、右は一番奥にピントが合っている。
で、下がそこから深度合成された結果。
業務用の物撮りの他、ネイチャー系の写真で最も深度合成の恩恵を受けるのは、昆虫など小さな生きものと花などマクロ撮影の分野だろう。
それと上の例のように風景で被写界深度を深くしたい場合にも有効だ。明るさが足らずシャッター速度を遅くすると絞りを開けることになってピントの合う範囲が浅くなるが、深度合成することで絞りを絞るのと同じ結果が得られる。
マイクロフォーサーズは35mmフルサイズに比べて絞りが2段分深くなるが、あまり絞りすぎると早くに回折の影響を受けてしまうので、そこを補う意味でも深度合成機能は有効である。
とにかくE-M1系の深度合成が便利なのはカメラ内でワンアクションで完結する点で、パナもフジもそこはぜひ見習ってほしいね。