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ピント位置を少しずつづらしながら一度に撮影してくれるフォーカスブラケットは便利である。

露出に関してはRAWであれば後から調整が効くものの、ピント位置だけはどうにもならない。あらかじめ複数のピント位置を抑えておけば、後から自由にカットを選べるわけで、被写界深度の浅い一眼デジカメではあるとないとでは手間が違うのだ。

フォーカスブラケットがない時代でも、複数のカットをコンポジットするのはブツ撮りの世界ではスタンダードな撮り方である。三脚に載せてカメラを固定し、商品の手前から奥までピントをずらして撮影、Photoshopにレイヤーで取り込んで合成するという流れだ。

さらにフィルム時代なら、専用のシフト・ティルトレンズを使って、光学的に結像範囲をコントロールすることで同等のことを実現していた。バイテンやシノゴなど大判カメラに蛇腹の機構が付いているが、あれも原理的に同じことをするものである。

もちろんデジタル全盛の現在においても、シフト・ティルトレンズはその道のプロ御用達で需要があるのだが、特機的な機材でもあるため高価である。昔はキヤノンのTS-Eの90mmを使っていたが、うちのような零細田舎フリーランスには新型は減価償却的に手に余るので、今は端から問題外だ。

そしてようやく本題の話。実はフォーカスブラケットだけだと、ピント位置をずらした写真が複数カット連続して撮れるだけである。もちろんそれでも便利なことに変わりはないのだが、オリとパナの場合、前述の合成作業..Photoshop云々と書いている部分..まで撮影時にやってくれる機能も実装されているのである。

それが深度合成だ。オリの場合はそのまま深度合成で、パナの場合は6K/4Kフォトの機能の一つとして実現している。後でも合成作業はできるとは言っても、手間を考えると時間があればその場で済ませたいのが人情というものだろう。

LUMIX G9 PRO / LUMIX G VARIO 14-140mm F3.5-5.6 ASPH. POWER O.I.S.

上の写真は2mの距離から280mm相当で撮影..スタジオの物撮りでこんなシチュエーションは想定外だが..したもの。レンズ先端にピントを合わせるとボディのネームはボケてしまう(写真左上)。逆にボディにピントを合わせればレンズ先端はボケる(写真右上)。これをフォーカスブラケット後に深度合成することで、手前から奥までピントの合った画像が得られる(写真下)。

絞り込んで被写界深度を深く取ればある程度は結像範囲を広げられるが、マイクロフォーサーズやAPS-Cでは回折現象の影響があるので現実的ではない。絞りを開けて被写界深度を浅くしつつ深度合成することで、対象を強調しながら背景をぼかすといったことも可能になる。

ただ、オリの場合は深度合成を選択して撮影後に即合成となるが、パナは6K/4Kフォトの延長の機能なので、あれやこれや指示した後に動画から画像を切り出す作業が入るせいで処理中はカメラがダンマリ..30秒近く操作を受け付けなくなる..になるのがイマイチ。せめてG9 PROにはオリ同様にJPEGで即合成する機能が欲しい。