月別アーカイブ : 2015/07

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軽飛行機

2015/7/31

先日、東京調布で軽飛行機が墜落して死者が出るという事故があった。御巣鷹山への日航機墜落事故をリアルタイムで知っている者としては、飛行機が落ちて生存者がいたこと..日航機事故でも生存者は2名だったと記憶..が驚きだが、離陸直後のことで墜落時の高度が低かったのが影響したのだろうか。

サラリーマンで全国を飛び回っていた時代、仕事上やむなく飛行機には乗らざるをえない状況にあったが、個人的には飛行機はあまり好きではない。天狗様が大空を翔ける姿を見て、その飛行術の理屈を知れば何ら不思議なことはないのだが、自分のコントロールの効かない状況に身を置くのを出来るかぎり避けたいという、一種の本能のようなものがあるようだ。

北の大地へ渡道する際に利用するカーフェリーも同じではないか?という向きもあろうが、海なら上手くすれば泳いで命をつなぐことができるかもしれないので、そこはひたすら落ちるしか無い空の上とは決定的に違う。もちろん、真冬の海や大しけの時に生き残る自信などないのだが..

20150731

アラスカに何度か取材で訪れた際、道路網がまったく整備されてない極北では、軽飛行機での移動が日常のものとなっており、それをタクシーや貨物便の如く運航する会社とブッシュパイロットと呼ばれる職業が、彼の地ではよく知られている。

カトマイにクマの撮影に出かけた際、観光ツアー参加者とたまたま乗りあわせてしまったのだが、その中に米本土から来たという母子がいた。母親はどうみてもアンタがクマのようだと言いたくなるような巨漢で、子供は日本で言えば小学校の高学年だろうか、すでにさすがにその親の子だなという体格で、体重だけなら私よりも重いのは秤に乗るまでもなく一目瞭然であった。

機体は一番小さいサイズのもので、後部が荷室であった関係上、パイロット含め4名が定員であった。当初、母親は子供を前の席に座らせてほしいとパイロットに懇願していたが、老練と思われるパイロット..年齢に不釣合いな屈強な体格と元軍人であることを思わせる刺青の持ち主..は我々の体格を値踏みするように眺めた後、私には助手席を指し示し、母親は私の後ろの席、子供には自分の後ろを指示してきた。

つまりパイロット=母親、私=子供という図式で、パイロットの頭の中で天秤がバランスを取ったのだろう。安全に飛行するために、後部荷室の荷物の積み方と、前後左右のバランスを考えたとはすぐに理解できたが、件の母親は飛び立つまでブツブツと文句を言っていたのをよく覚えている。

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南東アラスカの原野の上を低空で飛行する。天候と移動距離のせいもあるが、あまり高度を上げて飛ばないのは、万が一の不時着というのも当然考えているのだろう。

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原野もさらに奥地ともなれば、滑走路など整備されているわけもない。そこで利用されるのが湖。車輪の代わりにフロートを履かせた機体で、あたかも地面のごとく離着陸するのである。初めてフロートプレーンに乗った時は、正直生きた心地がしなかった。だって飛行機が水面に突っ込んでいく..正確には着水に向けて降下しているのだけど..姿は、どう考えてもパニック映画の墜落シーンを連想してしまうのだから(苦笑)。

ちなみに湖が凍結する冬はどうするのか?という疑問が湧くかもしれないが、冬はフロートではなくスキーを履いて、凍結した氷上を滑走代わりに使うのである。さらにアラスカでは河川も分厚く凍りつくので、夏には使えない河川の支流なども利用できるのである。

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竜の巣

2015/7/28

高崎から高速使って戻る際、うちの裏山(赤城山のことね)の上に竜の巣..何のことか判らない人はWikiで天空の城ラピュタを参照すべし..がモクモクと湧き上がっているのが見えた。裏山で積乱雲が発達するときは、決まって東側の隣県栃木で雷雨となる。今晩も栃木は強い雨だな、などと思いつつ赤城高原に戻ってみると、件の竜の巣は裏山の上ではなくそれより北東側に出来ていたのが判る。

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赤城高原から皇海山〜袈裟丸山方向を望む。しばらく眺めていると積乱雲が発達中なのが判るほどの勢いだ。

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ということはつまりこういうことなわけで、未来の話でなく現在進行形の出来事であったとさ。真っ赤っ赤なのは宇都宮あたりだろうか、結構酷そうな降りっぽいね。

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午後遅い時間になると、居間の日除けとなっているヤマボウシでヒグラシが鳴き始める。少し離れた林間から聞こえてくると涼しくも感じられるのだが、どうにも網戸のすぐそこで鳴かれるとさすがに暑苦しい(苦笑)。ま、そのヤマボウシで終日抱卵中のキジバト夫婦はもっとうるさいだろうと同情するけどね。

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今日は久しぶりに夏らしい夕焼けとなった。クワッと一声、ゴイサギが鳴きながら北の方へ飛んで行くのが見えた。

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避暑トンボ

2015/7/21

20150721

避暑トンボが庭先を飛び交っている。梅雨の間はひっそりと枝先や草の先っぽに留まっていることが多いが、梅雨明けを察知して朝からスイスイ飛び回っている。体色はまだオレンジ色であるが、ひと夏を過ごして外界に下る頃には、名前の通り赤く成熟していることだろう。

犬連れ散歩中に道脇のアキアカネを手持ちハイスピード撮影。アキアカネは一旦飛び立っても、虫を無事に捕食するとまた同じ場所に戻ってくるので撮影は容易い。ただ、この後試しにホバリング中の個体を狙ってみたが、P900ではそれはさすがに無謀というものであった..

電柵で感電

2015/7/20

動物除けの電気柵は、うっかりでも触れたことがある人なら判る..それでも意図して触ってはイケない!..と思うが、冬場に金属に触れた際に発生する静電気を強力にした程度のショックはあり、電気に対する耐性のない野生動物にはそれなりに効果がある。

その電気柵が原因で、西伊豆の方で感電死があったとニュースで聞いた。情報では切れた電線が地面に垂れ落ちていたらしいので、地面とそこに接する川に漏電していて、それが直接の原因のように思われる。さらに電源は100Vとも言っていたが、一般的な電気柵の場合は常時通電ではなく一点周期のパルス..瞬間的には3000〜4000V、ヒグマ対策なら10000V程度にもなる場合も..になるので、心臓に疾患があるなど除けば、通常の使い方ではちょっと触れた程度なら死に至ることはまずない。

過去にも感電の例は数件あるようだが、鳥獣被害に悩まされている農家などが専門の業者に依頼して設置、適切に運用すれば安全である。一番危ないのは、電気に対する知識のない一般の人が、電気柵のキットをホームセンター等で手に入れて、自前で設置するケース等だろうか。アースの設置は当然のことながら、漏電対策には日常の点検が必要であり、特に草本類が繁茂する今の時期は見回りは欠かせない。台風シーズンなら、電線が切れたり柵自体が倒壊する可能性もあるのでさらに要注意である。

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牧草地と演習林の境に設置されたソーラー式の電気柵。演習林はシカの休息場所となっており、電気柵のない時代はそこに隣接する牧草地は格好の養鹿場となっていた。電気柵の設置後はゼロではないが数はかなり減った。

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我が村の代名詞でもあるレタス畑と農道を隔てる電気柵。シカたちは夜間に農道を伝って移動しており、こうした対策を取られていない畑が集中的に狙われるので、電気柵を設置する場合は地域で同時に行うのが望ましい。

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山際の雑木林に隣接する畑に設置された電気柵。立地によっては日陰になることがあるので、こういったケースではソーラーより充電式の外付けバッテリーがいいようだ。

ただ、3枚めの写真の例は電気柵と林が近すぎるのが難点である。電気柵に限った話ではないが、農耕地と隣接する林の間には緩衝帯となるある程度の空間があったほうが良い。クマやイノシシは人に姿を見られることを嫌がるので、開けた空間は避ける傾向にあるのだ。近年、人里で野生動物の出没騒動が増えてきているのも、そういった緩衝帯の手入れや存在自体が減ってきたことも一因と言われている。

カテゴリ:鳥獣・環境問題

梅雨明け

2015/7/19

梅雨入りが例年より遅く、直近の記憶で雨は台風まみれの印象が拭えない内に、関東ではやや早めの梅雨明けとなったらしい。台風の置き土産で大気が不安定なので、しばらくは局地的な降雨に気を付ける必要があるが、洗濯物が良く乾くと家人は喜んでいた。

20150719

が、5月の少雨が祟ってか、例年なら余るほどナスなど採れるのだが、今夏は畑の作物のなりが良くない。唯一、水に頓着しないブルーベリーだけは例年通りの実りで、日当たりの良い木から順に収穫を始めている。しばらくはヒヨドリと先を争うことになりそうだ。

カテゴリ:季節感|タグ:

ネジれてるぞ

2015/7/15

国の中枢が大揺れに揺れて、どこか何かネジれてる。筋を通さず屁理屈こねて、無理くり強行するから人も論理もネジれてる。順序だってしっかり事の理を説けば、子供だって理解できるのにね。国の真ん中でカンカンガクガクやっているあの連中、言っちゃあ悪いがホント頭悪い。

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草木もこの暑さにネジれてる?いえいえこれはランの仲間のネジバナ。日当たり良い開けた場所に見られ、雑草に埋もれて刈払い機の餌食になってしまうことが多いが、多年草なので運が良ければまた翌年見られかも。

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モクモク

2015/7/14

外界はかなり暑く、いや熱くなっているようで。館林で早くも39℃を超えたとか何とか、仕事仲間から連絡があって、熱中症の対策はしっかりするよう指示をしておいた。仕事頼んでいる立場上、うっかり病院送りにでもなったら色々大変なのである。

20150715

尾根向こうからモクモクと入道雲のように雲が湧いてきた。今日の滞在地はベース標高が800mほどあるが、日差しは確かに強いのだが、台風の余波なのか、川沿いは結構いい感じで風が吹き抜けて思ったほど暑さを感じなかった。

カテゴリ:季節感

ヒメジョオンが咲き乱れる休耕地の脇を歩いていた際、突然すぐ近くで「キェー、キェー、ケッ、ケッ・・・」的な奇声が聞こえてきて少々驚く。声のする方を見ると、ヒメジョオンを激しく揺らしながら、何者かが何者かから逃げているように見え、その攻防戦は観客無視でしばらく続いた。

膝丈程度の草むらで視界があまり効かないので、中腰姿勢で目線を上げ下げして動き回る物体を追いかけていると、逃げているのはキジの雌だと判った。と、こちらが気付くのが早いかという刹那に、キジの背中に飛び掛かる小さなケモノを確認、キジはすぐに翼を広げてケモノを振り払うと、草むらから慌てて飛び出してきた。

その際、飛んで逃げること無く、走って農道に飛び出してきた時の仕草から、恐らく雛たちからケモノを遠ざけるための偽傷行動であったと判る。

当然、カメラを構えて次に出てくるであろうケモノに備えたが、草むらからは何も出てこなかった。さらに当のキジ雌でさえも「あら取り乱して失礼」と言ったか言わずか、乱れた羽を正すとそそくさと反対側の休耕地へと姿を消していった。

20150707

先ほどまで争っていた草むら周辺をしばらく凝視していると、程なく絵に描いたようにピョコッとイタチが草本の隙間に顔を出した。ピリピリした雰囲気から、ジッと辺りをうかがっている様子が伝わってきたが、「チッ、逃がしたか」といった風情できびすを返すと、尺取り虫のような動作で林の方へ去っていった。

愛くるしい顔をしているが、食肉目であるイタチの仲間は皆凶暴極まりない連中ばかりで、小さくなるほどその凶暴性は増していく。自分よりもはるかに大きい獲物でも、動くものに反応して躊躇なく襲いかかるその性質は、まさに天性のハンターと言っていいだろう。

しかしこの顛末、間一髪キジ親子が難を逃れたと見るか、もしかしたらイタチも巣穴で子どもたちが腹を空かしていた可能性もあると見るか、その辺りは見る人によって異なるだろう。とにかく、肉食動物が腹を満たすということは、他の生きものの命を奪っての結果であるということで、そこには一切の憐憫の情はない。イタチが可愛いとかキジの親子が可哀想とか、そういった感情論は人間だけの世界観なのである。

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