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ヒメジョオンが咲き乱れる休耕地の脇を歩いていた際、突然すぐ近くで「キェー、キェー、ケッ、ケッ・・・」的な奇声が聞こえてきて少々驚く。声のする方を見ると、ヒメジョオンを激しく揺らしながら、何者かが何者かから逃げているように見え、その攻防戦は観客無視でしばらく続いた。

膝丈程度の草むらで視界があまり効かないので、中腰姿勢で目線を上げ下げして動き回る物体を追いかけていると、逃げているのはキジの雌だと判った。と、こちらが気付くのが早いかという刹那に、キジの背中に飛び掛かる小さなケモノを確認、キジはすぐに翼を広げてケモノを振り払うと、草むらから慌てて飛び出してきた。

その際、飛んで逃げること無く、走って農道に飛び出してきた時の仕草から、恐らく雛たちからケモノを遠ざけるための偽傷行動であったと判る。

当然、カメラを構えて次に出てくるであろうケモノに備えたが、草むらからは何も出てこなかった。さらに当のキジ雌でさえも「あら取り乱して失礼」と言ったか言わずか、乱れた羽を正すとそそくさと反対側の休耕地へと姿を消していった。

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先ほどまで争っていた草むら周辺をしばらく凝視していると、程なく絵に描いたようにピョコッとイタチが草本の隙間に顔を出した。ピリピリした雰囲気から、ジッと辺りをうかがっている様子が伝わってきたが、「チッ、逃がしたか」といった風情できびすを返すと、尺取り虫のような動作で林の方へ去っていった。

愛くるしい顔をしているが、食肉目であるイタチの仲間は皆凶暴極まりない連中ばかりで、小さくなるほどその凶暴性は増していく。自分よりもはるかに大きい獲物でも、動くものに反応して躊躇なく襲いかかるその性質は、まさに天性のハンターと言っていいだろう。

しかしこの顛末、間一髪キジ親子が難を逃れたと見るか、もしかしたらイタチも巣穴で子どもたちが腹を空かしていた可能性もあると見るか、その辺りは見る人によって異なるだろう。とにかく、肉食動物が腹を満たすということは、他の生きものの命を奪っての結果であるということで、そこには一切の憐憫の情はない。イタチが可愛いとかキジの親子が可哀想とか、そういった感情論は人間だけの世界観なのである。

カテゴリ:ほ乳類, |タグ:,
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