電柵で感電
動物除けの電気柵は、うっかりでも触れたことがある人なら判る..それでも意図して触ってはイケない!..と思うが、冬場に金属に触れた際に発生する静電気を強力にした程度のショックはあり、電気に対する耐性のない野生動物にはそれなりに効果がある。
その電気柵が原因で、西伊豆の方で感電死があったとニュースで聞いた。情報では切れた電線が地面に垂れ落ちていたらしいので、地面とそこに接する川に漏電していて、それが直接の原因のように思われる。さらに電源は100Vとも言っていたが、一般的な電気柵の場合は常時通電ではなく一点周期のパルス..瞬間的には3000〜4000V、ヒグマ対策なら10000V程度にもなる場合も..になるので、心臓に疾患があるなど除けば、通常の使い方ではちょっと触れた程度なら死に至ることはまずない。
過去にも感電の例は数件あるようだが、鳥獣被害に悩まされている農家などが専門の業者に依頼して設置、適切に運用すれば安全である。一番危ないのは、電気に対する知識のない一般の人が、電気柵のキットをホームセンター等で手に入れて、自前で設置するケース等だろうか。アースの設置は当然のことながら、漏電対策には日常の点検が必要であり、特に草本類が繁茂する今の時期は見回りは欠かせない。台風シーズンなら、電線が切れたり柵自体が倒壊する可能性もあるのでさらに要注意である。
牧草地と演習林の境に設置されたソーラー式の電気柵。演習林はシカの休息場所となっており、電気柵のない時代はそこに隣接する牧草地は格好の養鹿場となっていた。電気柵の設置後はゼロではないが数はかなり減った。
我が村の代名詞でもあるレタス畑と農道を隔てる電気柵。シカたちは夜間に農道を伝って移動しており、こうした対策を取られていない畑が集中的に狙われるので、電気柵を設置する場合は地域で同時に行うのが望ましい。
山際の雑木林に隣接する畑に設置された電気柵。立地によっては日陰になることがあるので、こういったケースではソーラーより充電式の外付けバッテリーがいいようだ。
ただ、3枚めの写真の例は電気柵と林が近すぎるのが難点である。電気柵に限った話ではないが、農耕地と隣接する林の間には緩衝帯となるある程度の空間があったほうが良い。クマやイノシシは人に姿を見られることを嫌がるので、開けた空間は避ける傾向にあるのだ。近年、人里で野生動物の出没騒動が増えてきているのも、そういった緩衝帯の手入れや存在自体が減ってきたことも一因と言われている。