赤城高原では、お盆を過ぎてから朝晩はかなり涼しくなって、タオルケットから夏掛けの薄い布団へと包まるようになったが、折しも接近する台風の影響で、下界はまたぞろ猛暑がぶり返したよう暑さだ。
予定していたアポが来週にずれ込んで、久しぶりにポッカリと体が空いたため、ロケハン兼ね、機材担いで県北の高標高地へ出掛けてきた。
さすがに標高が1400mを超えると、まだ日射しこそ刺すように強いものの、日陰で風に吹かれると寒いくらいで、久しぶりに長袖シャツに袖を通す。山に吹く風はすっかり秋風の様相である。
午後になると遠い稜線上に雲が湧き上がり、雲に押し上げられるよう天狗様が気持よくソアリングするが、すぐに尾根を超えて視界から消えてしまった。
目の前の谷筋から谷奥の稜線まで舐めるようにスコープで探す。視野の隅には、浮かんでは消え、また飛び込んでは消えるを繰り返す、大量の避暑トンボたち。浅いV字を保って遠目をゆっくり飛ばれると、判っていてもついつい反応してしまってすぐに苦笑いだ。
そして夏の陰影に照らされる山肌を撮影しようとバックパックを覗きこんで、望遠ズームを詰め忘れたことに気付いて再び苦笑い。
直前に仕事の電話が入ったこともあって、ここで潮時と下山した。