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カメラメーカー各社がしのぎを削る今どき流行りの顔認識AFは、仕事で人を撮るときには非常にありがたい機能である。

さすがにグラビアを飾るようなモデルさんを撮ることはないが、企業の会社案内用に代表者や社員の方のポートレートを撮るというのは普通にあることなので、今やその恩恵は計り知れない。

ただ、被写体の多くは生きものや風景、建物、乗り物なので、顔認識AFや瞳AFを常時は使っていない。が、時々前日の設定のまま山に入って撮影し、設定の戻し忘れに気がつくことがままある。

そんな時、誰もいないはずの森の中で、不意に顔検出モードに切り替わってビックリすることがあるのだが、そんな時は思わずEVFから目を離して二度見したりしてしまう。

そこに誰か居るのかってねw

FUJIFILM X-T3 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS / CLASSIC CHROME

誰かに見られているような気配を感じて思わずドキッとするが、紛らわしいもの(画像クリックで拡大)をこんなところに立てるなって言いたいw

恐らく案山子なんだろうけど、民家や畑があるわけでもないのに、なぜこんな山の中に?

メインで使用しているX-H1は、フジXシリーズ機では最上位機の立ち位置にある。

が、ヒエラルキーを無視した遠慮ないフジの商品企画により、X-H1自身が持つアイデンティティであるその堅牢性やIBISを除けば、後発であるX-T3のほうがカメラとしての基本性能は上である。

画質面ではその差を看破するのは難しいほど仔細の差..高感度域では結構差がある..ではあるが、ことAF性能に関しては完全にX-T3のほうが上というのは使ってみればすぐに判る。

特に像面位相差AFの測距点が画面内の99%、つまりほぼ全面に配置されているため、AF-C&ワイド/トラッキング時における動体の捕捉能力がかなり向上している。

FUJIFILM X-T3 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR x 1.4 / CLASSIC CHROME

そこにダイサギが居るのは判っていたが、この連中は漁をしている時はいつ飛び立つか予測は難しい。というか目的の対象ではないのでずーっと観ているわけにもいかない。

が、飛び立とうする時の動作は経験上判る。意識の外にはあったものの何となく視野の隅でそんな気配を感じ、X-T3を掴んで構えようとした途端に飛び立ったので、AF-C&ワイド/トラッキングの840mm相当で流し気味に連写した。

連写20コマほどの中でピンが背景に抜けたカットはゼロ、全コマでダイサギに合焦している。通常X-H1だと、この手の背景ではピンを持っていかれる場合があり、その都度AFを駆動させるクセがついているが、X-T3ではその辺りはかなり改善していると言って良い。

ちなみにこの時はメカシャッターだった..普段はほぼ電子シャッターに設定している..ので、ローリングシャッター現象も出ていない。

FUJIFILM X-T3 / XF100-400mm F4.5-5.6 R LM OIS WR x 1.4 / PROVIA

突然低空で現れて眼の前を通過していったトビを、この時はAF-S&ゾーンで一枚だけ。こんな感じに至近距離でコントラストがハッキリしているケースは雑作もない。

ソニーやオリンパスにはまだ追いつかない場面があるものの、フジのAFも結構良い線来ているのをヒシヒシと感じる。来年のオリンピックイヤーに出るであろうX-H1の後継機..X-H2?..には期待したいところだ。

商売上手

2019/3/26

CP+を前にキヤノンがEOS Rの廉価版であるRPを発表した。しかもこの3月にはすでに店頭に並んでいるという状況だから、昨年のRの発表時点ですでにストーリーは出来上がっていて、営業戦略的には完璧なるシナリオと言っていいだろう。

フルサイズと言っても「あのR」の廉価版なので性能的には見るべきところはないが、Rがミラーレス機にしては大きいとか言われているのを横目に、かなりコンパクトにまとめてきた。

デジタルカメラで作品を撮るようなカメラマン相手でなく、スマホユーザーからの新規取り込み、EOS kissユーザー..特に一眼レフkiss辺りね..のステップアップを見据え、16万もするカメラを「安い!」と思わせてしまう辺りはさすがにキヤノンである。

今のところレンズがまだボディサイズに見合う大きさで適当なのがないが、恐らく抜かりなく夏前には廉価且つ小型軽量なRFレンズもラインナップしてくるだろう。商売として中長期的な戦力だけでなく、こういう目先の利益につながるプランもしっかり練っている感が漂うところが、ニコンとの違いと言える。

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / CLASSIC CHROME / 16:9

一昨日の寒波で再び上越国境が白さを取り戻している。

今冬の少雪で、4月には黒々した谷川連峰を見ることになると思っていたので、これはこれで例年通りの安心感である。

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実は年明け早々に天狗3号が故障した。原因は墜落に近いが、どちらかと言うと落下というのが正しいかな。

雪に埋もれる冬の森を空撮していた際、1クール撮影を終えて帰投させている時のこと。森の中の倒木空間から離陸していたので、自動でそこまで一旦戻し、最後は手動に切り替えて降下に入った。

が、すぐ近くでガサッという物音がしてそちらの方にほんの一瞬気を取られたその刹那、一番注意していたはずの付近で一番高いブナの樹冠付近に引っ掛かってしまったのだ。

これは拙いとすぐに再始動させてプロペラを回すも、枝は揺れるものの飛び立つ気配無し。いずれ大風が吹けば落ちてくる可能性はあるが、そこまで気長に待つのもなぁ、などと考えている間にも繰り返しプロペラを回す。

20回ぐらいチャレンジして諦めかけた時、突然枝のほうが折れ、一緒に天狗3号も落ちてきたのだ。高さは10m近くあったと思うが、下は積雪の上に笹薮が顔を出しているところで、天狗3号はその落下自体の被害は免れた。

すぐにチェックしたところ、プロペラは繰り返し枝と接触したことでボロボロであったが、モーターは無事。プロペラとバッテリーを交換して試しに飛ばそうとしたところ、ジンバルが正常でない云々の警告が出て離陸できず。

これは3回ほど叩いたらw、外れていた部品でもはまったのか離陸できるようになったが、肝心の映像が何も映らない状態に。こっちは叩いても解決しなかったwので、しげしげとジンバルとカメラ周りを観察すると、カメラをつなぐ薄っぺらいケーブルが断線しているのを発見し、この日はやむなくここで撮影終了して下山となった。

空撮用にはPhantomもあるし、うちのカメラマンチームは皆Mavic Proを持っているので、仕事には困らないのでそのまま放置、新型のMavic 2でも手に入れようかと考えつつ、修理の見積もり取ったら2万くらいで直るという話なので、先月修理に出した次第。

Mavic Pro

修理から戻ってきて早速近所でテストフライト。赤城高原の畑はどこも堆肥がすき込まれて黒々し、今シーズンの準備は万全だ。上越国境も数日前に降った雪でつかの間の白さを取り戻している。

それまで墜落こそしていないが、森の中で小枝などにぶつかってジンバル部が怪しい状態だったが、修理前より明らかに画質が安定しているのが判る。

Mavic Pro

利根川の河岸段丘に沿って白く霞がたなびいているが、これは花粉が風で流されている様子である。午後の光が左奥から入ってきているので逆光気味でやや強調されているが、先日の花粉光環同様に光が回折している影響が判る。

そうそう、書き忘れるところであったが、天狗3号の事故のキッカケとなった物音の正体はカモシカ。ドローンの音が気になったのか向こうからわざわざ近づいてきた感じであった。

拙者の存在も途中まで木の陰で気が付かなかったのだろう、慌てて逃げていく際の下枝を折る音であった。

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早咲き桜

2019/3/12

沖縄・八重山地方の桜と言えばカンヒザクラだが、本州で早咲きと言えばカワヅザクラだ。お馴染みのソメイヨシノに先行すること一ヶ月、静岡や神奈川など暖地では二ヶ月近く早く花を咲かせる。

早咲きではあるが、南関東に比べれば榛名山麓はさすがに一ヶ月遅い。先週の時点ではまだ五分咲き程度といったところ。

FUJIFILM X-T3/ XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS + MCEX-11 / PRO Neg. Std

FUJIFILM X-T3/ XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS + MCEX-11 / PRO Neg. Std

FUJIFILM X-T3/ XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS + MCEX-11 / ASTIA

FUJIFILM X-T3/ XF10-24mm F4 R OIS / PRO Neg. Std

フィルムシミュレーションにうっかりVelviaを選択してしまうとけばけばしい感じになってしまって、春らしい淡いパステル調の色合いが台無しなので、春の花にはPRO Neg.かASTIAが良い。

同じバラ科でも梅と桜では撮り方に違いがある。

桜は梅に比べて高木に成長し、花も密生して一斉に咲くので、桜の木そのものを撮るのが定番だろう。

その点、梅は幹があまり高く成長せず、どちらかと言うと枝が水平に張り出し、花の密度も桜ほど高くはないので、広がりのある枝ぶりを強調するように撮るのが良い。

これは桜が主に鑑賞目的の園芸種として植えられているの対し、梅は実を収穫する農産物という側面があって、品種改良の結果とも言えよう。

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mm F4 R OIS / PROVIA / Dレンジ優先

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mm F4 R OIS / PROVIA / Dレンジ優先

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mm F4 R OIS / PROVIA / Dレンジ優先

FUJIFILM X-T3/ XF10-24mm F4 R OIS / PROVIA

FUJIFILM X-H1 / XF10-24mm F4 R OIS / Velvia

桜を撮るときは、少し距離をとって望遠レンズで木全体を切り取るように撮ることが多いが、梅の場合は懐に入って広角レンズでガバっと写し込む。

XF10-24は開放だと周辺がやや流れるが、F8まで絞り込むと四隅までしっかり解像してキリッとした写りになる。

三寒四温の早春、冬型の気圧配置が強まったところに寒気が入り、赤城高原では早朝から雪模様。ぼた雪だが家の周囲で約10cmほどの積雪となった。

恐らく雪が降っているのはここだけで、平野部に出れば晴れているのは間違いないので、うっかり朝の天気でワードローブを揃えると痛い目を見るのは、高原あるあるだ。

FUJIFILM X-H1 / XF16mm F1.4 R WR / CLASSIC CHROME

キツネがゆっくり駆けてきて電柵の下を通り抜けた。こんな雪が見せてくれる野生の生きものたちの様子も、また来冬までお預けだ。

ということで、仕事でお江戸へ日帰り出張。案の定、渋川から南の平野部はどピーカンの良い天気であった。

iPhone 6

午後には用事も終わり、昼飯がてら新宿に出て、量販店に気になっていたオリのE-M1Xを弄りに行く。

パット見は確かに某C社フラッグシップ機であるE0S-1D Xクラスに遜色なく、重さもほぼ1kgということで、マイクロフォーサーズ機としては最大である。

ただ、ミラーレス機なのでレフ機に比べて筐体は薄く、手にしてみるとEOS-1D Xのあの重量感を感じることはない。実際に重さもバッテリー分以上に軽いし、グリップの造作が重さを感じさせないというの大きい。恐らくED300mm F4 PRO辺りとのバランスは良いのではないだろうか。

デモ機に付いていたのは25mm F1.2 PROで、そのAFの合焦スピードの速さに驚いた。店内なのでそんなに期待していなかったのだが、至近距離から店の奥まで色々試したところ、小気味よく食いつくのには感心した。

最大7.5段分という前代未聞の強力な手ぶれ補正には興味は惹かれるものの、値札を見ると一気に萎えてしまうのは、これまた前代未聞の30万超えのマイクロフォーサーズ機という点だろうw

それでも店員の話では発売日には結構な数がはけたそうで、先日記事にしたGR同様、さすがにコアなファンが多いオリンパスである。

ただ、同じマイクロフォーサーズ機であるパナのG9 PROとかなりの部分でキャラが被るというのはある。性能的には新しい分だけE-M1Xのほうが分が良いのは判るが、動画性能ではG9 PROに軍配が上がるので、写真素材と並んでフッテージ屋としてはG9のコストパフォーマンスの高さは捨てがたい。

ということで、E-M1Xが4K60Pだったら即買いだったが、ちょっと様子見の状態になっている。まあこれからインプレを色々聞いていくと、先のことは判らないけどねぇw

リコーからGR DIGITALの新型が出るらしい。詳しくはないが、今はDIGITALが取れてただのGRと呼ぶのかな?

昔のココログ時代からの常連さんは覚えているかもしれないが、実は拙者は初代GR DIGITALを使っていたことがある。もっと言えば、フイルム時代のGR1sからのユーザーであった。

当時、野外活動中の記録用に使っていたコンデジがリコーのCaplioシリーズで、GR DIGITALはCaplio同様に接写に強く、その流れで使っていたのだが、最近のGRはセンサーがAPS-Cになって画質面ではレンズ交換式とまったく遜色ないらしい。

しかもあの小さな筐体に手ぶれ補正まで入れたと言うから驚きである。この辺りはペンタを抱き込んだ相乗効果ということだろうか。X-Tシリーズに手ぶれ補正を入れられないでいるフジには是非見習ってほしいものだ。

ということで、GRがちょっと気になっているのだが、元々コンデジを使っていた理由は前述の通り野外活動中の記録用であった。今そのポジションにはスマホが収まっている。画質よりは手軽にメモ代わりに使えることを優先しているのだが、記録したそばからクラウドにアップして即バックアップも完了。

記録である以上、日時と位置情報は非常に重要であることは言うまでもないが、コンデジ時代は日時こそEXIFに残っていても、GPSによる位置情報の記録については、メモ帳と紙の地図が別途必要になり、帰ってからの整理は面倒だった。

素材屋を標榜している以上、大抵のケースでレンズ交換式カメラを携行しているし、スマホになってからは撮るだけでデータ収集と整理が完了してしまうのだから、今やコンデジを使う理由が無くなってしまった。

拙者のような輩らにはGRは立ち位置の難しいカメラになってしまったが、ストリートスナップを中心にコアなファンが沢山いるようなので、その点でGRの未来は明るいだろう。

以下はリコー GR1s DATEにPROVIAを詰め、当時ミノルタのフィルムスキャナでスキャンした画像。特にレタッチせず無補正だが、一部パトローネ部分をカットしているので若干トリミングされている。

撮影時期は何れも1997年〜1998年頃で、デジタル一眼レフカメラが登場するのはニコン D1が1999年、キヤノン D30は2000年、そんな時代の話である。


厳冬期に某所で天狗様待ち。コンパクトカメラなので基本はパンフォーカスで撮っていた。写り込んでいる機材はEOS-1n + EF500mm F4.5L、モノボールB1 + ジッツオG1349である。

ここは今は某自然保護団体の関係で賑やかになっているが、この当時は釣り師と山菜採り、それに我々ぐらいしか出入りしていなかった。


晩秋に某所で天狗様待ち。写り込んでいる機材はEOS-3 + EF600mm F4L、モノボールB2 + ジッツオG1348?である。

GR1sは28mmの単焦点レンズで、それは現在のGRにも受け継がれている。広角と言えどF2.8の開放で撮れば、案外背景もぼかすことができる。


観察適地を探して県内の某山系を踏査中、見晴らしの良い稜線上に出て撮影。

当時愛用していたFoxfireのフィッシングベストの胸ポケットからGR1sを取り出して現況を撮影し、個人輸入したGARMIN製GPSで国土地理院の地図にプロットしていた。


テレマークスキーを履いて知床横断道をトレース中。GR1sを使い始めたのは知床在住であった写真の師匠の影響である。

秋に某所で天狗様待ち。この手の細かい背景もしっかり解像していて、レンズの素性の良さが光る。

それにしても、自分でも驚くがこの頃は若くてまだ体力もあったので、これだけの機材を背負って山の上に上がっていたようだ。600mmが載っているのがアルミ製ジッツオ5型(型不明)というのが泣けるw

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先週末辺りから庭のロウバイがボチボチ咲き始めた。平野部に比べて2ヶ月近く遅いが、それでも我が家の庭木で最初に花をつけることに変わりはない。

FUJIFILM X-T3 / XF35mm F1.4 R + MCEX-11 / CLASSIC CHROME
FUJIFILM X-T3 / XF55-200mm F3.5-4.8 R LM OIS + MCEX-11 / CLASSIC CHROME

故あって手元に巡ってきたフジのエクステンションチューブMCEX-11を早々に試す。事前に手持ちのレンズをすべて試したが、実用になりそうなのはXF35とXF55-200かな。

ワーキングディスタンスを考えるとXF35(レンズ前約7cmで撮影倍率0.47倍)は使う場面が限定されるが、XF55-200はレンズ前約20cmから約66cmの範囲で撮影倍率0.25倍(APS-C)を維持するので、ちょっとした近接専用のレンズとして使えそうだ。

特にXF55-200は手ぶれ補正が付いているので、マクロ撮影時の歩留まりが上がる。XF50-140とXF100-400も同じように使えなくもないが、レンズ自体が重いので、軽量なXF55-200が一番使い勝手が良い。

縦横無尽

2019/2/28

今日からCP+が始まった。今年は久しぶりに行けそうな気配濃厚だったが、結局例年通りそんなヒマはない現実に追われる年度末である。

そんなこちらの状況を知ってか知らず..そんなわけねぇぞw..か、仕事を手伝ってくれている若手や、カメラマン仲間たちが続々と報告を飛ばしてくれるのは、ありがたいやら迷惑やら。

やたら届くLINEの通知が目に余るので、CP+の期間中はバッジだけに設定することにしたw

FUJIFILM X-H1 / XF35mm F1.4 R/ CLASSIC CHROME

ピョンピョンと縦横に跳ね回っているのはハタネズミ。

時間帯を問わずその姿を直接見る機会はなかなか無いが、電柱に留まってジッと地面を凝視しているノスリや、林縁で待ち伏せするフクロウ、畑の中をフラフラと歩き回っているキツネなどが、ネズミたちの存在を想像させてくれる。

彼らも生きるために危険をとして動き回るが、その行為自体が上位の捕食者たちの生きる糧になっているのだ。