カテゴリ : 写真・カメラ

portfolio

フジは新しい機種を出すと併せて新しいフィルムシミュレーションを追加してくるが、GFX100Sにはノスタルジックネガなるモードを追加してきた。

難しいことはよくわからないが、メーカーによればノスタルジックネガは「アメリカン・ニューカラー」なる色調を再現しているらしい。

階調表現は柔らかく、アンバー気味に色を載せているので、ネガフィルムの持つ言葉通りノスタルジックな雰囲気の調子が得られるようである。

似たような語感のクラッシックネガは逆に硬調なトーンなので、名称こそ似てその実は非なるカラーモードと言うことになる。

思うに自然の造形物より人の生活圏で人工的なものを写すほうが適しているように思うので、個人的に主たる撮影対象ではあまり出番はなさそうだが、やたら色を盛る傾向にある昨今の風潮とは対象的な表現方法には好感を持てる。

ちなみにこのクラッシックネガ、1億画素センサーに合わせてチューニングしているらしく、今のところGFX100S専用の扱いとなっている。この辺りの設計思想がフジのこだわりであり、フィルムシミュレーションが他のカメラメーカーのカラーエフェクトの類とは一線を画す所以である。

FUJIFILM GFX100S / GF45-100mmF4 R LM OIS WR / Nostalgic Nega.

近所の廃屋にある資材置き場で試してみたが、確かにどこか懐かしい雰囲気の出る色調だ。併せてこの立体感もスゴイ。

最新のラージフォーマットカメラによる世界一無駄でつまらない写真コンテストw

というのは冗談で、何れもGFX100Sの1億画素画像をトリミングして切り出したカット。元絵はクリックで表示。

FUJIFILM GFX100S / GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR / PROVIA / 沼田市街地

FUJIFILM GFX100S / GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR / PROVIA / 伊香保温泉街

FUJIFILM GFX100S / GF45-100mmF4 R LM OIS WR / Velvia

FUJIFILM GFX100S / GF45-100mmF4 R LM OIS WR / Velvia

FUJIFILM GFX100S / GF45-100mmF4 R LM OIS WR / Velvia

FUJIFILM GFX100S / GF45-100mmF4 R LM OIS WR / Velvia

いくらトリミング耐性が強力に高いと言っても、さすがにここまで盛大に拡大することはないが、1億画素あるとこのくらい朝飯前ということだ。

それにしても何れのカットも三脚は使用していない。すべて手持ち撮影で、特にヒノキ林のカットなど1/30だったが、見事に手ブレが抑えられている。

3600万画素超えの35mm版フルサイズが出始めた頃、これから高画素の時代は手ブレ大敵、三脚は必須だ!みたいな風潮があって、実際当時受け取るD800とかα7Rのデータは拡大すると結構微ブレしていたものだ。

もちろん可能な限り高精細足らんとするなら三脚に載せるのが吉であるが、ラージフォーマットの1億画素をここまで軽快にスナップ可能としているGFX100Sの性能は、控えめに言っても驚愕の域と言ってよい。

どちらかと言えば以前は手ブレ補正に否定的で、実装自体がもっとも後発のフジだが、X-T4以降の手ブレ補正に対するやる気はスゴイ。

いざパノラマ

2021/3/11

フイルム時代、フジはTX-1・TX-2という..ややこしいがX-T1・X-T2ではないw..レンジファインダーのパノラマカメラをラインナップしていたことがある。

それまでパノラマ写真と言えば、単純にフイルムの天地を切り取って横長に記録するナンチャッテ感のあるカメラがほとんどだったが、TX-1・TX-2は35mmフィルムの縦24mmはそのままに、横方向を65mmまで伸ばして記録できる本格的なパノラマカメラだった。

しかも専用の交換レンズまで用意する入れ込みようで、当時はTX-1を手に入れてアラスカ取材に持っていこうかと真剣に考えていたものだった。

現在のデジタルカメラではそれこそ画像のトリミングが自在なので、アスペクト比を変えて様々なフォーマットを記録できるわけで、シグマfpに用意されている縦横比21:9のシネスコなどは写真の世界で言うパノラマと言って良いだろう。

ただ、トリミングにしろfpのシネスコにしろ、結局天地をレターサイズ的に切り取ることになるので、画素数は半減してしまうのがデメリットである。

その点で余りある1億画素もの高画素を誇るGFX100Sであれば、トリミングしても画素数的にまったく過不足ないわけだが、実はGFXには65:24というアスペクト比が最初から用意されていて、これこそが前述のTX-1・TX-2のパノラマ写真の再来なのである。

後からいくらでも加工できるデジタルカメラなれど、最初からパノラマを意識した構図のほうがインパクトあるのは間違いないのだ。

FUJIFILM GFX100S / GF45-100mmF4 R LM OIS WR / Velvia

FUJIFILM GFX100S / GF45-100mmF4 R LM OIS WR / ETERNA BLEACH BYPASS

FUJIFILM GFX100S / GF45-100mmF4 R LM OIS WR / ETERNA

FUJIFILM GFX100S / GF45-100mmF4 R LM OIS WR / Velvia

FUJIFILM GFX100S / GF45-100mmF4 R LM OIS WR / ETERNA BLEACH BYPASS

FUJIFILM GFX100S / GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR / PROVIA

FUJIFILM GFX100S / GF45-100mmF4 R LM OIS WR / Velvia

普段からWeb制作の仕事でトップページのヘッダー画像などにパノラマ的なカットを利用しているので、この手の横長アスペクト比は見慣れている。

ストックフォト利用だと大抵は3:2や4:3のアスペクト比を天地カットして対応するが、最初からそのつもりで撮影することもあるので、加工なしでパノラマで撮影できるのは便利である。

しかも天地カットしてもまだ半分の5000万画素もあるので、そこからさらにトリミングしたり、Javascriptでズームなどエフェクトをアニメーションで表現させるなどバリエーションも広がるのである。

今後GFXで率先して使っていきたいことの一つがこのパノラマ写真という次第。

分かりきっていたことだが、1億画素ともなるとそのデータサイズは半端ではない。

X-T4(APS-C 約2600万画素)と同じようなシーンを撮ると、X-T4ではJPEG一枚あたり約10〜15MB前後なのに対し、GFX100Sでは約45〜60MBと巨大なファイルとなる。

当然RAWだと100MBを超えるケースもあるので、従来はSDカードを32〜64GBのタイプを必要に応じて入れ替えて使っていた..万一の破損に備えて単位あたり大きいのは避けていた..が、GFX100Sには初めて128GBのタイプを挿すことにした。

ちなみにSDカードは以前はSanDiskを好んで使っていたが、最近はProGradeのUHS-IIのタイプを使っている。

FUJIFILM GFX100S / GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR / PROVIA

Webで見る限り、画素数が多いからといって画質に特段の変化があるわけではないが、モニターで拡大表示してみて改めてその高精細さに驚く。

早朝なら赤城高原から直線距離で30km離れた天神尾根を歩く登山者まで見えそうなほどだ。

それに大判プリントを前提にすれば階調表現の豊かさなどさすがに比類なきものがあるが、先日も書いた通り1億画素の最大の恩恵はトリミングの自在さにある。

何しろ200mmで撮って400mm相当までトリミングしても、画素数はまだX-T4と同程度あるのだから。

そう、画素の無駄遣いがGFX100Sの使い方の真骨頂と言えるかもしれないね。

カテゴリ:写真・カメラ, |タグ:,

冬鳥のツグミも春には渡去することになるが、わりと遅い時期まで留まる個体もいる。

それに南から続々とやって来ては連日入れ替わっている可能性があるので、今日見た個体が昨日の個体と同じとは言えないかな。

それに移動の途上で旅は道連れになるのだろう、4月の桜の頃に一時だけ数が増えることがある。

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS

立ち止まったこちらから逃げるように離れていくツグミ。

試しに鳥認識AFで追いかけてみると、一旦陰で姿を見失うと白フレームが行き場なくウロウロし出すが、胸ぐらいから上が見えてくると、緑フレームが息を吹き返してピンを合わせ続ける動作を繰り返す感じ。

まあとにかく便利な機能だね。

カテゴリ:写真・カメラ, |タグ:,

とにかく「よくボケる」それが写りに関する第一印象。

GFX100Sはラージフォーマットセンサーなので、35mmフルサイズと比較するとセンサーが小さいマイクロフォーサーズとちょうど真逆の関係になる。

マイクロフォーサーズの場合、絞りがF4であれば35mm版と比較すると2段分程度被写界深度が深くなるので、F8と同等ということになるが、GFXの場合は逆にF2.8辺りと同程度と思われる。

GFXは同社のブローニーフィルムカメラであったGFの名を関しているのと、センサーはペンタの645Zと同じサイズ(43.8mm×32.9mm)であるため、カテゴリ的に中判カメラの扱いを受けるが、撮像面はブローニーの645よりも一回り小さいので、理論上のボケ量はそこまでではないはず。

それでもやはりボケると感じるのは、普段使っているのがAPS-Cとマイクロフォーサーズなので、その辺りからくる印象であろう。

話は変わるが、中判カメラがあるなら大判カメラもあるのか?ということになるが、大判はフィルム時代の4×5(シノゴ)や8×10(バイテン)などのシートフィルムを使うカメラの総称で、デジタルカメラに相当するサイズは存在しない。

理論上はそこまで大きな撮像センサー作っても掛かるコストをペイできないであろうし、今どきの各社35mm版フルサイズミラーレスカメラの交換レンズを見れば分かる通り、肝心のレンズが巨大なものになってしまうのでまったくもって非実用的な話なのである。

ちなみに、マイクロフォーサーズが取材系の業務用途で適している最大のメリットが、実はその被写界深度の深さにある。35mmフルサイズで同じ被写界深度を得るためには2段絞らないとならないが、逆にマイクロフォーサーズでは手ブレと無縁となる上に、無理矢理の高感度の必要もないのである。

人物主体のポートレートでは背景がボケて主題が浮き立っているほうがそれらしくはあるが、企業さんのパンフなどで背景がボケ過ぎてしまうのは逆に嫌がられる傾向があるので、何が写り込んでいるか判る程度に..社屋であれ商品であれ..程よくボケているのが理想である。

FUJIFILM GFX100S / GF45-100mmF4 R LM OIS WR / Classic Nega.

近接とはいえF4でここまでボケるのは、やはり大きなセンサーの恩恵ということであろう。

逆にマイクロフォーサーズ的な感覚でいると、風景写真などのシーンで十分にパンフォーカスとならずピンぼけとなる可能性が高いので、厳重に要注意である。

35mmフルサイズミラーレスカメラで現在もっとも高画素なのはソニーα7R4の6100万画素で、その後は同α1やパナのS1R、EOS R5にニコンZ 7系の5000万画素前後が続いている。

こう見るとその5000万画素クラスが現在の高画素機の趨勢と見ることができ、一時もてはやされた3600万画素クラスはもはや普通の水準と言えるだろう。

そう考えると5000万画素を秒間30コマで連射できるソニーα1は、まさにバケモノ的な性能なんだと改めて思われ、そう遠からず1億画素級の同α7R5が出てきそうである。実際、フジのGFX100が採用している102MPのセンサーはソニー製だしね。

さて、そんな高画素も仕事で使う分にそこまで必要なく、2000万画素もあれば必要十分であることは何度か記事に書いている通りで、業務用としてはマイクロフォーサーズ機が一番バランス的に優れているのは実務でも証明している。

それでもストックフォトの世界では、実際にそこまで必要とするか否かを別にしても、もっと高画素の素材はないか?という問い合わせがここ1〜2年増えてきているのもまた事実である。

編集者の視点でストックフォトの世界を見ると、それ自体完成された一枚の絵面より、自在にトリミングして構図すら自由にいじることができるカットのほうが素材としてニーズが高いというのがある。

その前提でも2000万画素もあれば十分..もちろん最終出力の形態でその上限は変わるが..ではあるが、世の中がやれ35mmフルサイズだのやれ5000万画素だのもてはやすものだから、2000万画素しかないんですか?という現実とは乖離した感覚になってしまうわけだ。

ちなみにオリのE-M1系にはハイレゾショットという5000万画素のデータが得られる飛び道具が用意されているので、緻密な描写が要求されることが予想される場合はそれで対応できそれはそれで重宝しているが、短時間に連続して撮影ができないので、毎回これを要求されると厳しいというのはある。

なるほど、それでパナのLUMIX S5で35mmフルサイズに移行するんですね?的な話の流れになるのが、昨年末辺りから拙者界隈のトレンドなのだが、フジのAPS-C機も使っていることもあって、センサーが2倍程度大きいだけの35mmフルサイズ機に移行しようとは思わないというのが実際のところ。

iPhone 11 Pro

となると必然的?にAPS-Cセンサーの約4倍、35mmセンサーの約1.7倍となるMore than Full Frameを喧伝するフジのラージフォーマットに行き着くのは自明の理だなw

左上から時計回りに、パナのLUMIX S5、オリのE-M1X、フジのX-T4、そして同GFX100S。こうしたセンサーの大きさを比較した写真を見ていると、デジタルカメラになってから改めて混沌とした時代に生きているんだなと思わなくもない。

何しろ一番センサーが小さいE-M1Xが一番ガタイが大きいというこの世の矛盾w

パナのGシリーズの初期の頃の画作りでは、同社の伝統とも言うべき緑に対するイエロー被りが見られたが、現在のパナの画作りはかなり意識してニュートラルにしている感じである。

これは一見すると地味な印象与えるので、派手な色味を好む風景屋さんなどはパナの絵は良くないという意見を言う人も中にはいるが、この点は逆にもっと評価されて良いと思っている。

個人的にS5ではGH5やG9PRO同様、フォトスタイルはFLATに設定している。普通にニュートラルな画がさらに彩度低めで一層地味めに見えるのだが、動画の場合は編集時に色味はすべてカラーグレーディングで調整されるので、下手なプロファイルはかませないほうが吉だ。

SNSでいいねをたくさん集めるなら、それこそガチガチにレタッチしてもはや原版からかけ離れた画でも良いのだが、ストックフッテージとして売るためには過剰で無用な装飾は一切要らないのである。

LUMIX S5 / Super Telephoto System

上からヒヨドリ、スズメ、カワラヒワ。地味な鳥をさらに地味に撮るw と言ってもカワラヒワは逆光だとなかなかきれいな黄色が出るんだよね。

動画性能で覇を争うソニーのα辺りだと、カワセミなど青系がとても自然界には存在しなそうな色に転ぶケースが散見されるので、青や赤でどう仕上がるのか試してみたいところだ。

また、業務用途である兄貴分のS1Hと違ってS5はローパスレス仕様であるが、よく鳥の風切羽付近に出るモアレは抑えられている感じだ。その分、解像性能はS1Hより上と見ている。

複数のカメラメーカーを使っていて操作に迷うことはないか?という質問をよく受ける。言われてみればフジのXにパナのG、オリンパスのE-M1系に最近はさらにパナのSも加わった。昔からあるEOSも一応まだ健在だし。

カメラの操作性など慣れてしまえば何ということもないのだが、とりわけ「そうそう、よく判っていらっしゃる!」などと膝の一つも打ちたくなるのがパナのカメラである。

マイクロフォーサーズであるGHシリーズの頃から操作性に優れ、業務用カムコーダーのようにワンボタン・ワンアクションで設定が済んだり、関連する必要なボタン類が一箇所に集まっているのが特筆される。この辺りはオリンパスのE-M1系も似たような印象。

どことは言わないが、操作することを楽しむ方向性でモデルを展開している富士フイルム..言っちゃったw..のカメラとはちょうど真逆の設定で、判っていて使う分にはそんなもんかで済むが、少なくてもフジのXをパナのGやSの感覚で使うのはほぼ無理w

iPhone 11 Pro

さて、そんな便利なS5には、実はGシリーズにはない隠れた?便利な機能が用意されている。それは録画中にEVFと背面モニターが赤枠で表示されるのである。

一見なんてことのない機能なのだが、野外で撮影に集中している時にこれが非常にありがたいのである。録画ボタンを押したつもりで実は録画されてなかった「やっちまった」事故を未然に防ぐことができるのである。

さらに録画中と待機中が逆だったという笑えないオチも避けられるので、動画撮影ではもはや必須とって良い。他のメーカーも明日にでもファームアップで対応してほしいぞ。

LUMIX S5 / Super Telephoto System

南向きの日当たりの良い斜面でカモシカが餌を求めてラッセル中。距離は1.5kmほど離れているが、この日はさほど陽炎の影響は受けなかった。

ここ数日暖かい日が続いているが、この冬の雪の多さの威力はやはり絶大で、県北の天狗様フィールドには谷に近づくのも憚れる状況。今の感じだと林道でアプローチできるようになるのは5月くらいになりそうだ。

仕方ないのでギリギリ谷を見通せる里の集落外れとかに陣取って観察する日々である。

キヤノンがEOS Rシステムと同時に用意してきた各種マウントコンバーター..コントロールリングを設けたりドロップインのフィルター装着を可能としたり..を見ていて思ったのだが、各社とももう少し拡張性について頭を使って欲しいと思う。

何とかの一つ覚えではないが、電源確保を目的としてバッテリーグリップなるアクセサリーを右へ倣えで用意しているが、あれがどうにも芸がないと思う。電源確保の意味ではUSB-Cによる外部供給が普通になりつつあるので、旧来の概念に縛られる必要もないだろう。

例えば拡張グリップとして高速通信のインタフェースを組み込み、オリンパスならE-M1XのインテリジェントAF機能に相当するモジュールを別売りで用意すれば、異なるモデル間..とは言えベースは同じでないと難しいだろうけど..で共通で機能を利用できるのではないだろか。

カメラがエレキの塊となって久しく、ファームアップで新機能が搭載される新たな道が用意されてはいるものの、鉄ちゃんが鳥認識AFを必要としているとは思えないし、それは逆もまた真なり。

世界的にカメラ市場が縮小している現在、カメラが面白くない、今のままで十分、スマホで十分と揶揄されている現状で、今までの発想の延長でしかカメラを製品化できないというのは、どうにもイマジネーションが足らなすぎ。もっと頭使えよって話だ。

OM-D E-M1 MarkIII / M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO

雪上のムンクの叫びもそろそろ拝めなくなってきたかな。春は近いね。