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ハイオク

2020/1/27

広角レンズのパース誇張は雄大な風景を表現するのに有効な手段だが、建築物など人工的な構造物を撮影する際は逆にパースによる歪みは弊害となりがち。

人物に比べて大きな構造物の場合、近づいて撮影するとどうしても見上げるアングルでの撮影となるため、壁や柱などが上すぼまりに写し込まれてしまう。

記念写真の背景や観光写真なら気になるものではないが、被写体がその構造物そのものの場合はそういうわけにいかないのが商業写真の常である。

フィルム時代はピント位置が可変となる蛇腹機構を思った大判・中判カメラや、35mmなら専用のシフト・ティルトレンズを使って歪みを補正していた。後者の専用レンズはキヤノンとニコンがまだ販売しているので、デジタル主流の現在においても、建築物の撮影が多いカメラマンは両メーカーが選択肢となっているようである。

拙者もEOS時代にはTS-Eレンズを使っていたが、今や画像データはPCに取り込んでいかようにもレタッチでパース補正できてしまうので、専用レンズの必要性はまったく感じていない。

で、そんなパース補正をカメラ内で完結できてしまう機能(デジタルシフト撮影)をE-M1Xは搭載..オリンパス含め他の一部のカメラにもある..していて、先日の深度合成同様に現場で地味に使わせてもらっている。

オリンパスのデジタルシフト撮影は撮影結果に補正するのではなく、撮影前にEVFまたは背面モニターで確認しながらその場でシフト・ティルト行為ができるので、専用レンズを使って補正するのと同じ感覚で操作できるのが特徴だ。

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

何れも左が補正前で、右が撮影時にデジタルシフト撮影をした結果である。補正結果は周辺がトリミングされる..もちろんリアルで確認可能だ..ので、それを見越して撮影ポジション決めするのが肝要。

とにかく帰ってからの仕事場での作業量を減らしたい..諸々別業務が並行してあるので..のと、現場で結果を即確認できクライアントと意識を共有できる点が大きいかな。

スマホにシェアを食われ続けるデジタルカメラであるが、この手の実用的な補正は今どきスマホのカメラアプリでも簡単にできてしまうので、ミラーレスカメラにも普通に搭載してほしいのだが、日本のカメラメーカーはこういう点に及び腰なのは残念だ。

今どき、レンズでは歪むのに任せてデジタル処理で周辺の歪みを補正しているメーカーが多いのだから、理論上できないはずはないのである。

ちなみに暮れの撮影業務では、ポラ代わりにiPhone 11 Proで撮影した画像をその場で歪み補正してクライアントに確認、Webではあるがそれがそのまま採用された実績もあるので、地方の田舎の現場であってももはやそういう時代であるという認識だ。

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