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スマホの普及で痛手を食っているのが出版業界で、とりわけ鮮度命の情報を扱う雑誌系は危機と言って良く、そう遠くない時期に新聞と一緒にオワコンとなると見ている。

文庫など紙の書籍はアナログとして素材的に紙を好む向きがまだ多いので、雑誌系よりは生き残る可能性が高いが、利便性の点で紙の出版別であるよりもデジタルの方が親和性が高いものがあって、それはいわゆる図鑑である。

もちろん図鑑にも種類があるので、写真集のように家でパラパラとめくって眺めるものは大判の印刷物が適しているが、本来図鑑に求められるのは目的の情報をいかに早く探し出せるかである。

図鑑なら大抵は巻末に索引があるが、紙の印刷物ではその程度が限界..それすら制作側の都合でしかない..であり、デジタルが本来持つ高度な検索性にはまったく及ばない。特に今ならAIを用いた画像認識やテキストの自然言語解析や形態素解析が利用できるので、そういった技術の恩恵を受けられるのもデジタルならである。

それに「いかに早く」とは検索だけでなくタイミングのことにも掛かってくる。ここで言っているのはフィールド図鑑と呼ばれる種類のものであるが、現場で確認できることこそフィールド図鑑の真骨頂なのである。

出版社の中にはポケット図鑑と銘打って小さい変形版で分類ごとに図鑑をシリーズ化しているところもあるが、いかにそれらが小さく持ち運びに適したサイズに収まろうとも、すべての分類毎に複数冊を持ち歩くことは不可能。ポケットサイズと言われても、物理的に2冊以上をポケットに入れて持ち歩くなど非現実手な話である。

デジタルは情報の鮮度を保つ意味でも最適である。印刷物で間違いを訂正したり新たな情報を追加するには次版を待たねばならないが、デジタル図鑑なら臨機応変に改変に対応可能である。

すでにEPUBのようなデジタル書籍向けのフォーマットも存在するが、あれは出版向けに既存の印刷物の延長にあるものなので、ここで言う図鑑に求められる検索性にはまったく適さないし、何よりデータの準備に専門的な技術を要求される。

出版社のWebサービスの中にはデジタル性を生かしたものもあるが、インターネットに接続しないと閲覧できないものは奥山など電場の届かないフィールドでは利用できず、それではフィールド図鑑としては片手落ちである。

哺乳類、鳥類、植物など分類ごとにデータをサブスクリプション形式で利用可能とし、ダウンロード数に応じて著者や写真提供者に支払いが生じる式にすることも可能だろう。

目指すはInformation at your finger tips
(Nレコの写真アルバム機能)

実は以前、アプリを介してスマホやタブレットにデータを同期して、ネット環境のないところでも図鑑を利用できる仕組みを構築するプラットフォームを考えたことがあり、それに則ったアプリを開発したことがあった。

輪転機を回したい出版社だと話に乗ってこないと見て、専門の然るべき団体に話を持っていって協業を代診してみたが、カメラマンという人種には「撮るだけ」という認識の人が多く、結局上手く進めることは叶わなかった。撮るだけで仕事が回っていた時代はもう終わったと見ているのだが..

その後も関連して色々そう言ったことを考える機会もあり、何よりうちのチームにはその技術もあるので、どこかでこういう話に乗ってくれないものかと思うのであるが、人はなかなか現在のポジションから脱却するのは難しいようである。

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