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尾瀬の木道上で落とし物を見つけた。いわゆるオトシブミの揺籃ってやつで、この中に数個の卵が産み付けられている。

オトシブミはゾウムシの仲間で、その造形は際立って特徴的である。そして彼らが幼虫のためにこしらえるこの揺籃..卵の保護と同時に餌の提供を兼ねている..の構造もなかなかに複雑。

自分の体より大きい一枚の葉に切れ目を入れ、器用に追って畳んで巻き上げるのである。そして最後に残しておいた中央の葉脈を切って地面に落とすわけだが、普通はそこは落ち葉が堆積したような林床なので見つけるのは一苦労だが、それが今回はたまたま木道上であったためにすぐにそれとわかった。

オトシブミはナラ・クリ・クヌギ、それにハンノキを好むが、尾瀬の場合は湿原だとハンノキということになり、必然的に河畔林内ということで、この揺籃もヨッピ川に沿った河畔林内で見つけた。

落ちていたのは木道の中央付近だったが、朝から人の往来はそこそこあったわりによくも踏まれずに無事だったものだ。

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オトシブミの名の由来は「落とし文」から来ていると言われている。

元の落とし文自体は、恋文など人目をはばかる手紙を伝えるべき相手に直接渡さず、それとなくわかるように相手の近くに置いておくことを指すが、オトシブミにはそんなロマンチックな考えは毛頭なく、そもそも目立つことを逆に避けたい意図があるはず。

今回はそれが期待通りに機能しなかったわけだが、彼らも下がどうなっているかいうところまで気を回していないのだろう。

それに場所が河畔林ということもあって、下が川面だった場合でも構わずちょきっと切ってしまうのか気になった。

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