どっちも大事なんだよ
規制改革担当の河野が風発建設の要件緩和を言い出してるらしいな。
さも既得権益でもあってそこに斬り込んでいくさまに自己陶酔しているのか、早くに成果を欲しがっているふうなのが見て取れ、その言い回しだけはやたらと威勢のよい立ち回りが見ていて実に痛々しい。
規制緩和やら要件緩和なんていうのはそこに利権が絡むから問題になるのであって、そもそも何故に風力発電の設置に細かい規制がかかっているのかをまるで理解していないのは間違いない。
史上最弱省庁と揶揄される環境省なら自分ごとき木っ端大臣でも言うことを聞くとか思って、バックにスダレをチラつかせながら脅しをかけているのだろう。
2050年にカーボンニュートラルを目指すため、再生可能エネルギー普及を目指すのは結構なことだが、風車なんてもはや陸上に建てる場所などありはしないので、現状の陸上建設の要件緩和ではなく洋上への設置にかじを切るべきだ。
確かに洋上の風力発電施設にも課題はあるが、イノベーションなんて困難に立ち向かわなければ起きるわけもないので、電力業界や関連業者に仕事を回すため..この辺は仕事柄裏事情をよく伝え聞く..に山の上に風車を建てるという安易な道を選ぶなど以ての外だ。
河野の小倅よ、地球環境のためとお為ごかしを称して乱立する巨大な人工物に衝突し、命を散らしていく生きものたちの無念の思いを知るが良い。
山の上に立つ巨大な建造物と言えば送電鉄塔が挙げられる。高いものでは100mクラスもあって、台風で損壊した千葉の例を見れば確かに鉄塔も問題がないわけではないが、少なくても送電鉄塔は周囲の生きものから見えている。
だが、風力発電の問題はそれ自体が稼働する施設だということだ。発電するためにローターが回っているわけだが、遠目にはゆっくりと回っているように見えるブレードも、鳥などはなまじ目が良いため、近くだとかえって見えなくなってしまって、最悪衝突死ということになる。
今や風の条件の良いところは海岸から山の上まで全国津々浦々に風車群が林立しているが、イヌワシやクマタカのような希少な猛禽類にとっては、自分のうちの庭先にギロチンがクルクル回っているような話なので、ただでさえ森林生態系の変化で餌不足にある状況なのにさらに追い打ちをかけることになる。
1950〜60年代にかけて自然保護が叫ばれだした頃、時は高度経済成長時代真っ只中で、それこそ自然と人の生活とどっちが大事だみたいな論争に明け暮れていたわけだが、皮肉なことに今度は地球環境を守るための人の行動がそこに棲まう生きものにとっての脅威となり、生きものと地球環境とどっちが大事だみたいな似たような論争にまたぞろ発展していくのかと思うとうんざりである。
ただ、それに対する答えは決まっていて、生きものも地球環境もどっちも大事だと言うことだ。生態系とはバランスの取れた命のつながりであって、どっちかを捨ててどっちかを取るみたいな二者択一ではない。その生態系を含んでこその地球環境だということを努々忘れてはならない。