増えた蒼鷺
2016/3/30
群馬でも高崎・前橋界隈は二毛作であるため、田んぼを起こすのは概ね5月に入ってからである。その点、太田や館林など東毛まで下ると、南関東並みにすでに田起こしが始まっている場所もある。
撮影スタッフと待ち合わせをしている間、車をそんな休耕田の脇によせてあちこちメールなど送っていると、すぐ近くにアオサギが舞い降りて、泥の中からドジョウなどを捕食し始めた。
それこそ写真を撮り始めた30数年前は、コサギやダイサギなどいわゆるシラサギに比べて、群馬ではアオサギは珍しかったと記憶している。それが今やアオサギのほうがよく見掛けるようになり、少なくても利根沼田地方ではシラサギより圧倒的にアオサギのほうが多い。
ゲテモノ食いで且つ、例え山中であってもコロニーを形成できるあたり、シラサギに比べて環境適応能力が高く、繁殖能力も強いと思われる。間違いなく当時より増えたと言って良いだろう。
それにカワウが増え始めた時期とも符合するところがあるので、恐らく同じような理由でこの連中も勢力を拡大してきたと思われる。繁殖場所こそコロニーを形成して集団で営巣するが、餌を穫る時は基本的に単独行動なので、カワウほどは漁業被害が目立たないだけで、アオサギによる放流魚の食害も結構あるのではないだろうか。
サギの仲間は例外なく警戒心が強く、なかなか近くまで寄らせてはくれないが、こちらが車内にいるのを知ってか知らずか、泥を突付きつつ車窓3mぐらいまで近づいてくることもあった。さすがにその近さでは望遠レンズのピントが合わないので、写真は少し離れた時のものである。
アオサギは漢字では「蒼鷺」と書く。青サギではなくあくまでも蒼、つまり灰色を現す蒼である。英名でも「Grey heron」となるので、文字通り灰色がかったサギという意味になろうか。