HDVの終焉
ソニーのα7RIIとPXW-FS5の情報収集の過程で、同社のプレスリリースに「業務用HDVレコーダーおよびHDVカムコーダー生産完了予定のお知らせ」というのを発見。今後はファイルベース製品に注力するので、HDV関連の製品群は年内で生産を終了するとのことだ。
HDVはDVカセットテープに無理やりハイビジョンフォーマットを詰め込んだ規格であり、それが故に1080iを名乗りつつも横方向の解像度が1440しかなく、出力時に不足分を補完するというかなり強引なフォーマットであった。そんな出自があったため、その後に策定されたAVCHDが1980の解像度を実現し、差別化のためにフルハイビジョンなどといういい加減なキャッチを生む..今後のHDフォーマットはフルじゃねぇのか?という誤解を招く..原因ともなった。
そんなHDVも思えば最初に関わったハイビジョンフォーマットであり、ネイチャー・イメージング..当初はHDビデオ映像ライブラリと言った..を始めるきっかけとなったものだ。では愛着があるか?と問われれば、実はそんなものは微塵もなく、フッテージ屋としてはむしろファイルベースに早く変わってほしいと思っていたので、HDV機器が生産完了と聞いてもフーンといったところである。
ただ、HDVは3年位前まではうちのワークフローでもまだ現役だったのも事実で、収録後に専用レコーダーでテープからキャプチャして取り込んでいたわけだ。その後はビデオチームがXL H1からC100に変わったのを機に、すべてのワークフローをファイルベースに切り替えたのである。収録後に待ち時間なく即編集に入れるファイルベースに慣れてしまった今、実時間かけてのんびりとキャプチャを待っていたのは今となっては懐かしい。
ネイチャー・イメージングの取扱素材にもまだHDVフォーマットが多いのだが、今後は徐々にH.264系のFHDに切り替わっていく予定。