portfolio

空梅雨

2013/6/22

20130622

東北は梅雨入りしたと聞いていたが、

週間天気予報を見てもどうもこの先一週間は降らない感じだ。

野外活動を考えると雨は降らないほうが有難いのだが、

水不足が心配されている昨今、

うかつにそうだとは相槌を打ちづらい状況である。

では雨乞いでもするか、なんてね..

カテゴリ:季節感

小雨模様の中、三脚の前に立ってファインダーを覗いていると、目の隅に何やらモコモコしたものがうごめく気配を感じた。

ふと足元を見下ろすと、そこにいたのは何とアナグマ。しきりに三脚の脚の一本に鼻を寄せ、クンクンと匂いを嗅いでいる。予想だにしない思わぬ珍客に、こちらは身動きもできずに立ち尽くす。そう、時間にすれば10秒ほどだろうか、アナグマは気がすんだのか、匂いをかぐのをやめ、こちらの視線に気がついて顔を上げたため、お互い目が合うことに。

そしてここで再び10秒ほどの沈黙の後、フフンと鼻を鳴らすとスタコラ歩き出し、信じられぬことに何とこちらの股の間を通りぬけ、そのまま森の中へと消えていったのである。アナグマの目が悪いのは知ってはいたが、よくもここまで平然と近づいてくるものだと感心することしきりである。

まあ長いこと山や森をうろついてはいるが、ここまで呑気なアナグマは初めてのことだ。

20130613

そして三脚に寄ってきたのはアナグマだけではない。ジャノメチョウの仲間であるヒカゲチョウが、どんなに追い払っても執拗に集ってきて、雲台周りをしきりに舐めていた。恐らく付着している手汗からミネラルを補給していたのだろう。特に害があるわけでもないので、最後は気が済むまで放っておいた。

カテゴリ:ほ乳類, 小動物|タグ:,

20130611

秋の桜と書いてコスモス。

平地ではその名の通り秋に咲くわけだが、

我が家の周辺など標高の高い場所では、8月に入れば咲き始める。

でも今は梅雨時。森ではホトトギスやエゾハルゼミが賑やかに鳴き、

田んぼではケロケロとアマガエルが鳴く季節。

なのになぜか田んぼの畦にコスモスが咲いてるから首をひねるばかり。

狂い咲き?いやどうなんだろうか。特に寒いこともないし。

早咲き?園芸種ではそういう種もあるようだが、

それでも6月は早いように思う。

カテゴリ:花・植物|タグ:

我田引水

2013/6/10

20130610

南関東ではもっと田植えは早いもんだと思っていたが、

今頃、田起しして水を引いているのには少々驚いた。

北関東でも二毛作が主流の高崎界隈では、

ちょうど今の時期が田植えに当たるので、特に支障はないのだろうが、

水が引かれることを心待ちにしていた生きものにとっては、

ようやく季節到来といったところか。

カテゴリ:季節感|タグ:

20130607

前回雨が降ったのは一体いつだったろうか、

などと思わず回顧してしまうほど久しぶりの雨だ。

それも今シーズン初の集中豪雨的な本降りであった。

不意に雨の匂いが漂い、川上でゴロゴロと雷鳴が轟くと、

アッという間に辺り一面が黒々と染まり、

滝のような雨に傘はまるで役に立たず。

外ロケでも調査でも外仕事での雨は困りものだが、

待ちに待った今日の雨は格別だ。

カテゴリ:季節感

先を見据えて

2013/5/31

20130531

早いもので、ろくにヤマツツジも見ないうちに皐月も終了。

気がつけば利根の山々もハリエンジュが白い花をつけ、

ミツバチが忙しそうに飛び回っている。

季節が移ろうと、それに合わせて撮影対象も変わっていく。

自然を被写体にしている以上、至極当然の成り行きだが、

また今月もあれが撮れなかった、これが足りなかったと反省しきりで、

日々の雑事・些事に追われてなかなか思うようにいかないものだ。

ただ、常に先を見据えて行動することがすべからく寛容なのである。

明日からは梅雨時なのに水無月。梅雨は雨のシーンを狙わなければ..

カテゴリ:季節感

時を超えて

2013/5/26

所属する研究会の大御所よりお声かけいただき、

隣県のワシのおヒナ様の様子を見に行ってきた。

それまでおとなしく伏せていた70日齢少々の三ツ星が、

風が吹くと思い出したように白斑を5月の陽光に輝かせる。

実はこの場所、その昔何度か訪れたことがあり、実に28年ぶりの再訪なのだ。

もちろん、ペアはとうに入れ替わっているとは思うが、

地図片手に初めて訪れた時も、確かこんな日射し眩しい季節だったと記憶している。

20130526

少しずつ全国の生息地から姿を消しつつある昨今、

四半世紀過ぎても、いやそれ以前はるか昔から、

連綿と子育てを続けているペアがいることの嬉しさよ。

山の神に感謝、天狗様に乾杯。

カテゴリ:猛禽|タグ:

20130520

ということでカッコウを今シーズン初認。

と言っても北東北に滞在中の話なので、ちょっとイレギュラー。

ま、この辺りにいるなら関東界隈にも当然来ているだろうけどね。

しかしこっちはまだまだ寒い。フリースの上着が手放せない。

新緑も萌黄色でそこかしこで桜も咲いている。

春はこれから北上のようだ。

カテゴリ:|タグ:,

慌てて帰る

2013/5/18

20130518

お母さーん、と言ったかどうか定かではないが、

ギャワワーンという母ギツネの呼び声に、

慌てて戻っていくこの春生まれのキツネの子っこ。

道端に落ちていた古い柿の実?に興味津々で、

兄弟三匹で取り合いのじゃれっこをしていたが、

近くに人がいるのを森の中から見ていた母ギツネが、

いても立ってもいられなかったのだろう、

早く帰って来なさーい、って感じだったのかも。

いや春真っ盛りだね。

カテゴリ:ほ乳類|タグ:

鼓の音

2013/5/11

20130511

こういう美しいグラデーションが眺められるのはまさに今だけ。

樹種は様々だが、ひと月もしないうちに皆同じ緑の海へと変わる。

そしてこの手の景色にはなぜかツツドリの声がよく似合う。

ポポンポポンと鼓を叩くようなあの声だ。

今日もその鼓の音を聞きながら、

モスグリーンの階調に染まる森を眺めた。

カテゴリ:季節感|タグ: