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森が育む水

2015/11/22

船津伝次平は日本の近代農業の祖であると先日記事にした。

農地の規模を広げ、安定的に作物を生産するには水の供給が欠かせないが、伝次平はそのための水源林保全の重要性に早くから気づき、近隣の住民らと赤城山に植林を施したことでも知られている。

当時の主な燃料は薪であり、恐らく赤城山の山麓もかなり木が伐られ、いわゆる禿山状態であったことは容易に想像がつく。計画的且つ組織的に薪炭林を育てていれば別だが、実際は皆がてんでに薪を伐り出していた時代背景もあってか、赤城山に端を発する河川の水量が細っていたのを見知って、森が水瓶であるという因果関係に気付いたのは流石である。

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伝次平の故郷は上野国原之郷の辺りで、現在で言えば前橋市富士見町(旧富士見村)である。氏の墓所より少し標高を上げると、我が赤城高原同様に農耕地が広がり、背景には赤城山本体もよく見通せる。

約150年ほど前、明治維新の前後に伝次平もこの辺りを訪れ、赤城の麓の大地を耕したのかと想うと、歴史好きとしては感慨深いものがある。

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視聴率はもうはもう目を覆わんばかりの大河ドラマ「花燃ゆ」。八重の桜同様、明治維新以降の話は間違いなく盛り下がると最初から言われていたが、ものの見事にその通りになった。朝ドラの「あさが来た」のほうが余程大河らしいと評判である。

申し訳ないが主人公のオネーチャンにはまったく興味も共感もわかない上に、どっちが主人公か判らない設定の初代県知事楫取素彦も、前橋市民には賛辞あれど、高崎出身者には裏切り者扱い..県庁は本来高崎に置かれるはずだったのを楫取素彦が反故にして前橋にしたため..されているので、地元が舞台であってもほとんど話題に上らなかった。

が、それがここに来て俄然盛り上がりを見せている..というほどの勢いもないが(苦笑)..のは、歴史上のとある人物の登場に端を発している。

その歴史上の人物とは、日本の近代農業の始祖である日本三老農の一人「船津伝次平」である。

???という方がいても何ら不思議はないがまずはそこは置いておいて、船津伝次平とは群馬県民なら誰でも知っている郷土を読んだ上毛かるたの読み札、「ろ:老農船津伝次平」その人であり、県民なら子供の頃から名前だけは知っているが、それ誰?の代表格筆頭であり、取り札の中でも新島襄や田山花袋、新田義貞などと並ぶオヤジコレクション..判る人には判るローカルネタね..の一角をなすのが船津伝次平なのだ。

群馬県内どこの地区でも、上毛かるたの県大会出場を目指し、正月を前に夜な夜な公民館などに集まってかるたの練習に励むのが群馬の子供の風習であり、それは今も脈々と受け継がれている。何しろ県大会で優勝することイコールそれは真のワールドチャンピオンに他ならないからね(笑)。

そんなかるた上、もとい歴史上の伝説の御仁が登場したものだから、仕事で会う人会う人、伝次平の話題で盛り上がるのは必定。さらに当然のように話は伝次平から上毛かるたへと流れて盛り上がっていくため、結局大河ドラマの話はどこかへ飛んでしまうのがお決まりとは言え(笑)、そういう意味ではここにきて大河さまさまと言えなくもないか?

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伝次平は若くして地元の名士となり、かの大久保利通卿に請われ東京大学農学部にて講師を勤めた後、農商務省に入省。自身の考案した船津農法を全国に広めた功が認められ、生前に藍綬褒章を受賞。没後には従五位に列せられている。

ちなみに写真に写っているかるたでは「め」になっているが、これは富士見村独自のかるたである。群馬県民はつくづくかるたが好きな県民性のようだ..

余談だが、上毛かるたと言えば、私自身、アラスカのデナリ国立公園内の最奥にあるワンダーレイク湖畔にて、バックカントリーでばったり出会った日本人に、群馬出身であると判った途端いきなり「に:日本で最初の富岡製糸」と声をかけられた経験がある。世界は広いのか狭いのか、どう実感して良いのかよく判らなかった瞬間だ(笑)。

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今どきのアレ

2015/11/19

いつものことながら、会話の合間に「ところでアレってどう?」などと振られることがある。

アレに該当するものは時節柄いくつか思い浮かぶのだが、クライアントとの会議の話題から想像すれば、今日の場合は先日発売開始されたiPad Proを指すことはすぐに判った。

iPad ProはiPad Airを倍までは行かないまでも、13インチ近くと一回り以上大きいスクリーンを備えたタブレットPCのことである。先日実物をApple Storeで確認したばかりだが、A4の雑誌とほぼ同程度のサイズ感、厚みであった。見た目が大きいので手にした感じでの重量感はあるのだが、実際は9インチ iPad3以前と同等である。

ともすれば何かこうAppleが新しいガジェットを発売すると、やたらすぐに飛び付きたくなる人達がいるのは周知のことなので、そうですねぇなどと会話が続くのだが、どんなにメディアがその新たな試みを讃えてみても、やはりデカイタブレットというのが正直な感想である。

ただ、実際操作した感じでは、かなりサクサクキビキビと反応するのに驚いた。貧弱な我が家の通信環境との違いもあろうが、マップの3Dビューが何のストレスもなく表示されたり、YouTubeサイトでの切り換えもかなり早い印象であった。シングルコアに限定すれば、MacBookより高速だという話も眉唾ではないだろう。

どんなに高性能であってもiOSである限りMacとの比較に意味は無いのだが、Surface Bookの登場などと合わせ見ると、自分の欲する作業のどの程度がPCの代わりになるか、という思いが皆あるのだろう。個人的には外部ストレージを従えた映像編集環境の問題がもっとも大きく、さらにプログラミング用途のIDEが動作しない限り、タブレットPCがメインとなることはあり得ないが。

iOSとOS Xの統合については、AppleのCEOであるティム・クックの言葉をして「どちらのユーザーも満足させることが出来ない中途半端な製品」になる可能性を示唆し、当面出てきそうにないが、市場のニーズが高まれば早晩製品化される可能性はある、と個人的には思っている。そしてそれはまずは統合ではなく、双方がシームレスに切り換えられる的な過渡期を経てのことだろう。

ところで、「ところでアレってどう?」と聞いてきた人はカメラマンであり、どうも撮影時のお供に携行してクライアントへのレビューなどに使いたいらしいのだ。それなら今持っているiPadで十分でしょう、と身も蓋もない返事をしてしまったのが、本音のところは背中を押して欲しかったのは容易に想像がつく。Yさん、iPad Pro是非買ってみて。で、飽きたら私にお下がりよろしく(笑)。

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朝の6時半頃。かなり日の出が遅くなった感あり。もっとも、赤城高原は東に赤城山本体を望む地形のため、そもそも日の出は遅いのだけど..

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浅間が噴火

2015/11/18

していると寝起きの倅が寝ぼけたことを言っていたが、確かにそんなふうに見える光景ではあるかも。

20151118

浅間の噴煙は普段なら風にたなびいて横に流れているので、そんなに噴煙が出ているようには意外に見えない。今朝はほぼ無風状態であり、昨晩の雲がまだ県内に停滞していることから、噴煙が珍しくまっすぐ上がり、停滞している湿気の残る重い雲に行く手を阻まれ、そこで拡散しているようだ。浅間の標高は2560mあるので、3000mほどの中層に雲が残っているのだろう。

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冬鳥追加

2015/11/17

今朝はシメとベニマシコを初認。ベニマシコはいつもの葦原に来ていたので、例年通り春まで定着すると思われる。シメの方はまとまった数でいたので、まだ南下途上の通過個体の可能性もあるかな。

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シメは木々の梢に散らばっていたので証拠写真程度しか撮れなかったが、代わりにすぐ目の前にアカゲラが現れ、1枚だけだが物怖じせず撮らせてくれた。

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悩ましい

2015/11/16

似たようなものがあってその二者からの選択を迫られている場合、決定的な材料がないとなかなかこれと決めかねるものだ。ではどっちも、というほどフトコロに余裕があればいいが、特にそれが高価な機材だったりすれば余計に悩むことになる。

何の話かといえば、それ現在検討中のα化計画である。どうにも煮え切らないC社をいよいよ見限って、業務用途の機材周りを一気にS社..おっとこの伏せ時に意味はねぇか(笑)..に変えてしまおうというムーブメントがあるのだ。一見するとドラスティックな変更に思えるかもしれないが、レンズはアダプター経由ですべて手持ちのEFレンズがそのまま使えるので、変更と言っても実はボディだけの話だったりする。

で何が悩ましいのかという話だが、それはα7RIIとα7SIIのことに他ならない。最初に似たようなものと書いたが、実際には静止画記録の仕様で明確な違いがあり、Rの方が圧倒的に画質が良いので当初はすんなりRで決定の流れだったのだが、暗所での動画撮影という目的に限って言えばやはりSのほうが上だ、という揺り戻しが起きているのである。

価格的に違いがあれば悩むこともないのだが、事もあろうにS社はどちらの先代モデルからも倍近い値付けをしてきているため、どちらか一方だよね、という予算面での悩ましさなのだ。

デイライトでの動画撮影では、P社のカメラが最もハンドリングし易いのでこれは不動なのだが、薄暮でちょっとシネマっぽくなんて凝ったシチュエーションではやはりα7SIIが捨てがたい。P社がもっと高感度に強ければそれで済む話だが、m4/3と35mmフルサイズではセンサーの大きさによる違いが明白で、今後もP社のカメラがα7SIIを超えることはないだろう。特に4Kともなれば尚更である。

ただ、静止画も動画もといったこれ1台的な使い方では文句なくα7RIIであり、いくらレンズは共用できるとは言っても、C社5DとP社ミラーレスカメラを2台持ち歩くことを考えると、機動性ではα7RIIがもっとも適している。

さて、この悩ましさに唯一の救いがあるとすれば、現時点ではまだモノが容易に手に入らないという点だろうか(笑)。結論は、もう少し市場の流通量が増え、価格が下る頃合いまで持ち越しとなるのかな。

20151116

悩ましいと言えば我が家の大根のお姿も悩ましい。家人いわく、よく均さずに適当に種まいたのが原因だろうとのこと。ちょっとした石でも、根の張り方には結構影響があるということだ。ま、味が変わることはないので、そこは悩ましいことではないのが救いか(笑)。

いよいよおでんが旨い季節になったねぇ..

20151115

所用で裏山の南面へ。標高はうちよりは低いのでまだ落葉こそしていないものの、さすがに紅葉の見頃は過ぎていた。ただ、今日は雨が上がってから風が強く吹いたので、カラマツなどは結構ハラハラと黄色い針葉が舞うように落ちていた。

さらに南風だったので、気温も20℃近くまで一気に上がり、11月らしからぬ暖かさに。我が家の駄犬も久しぶりに小屋の前でうたた寝する姿が見られた。

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干せばなる

2015/11/13

干さねばならぬ、渋柿は。干さねば甘くなりにけり。

20151113

今年も大量に柿を入手した。標高の関係で赤城高原ではほとんど甘柿にはならないので、例年通り軒下に吊るして干し柿を作る。だが、そんなことを知ってか知らずか、吊るし始めた途端に天候不順で雨模様となり、やれやれである。

カテゴリ:季節感

ベータの終焉

2015/11/11

先日、ソニーからベータ規格のビデオカセットテープの出荷を終了するというアナウンスがあった。9月にはHDV機器の生産終了の報があったばかりだが、少しずつレガシーな製品が市場から姿を消していく。

ご多分に漏れずうちはVHSだったのでベータには縁がなかったが、当然ながら周囲のソニー贔屓にはベータ派が多かった。それでも市場でのコンテンツの優位性はVHSのほうが上であったため、ソニー好きでもやむなくVHS派または両規格併用派が多かったようだ。

ご存知にように一般家庭へのビデオデッキ普及の影の立役者はAV..もちろんオーディオビジュアルでないほうのAVね..であり、その流通量ではVHSに大きく軍配が上がったのである。それでもウブで若かりし頃、先輩から借りた裏エ◯ビデオがベータだったため、ダンボール一箱を指をくわえて恨めしく眺めていた記憶がある(苦笑)。

ノスタルジックな意味合いで言えば、近頃はレコード盤が復権してきている。レコード盤の場合はその微妙な音のゆらぎなどを楽しむことを目的とするようだが、映像に関してはそれ以前の8mm..フィルム時代の規格..がその役目を負っているので、カセットテープに関して言えばそれはないだろうと推察する。

それよりも、まだまだ世の中に膨大に蓄積されているビデオカセットを、ワンタッチでDVDやBlu-rayディスクに焼きなおす安価な機器の登場を期待したい。うちにも過去に収録した番組など多数残っているのだが、現存するカセットデッキが壊れたらそれでオシマイなので、今回のベータ終了のニュースは、またぞろその問題を喚起することになった。

20151111

蒟蒻掘り狂騒曲も一段落し、畑も残すところホウレンソウの収穫ぐらいになり、赤城高原も農閑期へと向かっている。上州武尊山の山頂部が薄っすらと白くなっているが、根雪になるまでにはまだもう少し掛かる。周囲の山稜が根雪となると同時に、この辺りの露地の収穫シーズンも終わる。

カテゴリ:ガジェット, 季節感

先日開幕したCanon EXPOで、噂の2億5,000万画素CMOSセンサーのコンセプトカメラ..と言えるような形をしていないが..が展示されていたらしい。

話によれば、一部海上を挟んだ20km先を撮影して、そこに書かれた文字が読めるというから驚きだ。遠距離を望遠レンズで撮影するので、そこは大気との戦いであることは避けようもないが、揺らぎや霞を除去する技術も同時に開発し、その組み合わせで実現したのだという。

さらに電子ズームとの併用でも十分な画素数を維持するため、拡大耐性にも優れているらしい。そりゃ2億も画素があれば後処理で何でもござれであろう。ちょっと前にそんなもん作っているヒマがあったらと揶揄したばかりだが、基礎技術の面で考えれば凄い技術なのは異論を挟む余地はない。

フィルム時代なら撮影時にほぼすべての作業が完了していることが当たり前であり、それを実現するのがプロフェッショナルな仕事であった。が、デジタル時代になって以降、記録された画像・映像は撮影後に後処理を加え、さらに完成度の高い結果に仕上げるのが当たり前になった。撮影時の敷居が下がった分、撮影後の仕事が増えたわけで、面倒といえば面倒なのだが、それが出来ると出来ないでは飯の種に差がつくのも事実だ。

すでに撮影後にピントの位置をずらす技術も存在する。先の膨大な画素数を難なくハンドリングできる時代も、数年先にはやって来るであろう。そうなるとカメラには高精細なレンズ1本だけがあれば済んでしまうわけで、いずれレンズ交換式のカメラなど過去の遺物になるのかもしれない。

20151105

大気の揺らぎの影響を受けないで撮れるのは早朝だ。たとえ厳冬期でも日中は地面が暖められヘイズが浮いてくるので、多少なりともその影響を受ける。特にこれからの季節は空気が済んでくるので、山など遠景を望遠レンズで撮影するのは朝が一番である。

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