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オオタカと並んで里山のタカとして知られるサシバ。

ただ、もともと低地の人里近くに好んで生息しているのではなく、食性が湿性環境に依存しているので、結果的に水田地帯に適応して定着しているというのが実情だろう。

生息環境もチュウヒが好むようないわゆる湿原や河川敷ではなく、営巣林に適した森の中の湿地、つまり谷地を好む。

人が稲作のために水源と隣接する谷地に棚田を作り出して以降、結果的に人里近い水田地帯で繁殖活動を行うようになっている。

我々ワシ屋にすれば、どちらかと言えばサシバは雪山の谷筋の中で営巣するイメージが強く、実際の生息数も世間で言われているような里山環境よりは圧倒的に山中のほうが多いだろう。

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + MC-20

ピックィーというその独特の鳴き声とともに、奥山近くの谷間を飛ぶサシバ。

猛禽類は小型になるほど性格が強気になっていくが、このサシバも例外ではなく、そのけたたましいほどの勢いの前にはクマタカも逃げ惑う。

そして時には果敢に天狗様ことイヌワシにも向かっていき、気が済むまでモビングを繰り返すシーンは、この季節の奥山の風物詩的なものだ。

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トビは猛禽類の仲間として普通種といえば普通種であり、海から高山までどこにでもいると言えばどこでも見掛ける鳥である。

拙者と同世代以上であれば、子供の頃はパイロットのボールペンのコマーシャルの影響で「トンビ」と言っていたはずで、今でもうっかりするとトンビと言ってしまうクセが抜けないw

普段、天狗様を探していて稜線の上にスコープを向け、シルエットが本種だったりした時に何だ「トビか」と悪態つくのは我々の悪いクセだが、特定の生きものにのみ愛を注ぐ性故に、生きものすべて平等というわけではないのだw

ただ、そんなトビも意外に家の周辺ではあまり見掛けなかったりする。

まあ単に野菜畑ばかりで、スカベンジャーな彼らが好むような適当な餌がないというのが実情で、隣地区の牧場の堆肥場ではそれなりに待機組がいるのも事実だけど。

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO + MC-20

天狗様のような力強さや、チュウヒのような優雅さ、ハイタカ属のような機敏さはなく、いつものらりくらり飛んでいるイメージが強いが、意外に風を捕まえて飛ぶ術には長けているから興味深いところもあるかな。

いつでもどこでも見られるから、逆にちゃんと撮れられていない種とも言える。

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拡大ノスリ

2021/4/9

近所のノスリの行動が活発である。

今シーズンはすでに雌が抱卵に入っているようで、雄が単独で狩りを行っている姿をよく見かける。

巣に近いいつもの林縁で探餌中のところを撮影したが、上の画像は下の画像の中心部をクロップして強拡大したものである。

FUJIFILM GFX100S / GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR / PROVIA

写真の林縁付近は冬場にフクロウもよく探餌で利用しているので、最初はもしかしてと思ったのだが、この時は双眼鏡持っていなかったので、とりあえず撮影して背面モニターで拡大したらノスリと判明した次第。

1億画素の無駄な使い方と言われそうだが、まあナントいうか、電柵の本体電源のパネルの文字まで読めそうだw

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二度あることは三度あるということで、今朝も10mほどの距離でフクロウとニアミス。

場所は昨日とは違って上の地区の十二様の敷地内にあるソメイヨシノだった。場所的に距離は300mほど離れているが、先日と同じペアの個体であることは判っている。

そこにいるとはまったく思っていなかったので、ちょっと不用意に近づいてしまい、シルエットだけ確認できた時点でふわっと飛ばれてしまったのはうかつだったな。

もう少し手前から気が付いていれば、BLUE OWLの再現だったのだが..

FUJIFILM X-T4 / XF10-24mmF4 R OIS WR / Velvia

とは言うものの、そこに居たからと言って撮影できる時間帯ではなかったのもまた事実だけどね。

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朝まだ日の出前の薄暗い頃、南東に浮かぶ下弦の月を眺めていたら、南西方向から猛禽とおぼしい飛翔体が近づいてきた。

この時間帯だと、ねぐらから出てきたカラスたちが三々五々餌場に向かうのを見かけるが、件の飛翔体は力強く一直線に北東方向に向かって移動しており、シルエットながらその翼型からハヤブサと判った。

近所の崖地に営巣地があるので、恐らくそのペアの相方と思われるが、こんな暗い状況でも結構なスピードで翔ぶもんだなと改めて感心した次第。

FUJIFILM X-T4 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / Velvia

その後、いつもの演習林を通り過ぎようとしたところ、目の前約5mほどを右から左にスゥーッっと音もなく、フクロウが路面から1mほどの高さで横切っていくのに遭遇。

ちょうど手にはE-M1XとED100-400ISを持っていたので、止まったと思われる左手のアカマツの3mほどの高さの横枝を凝視、暗い林内ながらもすぐにフクロウを発見するも、ゆっくりカメラを構える動作の間に飛び立たれてしまった。

特にこちらを気にしていたふうでもなく、探餌行動中の場所移動といった感じであったが、目にする一連の動作すべてが無音ということに改めて感心した次第。

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規制改革担当の河野が風発建設の要件緩和を言い出してるらしいな。

さも既得権益でもあってそこに斬り込んでいくさまに自己陶酔しているのか、早くに成果を欲しがっているふうなのが見て取れ、その言い回しだけはやたらと威勢のよい立ち回りが見ていて実に痛々しい。

規制緩和やら要件緩和なんていうのはそこに利権が絡むから問題になるのであって、そもそも何故に風力発電の設置に細かい規制がかかっているのかをまるで理解していないのは間違いない。

史上最弱省庁と揶揄される環境省なら自分ごとき木っ端大臣でも言うことを聞くとか思って、バックにスダレをチラつかせながら脅しをかけているのだろう。

2050年にカーボンニュートラルを目指すため、再生可能エネルギー普及を目指すのは結構なことだが、風車なんてもはや陸上に建てる場所などありはしないので、現状の陸上建設の要件緩和ではなく洋上への設置にかじを切るべきだ。

確かに洋上の風力発電施設にも課題はあるが、イノベーションなんて困難に立ち向かわなければ起きるわけもないので、電力業界や関連業者に仕事を回すため..この辺は仕事柄裏事情をよく伝え聞く..に山の上に風車を建てるという安易な道を選ぶなど以ての外だ。

河野の小倅よ、地球環境のためとお為ごかしを称して乱立する巨大な人工物に衝突し、命を散らしていく生きものたちの無念の思いを知るが良い。

OM-D E-M1X / M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS

山の上に立つ巨大な建造物と言えば送電鉄塔が挙げられる。高いものでは100mクラスもあって、台風で損壊した千葉の例を見れば確かに鉄塔も問題がないわけではないが、少なくても送電鉄塔は周囲の生きものから見えている。

だが、風力発電の問題はそれ自体が稼働する施設だということだ。発電するためにローターが回っているわけだが、遠目にはゆっくりと回っているように見えるブレードも、鳥などはなまじ目が良いため、近くだとかえって見えなくなってしまって、最悪衝突死ということになる。

今や風の条件の良いところは海岸から山の上まで全国津々浦々に風車群が林立しているが、イヌワシやクマタカのような希少な猛禽類にとっては、自分のうちの庭先にギロチンがクルクル回っているような話なので、ただでさえ森林生態系の変化で餌不足にある状況なのにさらに追い打ちをかけることになる。

1950〜60年代にかけて自然保護が叫ばれだした頃、時は高度経済成長時代真っ只中で、それこそ自然と人の生活とどっちが大事だみたいな論争に明け暮れていたわけだが、皮肉なことに今度は地球環境を守るための人の行動がそこに棲まう生きものにとっての脅威となり、生きものと地球環境とどっちが大事だみたいな似たような論争にまたぞろ発展していくのかと思うとうんざりである。

ただ、それに対する答えは決まっていて、生きものも地球環境もどっちも大事だと言うことだ。生態系とはバランスの取れた命のつながりであって、どっちかを捨ててどっちかを取るみたいな二者択一ではない。その生態系を含んでこその地球環境だということを努々忘れてはならない。

山並み霞む

2020/11/30

ジェット気流のゴォーっという音が聞こえてきそうな風が強い日、機材一式背負って某山系にアプローチ。

一年ぶりだったので途中藪こぎでちょっと道に迷ったものの、2時間ほどかけて尾根伝いに登坂して無事に観察ポイントに現着。着いてから20分ほどで眼下の谷の中で目的の天狗様ペアを発見し、これを終日観察した。

午後はペアで8km6.7kmほど離れた隣接の山塊まで足を延ばしていたが、天気が良かったので途中ロストすることなくほぼほぼ追うことができた。ただ、集中してずーっと眺めているのはなかなか大変ではあったがw

OM-D E-M1 MarkIII / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

下界は雲海の下に沈み、上州の山並みが遠く霞んでいる。

ピーク近くなのでさすがに遠くまで見通せて眺めが良い。この尾根自体はやや低灌木に覆われていて本来見たい方向の視野に影響があるので、尾根を少し下った岩場を観察ポイントとしている。

地図に出ている本来のピークは谷を一つ挟んだ向こう側だが、この季節でも登山者が姿を見せる..万が一双眼鏡でも持っていたらこちらが目立つのでね..ので、それを避ける意味でこの岩場の陰が良いというのもある。

それにしてもこういう日は実に天狗様日和だね。

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長寿ワシ

2020/11/25

琵琶湖の湖北に今年もオオワシが渡ってきたと知らせが届いた。毎年観察している知人によれば今年も同じ個体であることが確認できたということなので、1998年以来かれこれ23年連続の渡来となる。

個人的には1999年に同個体を観察した記録がフィールドノートに記載があって、写真も撮っているはずなのだがちょっと探した限り見つけられず。当時はフィルムなので大箱の中のどこかにあるはず。

ノートにはすでに成鳥とあるので、少なく見積もっても29歳程度はいっている..成鳥になるのに5〜6年はかかる..と思われ、もしかしたら30歳を超えている可能性もあるかな。

先日のアホウドリもそうだが、大型の鳥類は比較的寿命が長い種が多く、オオワシだと飼育下では札幌の円山動物園で2002年に亡くなった個体が52歳という例があるが、それでも野生下で長寿を全うするのはなかなか厳しいので、30歳前後ともなるとやはり長生きの部類と言えるだろう。

それに継続して観察されていることで個体識別もしっかり行えるので、こうした貴重なデータが取れることになる。やはり地道にでも調査は続けていくことに意味があるので、先般話題になった気象庁の生物季節観測中止の件は見直してほしいと思うぞ。

ちなみに我らが天狗様ことイヌワシでも、我々研究会の先輩たちの代から地道に継続して続けられてきている調査によって、野生下の個体で年齢を確認できているケースがいくつかある。それらの例ではいずれも30歳を超えており、中には40年近い個体がいることも分かっている。

長く生きるためには怪我も病気もなくまずは健康であることが条件となるが、と同時に十分な餌資源の確保ができていることの証でもあるので、個体の情報もさることながら生息地や越冬地の環境の変化についてもデータを取り続けることが肝要であろう。

Canon EOS-1D MarkII N / EF28-300mm F3.5-5.6L IS USM

晩秋の知床半島の海岸段丘上を、海風に煽られながら知床岬目指して飛ぶオオワシ。11月も中旬ともなるとオオワシ・オジロワシの秋の渡りの季節である。

オオワシ・オジロワシの秋の渡りのコースは、概ねサハリンから宗谷岬を経て北海道へ入ってくる個体が多い。

多くはオホーツク海沿岸に沿って南下、知床半島を通過して道東を中心とした道内の越冬地に向かうことになるが、湾や不凍河川のサケ・マスなど餌量に依存することになるので、状況によってはさらに分散し、本州方面に降りてくる個体も出てくる。

ただ、件の湖北の個体は、到来時期からして北海道に留まることなく本州の日本海側を琵琶湖を目指して直接やって来ていると思われる。

23年も無事に越冬できている成功体験は、野生動物にとっても相当に大きな魅力と見ることができるということだ。

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その長大な翼を羽ばたかせることなく延々と波間を滑るように飛ぶ能力を持つアホウドリ。

名前だけ聞けば何ともまた失礼極まりない名称が付けられた鳥ではあるが、個人的に鳥類の中では野生のペンギンと双璧をなすまだ見ぬ憧れの種の一つである。

同じ仲間で南半球の南極海周辺に生息しているワタリアホウドリなど翼開長が3.6mもあって、現存する中で世界最大の鳥でもある。

我らが天狗様ことイヌワシが大陸の亜種まで含めて1.8〜2.4m、オオワシが2.2〜2.5m、一般的に大きいと知られているコンドルでさえ3.2mなので、いかにアホウドリの仲間が大きいか分かるだろう。

アホウドリは国内にも生息しており、夏の間はアリューシャン列島周辺で生活していて、冬に繁殖のために日本近海へ移動してくる渡り鳥的な動きをしている。

今でこそ現繁殖地の鳥島ともども国の天然記念物に指定されて保護されているが、それ以前は羽毛や食肉目的の乱獲と、糞の堆積物から得られるリンを目的とした繁殖地の破壊が原因で生息数が激減した経緯がある。

アホウドリは飛ぶことには関して長けていたが、絶海の孤島に暮らすあまり人をあまり恐れない性格と、地上を歩き回る姿がのんびりとしていて捕獲自体は容易..飛ぶためには長い助走が必要なのだ..であるため、それが名前の由来と言われている。

ちなみにこれは以前にも書いたが、アホウドリ研究の第一人者である長谷川先生は、大海原をグライダーのように優雅に飛ぶ姿を現して、長崎界隈で古くからの呼び名であるオキノタユウ(沖の太夫)を提唱している。

そんな国内のアホウドリだが、鳥島の他に尖閣諸島に由来する2つの個体群がおり、双方は割と以前から別種ではないかと言われてきていた..鳥島産のほうが大きくくちばしの形状も長い..が、先ごろ北大の総合博物館と山階鳥類研究所の共同研究で正式に別種であるとする論文が発表された。

ただでさえ数を減らして絶滅が危惧されている(絶滅危惧II類)上に、これにより希少種が2種類に増えることでその保護の重要性がさらに高まったことになる。

鳥島では火山活動が活発化する兆しがあるので、近くの小笠原諸島の聟島に繁殖地を移設する計画が近年進められてきているが、尖閣諸島に関しては中国とのいざこざを理由に調査も上陸もままならないため、これ以上面倒できな臭い事態にならないことを願いたいものである。

ちなみにゴルフのプレーでパー5から3打少なく終了することをアルバトロスというが、これはアホウドリが絶滅危惧種で珍しいことから、滅多に見られないプレーということでアホウドリの英名であるAlbatrossに由来としている。

Canon EOS 7D / EF500mm F4L IS USM / イヌワシ

長い翼でグライダーのように滑空すると言えば我らが天狗様も同様。

ひとたび上昇気流をつかまえてソアリングを始めれば、羽ばたきを忘れたかのように延々と飛ぶ姿を見せてくれる。

大型の鳥が悠々と大空を舞う姿にはある種の憧れを感じるよね。

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県境の稜線部など標高の高いところでは紅葉が進んでいるが、標高1000m前後ぐらいから下はまだこれからである。

用事でそんな標高1100m少々にあるミズナラの森を歩いてきたが、森全体に色づき感が出てくるのはもう一週間ぐらい先であろうか。

その森の奥でクマタカと四つ足のクマを15分の時間差で目視。猛禽のほうは上空を旋回中を発見、四つ足のほうはガサガサと下草を揺らしながら逃げて行くのを双眼鏡で確認。

前者はよく見かけるペアの雄で、後者はそんなに大きい個体ではなかったが、こちらも歩きながらわざとガサガサ音を立てていたので、それで先に気づいて逃げていった模様。

空と陸のクマを同時とはこれはなかなか縁起が良いかも、などと悦に入っていたのは良いが、車まで戻ってきたらE-M1Xのアイカップが無いことに気づいてがっくり。どうもオリのE-M1系はアイカップが外れやすい印象だな。

FUJIFILM X-T4 / XF50mm F1.0 R WR / Velvia

志賀高原の横手山が白かったので、上越国境が昨日初冠雪だったのは間違いないようだが、残念ながら朝の時点で解けてしまっていた。

同様に浅間山も初冠雪となっていたが、こちらはうっかり写真を撮るのを忘れてしまった..