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今度はアラスカのワンダーレイク付近で、キャンパーがグリズリーに襲われる事故が起きている。どうやら前日から同じクマに執拗に付け狙われていたようで、襲ってきたクマを死んだふりでかわそうとしたが結局襲われたらしい。

国立公園などではバックカントリーに入るハイカーやキャンパーに対し、クマに遭遇した時の様々な対応を事前に教えられる。以前にカトマイNPでキャンプした時にも同様のレクチャーを受けたが、やはりその時にも「死んだふりは有効」と言っていた。

ただ、餌として一度認識したものに対するクマの執着はそれこそ尋常ではなく、奪われた荷物を取り返そうとして逆襲されたケースは洋の東西を問わず過去に何例もある。国内では戦前の開拓時代に起きた北海道の三毛別や、日高山系で襲われた福岡大ワンゲル部の例が挙げられる。

クマに強い執着がある段階での死んだふりはかえってクマを誘うようなものなので、死んだふりはいよいよ最後の手段と心得ておいたほうが良い。ま、本当の意味での最後の手段は戦うしかないけどね。

覆い被さってきたクマを巴投げよろしく投げ飛ばしたとか、よくその手の武勇談の類を耳にする..逃がした獲物はデカかったよろしく誇張したものであることが多い..が、ツキノワグマでも体重40〜50kg程度のまだ若い個体や雌ならまだしも、100kgを超えるような雄の成獣でそうそう上手い具合に事が運ぶとは限らない。

考えて見れば判ることだが、エゾヒグマは200kg級はザラであり、大陸のハイイログマなら300〜500kgはあるのだ。柔の世界では柔よく剛を制すは言うものの、そんなものにのしかかられて一体どうやって投げ飛ばせるというのだ。そもそもその前にこちらの首が飛んで行くのが目に浮かぶ。

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件のキャンパーが襲われたワンダーレイク湖畔のキャンプ場。アラスカ山脈を眼前に拝める最高のシチュエーションだが、周囲には何も遮蔽物はなく、状況はバックカントリーで幕営するのとまったく同じである。実際、グリズリーが遠くの丘の上をゆっくり歩いていく姿を何度も目撃した。

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こちらはアラスカとカナダの国境近い民間のキャンプ場。周囲は鬱蒼としたスプルースのタイガ地帯で、これまた柵のような遮蔽物はない。日本の感覚なら「大自然に囲まれた」という陳腐な表現になるのだろうが、実際は「野生のグリズリーに囲まれている」というのが本当のところであろう。

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ここは同じくアラスカのテクラニカ川沿いのキャンプ場。ここも背景のトウヒとアスペンの森を抜ければ、見渡す限りツンドラの原野が広がっている。ちなみに、装備はミニマムでとか何とか言いながら、バドワイザーの瓶ビールを飲んでいる辺り、何度も旅をしていると色々思考に垢がついてくるものだ(笑)。

グリズリー(ハイイログマの別称)には図らずも至近距離で遭遇したことがあるが、エゾヒグマ含めグリズリーのそれはツキノワグマとは大違いである。同じクマと名がついていても、ヒグマやグリズリーはあれは完全に別物と言っていい。前述のカトマイでテントの布切れ1枚越しに感じた野生の凄みは、今でも忘れない恐怖体験である。

余談だが、野生下で遭遇した生きもので最も恐怖を感じたのは実はグリズリーではなく、それはアフリカゾウである。車でブッシュを通り抜ける際、小型の若いゾウ..それでもこちらの乗っていた日産サファリより大きかったが(汗)..に直ぐ目の前までブラフチャージを受けたのだが、その時はこちらは車内にいるにもかかわらず、全身冷や汗かきながら恐怖したのを覚えている。

ゾウが人を食うことはないが、殺すのはいとも簡単なことだ。やはり野天での人の立ち位置はかなり低いのは紛れもない事実である。今でも動物園でゾウにパォーとか鼻を高々と持ち上げられると、あの時のシーンが頭を過ることがある。

先月の話になるが、南アフリカにあるクルーガーNPで、キャンプ場に侵入してきたハイエナに、家族と旅行中の少年が襲われるという事故が起きた。

少年は一人でテントに寝ていたところをハイエナに顔を噛みつかれ、そのままテントから引きずり出されたとのことである。幸い一命を取り止めたようだが、大型獣の骨をも噛み砕くハイエナに噛まれたとあって、顔の骨を骨折する重症を負ったようである。

クルーガーNPはそれなりに管理の行き届いた公園で、海外からの観光客のサファリツアーも盛んである。野生動物たちも昔から十分人の存在は意識しているとは思うが、文字通り一度牙を向けば人などたやすく襲えるという良い例であろう。

人は今でこそ様々な道具・武器・知恵を持って、地球上のあらゆる生きものの頂点に立っている..と勘違いしているのだけどね..が、祖先が二足歩行を始め、火を操るすべをもった時代においても、サーベルタイガーなど大型肉食獣の捕食対象であったことはよく知られている事実である。

折しも、日本でも秋田でツキノワグマによる人の殺傷と食害事故があったばかりで、大型の野生動物が人を餌として認識を持った時点で、我々は実に無力な生きものであることを証明している。

ヒグマやホッキョクグマと異なり、ツキノワグマは基本的に植物食の強い雑食なので、余程のことがない限り人を襲ってまで食べようとは思っていない。ただ、その秘めたるパワーは人の太刀打ちできるところを超えているのも事実なので、万が一の事態は十分考えられる。

余談だが、今回の秋田の事故は襲ったクマと食ったクマは別なのではないだろうか。襲ったクマはビックリそのまま遁走を図り、その後に偶然..と言うよりは匂いだろうけどね..通りがかったクマが死体にありついた、というのが想定される状況である。

人は怖い、でも死体となって転がっている時点でそれは肉塊である、という認識になると思うのである。

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かくいう私もケニヤでサファリ中はキャンプであった。件のクルーガーNPのキャンプ場は一応柵があったようだが、写真のアンボセリNPなど当時は特に柵も何もなかったように記憶している。

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こちらは観光客なので食料を現地調達というわけにはいかない。すべてナイロビで仕入れて持って行った。今考えると、我々がいつ現地でけものの食料になってもおかしくなかったのだとつくづく思う次第(苦笑)。

アフリカの大地に寝転んで、と言えば作文的には絵になるのだが、正直気持ちは落ち着かないものである。アンボセリはアフリカに渡ってから半月以上経っていたので多少慣れまたは気の緩みがあったが、最初のマサイマラではさすがにそんな状況になかった。

何しろ、日本の野外で怖いのはクマぐらいのものだが、アフリカはそれこそ肉食獣の宝庫である。それに山賊やゲリラとかそういう輩も普通に徘徊していて、尚且つそれが日常なのだから何をか言わんやである。

町内で保護?されたタヌキの子どもを、こともあろうにクマの子どもと間違って捕獲檻に入れ、近くにいるであろう母グマも捕獲しようと目論んだ青森県南部町。何かの冗談かと思ったが、一歩間違えばタヌキの子どもを餌にクマを誘引してしまう大失態につながるところであった。

最近のクマ騒動に流され思い込んでしまったと町の担当者が言い訳していたが、どこをどう見間違ったらタヌキがクマに見えるのか。最初の報道で映像を見た時、尻尾が垂れてるやん「そりゃタヌキだ」と思わずツッコミを入れてしまったが(苦笑)、いかにクマの子どもが小さく生まれてこようとも、そもそもこの時期にあの大きさはないぞ。

以前、九州でアナグマをツキノワグマと見間違ったという報道もあったが、一般人の認識がいかに適当かよく判るというものだ。どんなに山奥の田舎に住んでいようとも、一生クマなど見ずに生涯を終える人がいるのは確かだが、その程度の見識と知識でいて、クマが出たら即駆除しろとか言い出すヤツ、その認識の甘さは片腹痛いと言わざるをえない。

我が村でもクマの目撃情報が増えてきて、昼に夕に防災無線通じて注意喚起を行っている。かく言う自分も近所で出会ったばかりだが、そんなこと一々報告する義務はないので放置している。え?誰かがクマに襲われたらどうするって?そりゃ運が悪かったとしか言いようが無いだろうさ。

20160628

クマがすぐ近く暮らしているという事実。それが山間の田舎の日常であり、よくも悪くも昔から隣人として暮らしてきたのだから、それを今さら無かったことにするなど土台無理な話なのである。クマのような大きないきものが棲めるその自然環境を、現代人はもっと有難がったほうが良い。

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あ、いや葉物はレタスなんだけど、このブログ的には撮ったのはそっちじゃなく足跡のほうね。

蹄なのでシカのそれと判るとは思うが、まあこんな感じでマルチを踏抜きながら一面この状態なので、食われないまでも踏み荒らされる農家は困るのである。Hさんのこめかみに怒りマークが浮き出てくるのが想像できるぞ..

20160622

この写真を見て、おや?と思ったあなたはカメラマン。

そう、画角とパースから望遠レンズで撮ったことが判ると思うが、普通200mm程度の焦点距離でこの角度から5mほど離れて撮れば、被写界深度の関係でどこか1点にしかピンは来ないのであるが、この写真は手前から奥までピンが来ている。

まあ明かすほどのタネではないが、いわゆる深度合成という手法を用いたのである。手前から順に少しずつピンをずらして連続撮影したカットを、Photoshopでレイヤー合成かけて1枚の写真に合成したという次第。

パナの最近のカメラには、4Kフォトの技術を使ったフォーカスセレクト機能が実装されており、1回の撮影行為で一気にフォーカスをずらした連写ができるので、ボディ内手振れ補正の恩恵もあって実に便利なのである。

コマーシャル系のブツ撮りでは深度合成はよく用いられる手法である。昔ならシフトレンズを使ったり、三脚に固定してフレーミングが大きくずれないようにと気を使うことがあったが、それが今や手持ちで簡単に撮れてしまうのだから恐れ入る。

本来、フォーカスセレクトは後からピンの位置を選べることがウリなのだが、我々業界人にとってはそっちじゃなくて、深度合成用の素材撮影のほうに魅力を感じる、というお話であったとさ。

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ニアミス

2016/6/7

夜、寄り合いの帰り道、牧草地の脇を通りがかった際に、ヘッドライトの光芒に大きな真っ黒い物体が浮かび上がってビックリ。

思わず慌てて急ブレーキを踏んでしまったが、あちらはもっと驚いたようで、路上をその場でクルクルと2回転程度したかと思うと、スタコラ牧草地に飛び込みそのまま草をかき分けて姿を消した。

しばらく周囲の様子をうかがってから車外に出てみると、ガサガサと草をかき分け遠ざかって行く音がしばらく闇夜に響いていた。

やがてその音も、不意に鳴き始めたホトトギスの血を吐くような叫び声にかき消されてしまった..

20160607

翌朝、真っ黒い大きな物体が逃げていった場所を確認。

傍らのうちの駄犬は興味津々といった感じで執拗に匂いを嗅いで、痕跡を辿ろうとアイコンタクトを取ってくるが、ここは年中シカが出るのでダニが多く、さすがに追跡は遠慮しておいた。

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家の前のうなったばかりの畑にノウサギの足跡が付いていた。冬の積雪期だと日常的な景色だが、この時期に足跡が残るのは珍しい。

ノウサギは場所によっては数が少なくなっているが、ここ赤城高原ではそういった印象はない。だが、姿を見かけるかと言われればそれはまた別の話で、夜に寄り合いでもあってその行き帰りのヘッドライトの光芒に浮かび上がることもあるが、シカやカモシカほどは頻度は少ない。

以前、トラップカメラを仕掛けて近所の動物の生息状況を調べたことがあるが、その際もノウサギが映ったのは数回程度であった。

なのでこういった足跡でその存在を意識するわけである。ただ、作物が育ち始めると畑でも足跡を見つけるのはなかなか困難なことなので、うなった直後などタイミング次第といったところではある。

20160519

写真手前から奥に向かって小走りに走っていった様子が判る。奥はキツネのものだが、お互いに干渉していないので、キツネが先に歩き、時間差を置いてノウサギが通ったと考えられる。

これが逆の場合、キツネはノウサギの足跡に沿って歩くのである。

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三白眼なクマ

2016/5/13

20160513

クマ看板コレクションにまたひとつ。それにしてもやけに三白眼なクマ。劇画タッチでなんかとってもシュールなんですけど(笑)。

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林道脇が伐開された見晴らしの良い場所から周囲の景色を眺めていたところ、目の前の斜面下から草をかき分けて上がってくるけものの気配を感じた。

まだ周囲の草丈が低いことと、ガサゴソとしたわりと忙しない動きから、大型獣でないのは想像がついたが、ここで停車中の車に戻る動作をすると目立つので、ポケットからiPhoneと取り出してしばし待つ。

当然、少し離れたところに飛び出してくるものと考えていたが、ガサゴソの主は目の前の縁まで上がってきて、そこでようやくこちらに気付いたとばかりに足を止めた。ここでチラッと主の顔が見え、それがイタチであることはすぐに判った。

この後どういう行動に出るのか興味があったが、まさか以前のアナグマのようにこちらの足元を通り過ぎることはないだろうとは思いつつ様子を見ていると、フフンと鼻を鳴らして1mばかり迂回の後、一気に飛び出して反対側の斜面へと消えていった。

「野外では常にカメラを携行すべし」を信条とはしているものの、さすがに小用の時まではね(笑)。仕方なくスマホで撮った次第だが、現行のiPhoneは1080/60Pで記録される..4Kでも撮れるがさすがにそれはメモリーの無駄だ..ので、地上波レベルなら十分視聴に耐えられる。便利な時代になったもんだ。

イタチは在来種であるニホンイタチと、一回り大きい大陸産のチョウセンイタチといるが、西日本だと勢力的に後者が強く、関東でも平野部ではやはりチョウセンイタチが多いようで、在来種は山間部に追いやられている。

チョウセンイタチは言わずと知れた侵略的外来移入種であるが、それを広めたのは人の欲深さ..毛皮目的で養殖したものが逃げ出し自然繁殖している..が原因なので、大陸産に罪はない。が、在来種の生息域を脅かす厄介ものであることには違いない。

20160428

映像の個体は大きさからしてニホンイタチの雄のようだ。さらに言えば大陸産は体と尾の率が50%近いので、その辺りも野外での識別ポイントになる。

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春の嵐

2016/4/7

今日は朝から風雨強し。再び前日とは打って変わった空模様であるが、こう日替わりに目まぐるしく変わるのも、春とはいえ珍しい。

平野部の桜にとっては花散らしとなってしまったが、この冬の利根川水系の積雪量は例年のわずか40%代らしいので、農作業が始まり農業用水が大量に必要となるこれからの時期、少しでも山に雨が降ってくれないと困るというものだ。

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赤城高原の桜はまだつぼみだが、同じ村内でも、沼田と同じ標高だと桜..写真は早咲きの種?ソメイヨシノではない..もかなり咲く気満々である。

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昨日アップし忘れていたが、昨日の朝もキツネのネズミ待ちが見られた(笑)。

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再びズボッ!

2016/3/31

すっかり親ギツネの狩場と化した近所の牧草地。毎日というわけではないが、3割程度の確率で朝夕の張り込みが当たる。

こちらが草地内に乗り入れた車内にいるのは承知しているようで、怪しい奴と思いつつも害を及ぼすものではないと認識したのか、最近は割と近くでも逃げずにうろつくようになった。

実際の行動の多くは夜間だと思われるが、さすがにm4/3機での動画撮影は光が回らないと辛いので、できれば日の出後がありがたい。

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狩りの方法は至って単純。牧草地内をひたすらウロウロ..することで地面に振動を伝えてネズミが右往左往することを誘発するのだ..しつつ、ネズミの匂いを感じるとしばらく巣穴の前で待つ。

同じような待ち伏せ猟をする猛禽類のノスリやクマタカなどは数時間でも待つ時があるが、イヌの仲間であるキツネはせいぜい待っても15分程度が良いところだ。

少しでも巣穴の付近に動きがあれば、ジャンプ一閃、巣穴に鼻先を突っ込んでネズミを捕らえる。もちろん成功率100%ではないので、空振りしていることも多いが、ネズミの巣穴は近くにいくつもあるので、場所を変えて何回かチャレンジすることが多い。