被写体検出の速さとAF合焦は別の話
OM-1の被写体検出能力..この場合は鳥の発見だ..の速さには舌を巻く時がある。
朝早くに雨で薄暗い林内であるものを待ち構えていた際、カサカサと何者かが落ち葉をかき分けている音を聞いたので、そっち方向の林床にレンズを向けると、こちらが鳥らしきものを見つけるのと同時にファインダー上に被写体検出枠が表示されてびっくり。
らしきものはシロハラで、カサカサ音は地上棲の大型ツグミ類がよくやる落ち葉をひっくり返しての餌探しの音。
名前の由来でもあるその特徴的な白いお腹さえ見せなければ、枯葉で埋まる林床ではほとんど保護色と言って良いシロハラを認識できるのだから大したものだ。
AFモードでTRを使うとナイコンのように色情報を用いたトラッキング機能が働くが、TRは自然造形物のような不規則なシーンでは落ち着きがなくなる傾向が強い..先日のヒバリでTRを試している..印象があるので、普段は使用していない。
被写体検出は物体の形状だけでAIが「何かを認識」しているらしいので、2000万画素の膨大な情報の中から例えば鳥であれば頭部と嘴で鳥と判断しているといった感じなのだろう。そして一度体全体までを検出して捕捉できれば、その後は嘴が隠れても関係なく検出が続く。
被写体検出の速さは確かに早く、EOS R3を使っている知り合いも明らかにOM-1のほうが早いと言っている。
ただ、検出の速さとその後のAF合焦までの挙動についてはまた別の話で、ケースによってどっちつかず的な動作が見られ場合がある。
上の写真だと前ボケにあるように手前に枝が被っているが、このケースではその後ろにいるシロハラにしっかりピンが行っており、従来のマイクロフォーサーズのISO6400とは思えない解像感がある。
でこっちのケースでは微妙にピンボケ。ファインダー上ではシロハラの目にAF枠が合っていたので試しにシャッターを切っておいたが、実際のピンの位置は手前の枝に合っているという状態である。
そもそもOM-1の優秀なEVFでは、ファインダーで見ていても枝にピンが来ているというのは分かっていたけどね。
結局のところ、被写体を検出しているからと言って必ずしもそこにピンが来るとは限らないというのが現在のOM-1の挙動で、「何かを認識」できてもそれが複数あった場合にどうするかという判断と決定のプロセスが甘いということになろうか。
「認識した何か」が今回のように一つであれば、迷うことなくそっちにピンが行ってくれれば済む話で、数に関係なく複数の時と同じ挙動をしていたのでは、AFが合わないと言うクレームが付くのは目に見えている。
システム屋の目線で言えばこの辺りはファームでどうにでもなる話だとわかるので、挙動を状況に合わせて変化させるか、設定または操作する側に決定権を委ねるのが早晩求められるところだろうね。
その場合はもちろん後者が望ましいし、システム屋としてもそのほうが楽であるはずだ。